青い春、死の境界   作:ニゴリエース

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 めんそーれ!


懐玉-⑥

 

 

 「すまない、私のミスだ」

 

 「そうか?ミスってほどのミスでもねえだろ」

 

 「気にするな、相手が一枚上手だっただけのことだ。合流が遅れた俺にも責任はある」

 

 黒井さん誘拐の一報を受け、俺は呪詛師から情報を引き出すのもそこそこに五条、夏油、そして星漿体の少女と合流した。黒井さんが誘拐されたと聞き、少女はかなりダメージを受けているようだ。夏油も責任を感じている様子。

 護衛対象でもないしそこまで気にするほどのことではないと思うのだが、夏油は真面目ちゃんだからな。

 

 「敵にとっての黒井さんの価値を見誤っていた」

 

 悔しそうに呟く夏油。まあ裏を突かれたのは間違いない。どうも今回の相手さんはなかなかに厄介なようだ。

 

 「相手は次、人質交換的な出方で来るだろう。天内と黒井さんのトレードとか、天内を殺さないと黒井さんを殺すとか」

 

 「まあ黒井さんをわざわざ殺すメリットがねえ以上そうするわな。まあなんにせよ、こちらとしては──」

 

 相手の思惑にわざわざ乗ってやる必要もない、見捨てるのが一番だ。そう言いかけて、慌てて口をつぐむ。流石に星漿体の少女の目の前でそれを言うほど俺はデリカシーがないわけじゃない。俺は空気の読める男なのだ。

……五条がジロリとコチラを見てくるが、無視することにする。少女にバレてないのでセーフ!

 

 「はあ……。んっん、でも、交渉の主導権は天内のいるこっち。取引の場さえ設けられれば、あとは俺たちでどうにでもなる」

 

 そういうと思ったぜ。ぶっちゃけ人質救出とか非効率極まりないのだが、まあこの程度なら問題ない、だろう。わざわざ護衛対象の精神を削る必要もない。

 

 「となると……彼女は高専に連れて行くのが良さそうかな?」

 

 「ああ、そのつもりだ。硝子あたりに影武者やらせりゃいいだろ」

 

 「ああ?五条お前硝子ちゃん危険に晒す気かゴラ。解体(バラ)すぞオラ」

 

 まさかお前がそんなことを言うとは、失望したぞ五条。人の心とかないんか?

 

 「ま、待て!取引には妾も行くぞ!まだお前らは信用できん!」

 

 っとここで声を上げたのは星漿体の少女。おいおいマジかよ、仕事増えちまうぞオイ。信頼しなくてもいいから信用くらいはしてくれませんかねえ……

 普通の護衛ならともかく、今回の護衛は天元様に彼女の自由にさせろって言われてるのがめんどくせえなあ……

 

 「アァン!?このガキこの後に及んでまだ──」

 

 「助けられたとしても!私が天元様と同化する前に黒井が帰って来なかったら……」

 

 キレる五条に言い返す少女。しかしその口調はどんどん弱々しくなっていき、一人称も“私“になっている。

 ……まあまだ中2のガキンチョだ。精神的に不安定で割り切れんこともあるだろう。しかし面倒な流れになってきたな……

 

 「……まだ、お別れも言ってないのに……」

 

 ……まったく、これだから。

 

 「おい五条!お前が決めろ。どうするにしても俺が決めると角が立つ」

 

 「ったく……そのうち拉致犯から連絡が来る。もしあっちの頭が予想より回って、天内を連れていくことで黒井さんの生存率が下がるようなら。やっぱお前は置いていく」

 

 「わかった。それでいい」

 

 「逆に言えば、途中でビビって帰りたくなってもシカトするからな。……覚悟しとけ」

 

 やっぱりこうなるか……。やあれやれ、また面倒なことになりそうだぞ?

 

 

 

▼▼▼

 

 

 

 「「めんそーれ!!」」

 

 

 前言撤回、全然余裕でした。

 

 

 「まさか盤星教信者、非術師にやられるとは……自分が情けない……」

 

 「不意打ちなら仕方ないですよ。私の責任でもある」

 

 いやー非術師の集まりが相手だったもんだからあっさり終わっちゃったもんで、俺の出番は一切なし!気を張ってたのがアホらしいくらい一瞬で救出できてしまった。

 ……ただ、かなりの手練れである黒井さんを一般人と何ら変わらない盤星教信者が誘拐できるのか?という疑念も残るが……まあ、無事救出できたのだからよしとしよう。

 

 とまあそんなこんなで、全員揃って沖縄の海にやってくることになった俺たち。五条と星漿体の少女は早速海ではしゃいでいる様子。なんで取引の場を沖縄にしたのか知らんが、ここは有効活用させていただこう。

 

 「……さて、と」

 

 「あれ、泳ぎに行かれるのです?」

 

 立ち上がった俺に黒井さんが声をかける。一方、夏油は俺が何をしようとしているのかを察したのか、呆れた顔で首を横に振っている。なんだてめー。

 

 「いいや?俺は泳ぎも好きですけど……今回は違います」

 

 「え?じゃあ何を……」

 

 そりゃあもう決まっている。真夏の沖縄のビーチにやってきたらするしかないっしょ!

 

 「ナンパ!」

 

 「ええ!?」

 

 「はあ……」

 

 

 

▼▼▼

 

 

 

 「そこの美人なお姉さんお二人!俺とちょっと遊ばない?」

 

 「えっと……って嘘!すごいイケメン!」

 

 「はいはい!遊ぶ!遊びまーす!」

 

 「さっすがノリがいい!お姉さんたち沖縄の人じゃないよね?どっから来たの?てかお名前は?」

 

 「マユです!」

 

 「カオリです。私たち東京から来ました!」

 

 「ウッソマジ?俺も東京からなんだよね、奇遇〜!」

 

 「えっそうなんですか?」

 

 「すごい偶然……」

 

 「そうだねえ……そうだ!この出会いを祝してってことで海の家でなんか食べない?奢るよ?」

 

 「本当ですか?」

 

 「優しい〜!」

 

 「もちろん!男に二言はないってね!」

 

 

 

▼▼▼

 

 

 

 「それで、どうなった?」

 

 「マユちゃんとカオリちゃんと仲良くなって、さらに連絡先もゲットしちゃいました〜!イェイ!」

 

 「そうかそうか、よかったね。……はあ」

 

 「つーか滞在一日延ばすんだろ?今晩護衛そっちに任せちゃっていい?」

 

 「構わないけど……何する気だい?…………まさか」

 

 「2人とワンナイトしてくる。夜は任せっきりになっちゃうし、昼間の護衛は任せて寝といてちょ♡」

 

 「…………累、君は一度硝子に殺されるべきだと思うよ」

 

 「なんでえ?あ〜でも硝子ちゃんになら殺されてもいいかもね〜、むしろウェルカム!」

 

 「……はあ」

 

 

 

 

 「……ああそうだ、このこと五条にもちゃんと伝えとけよ」

 

 「……ああ、分かった」




 オリ主はどうしようもないやつです。自分で書いときながらこいつに家入さんは勿体無いなと思い始めた今日この頃。

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