【WR】僕のヒーローアカデミアRTA 雄英HERO%【五条チャート】【有料DLC:呪術廻戦パックvol.01使用】   作:いる科

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最近いつにも増して原稿のガバが多いので心機一転初投稿です。
おにいさんゆるして……。


10―裏3 デクvsかっちゃん2

 あいつは、走っているのにじわじわと追いついてくる。

 むしろどこか、もうずっと先にいるような気さえする。

 

 いつの間にか、あいつの背中を――。

 

 ……思えば、ずっとそうだった。

 何か自分に足りないものを持っているあいつが、気持ち悪い。

 そう思って、ずっと遠ざけてきたのに、どれだけ殴ってもどれだけ叩いても――アイツは後ろに張りついて来て。

 

 同じ人に憧れて、同じ道で走っているはずなのに。

 あいつは。

 

 まるで、全てを見下ろし俯瞰しているようで。

 

 気持ち悪い。

 

(なんなんだ……ッ!! 何なんだクソが……ッ!!)

 

 苛立ちの原因は、あいつだけではない。

 

 ――五条玲珠。

 五条玲珠が何かする度に――否応なく、自分が特別な主人公などではないのだと気付かされる。

 

 緑谷出久、轟焦凍、耳郎響香の覚醒。

 何より自分自身も。

 

 ――全員が、何かしら強い思いを五条玲珠に対して抱いている。

 

 あの女には、どれだけ走っても追いつけない。

 いつの間にか幼き日に憧れた頂点と同じ――いや、それよりも高い場所にいて。

 

 だからなんだ?

 だったら、もっと爆発的に自分が輝けばいい。

 心のどこかに――もう仕方ない、と諦めている自分がいるのが、爆豪にとって最も腹立たしい事実だった。

 

 とてもじゃないが――認められない。

 

 個性【無限】。確かにとんでもない個性だ。

 生まれつき、最高のヒーローになる事が決まっているかのような最強の個性だ。

 あのクソを煮詰めたような記事を見る限り――どうやら、本当にそうらしいが。

 

 だが、そんな事はどうでもいい。

 自分より強い奴がいるだなんて、当然のことだ。

 そもそも――。

 

 No.1に憧れて。

 それを超えるために、ここへ来たのだから。

 

「右……フェイント――ここで【瞬間移動】――【蒼】。……違ぇ。最適解じゃねぇ……アイツ……わざと隙作ってやがる……オールマイトも気づいた上でノってんのか」

 

 頭をフル回転させて、奴の思考を動きから逆算する。

 たどり着いた答えは――釣り。

 あれは……わざとだ。

 

 そしてそれは、概ね正解だった。

 

 ――五条玲珠は、化け物ではない。

 戦闘の組み立てや考え方、その精神性も――人の延長線上にあるものだ。

 

 それなら、諦めるわけにはいかない。

 

(何もかもが遠いわけじゃねえ。……一つ一つだ。一つ一つ追いついて――必ず追い越してやる……追い越して……)

 

 刹那、雑念が闘志に水を差す。

 だって、このやり方は――あいつと、まるで同じではないか。

 

 

「勝つよ、かっちゃん……今度こそ……ッ!!」

 

「なぁオイ、デク――テメェ、オールマイトとどんな関係だ?」

 

「――え?」

 

「半分野郎も言ってただろうが。……白髪女の依怙贔屓も受けてるよな、お前」

 

「……えっと――」

 

「――言えねぇならそれでいい。オールマイトに迷惑かけてぇわけじゃねェ……ただ、確かめさせろ。……お前の何がそうさせるのか――俺は何処で間違えたのか」

 

「まち……そんな事……」

 

「あンだよ!!! あるはずなんだ……ッ!! テメェばっかりオールマイトに認められて――俺が見向きもされねェ理由ッ!! デク――ガチで来いや」

 

 それを確かめて、先へ行く。

 これまでの全てを――爆豪勝己の道を、肯定するためにも。

 

 

 

 ⬛︎ ⬛︎ ⬛︎

 

「ケロッ……どっちが勝つと思う?」

 

 あまりに直球で、かつ答えづらい質問を投げかけたのは、蛙吹梅雨だった。

 思ったことをなんでも言う、と自負するだけはある。

 

 そして。

 その隣に座る耳郎響香は、うーんと逡巡した後に、こう答えた。

 

「爆豪……かな」

 

「何故かしら?」

 

「自分が全力出して何も出来ずにやられた……やっぱアイツすげー。ってのもあるけど。――緑谷、なんか爆豪みたいな動きするようになったじゃん? ……オリジナルに勝てるのかな」

 

「あー、アレな。アイツいきなり凄くなったよな」

 

「努力の結晶――漢だぜ!! でもそれ言うならさ、耳郎も凄かったよな!!」

 

「……別に。フツーだし」

 

「……私はデクくん応援したいなあ……」

 

「……もしかして麗日って――」

 

 そこまで言って、耳郎は言葉を飲み込んだ。

 

「ん?」

 

「――ごめ。なんでもない」

 

 ――皆の前で言うのは、流石に公開処刑というものだろう。

 もし自分だったら恥ずかしさで五回は死んでしまう。

 

(いや、でも……)

 

 もし緑谷と麗日がくっつくのなら、耳郎の悩みのタネが一つ減ることになる。

 緑谷と玲珠。

 二人の関係性がそういうものでない事は見ていれば分かるものの――。

 

 やはり、ああも仲良くしているのを見ると嫉妬心は湧いてくる。

 

(――そんな理由で人の恋応援するとか、不純ってレベルじゃないなあ、ウチ……)

 

 どんどん思考が良くない方向に行っている気がする。

 

(……仕方ないじゃん……。好きなんだもん)

 

 こんなに頑張って、態度に出して伝えているのに――。

 いつまで経っても察してくれない、あの子が悪いと思う。

 

 

 

 ⬛︎ ⬛︎ ⬛︎

 

 緑谷と爆豪――二人の決勝戦は、切島vs鉄哲に並ぶほどのシンプルな。

 お互いの機動力を立体的に活かした、三次元での殴り合いとなった。

 

(右!? いやちがう、それは前に破ったはず――修正も早かった!! それならこれはブラフ――)

 

「考えるよなァテメェは!! その一瞬が命取りだクソがッ!!」

 

「がっ……!!」

 

 強打をモロにくらいつつも、緑谷は距離をはかり直す。

 しかし――爆豪はそれを予測していた。

 

「考えさせねェよ――仕切り直しなんざクソ喰らえだァッ!!!」

 

「マジか……ッ!!」

 

 その後の攻撃の応酬も――パッと見では互角に見えたが、最後には必ず爆豪の攻撃がクリーンヒットしている。

 

(動きを予測して行動を決める僕のやり方じゃ間に合わない……ッ!! 見てから動かれる――これじゃ後出しジャンケンをしてるのと変わらない……ッ!! っていうか――)

 

 緑谷出久は、違和感の正体に気づく。

 

(前より早い……ッ!! この短期間に――強く、なってる……!!)

 

 どれだけ思考を巡らせても、追いつけない。

 緑谷が一手繰り出している間に――爆豪は二手。

 

(この、ままじゃ――ッ)

 

 そして、刹那。

 再び――覚醒。

 

「!?」

 

 本来なら受ける他に選択肢のなかった爆豪の一撃を――間一髪で、受け流した。

 そしてそのまま、流れるようにカウンターを繰り出す。

 

「スマッシュ!!」

 

「ぐァっ……!?」

 

(――ま、ぐれか……? いや、違ェ……!! あいつまた、何かしやがった――ッ!!)

 

 ――【危機感知】。

 ただし……制御不能。

 

(な――アイツ、ギアいきなり上がって――ッ)

 

(いた、い――ッ!! あたま、が、割れ、ぞうだ……ッ!!)

 

 緑谷は、OFAの示すその感覚に従って――ただ、脳内で弾き出された最適の動きをトレースし続ける。

 

「あ゛あ゛ああああッ!! ズマァ゛ッシュ゛!!!」

 

「がっ……!? ふざ、け――ぐああああっ!!?」

 

 爆風で衝撃を和らげた爆豪は、場外ギリギリの所で膝を突いた。

 

「はァ……ッ!! はァ……ッ!! まだ、まだッ、これから――。…………は?」

 

 そして――緑谷の脳はキャパシティを超え。

 その意識を飛ばした。

 

「緑谷くん失神!! よって――爆豪くんの勝ち!!」

 

「ふざ、け――。お、い。お゛い゛ッ!! 何やってんだ……勝手にぶっ倒れてんじゃねえよ゛……出久……ッ!! こんな、こんな……勝ち方――!! 意味、ねェだろォが――ッ!!」

 

 気絶した緑谷に、泣きながら掴みかかった爆豪は――ミッドナイトによって、眠りへと誘われた。

 

 雄英体育祭、優勝。

 爆豪勝己にとって――この上ない、屈辱の上での勝利だった。

 

 

 

 ⬛︎ ⬛︎ ⬛︎

 

 雄英体育祭、終了後。

 生徒たちは各々の疲れを癒すため、そそくさと帰宅していく。

 

 それは雄英体育祭優勝者、準優勝者である二人も――同じことだった。

 

「……待って。待って――かっちゃん!!」

 

「――――ンだよ……」

 

「オールマイトと……どんな関係、って」

 

「……あぁ。話せねェんだろ……」

 

「……ううん。話すよ――オールマイトに、許可も貰ったんだ。……君になら、大丈夫だって」

 

「……そうかよ」

 

 緑谷は――どうしても、爆豪だけには話したいと思った。

 

 母にも伝えていないオールマイトとの秘密。

 世間には絶対にバレてはいけない、平和の象徴のルーツ。

 

 それでも。爆豪には――。

 それでも。爆豪だけには、伝えなければ――。

 

 オールマイトは緑谷の必死の願いと――爆豪の精神状態。

 そして五条玲珠の助言を受けて、特別に許可を出した。

 

 息を、吸って――吐く。

 

「僕の力は――オールマイトから、授かったものなんだ」

 

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