ジューダスがダンまち世界へ   作:帰ってきた

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更新です、ダンメモ六周年リヴェリア様を二凸出来ました。完凸目指して石を貯めます。


ダンジョン

ベルが入団して一週間が経過した、最初の三日間はダンジョンには一切潜らずひたすらにダンジョンに関する基礎知識をエイナに叩き込んで貰い、残りの四日で戦闘における基礎訓練に明け暮れていた。

 

 

ダンジョンに関する知識については行ける階層が増えるたびにその都度エイナからレクチャーしてもらうという旨を伝えると・・・。

 

 

『へっ?・・・』

 

 

短い言葉と共に泣きそうな目をしていた、技術や知識は身を助ける事になる。そう伝えると渋々ではあるが納得した様だ。

 

 

基礎訓練に関しても文句の一つも言わずに真剣に取り組んでいた、やはりといったところか構えは素人丸出しで僕が攻撃を仕掛けると驚いて直ぐに守りに入ってその場に留まってしまっていた。

 

 

戦闘経験の無いベルには一から教える事に、武器についてはナイフを選んだ。最初は僕と同じ片手剣にしようとしたが・・・。

 

 

『はぁぁぁぁぁああっとっとと?!』

 

 

『振り回されてどうする。』

 

 

『うっ、剣って意外と重いんだね、鍬とかと全然違う』

 

 

『用途が違うからな、重くて当然だ。』

 

 

振り回すどころか振り回されるので軽く扱い易いナイフを使用する事になった、ナイフを使う事で明らかになったがベルは足が速い。

 

 

その様子を見てベルは速さを生かした戦闘が向いている、ナイフを二本使っての二刀流で攻撃の手数を増やしつつ体術で攻撃するのも悪くない。

 

 

だがこれはまだ先の話だろう、素人のコイツに必要なのは基礎を固める事だ。何事も基礎を疎かにしては変な癖がつきかねないからな。

 

 

しかし、僕がベルを鍛えるのに一番の弊害となったのがレベル差であった。初日の訓練ではかなり手加減したのだが一撃でダウンしてしまった。

 

 

幸い大怪我にはならなかったのだが、改めてレベルの差によって生じる力の差というのは理不尽とも思える差が生まれるのだと身をもって知った。

 

 

結局僕はベルの攻撃を受けるという形で訓練をする事となった、攻撃を通じて悪かった点や良かった点などを述べ改善していく。

 

 

ベルも最初は戸惑っていたが、僕に攻撃を何度も防がれるとやはり悔しかったんだろう、遠慮なく攻撃を仕掛けてくる様になった。そういった部分は年相応だったな。

 

 

だが、やはりというか最初はいい様にやられていた。武器を弾いては身体ごと吹き飛び背中から地面に落下したり、攻撃を受け流しては地面や壁に顔から激突したり。

 

 

初日は心身ともにボロボロになって食事も喉を通らなかった、無理やり食べさせたが。食べなければ傷付いた身体を治せないし翌日更に辛くなるだけだと伝え食べさせる。

 

 

流石に見かねたヘスティアが助け舟を出しベルを休ませ、その後はやりすぎだと叱られた。ベルの心が折れてないかヘスティアは心配していた。

 

 

しかし、翌日ベルはヘスティアの心配をよそに僕に果敢に挑んで来た。まだまだ動きは硬いが先日まであった怯えや戸惑いといったものは無くなっていた。

 

 

 

それに考えながら動く様にもなり、荒削りだがフェイントを織り交ぜてきた。少しづつだが確実に動きも良くなっていった。

 

 

そして、四日間の訓練が終わりベルは今日初めてダンジョンに潜る日がやって来た。朝起きた時からガチガチに緊張していたが大丈夫だろう。

 

 

「ここがダンジョン・・・。」

 

 

ベルが周りを見渡しながらそう呟く。

 

 

「そうだ、エイナから教わった事。僕との訓練を思い出せば今のお前でもゴブリン位なら余裕で倒せる。」

 

 

「そ、そうかな?村に住んでた頃に一度だけ遭遇して殺されかけた事があるんだけど。」

 

 

自信なさげにベルが言う、だが。

 

 

「その頃のお前と今のお前どちらが強い?」

 

 

「えっ?それは当然今だけど・・・。」

 

 

「そうだ、知識も戦いの経験のなかったその時のお前よりお前は多くを知っている。」

 

 

「エイナとの講習でモンスターの情報、そして僕との訓練で戦闘での立ち回り、お前は成長している。」

 

 

「だから示してみせろベル、お前はもう何も知らないただの村人では無く、戦う術を持ち困難に立ち向かうことの出来る冒険者だということを」

 

 

少々大袈裟かもしれないが焚き付けるならこれくらいは必要だろう、その証拠に先程まで不安にかられていたベルの様子が一変した。

 

 

目付きも変わった、不安や緊張で強張っていた身体も解され自然体となっていた。これなら大丈夫だろう。

 

 

そして、そんなタイミングを見計らってかダンジョンの壁からゴブリンが現れる。何度もこの光景を目の当たりにしているがまだ慣れないな。ダンジョンの壁からモンスターが出てくる瞬間は。

 

 

「ジューダス、僕やるよ。」

 

 

そう言ってベルはナイフを構える、ゴブリンも僕たちに気付き臨戦態勢を取る。その様子を見て僕はベルから少し離れた場所に待機する、ベルもそれに気付き視線を此方に向けるがすぐに視線をゴブリンに戻した。

 

 

(さて、冒険者としての第一歩だベル。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジューダスが僕から少し離れた位置に立ってる、そして僕の眼前には一匹のゴブリンが居る。

 

 

ジューダスの言葉を聞き僕はハッとなった、僕はもうおじいちゃんに助けられていたあの頃の弱い僕じゃない。

 

 

エイナさんからは知識を、ジューダスからは戦い方を。

 

 

(無知で無力な僕はもういない、僕は冒険者なんだ!!)

 

 

構えたナイフを握る力が自然と強くなる、知識も戦い方も知ったといえ実戦は初めてだ。けれど不思議と緊張はしていないし自分でも驚くくらい落ち着いている。

 

 

僕は武器を構えたままゴブリンとの間合いを図る、闇雲に突っ込んで攻撃が相手に当たらなかった時のカウンターをもらう怖さはジューダスとの訓練で嫌というほど身に染みている。

 

 

(初めての実戦、不安は思ったほど無いけどここは慎重に確実に。)

 

 

僕はゴブリンとの間合いを徐々に詰める、ゴブリンに悟られない様に少しづつ。そして間合いを十分縮めると。

 

 

(今だ!!)

 

 

一気にゴブリン目掛けて飛び掛かる、ゴブリンが慌てた様に両腕を頭を守る様に構える・・・けど。

 

 

(大丈夫・・・やれる!!)

 

 

慌てて防御態勢に入ったから隙だらけで、正面しかカバー出来ていなかった、だから頭の左右の側面と頭上がガラ空きだ。

 

 

(いける!!)

 

 

 

僕の振り上げたナイフはゴブリンの頭頂部に深々と刺さる、ゴブリンが短い断末魔を上げた後ゴブリンの肉体は霧状になって消え失せその場には一つの魔石だけが残された。

 

 

最初は目の前で起きた事が信じられず呆然としていたけど地面に落ちた魔石を拾う、手の平にあるその小さな魔石を見て僕は徐々に実感していく。

 

 

(た、倒したんだゴブリンを!!)

 

 

その事実に思考が追いつき遂には。

 

 

「いやったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

僕は嬉しさのあまり大声で叫んでいた、初めてモンスターを倒せた事に僕は舞い上がってしまっていた、それと同時に自分の成長を実感した。僕は強くなったんだと。

 

 

けれど僕は油断していた、いや。喜びのあまり忘れていたんだ。ダンジョン探索をしているのは僕たちだけで無い事を。

 

 

「あっ!ジューダス僕やった・・・よ。」

 

 

ジューダスの方に振り返る、そこで僕は見てしまった。呆れた様な表情をしたジューダス。

 

 

そして、その後方視認できるくらいの距離にいた冒険者のパーティーが。

 

 

そして聴こえてしまった、そのパーティーの会話が。

 

 

「スゲェはしゃいでたなぁ、見た目通り駆け出しの冒険者だな。」

 

 

「俺も初めてモンスター倒せた時は喜んだけどあそこまではなあ。」

 

 

「年相応で可愛かったね。」

 

 

「ダンジョンの中だったのに少しほっこりしましたね。」

 

 

聴こえてきた会話を耳にして僕の思考は止まった、そして理解する。

 

 

僕がゴブリンを倒してはしゃいでいた一部始終を彼らに見られていた事に。その事を理解した瞬間僕は。

 

 

「あっあああ・・・。」

 

 

 

「だあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

見知らぬ人たちに見られたという羞恥心から僕は叫んでいた、そして気がつくと僕はホームの部屋の隅で三角座りをしていた。

 

 

記憶が曖昧だけどおそらく僕はダンジョンから走って帰ってきたのだと思う。

 

 

そして置いて帰ってしまったジューダスからお小言を沢山もらう羽目になった。

 

 

さらにその流れでジューダスから神様に事の顛末を語られる事になり、神様からも揶揄われることとなった。

 

 

こうして僕の初めてのダンジョン探索は決して忘れることの出来ない苦くそして恥ずかしい記憶が残る事になった。




《スキットオブオラトリア》


「待ち神」


「はぁー、今頃ベル君とジューダス君はダンジョンか・・・。」


「うーん、退屈だねぇ。天界にいた頃は神殿で一人でいても全然寂しくなかったのに今じゃ天界の神殿より狭いこの部屋でも広く感じちゃうなんてね。」


「ホント、ベル君やジューダス君には感謝しかないや。こんなボクと家族になってくれてさ。」


「けど、ジューダス君はもう少し素直になってくれると良いんだけどね。ベル君を見習ってさ。」


「ああ、やっぱりボクは今幸せ者なんだろうね。」
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