青い春、死の境界   作:ニゴリエース

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ちなみにこの小説は十割ライブ感で構成されています。


クソガキ、初任務に挑む

 

 

 「へえ、任務ですか。存外早いですね」

 

 「まあ、任務遂行に問題のない生徒を遊ばせておく余裕はないからな」

 

 入学してはや一週間、俺は早速呪術師としての任務に挑むことになった。ちなみに基本呪術師は4級スタートなのだが、俺は準2級スタートらしい。術式が直接戦闘向きじゃないのにこれは破格ですね間違いない。……初手1級だった五条にはバチクソ煽られたけど。ムカつくわほんとあいつ。

 

 別に気にしてないし?俺の真価は実戦じゃねえと出せねえだけだし?本気出したら五条とか瞬殺だし?

 

 そんで初任務なのだが、準2級術師である俺は単独での任務はまだ受けられない。腹立つ。なので引率の術師と一緒に任務をすることになる、のだが。その引率がこれまた曲者、というわけではないが、なんというかこの……

 

 「あー、今回お前の引率をすることになった1級術師の日下部篤也だ。まあ、よろしく」

 

 なんだこのやる気なさげなおっさん!?いや顔を見るにまだ若いのだろうが、なんというかその……醸し出す雰囲気がくたびれたおっさんとしか言いようがないのだ。呪術師はブラックなのだろうか。

 

 「準2級術師の両儀累です。本日はよろしくお願いします、日下部さん」

 

 とりあえず挨拶。特に目上の人に対する礼儀は大事なのだ。聞いてるか五条悟。

 

 「あーそうかしこまらなくていい、面倒だ。それで今回の任務だが……」

 

 「廃病院にて発生した2級呪霊複数および準1級呪霊一体の討伐、ですね」

 

 呪霊の性質上、負の感情が集まりがちな廃病院には呪霊が発生しやすい。俺としてはとっとと取り壊してしまえと言いたいのだが、まあ費用やらなんやらの事情があるのだろう。こちらからしてみればただめんどくさいだけの話だが。

 

 「よし、任務の理解は問題なさそうだな。じゃあ早速出発するが、準備は?」

 

 武器よし、体調よし、メガネよし。問題ないね。というかやる気なさげな割にちゃんとやるのなこのおっさん(若)。

 

 「はい、問題ありません。今すぐ出発できます」

 

 そうして俺とおっさんは補助監督の運転する車に乗って現場に向かった。送迎の車とかガキの頃、式さんのやつに一度だけ機会あって乗ったことくらいでしか知らねえからなかなかに新鮮だった。

 

 

 

▼ ▼ ▼

 

 

 

 到着。なんとまあこれまた……

 

 「いかにも『出る』って感じですね」

 

 「実際呪霊が出るからな……」

 

 まあコテコテの、肝試しとかB級ホラーなんかに使われそうな廃病院だった。というかこの任務自体「肝試しに向かった人が誰1人帰ってこなかった」って話から呪霊の発見に至ったらしいからな。いつの世もバカなやつはいるということか。

 

 「初任務って話だしもう一回確認するが、問題ないな?」

 

 そう言いつつおっさんは武器──刀を構える。刀か、いいセンスしてるな。

 

 「はい、問題ありません。いつでも大丈夫です」

 

 ちなみに俺の得物は刃渡り長めのナイフだ。家にあったやつを適当に持ってきたのだが、呪具ではない。まあ呪力操作程度ガキの頃からやってたから今更問題ないが。

 

 「よし、じゃあ侵入するぞ」

 

 そう言って歩き始めたおっさんの後を追い、俺は廃病院へと侵入した。

 

 

 

▼ ▼ ▼

 

 

 

 つい先日入学した学生の任務の引率、という話が日下部のもとに来た時、彼は嬉しさ半分、面倒半分といった心境だった。

 学生の引率は報酬が割高なのに対し任務は比較的簡単で、戦闘を学生に押し付けることもできるので、なかなかにうまい任務である。そのため、面倒くさがりの彼は普段ならば嬉々として受けるのだが、今回ばかりは少し躊躇することとなった。

 理由は、入学一週間にもかかわらず“くせもの揃い“と称されるようになった新入生のひとりが引率相手だったからである。

 

 六眼と無下限を持つ五条家当主、一般人あがりの呪霊操術使い、反転術式のアウトプットの使い手、そして両儀の秘蔵っ子。噂では能力だけでなく性格までとんでもないのだとか。

 

 (関わりたくねぇ〜!)

 

 日下部は厄介ごとを嫌う人間であった。そのためこの任務を受けるか否か非常に悩み……結局受けることにしたのだった。結果として、彼の選択は正解だったと言えるだろう。

 集合場所に日下部よりも早く到着していた眼鏡をかけた少年──両儀累は、話をする限りでは礼儀正しく、至って普通の学生といった印象だった。真っ当すぎて、これに呪術師が務まるのかと柄にもなく心配するほどであった。彼の話を聞くに、他の3人はとんでもない不良であるという話だったから、日下部は運が良かったのだろう。

 

 とまれ、日下部は大したストレスなく、うまい報酬にありつけると喜んだのだった。もちろん任務が無事成功すれば、という前提がつくが、まあ大した難度の任務ではなく、学生の身に万が一さえなければいいというのだから、成功したも同然だろう。無論、油断などかけらもしていないが。

 

 そんなことを考えていた日下部であったが、その考えは半分正解で半分間違いであった。性格がまともに見えても、両儀もまた“くせもの“であるということを日下部が知るのは、もう少し後。

 

 

 

 

 

 「◾️◾️◾️◾️◾️ーーー!!」

 

 廃病院に侵入した日下部と両儀は、いきなり芋虫と幽霊が混ざったような姿の呪霊、おそらく2級と遭遇した。

 

 「そらお出ましだ。いけるか?」

 

 「はい、問題ありません。いけます」

 

 日下部に言われ、両儀は()()()()()()()()ナイフを構える。そしてふう、と息を吐き──突貫。呪霊もそれに反応してその長い腕を伸ばすも、遅い。

 

 「シッ!」

 

 伸ばされた腕を掻い潜りつつ、その手のナイフで輪切りにすると、そのままの勢いで呪霊の顔面に突き立て、掻っ捌く。

 悲鳴を上げながら残った腕を振り回す呪霊だが、両儀は一瞬で背後に回り込む。そして──

 

 「一丁あがり、ってな」

 

 ナイフをきらめかせ、きれいに三枚おろしにしてしまった。

 

 一瞬の早業。一部始終を見ていた日下部は、感心を通り越して軽く呆れてしまっていた。

 これがついこの間入学したばかりの学生の動きなのか。一連の流れに一切のもたつきはなく、呪力操作も澱みなく、流麗といって差し支えない。最後のナイフ捌きなど日下部の目でも追いきれなかった。

 

 (自信無くすぜホント……)

 

 これが“両儀の秘蔵っ子“の実力、評判に違いなし。日下部は後輩の優秀さに舌を巻きつつ、自分が楽をできる未来を想像して少し気分を良くしたのだった。

 

 

 

▼ ▼ ▼

 

 

 

 最初に遭遇した呪霊を両儀が三枚おろしにした後も、任務は順調に進んでいった。

 一体でいる呪霊など両儀のカモであったし、二体や三体でいる呪霊ですらも、日下部が手を出すより先に両儀が突っ込んでいき、後に残るのは三枚おろしにされた呪霊。

 

 (もしかしてこれは俺が何もしなくていいやつなのでは?)

 

 そんなことを考えていた日下部だったが、事件は起こった。

 

 ついに辿り着いた最奥部、おそらく準1級呪霊が棲みついているであろう部屋の扉を開けると、そこは酷い有様であった。

 道中出てきた2級呪霊がたくさん……十体以上。そしてそいつらとは毛色の違う猿のような呪霊が──二体。

 

 (準1級が二体!?しかもこの呪力量、1級上位クラスはあるじゃねえか!報告と違う!)

 

 内心で毒づく日下部。しかし自分ならなんとかできる範疇。そう考え、両儀に下がるように言おうとした、のだが。

 

 「おい両儀!一旦退け!ここは俺が「日下部さん」

 

 「刀、貸してくれません?」

 

 ()()()()()()()()そう言う両儀の得体の知れぬ雰囲気に、日下部は思わず言葉を飲み込む。

 本来、引率の立場としては両儀を退かせ、自分が対処すべき場面。しかし、両儀の雰囲気に半ば呑まれてしまった日下部は、一瞬迷ったのち自分の刀を渡す。

 

 「……やばいと思ったらすぐ退けよ。最悪刀は捨てていい」

 

 そう忠告する日下部に、両儀はニヤリと嗤う。その表情を見て、日下部はこいつも立派な“くせもの“であることを遅まきながら理解した。

 

 「問題ないです……慣らし運転にはちょうどいい」

 

 ゆらりと刀を構える両儀。その両目が、奇麗に青く輝いた。

 

 




 日下部さんの活躍は犠牲になったのだ……オリ主の活躍、その犠牲にな……

 オリ主の見た目は眼鏡かけた男体化式にちょっと志貴を混ぜた感じを想像してます。

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