青い春、死の境界 作:ニゴリエース
「もーういーくつねーるーと?」
「明日が正月だよ」
月日の流れは早いもので、いつの間にやら大晦日である。俺は例の如く硝子ちゃんの部屋にお邪魔して、こたつで硝子ちゃんと共にみかんを食べていた。女の子の部屋にお邪魔するのが恒例になってしまうのはどうなんだと思わないこともないが、硝子ちゃんは暇な時は基本部屋から出てこないので仕方ないのである。
「ちなみに大晦日だけど掃除とか……」
「してなーい」
知ってた。硝子ちゃんの部屋は極端に汚いと言うほどでもないけど、それなりに散らかっている。……まあ俺がやるのもどうなんだという話だし、放っておこう。俺しーらないっと。
「……というか硝子ちゃんガキ使派なんだ?」
「紅白は録画して気になったとこだけ見る」
おう、みーとぅー。やっぱ生で見るならガキ使だよなー、うん。そう思う、うん。
「……眠いの?」
「今日ほぼ丸一日任務だったから……」
まーじで疲れた。めちゃくちゃ眠いわ。大晦日に急遽任務入るとか呪術師マジでブラックだろクソが。
「あーだめだこれ。年越しの瞬間まで起きとけねえわこれ」
「もう寝ちゃえば?」
そうしようか。起きたまま年越しすることにめちゃくちゃこだわるような歳でもねえしな。つーかマジ無理、眠い。
「じゃあおやすみ……」
「……ここで寝れば?」
そうして自分の部屋に戻ろうとしたところ、硝子ちゃんに呼び止められた。見れば硝子ちゃんの指はベッドを指し示している。
「……それ硝子ちゃんのベッドじゃねえの?」
「そうだけど、別にいいでしょ」
うーんいいのか?なんかダメな気がするんだが。だめだ頭が回らん。
「ダメじゃね?」
「私が良いっつったらいいの」
そうか?そうだな。そうかもな。なんかもうそれでいいや。
「あーもうだめだ、おやすみ」
「……おやすみ」
ついに限界を超えてベッドに倒れ込んだ俺。ベッドからはなんだかいい匂いが……しねえなタバコ臭いわこれ。
そんな思考を最後に、俺の意識は闇に落ちた。
▼ ▼ ▼
「ホントに寝たし……」
家入は自分のベッドですやすやと眠る両儀を見て、ポツリとつぶやいた。
両儀は色々と心を乱す言動をとる男だが、一定のラインは越えようとしない男であったので、家入としては相当にやきもきさせられたものだ。そんな両儀が女子のベッドで寝てしまっているのだから、よっぽどの疲れであったのだろう。早朝からずっと任務で、帰還したのがつい1時間前だったのだからさもありなん、といったところか。熟睡している両儀は普段では考えられないような無防備な寝顔を晒していた。
「こうしてみると結構可愛い顔してるな……」
思わず溢れてしまった言葉になんだか気恥ずかしくなってしまい、家入は腕に顔を埋める。
両儀に恋をしているのか、と聞かれると、はい、とは素直に頷けない。家入が他者に向ける感情の中で一番大きな感情を向けていることを自覚してはいるものの、擦れたような面をして実は恋愛経験が皆無である家入にはそれが恋愛感情であるかどうかは判別がつかない
しかし、勢いのまま自分のベッドに寝かせてしまったのには若干後悔し始めた家入。
(多分タバコ臭いだろうな……嫌がられないかな……)
鼻の効く両儀がタバコの匂いを気にせずにしょっちゅう家入の部屋に来ていることからそんな反応をするわけないのは冷静に考えればわかるはずなのだが、あいにくと今の家入は冷静ではない。もし万が一五条や夏油に見られでもしたら一生いじり倒されるであろう醜態。五条も夏油も実家に帰っていたのは幸いであった。
「……あ、日付変わった」
そうこうしているうちに、2005年が終わり2006年が始まる。
(累が起きたら、初詣に行こうかな、一緒に。着物持ってるし)
そんなことを考えつつ、相変わらず寝こけている累の元に寄り、顔を近づける。
「……明けましておめでとう、累。今年もよろしくお願いね」
優しく囁き、微笑む家入の顔は、まさしく恋する少女の顔であった。
「うん、明けましておめでとう。今年もよろしくね硝子ちゃん」
「……起きてたの?」
「硝子ちゃんが近づいてきたあたりで起きたけど」
「……」
「ちょっ痛い痛い、なんで殴るの!?」
「うるさい、累のくせに生意気」
「めっちゃ理不尽!?」
(納得のいく恋愛描写が)できませえええええん!!家入さんってこんなんだっけ……
もうやめましょう……所詮恋愛経験0の作者が恋愛描写をするなんて土台無理な話だったんだ……代わりに戦闘描写を頑張りますから……
めっちゃ短いですが許して……許して……。……これでまだバレンタインもあるってマジ?
感想評価誤字報告よろしくお願いします。