ジューダスがダンまち世界へ   作:帰ってきた

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2話目です、連続投稿です


規格外

とある一室、そこで一人の女性がデスクにて書類と向き合っていた。

 

 

彼女の名はヘファイストス、鍛治の神様であり天界きっての名工である。

 

 

ヘファイストスファミリアの主神にして社長、今日も今日とてファミリアと眷属の子どもの為に書類と向き合っている。

 

 

(もう夕方なのね、書類と向き合ってると時間が経つのが早いわね。)

 

 

窓から差し込む夕日を見ながらふと追い出した神友の事を思い出す。

 

 

下界に降りて来たと思えば毎日毎日だらけて過ごしていた為追い出したのだがその翌日にはすぐに泣きついて来た。

 

 

やれ住むとこがないやら働き口がない等泣きついて来た、一応全部の面倒は見てあげたが流石にこれ以上泣きついて来るようなら縁を切るのを考えている。

 

 

(一応眷属集めは頑張っているみたいだけど・・・まあ、そう上手くはいかないわよね。)

 

 

ヘスティアの事はちょくちょく色々な神々や子供たちから話を聞く、勧誘は失敗続きで他の神々からも笑いのネタになっているみたい。

 

 

(まあ、これも下界の洗礼ってやつかしらね、あら?)

 

 

廊下から誰かが走る音が響く、何かあったのかと椅子から立ち上がると。

 

 

「ヘファイストスぅぅぅぅぅぅぅ!!」

 

 

私の執務室の扉を力一杯開け放ったのはなんとヘスティアだった、また泣きついて来たと思い自然と目が吊り上がる、そして気がつくヘスティアの手に握られている一枚の紙を、それを見て私は察する。

 

 

「ヘスティア。あなたその手に持ってるのは」

 

 

「あっ・・・そう!!そうなんだよ!!ついに僕に眷属が出来たんだよ!!」

 

 

ヘスティアの表情が笑顔一色になる、経緯はどうあれようやく彼女にも眷属ができて神友としては一安心だ。

 

 

まあ、ヘスティアの事だまた何かに託けて泣きついて来そうだが。

 

 

「はっ・・・!!いやいや今はそんな事を話してる場合じゃ無い!!ヘファイストス、実は君に頼みたい事があるんだ!!」

 

 

「頼み?なあに?お金を貸してくれとかだったら今度こそ縁を切らせて貰うけど?」

 

 

「ち、違うよ!!今回は違うんだ。もう。説明するよりまずはこれを見てほしいんだ。」

 

 

そう言ってヘスティアは子供のステイタスが記されている紙を私に差し出した。

 

 

「それって貴方の眷属のステイタス表でしょう?私が見てもいいの?」

 

 

「むしろ見てほしいんだ、その子のステイタスが今まさに僕の頭を悩ませてるんだから。」

 

 

ヘスティアの言葉を聞き私は考える、ひょっとすると犯罪歴のある子なのかもしれない。天界きっての善神であるヘスティアの事だ、見捨てられず悩んだ結果私に相談して来たのかもしれない。

 

 

そう思い私は折りたたまれていたヘスティアの子のステイタスを見る、そして。

 

 

「はぁ?」

 

 

自分でも驚くほど間の抜けた声が出た、しかしそんな声が思わず出てしまうほどのものがそこに記されていた。

 

 

ジューダス 【リ◇◯・マ<◉ス】

      【●ミリ▽・⬜︎ト▶︎ッ◼︎】

 

Lv.7

 

《基本アビリティ》

 

力:C 642

 

耐久:E 438

 

器用:C 633

 

敏捷:E 411

 

魔力:C 625

 

《発展アビリティ》

 

剣士: D

 

魔剣士: E

 

耐異常: G

 

会心: H

 

《魔法》

 

 

《スキル》

 

【晶術】

自身が使用した事のある晶術を使用する事ができる、精神力の消費量を増やす事によって威力が上昇する。                     

 

【特技】

自身が使用した事のある特技を使用する事ができる。

 

【奥義】

自身が使用した事のある奥義を使用する事ができる。

 

【OVL】

自身がダメージを与える、若しくはダメージを受けると力が蓄積される。蓄積された力を解放すると全ステイタスが上昇する。

 

【秘奥義】

OVL状態時のみ発動可能、奥義を昇華させる。発動後OVL状態を強制解除。

 

【誰も知らない英雄】

彼らの偉業は誰も知らない、けれど世界は憶えている、彼らのその偉業を。強敵との戦闘時階位昇華、ステイタスが大幅に上昇。

 

【五人目の英雄】

存在し得ない歴史、しかし。それでも間違い無く彼はその時その運命の場所にて世界を救った英雄の一人となった。強敵との戦闘時階位昇華、ステイタスが大幅に上昇。

 

【支配からの脱却】

超常的存在からの精神支配無効。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんなのこれ?」

 

 

思わずそう呟いてしまう、しかし、誰だってこんなステイタスを見てしまうとこう言わざるをえない。

 

 

特に問題なのは間違い無く後半のスキルだ。【誰も知らない英雄】そして【五人目の英雄】、英雄と記される二つのスキル、そしてしれっと発展アビリティにも見たことも聞いた事のないのがこれまた二つ。

 

 

そんなスキルと発展アビリティに気を取られがちだが冷静になるとレベルも7である事を忘れてしまいそうになる、いやいっその事忘れたいとも思う。

 

 

「なんなのよ、このステイタスとスキルと発展アビリティは・・・。」

 

 

こんな特異的な存在がもし他の娯楽に飢えている神々に知られたら間違い無く面倒な事になるのは火を見るより明らかだ。

 

 

そうなると一番被害を被るのは間違い無くヘスティアとその眷属の子供になるだろう、なにせ新興ファミリアの最初の眷属がレベル7のうえ破格なスキルの持ち主だ。

 

 

神々はこぞってその子供を狙い要らぬちょっかいをかけるだろう、流石のヘスティアもこの事に気付き私に助けを求めて来たのだろう。

 

 

となれば取れる手段は一つ。

 

 

「ウラノスを頼るしかないわね、貸しを作る事にはなるけど。」

 

 

「うーん、やっぱりそうなるかい。」

 

 

「ええ、とりあえず私からウラノス宛に文を出しておくわ・・・。ところでアナタの問題の眷属は何処にいるの?」

 

 

ステイタスの件ですっかり忘れていたが問題の人物の姿を見ていないことを今になって指摘する。

 

 

「ああ、ジューダス君ならここに来る途中で椿君に連れて行かれたよ。なんかちょっと付き合え!!って言ってさ」

 

 

「・・・はぁ。」

 

 

口止めしないといけない子が出来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おおっ!!ヘスティア様此奴を借りて済まんな。」

 

 

椿の鍛冶場に行くとようやくヘスティアの子を見る事ができた、魔物の骨のような仮面を被り全身黒と紫が混じったような色の装い。

 

 

アーマーや盾といった防具類などは見受けられない、余りにも軽装すぎる出たちだが。

 

 

「うーむ、やはりお前さんの武器はかなりボロボロだな。一体どんな敵と戦えばこんな風になるのだ?」

 

 

椿は手に持っている片手剣をまじまじと見ながらそう言う、確かにかなりボロボロだ。元はなかなかの業物だったのだろうが損傷が激しいうえに金属が摩耗している。

 

 

椿の作業台に置かれている見慣れない短剣も同様だった、刀身には焼け焦げた後も見られる。これこそ彼をレベル7まで押し上げることになった戦いの後なのだろうか。

 

 

「して、お主。どうだ?ワシの打った剣は?中々の物だろう?お主にはちと物足りないかもしれんが。」

 

 

「ああ、悪くない。だがさっきも言った通り僕は無一文だぞ。」

 

 

「はははっ、なあに。お主ならこの剣と短剣を買えるだけの金などすぐ用意できよう。お主手前より強いしな。」

 

 

椿の発言を聞き私は頭に手を当て天を仰いだ、やっぱり気付かれた様だ、特にヘスティアなんかは驚いて声を上げていた。

 

 

その様子を見た椿は豪快に笑っているし、ヘスティアの子は呆れていた。

 

 

「あっははははっ。ヘスティア様、少しは隠す努力はした方がいいぞ。それにお主も迂闊だったぞ。」

 

 

「・・・どういうことだ?」

 

 

「お主に最初に渡したあの戦斧はワシでも持ち上げるのが困難なやつでな、それを軽々と持ち上げている時点でお主はワシよりレベルは上だろうとわかったんじゃ。」

 

 

「その証拠に手前は戦斧を地面に付けながらお主に渡したろう?」

 

 

そう言われてヘスティアの子は初めて表情が変わった、そして。

 

 

「してやられたか・・・。」

 

 

苦笑を浮かべながらそう言った。

 

 

最終的にヘスティアの子、ジューダスは椿の武器を受け取る形となった。けれどもジューダスは。

 

 

『金が貯まったらキチンと料金は払う』

 

 

との事、その点は全く譲る気もなく今度は椿が折れる羽目になった。しかし椿は椿で。

 

 

『次はお主の実力に見合った武器を打とう。その剣と短剣はそれまでの繋ぎだからな。それまで金をたんまり用意しておけよ?』

 

 

売り言葉に買い言葉とはこの事かしら?繋ぎの剣とは言うけどあの剣と短剣も普通に店頭で販売すると片手剣だけでも1223万ヴァリスという業物だ。短剣も負けずの1128万ヴァリス。

 

 

けれどこれでも第一級冒険者の装備としては少し物足りないだろう。

 

 

その後防具や盾といった装備も椿は薦めていたが悉く断られていた、ライトアーマーといった軽装まで断っていた。

 

 

流石にこれには私やヘスティアも難色を示したが・・・。

 

 

『不要だ、いままでこれでやって来たんだ、問題ない。』

 

 

色々突っ込みたい事はあったが一先ずはこのままという事になった。

 

 

その後、私はウラノス宛の文を子供にギルド職員に渡す様に頼み、後は返事を待つばかりとなった。

 

 

その日の夜、執務室にて。

 

 

「ヘファイストス、ありがとう。おかげでなんとかなりそうだよ。」

 

 

「いいわよ、流石にあの子のステイタス。もといあのスキルは娯楽好きの神々からしてみたらねぇ?」

 

 

「うん、碌でもない事になるのは確実だね。全く皆んなもう少しアテナやアルテミスを見習ってほしいものだね。」

 

 

ヘスティアがブツブツと文句を垂れながら言う、まあ。気持ちは分からなくもない。神というのは基本的にはろくでなしばかりだ。

 

 

子供の事を見栄のための道具や自身の娯楽のための玩具として扱う神は存在する、それも多く。子供の意思などを尊重できる神は少数派だ。

 

 

私は勿論の事、ヘスティアもその少数派になるだろう。後はガネーシャやデメテル。タケミカヅチにミアハ。

 

 

そしてロキに私と同じく鍛治の神のゴブニュ。メレンを拠点にしてるニョルズなんかもそうね。フレイヤは・・・なんとも言えないわね。

 

 

私とヘスティアの語らいは夜遅くまで続くのだった。ちなみにだが翌日のウラノスからの呼び出しにヘスティアのみが寝坊するのだった。締まらないわねホントに。




《スキットオブオラトリア》

「素顔」


「ねぇ、ヘスティア貴方あの子の素顔って見たの?」


「えっ?うん流石に恩恵を与えるのに服を脱いでもらわないといけないし脱いでもらったよ」


「そうなの、けどあの子の仮面って不思議よね。あんなにスカスカなのに顔をしっかり認識出来ないなんて。」


「うーん、そうなんだよねぇ。不思議なことにねぇ。」


「あの仮面って特殊な加工でもしてるのかしら?一見ただの骨なんだけど。」


「ヘファイストスに分からないんじゃボクにはお手上げだよ?」


「うーん、気になるわね。そもそもあの骨は・・・。」


「あー、ヘファイストスに火がついちゃったね。」
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