文章がおかしなところがあるかもですが何卒温かい目で見ていただければ幸いです。
「えっ・・・。」
日が落ち切る前にダンジョン探索を切り上げホームに帰還した僕たち、帰還したベルに真っ先にステイタス更新を促した。その結果。
ベル・クラネル
Lv. 1
《基本アビリティ》
力: I 86→H131
耐久: I 65→I 85
器用: H107→H 162
俊敏: H196→ G 256
魔力: I 0
とこのようなステイタスになっている、先程のベルの反応はこの大幅に上昇した自分のステイタスに対する反応だった。
流石の鈍いベルもこのステイタスの上がりようには驚きを隠せない様だった、ヘスティアが隠したレアスキルの存在にはまだ気付いていないようだが。
「か、神様これステイタス書き間違えてませんか?」
「ベル君は僕が読み書きも出来ない神だと思ってるのかい?」
「い、いや。そんなことは・・・け、けどこのステイタスは・・・。」
この後もやり取りをしていたが終始不機嫌なヘスティアの態度に深く突っ込むことも出来ず結局はベルが折れて口を噤む事となった。
しかし、真っ先に疑うのがヘスティアの書き間違いとは・・・。まあ、今までにないほどステイタスが大幅に上がっているんだ疑いたくなる気持ちは当然だろう。
今までステイタスを更新してもここまで大幅にステイタスが上昇することなど一度もなかったからだ。
これはベルに限った話では無いが普通ステイタスか大幅に上昇する事など殆どない、自己鍛錬などでもステイタスは上昇するが雀の涙ほどしか上がらない。
現にベルに稽古をつけていた僕のステイタスは全くと言っていい程変わっていない、力の差がここまであると経験値にすらならないらしい。
なので同格相手ではトータルで二桁も上がれば充分だと言えるだろう、しかし今回のステイタス更新でベルはトータル120オーバーのステイタスの上昇が確認された。
二桁どころか三桁である、どうやらベルの発現したレアスキル【憧憬一途】は僕らの予想を超えるとんでもないスキルのようだ。この状態で僕との稽古を続けた場合どれほどステイタスが上昇するのか考えるだけでも嫌な予感が拭えない。
成長促進、ただの雑魚モンスターとの戦闘でこれ程の上昇・・・。スキルの説明欄には想いが続く限りと記載されていた。
つまりベルがアイズ・ヴァレンシュタインを想い続ける限り【憧憬一途】は決して消えることは無いだろう。
だが逆に言えば想いが移ろったり、ベルがアイズ・ヴァレンシュタインに並ぶ。若しくは追い越した時このスキルは消えるかもしれない可能性も秘めている。
しかし、発現理由はあれだがスキルの効果自体は馬鹿にできない。エイナやウラノスに報告する際どうなる事やら。今から憂鬱だ。エイナにも覚悟しておくようにと伝えるべきだろうか。
しかも、僕の頭を悩ませる一番の問題は早熟するという一文。つまりは・・・。
(早期ランクアップの可能性か。)
ランクアップ。それは多くの冒険者が目標とするもの。世界の中心とも言えるオラリオの冒険者であってもランクアップしている冒険者は全体の半数ほどである。
半数近くの冒険者がランクアップできない理由としてはやはりランクアップの条件にあるだろう。
一つは上質な経験値、簡単に言えば偉業をなす事だ。生死に関わる窮地を乗り越える事、この時点でまずランクアップの条件がいかに厳しいかが分かる。
二つ目は自身のステイタスのどれかがD以上になる事、これに関しては時間を掛ければ到達することが出来るだろうが時間が掛かる。スキル発現前のベルのステイタスのトータル上昇値をみても多くて二桁。
さらにステイタスは上がれば上がる程数値が伸びにくくなっていく、深い層のモンスターなら経験値は多く手に入るがその分危険度も上がる。
大抵の冒険者は危険を冒さず安全な階層でモンスターを狩るためステイタスは上がらずランクアップに必要なステイタスに至るまで長い時間が掛かる。
無理をして死亡する事も多いらしい、仮にランクアップに必要なステイタスに至っても今度は偉業を成す事、これが大きな壁となっている。更に付け加えると偉業を成すという部分もよく分かっていないというのだからタチが悪い。
ヘスティアやヘファイストス曰く自分達神々でさえ恩恵の全てを把握できていないとのことだ。なので何がきっかけでランクアップ出来るかや発現するスキルや魔法など全ては恩恵を刻まれた眷属次第だそうだ。
以上の事が理由でランクアップを一度も出来ないまま冒険者人生を終える者も決して少なく無い。
「ふん、僕はこれからバイトの打ち上げがあるからね。今晩の夕食は要らないよ、だから二人仲良く親交を深めることだね!!」
思考に耽っているとヘスティアが出て行った、怒っているのかよく分からない言葉を並べて。
「えーっと、どうしようかジューダス?」
「・・・今朝会ったシルとやらが働いてる豊穣の女主人とやらに行ってみるか」
「あっ、そうだね。お弁当の入れ物も返さないとだし。」
そう言って僕らは準備を整えホームを出て豊穣の女主人へと向かった、僅かな嫌な予感を感じながら。
〈スキットオブオラトリア〉
「予感」
「クシュン!!」
「うわ!エイナ大丈夫?風邪?」
「う、ううん。なんか突然ね。」
「ふーん、ひょっとして誰かがエイナの噂をしてたりね。あのエルフの冒険者やドワーフ冒険者とか。」
「もう、ミィシャ変な事言ってないで仕事する」
「はーい。」
(なにか嫌な予感がするのよね、まさかまたベル君が?)
(いや、考えすぎね・・・考えすぎよね?)