【WR】僕のヒーローアカデミアRTA 雄英HERO%【五条チャート】【有料DLC:呪術廻戦パックvol.01使用】   作:いる科

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※れずちゃん、やりたい放題につき注意


8裏 唸れ体育祭、推せ五条玲珠

「選手宣誓!」

 

 麗しく、ハリのある声が会場全体に響き渡る。

 雄英体育祭――。

 一年の主審を務めるのは18禁ヒーロー、ミッドナイトだ。

 

「18禁なのに高校にいてもいいものか……」

 

「いい」

 

「静かにしなさい!! 生徒代表1―A 五条玲珠! 選手代表1―A 爆豪勝己!」

 

「二人!?」

 

「どういう事だ……?」

 

 事情を知らないA組以外の生徒がざわつき始める。

 

「……っていうか、かっちゃんなの?」

 

「入試二位通過……あぁそうか、五条が参加しないから繰り上げか」

 

「うわ〜〜そういうのかっちゃん嫌いそう……」

 

(……あの『姫君』が参加しないってどういう事よ)

 

 普通科の一般女子生徒は、A組の会話にただただ困惑した。

 

 ――白夢の姫君。

 

 誰が呼び始めたかは今となっては分からないが、雄英全体で広まりつつある五条玲珠の二つ名だ。

 

 曰く。

 彼女はどこからともなく食堂にいきなり現れては、大量の料理を食す。

 食していたと思ったら、もういない。

 実際は【瞬間移動】によるものなのだが……それを知る方法は彼らにはない。

 

 彼らが知るのは彼女が、実在するヒーロー科の生徒――五条玲珠であるという事のみ。

 

 ただただ、この世のものとは思えぬほどの美貌と所作――運が良ければ声に脳を焼かれ。

 幻のように消え去ってしまう彼女にかなわぬ恋をしては、その顛末を語るのだ。

 

 ハンバーグよりもうどんを先に完食していた、だとか。

 ちょっとむせてて可愛かった、だとか。

 

 ――本当の本当に運が良い者は、食堂でお昼寝をする彼女を見たという。

 とはいえ彼は運をそこで使い切ったのか、周囲の生徒の嫉妬を買いボコボコにされてしまったのだが。

 

 さて。

 そんな五条玲珠が、体育祭に参加しないとはどういう事なのか――。

 熱烈なファンを含め、A組以外の彼女を知る者全てが狼狽した。

 

(ま、そういう反応になるよね……ウチらも心底驚いたし)

 

「ちょっと、静かにしなさーい!! あぁもう、収拾つかないじゃない!」

 

「……任せてください、睡先生。あー……あー……マイク入ってるね。よし――――全員黙れ。口を閉じてボクを見ろ」

 

 天使の唄声のごとく澄んだ声によって、彼女の"命令”は届けられた。

 そして、そこにいた者全てが――静かになった。

 

 ……もちろん。

 彼女の命令に、はいそうします! と従ったわけではない。

 

(うん? え????? は?????????)

 

(え? 今の姫君? え???)

 

(…………夢?????)

 

 ただ、天使のような外見と声から悪魔のような一言が飛び出したギャップに、脳が処理落ちしたのだ。

 

「えー……ボクは今、生徒代表として呼ばれたわけですが――不思議も不思議、選手代表じゃないんですね。何故かというと、ボクはこの体育祭に参加しないからです」

 

 ……一体、何故――。

 全員が固唾をのむ。

 一体、何を理由に――――?

 

「理由はただ一つ。シンプルに、お前らが弱すぎるからです」

 

 ……はい?

 

「ボクが参加すると絶対一位になっちゃうんだよね〜。天地がひっくり返ってもそれ以外ありえないわけ。そんなの面白くないじゃん? エンタメとして成立しないじゃん? だから辞退させていただきました! 感謝しろよ三下共」

 

 ……。

 

「ま、一位取ってからなら特別に相手したげてもいいけどね。ご褒美ってやつ?」

 

 ……。

 

 ……いつまでも情報が、完結しない。

 

「さて。体育祭に参加しない代わりに、ボクはオールマイトとエキシビションマッチをやります。ここに来てる人は聞いてるでしょ? 生徒がオールマイトと戦うらしいぞ! ……って。それがボクです。今明かされた驚愕の真実〜!! こほん。だから、この宣誓は――オールマイトへの宣戦布告です」

 

 ……。

 

「――世代交代の時間だ、No.1。身の程を知れ――勝つのはボクだ」

 

 ……意味がわからない発言の数々に、今度こそ全ての生徒の脳が凍結した。

 ここまで言われれば普通はブーイングをする者が現れるはずだというのに。

 

 その場にいた生徒の全員が、まるで時を止められたかのように動かない。

 

 いや、生徒だけではない。

 

 一部の、一年生徒vsオールマイトのエキシビションマッチが行われると知っていた観客。

 その生徒が五条であると知っていた教師、1―Aの生徒。

 そのおよそ全員が――。

 

 長い時を超えてようやく戻ってきた脳を働かせ、心の中でこう叫んだ。

 

(そうはならんやろ!!!!!)

 

 ――――と。

 

(や、や、やりやがった玲珠のやつ……!! 絶対やると思ったけど!! やるとは思ってたけど!!!)

 

 最早恒例になりつつある五条の暴挙。

 驚きつつもその姿にどこか安心感すら覚えていたのは、耳郎響香。

 

 

 ……その一方で。

 

(いやいやいや五条さんやりすぎ!! 絶対やりすぎだって……っ!! オールマイトに身の程を知れなんて言う人、初めて見た……っ!! でも、そ、そうか……。これが常にトップを狙い続けるって事なんだ……!! そうですよね、オールマイト……!!)

 

 緑谷出久は、焦燥の果てに己の目指すべき道を見た。

 絶対何かが違うが、それを指摘してやれる人物はここにはいない。

 彼は憧れる人間を――見本にする人間を間違えた。

 

 

 ではオールマイトは? ――といえば。

 

(HAHAHAHA!! なんて素晴らしいジョーク――と言いきれないのが怖いところだが!! 受けて立つぞ、五条少女!!)

 

 爆笑しながらこれを見ていた。吐血もした。

 

 

(クソが……露骨に下に見やがって……!! 何も嘘を言ってねェのが逆に腹立つ……!!)

 

 爆豪勝己は、決意した。

 必ずや一位を取り、その上で五条に挑み――一泡吹かせてやる、と。

 

 

(なんだ、あの少女は……。オールマイトを倒すだと? このエンデヴァーでさえ敵わぬ偉業を、よくも簡単に言葉にできたものだ……単なる身の程知らずか? それとも――)

 

 新たなる革命の風の予感に――エンデヴァーの炎が揺れる。

 勿論、五条玲珠という名前自体は届いている。

 果たして噂通りの化け物か、それとも――。

 見た目だけのハリボテか。

 

 

「ふー……とまぁ、それだけです。皆体育祭頑張ってねっ、ボク応援してるよっ!!」

 

 皆の吹き荒れる心境を知ってか知らずか、天使の如き至高の笑顔。

 その場の全員が、彼女の背景に柔らかく咲き誇る花畑を幻視した。

 

 ああ、そうだ。さっきまでのは何かの間違いだ。

 五条玲珠――白夢の姫君が、目の前で"自分に笑いかけてくれている女神”が、あんなことを言うはずがない。

 いやむしろ、言ったとしてもいい。

 だってきっとそれは、癌にだってよく効く。

 ……要するに。

 

 罠でもいい――罠でもいいんだッ!!

 

 ……と。彼らは己が欲望に身を任せた。

 

(ダメだ……持っていかれる……ッ!!)

 

(あ、好き……無理、推す……)

 

「天使……」

 

「結婚したい……」

 

(うーわ、普通科とサポート科のやつら皆頭やられちゃってるよ……流石ウチの玲珠)

 

 出した被害もなんのその。

 言いたいことを言うだけ言って、五条は壇上から降りてきた。

 

「はい勝己、君の番。ごめんねー、インパクト重視なもんで。……言うことなくなっちゃったかな?」

 

「……ハッ! んなもん、はなっから一つしかねぇよ!」

 

「――へぇ?」

 

 マイクがONになっている事を確認し――爆豪は、端的に自らの決意を告げる。

 

「せんせー。俺が一位になる」

 

(((絶対やると思ったァァァ!!!!)))

 

 刹那、静まりかえっていた会場にブーイングが吹き荒れた。

 

「調子乗んなよA組オラァア!!! どんだけ自信過剰だよ!!?」

 

(自信……ちがう。かっちゃんは自分を追い込んでるんだ。……五条さんの元に辿り着くまで、走り続ける気なんだ)

 

(玲珠の後だと控えめに聞こえるのなんでだろ)

 

(……意外とやるじゃん、勝己)

 

 自分の作り上げた空気をいとも容易く変えた爆豪に、心の中で賛辞を送りつつ――。

 五条玲珠は、声を張り上げる。

 

「1―A組ィ!!! ――――見てるからね」

 

「……うん。見ててよ、玲珠」

 

「関係ねェ」

 

「……了解。五条さん――そして、オールマイト」

 

「……! 全力を尽くしますわ!!」

 

 

――。

 

――。

 

 

(……うん、いいね。これなら良いものが見れそうだ)

 

 1―A全員の活きの良い返事に満足した五条は、その場を後にした。

 

「さーてそれじゃあ早速第一種目行きましょう!」

 

 

 かくして、戦いの火蓋は切られた。

 第一種目――障害物競走、開始。

 

 スタートゲートのあまりの狭さに、生徒たちはぎゅうぎゅう詰めになってしまっている。

 つまりスタート地点が既に――最初のふるい。

 

 それを裏づけるかのようにして、プレゼントマイクのうるさい声が会場全体に響き渡る。

 

「さーて実況してくぜ!! 解説、Are you Ready!? イレイザーヘッド!! ……と、クレイジーNo.1プリンセス五条玲珠!!」

 

「……なんでお前もここにいる、五条」

 

「解説ボクとしょ……イレイザーヘッドの二人だよ? 言わなかったっけ?」

 

「全く聞いてねぇ……」

 

「言ってねえからな!! YEAH!!」

 

 相澤は二人の自由人に挟まれた現状を憂い――。

 眉間を強く抑えた。

 

(……つかプリンセスって何? ……まぁ、可愛いからいっか)

 

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