12月にあげるつもりだったんですがアトリエシリーズに手を出しまして。マリーとロロナの全エンディングを回収してたら3月になってました。
FF7もあるのにトトリをやってます。
私、エイナ・チュールは眼前の光景にただ乾いた笑みを浮かべることしか出来なかった。
ギルドの個室面談の部屋に私を含め三人の人物が居る、二人とも私の担当冒険者で同じファミリア所属である。
一人はベル・クラネル。新興ファミリアであるヘスティアファミリア所属の新人冒険者である。そしてもう一人はジューダス君。ベル君の所属するファミリアの団長を務めておりまだ公になっていないが現在のオラリオにおいて二人目の、そして世界で三人目となるレベル7の冒険者である。
そんな二人の今現在はと言うと。
「・・・。」
「・・・(ダラダラ)」
方や床に正座をし滝のように汗を流すベル君、そして方や椅子に脚を組みながら座りベル君を見下ろす形になっている。
何故このような事になってしまったのか。事の発端はベル君であった。簡潔に言うとベル君は私とジューダス君の言いつけを破りいつもより下の階層を探索していた。
最初は順調にモンスターを倒していたみたいだけどそこでイレギュラーが起きた、なんと中層にいるはずのミノタウロスと遭遇したというのだ。
この件に関しては後に遠征から帰還したロキファミリアからの報告で帰還途中で遭遇したミノタウロスたちが戦闘途中でいきなり上層へと逃走したそうで。
その逃げたミノタウロスと運悪く遭遇してしまったのがベル君だ。
勿論ベル君はすぐさま逃げ出したけど相手は格上のミノタウロス、引き離すことが出来ずその上ベル君にとって初めて訪れた階層だった為がむしゃらに逃げた挙句スタミナ切れで追い詰められてしまったそう。
けどベル君は運が良かった、ギリギリのところをミノタウロスを追っていたロキファミリアの冒険者であるアイズ・ヴァレンシュタインに助けられてベル君は窮地を脱したのだ。
けれどそこで終わらないのがベル君なんだろう、どうやらその一件でヴァレンシュタイン氏に一目惚れしてしまったそう。
助けてもらったお礼を言わず叫びながらその場から逃げ出してしまったそう、ミノタウロスの返り血を浴びたまま。
そこで地上に帰る間にベル君はヴァレンシュタイン氏に一目惚れしたと自覚したみたいだ。
そしてギルドに帰還したベル君は偶然外に出ていた私を見つけてヴァレンシュタイン氏の情報を得ようと私に声をかけて来たのだ。ミノタウロスの返り血を浴びたままの姿で。
その姿を見て私が叫んでしまったのは致し方のないことだと思う。その後はベル君に血を落としてもらい、ヴァレンシュタイン氏の情報(世間一般で知られる)を教えて少しの会話をしそのまま終了のながれとなったが。ベル君が部屋を出る前に扉が数回ノックされるすると。
『エイナ〜ちょっと良い?』
『ミィシャ?どうしたの?』
ノックの後に扉を少し開けて顔を見せたのは同僚のミィシャだった、しかし何処か様子がおかしい。何かあったのだろうか?
『え〜っと、新人君に用があるって人がいて、その人を案内して来たんだけど・・・。』
ミィシャにしては少し歯切れの悪い物言いに私は少し嫌な予感がした、そして気付く。
ベル君はここに来るまであの返り血を浴びた姿のままギルドにやって来た、それを多くの人に見られたのは言うまでもない。となれば・・・。
彼の耳にこの話が届かないわけがない。
『それじゃ、案内したから私はこれで。じゃね。』
早口に言葉を発しその後すぐにその場を去る足音が聞こえた、どうやら巻き込まれる前に逃げた様だ。
そして扉がゆっくりと開けられ・・・。
『ベル、随分愉快な恰好で街を走っていた様だな。説明してくれるよな?』
『・・・っ!!』
そこには想像した通りの人物が立っていた、その彼。ジューダス君をみてベル君は絶句し。ジューダス君の表情は無表情ながら何処か凄みを感じる。
こうして場面は冒頭に戻る。
いまだに無言を貫くジューダス君に冷や汗を滝の様に流すベル君。しばらく無言で睨んでいたジューダス君だったけど。
「さて、ベル。一体どういった経緯で血塗れで街中を走る事になったのか僕に詳しく教えてくれるか?」
「えっ!?えーっとぉ。そ、そう言う事ならエイナさんに聞いた方が良いんじゃないかな?エイナさんにはもう全部説明してるし・・・。」
そう言ってベル君は私の方を見てくる、その視線は助けを求める子供そのものだった。けれど。
「いや、ベル。僕はお前の口から直接ことの次第を説明してもらいたいんだ。」
「えっとぉ〜、でも・・・」
「ベル?」
「うっ・・・。」
「お前の口から『直接』説明してくれるな?」
「はい、全てお話しします・・・。」
こうしてジューダス君の圧に敗北したベル君はジューダス君にことの事情を洗いざらい白状する事とになった。
ことの事情を話している際のベル君の表情は最初から最後まで死んでいたと言っても過言では無かった、程なくして全てを話し終えたベル君。
その姿はまるで罪状を告げられる時をただ待つばかりの罪人が如くであった。まあ実際見たことはないんだけどね。
暫しの沈黙の後ジューダス君が口を開き。
「取り敢えずの事情はわかった、大体はベルが悪いとはいえ今回のミノタウロスの件は予想外も予想外だ。生き残れたのは運が良かったなベル。」
「えっ・・・あっ。うん。そ、そうだね。助けてくれたアイズさんにはお礼も言わず逃げてきちゃったけど・・・。」
「・・・機会があればきちんと礼はしておけ。」
「う、うん。」
思っていたのと違う、このジューダス君とベル君のやりとりを見て私はそう思った。ベル君も同様なのか信じられないものを見る目をジューダス君に向けていた。
「なんだ?僕が怒らない事がそんなに意外か?」
じっと見ていた為やはりジューダス君に気付かれる。
「えっ?!い、嫌。その・・・うん。ジューダスの事だからてっきり・・・。」
「お前が普段僕の事をどう見ているのかはわかった、まあ。今回に限っては予想はしていたからな。」
「あっ、そうなんだ・・・あれ?ひょっとして僕全く信用されてなかったんじゃ?」
「少なくともエイナに釘刺しを頼むくらいは信用はしているぞ。」
「それって良い方で信用してくれてるんだよね?!悪い方でって意味じゃないよね!!」
「想像に任せる。」
「絶対悪い意味でだよね!!その言い方だと!!」
二人のやりとりを見て私は少し笑みを浮かべる。
(上手くやれてるみたいで良かった。ジューダス君もベル君のことしっかり面倒見てくれてるみたいだし。)
側から見ると仲のいい兄弟のようにも見える、私や同期そして他のギルド職員から見てもベル君はとても冒険者に向いているとは思えなかった。
ベル君には悪いけどギルド職員数名はベル君がいつ冒険者を辞めるか賭けをするくらいだった。けれどベル君は冒険者を続けている。
冒険者になってまだまだ日が浅いとはいえジューダス君の指導や特訓によってメキメキと強くなっているベル君。
ジューダス君やベル君自身の報告からも聞いている限り順調の様だ、因みに賭けをしているギルド職員からたまにベル君の様子を聞かれるが全て質問には順調に成長していると返している。
「まあ、次は無いからな。その事はしっかりと肝に銘じておけよ。」
「は、はい。」
そうこうしているうちにどうやらジューダス君によるベル君に対する注意は終わった様だ、その様子を見て私も個室を出る準備をする。
お説教によって意気消沈していたベル君だったけど最後に私が言った、
「強くなればヴァレンシュタイン氏も振り向いてくれるかもよ?」
言葉を聞き一瞬にして曇っていた表情が笑み一色となり、去り際に「エイナさん大好き!!」と言って走り去っていった。
不意打ちを喰らい自分でも顔が赤くなっていると自覚する、がしかしすぐさま隣に居る存在に気付き視線を隣に向けると。
「・・・はぁ。」
仮面を被り表情は窺えないが怒っているというよりかは呆れ果てている様に見える。
「え〜っと、ジューダス君・・・その。」
「いや、みなまで言わなくていい・・・僕も失礼する、ではな。」
そう言ってジューダス君は去っていった、私は只々ベル君の無事を願うことしかできなかった。
「全く、ベル君はダンジョンに夢みがちなんだよ。」
ホームに戻ってきてベルが今日遭遇した出来事に関してヘルティアに報告し、しっかりと叱られた後ステイタスの更新を行っていた。
ミノタウロスが上層に登って来た原因が天界の頃からなにかと因縁をつけてきた神ロキの眷属たちと知って更に不機嫌になったがそこはベルがなんとか落ち着かせた。
ステイタスの更新のなかヘスティアはベルにあれやこれやと話していたがたいした内容では無かったので僕は聞き流していた、すると。
「んっ?」
ステイタスの更新をしていたヘスティアが今までとは違う声色で声を出した、ベルが声を掛けると何事もなかったかの様に振る舞うが側から見れば何かあったのだとわかる。そして。
「はい、ベル君ステイタスの更新終わったよ。」
ヘスティアからステイタスが記された紙を渡されたベル、するとすぐに。
「あれ?神様スキルの欄のところが変なんですけどこれは?」
「ああ、それかい。ちょっと手元が狂ってしまってね。安心したまえベル君。君のスキルはまだ発現してないよ。」
「神様それは安心していいことじゃ無いですよね・・・。」
この様なやり取りをしてベルは肩を落としていた。他愛の無いやりとりに見えるがやはりヘスティアの様子がおかしい、理由はおそらくだがおかしなスキル欄、つまり。
(ベルにスキルが発現したんだな、しかも僕のスキルと同様に厄介なものが。)
ベルが寝静まったのを見計らってヘスティアに聞くとしよう。
そうして何事もないまま時間は流れ夜になった。
「ヘスティア。」
「ん?なんだいジューダス君。」
ベルが眠りについたのを確認し、僕はベルの発現したスキルに関してヘスティアに尋ねる事にした。
回りくどいのは無しにしてストレートに聞く事にする。
「ベルにスキルが発現したんだな、それも厄介なスキルが。」
「ぶっ!!な、何のことかな?冒険者になってまだ間もないベル君がスキルを発現させれるわけないじゃないか君じゃあるまいし。」
「・・・」
「あっははははは」
「・・・」
「あっは・・・ははは・・・。」
「・・・」
「ははは・・・はぁ〜何でわかるんだいジューダス君。」
無言で睨みつけていると観念したのかヘスティアは項垂れながらそう言った。
「あれくらい勘が良い奴はすぐに気付くだろうな。」
「むぅ、ベル君は誤魔化せたのに。はぁ。取り敢えずこれがベル君の本来のステイタス表だよ。」
そう言ってヘスティアはステイタスが記された紙を僕に渡して来た、見てるとそこには予想通りベルにスキルが発現していた。
ベル・クラネル
Lv.1
《基本アビィリティ》
力: I 86
耐久: I 65
器用: H 107
敏捷: H 196
魔力: I 0
《魔法》
《スキル》
【憧憬一途】
・早熟する。
・懸想が続く限り効果持続。
・懸想の丈により効果向上。
「憧憬一途・・・か、レアスキルか」
「ああ、そうだよ。効果の説明から考えるに恐らくだけど成長促進スキルの可能性がある。」
「冒険者なら喉から手が出る程欲するスキルだな、発現したばかりで効果の程はまだ不明だが・・・覚悟はしていたほうがいいな。」
僕がそう言うとヘスティアは深くそして長いため息をつきながら天を仰いだ。
「ウラノスには相談しておくか?」
「あ〜。そうだね。もう君の事で世話になったんだ今更厄介事が一つ増えようとも問題無いだろう・・・多分。」
「報告するにもスキルの効果の程を確認してからでいいだろう、明日のダンジョン探索が終わったらエイナにウラノスと話せないか尋ねておく。」
「うん、頼んだよジューダス君。」
こうして明日に備え僕も休む事にした、明日のダンジョン探索を終えた時ベルのステイタスがどうなるのかを考えそして。
(ヘスティアの予想通り成長促進のスキルなら少し面倒な事になりそうだな。)
後に訪れるであろう面倒事に少し頭を悩ませながら僕も眠りについた。
ベル君のステイタスを少し強化しています。
《スキットオブオラトリア》
「神様の憂鬱」
「はぁ〜全くベル君までジューダス君みたいなレアスキルを発現させるなんて。しかも発現した理由がロキの眷属だなんてぇぇぇぇぇ。」
「ベル君の浮気ものおぉぉぉぉぉぉぉぉ。」
「身近に僕という者が居るってのにまったくもぉ〜。」
「何で僕に見向きもしないんだぁぁぁぁぁぁ!!」
「五月蝿い、騒ぐな!」
「ご、ごめん。」