【WR】僕のヒーローアカデミアRTA 雄英HERO%【五条チャート】【有料DLC:呪術廻戦パックvol.01使用】   作:いる科

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3裏 五条玲珠は異常である

 五条 玲珠。

 彼女の容姿とその振る舞いを見た各々の感想は――最終的には『綺麗な爆豪』『見た目詐欺』であった。

 

 逆に、玲珠のことをよく知る耳郎響香はといえば――。

 

(爆豪って奴、なんかちょっと玲珠と似てるなぁ。性格が終わってるとことか……。ま、玲珠は可愛いからその辺が全然違うけど……)

 

 そう。大好きがあまりに身内贔屓してしまう耳郎の心境はさておいて、この二人は疑う余地もなく似ているのである。

 積み上げてきたドス黒い強さとプライド、他者を慮ることのない態度。

 様々な観点から見れば爆豪の方が幼く見えるものの、その本質は限りなく似通っている。

 

 しかし最初は、玲珠に抱く各々の感想は憧れや純粋な好意が多数を占めていた。

 言わずもがな、見た目のせいである。

 

「ねー、あの子滅茶苦茶綺麗じゃない?」

 

「ケロ……確か首席の子よ。凄いわ」

 

(あのオーラ……!! きっと由緒正しきご令嬢ですわ。浮世に慣れない私でも仲良くしていただけるかも……)

 

「うわうわうわ、どうすっかな……声かけよっかな」

 

「巨乳エッロ!! 腰つきヤバ!! 尻もすげェ……っ!! う、うへへ、ヒーロー科最高だぜ……っ!!」

 

「……漆黒に浮かぶ白銀の蒼華……フッ」

 

 玲珠は噂話に花を咲かせる皆の方を向いて、ひらひらと手のひらを振って笑顔を見せた。峰田は鼻血を出した。

 

「オイラ……ここに来れて良かった……」

 

「おい待て数人灰になってんだけど!? 収拾つかねぇって!!」

 

(うわー、あいつ猫被ってるよ……でも可愛い……。あーあ……あの笑顔、ウチだけのものになんないかな……。なんて、ロックじゃないよね……)

 

 しかしまぁ、ボロとは出るもので。

 

「よ! 俺切島 鋭児郎。聞いたぜ五条、首席なんだってな! すげぇな!」

 

「ん? まぁボク最強だしね」

 

「お……おう、よろしくな!」

 

「ん、よろしく。鋭児郎」

 

 鈴の音のような可愛らしい声で紡がれた言葉は――傲慢そのもの。

 

(あーあ……やらかしたな……玲珠)

 

 刹那、元々本性を知っていた耳郎以外の生徒の心の声が揃った。

 

(((思ってたんとちがーうっ!!!)))

 

 清楚系、あるいはゆるふわ系の性格を想像していた各々のイメージが、音を立てて崩れていく。

 

 そして――数分が経って。

 爆豪と飯田――緑谷曰く怖い人2TOP――の言い争いが始まった。

 

「机に足をかけるな! 雄英の先輩方や机の製作者方に申し訳ないと思わないか!?」

 

「思わねーよ! てめーどこ中だ端役が!」

 

「ボ……俺は私立聡明中学出身、飯田天哉だ」

 

「聡明〜〜!? くそエリートじゃねえか、ブっ殺し甲斐がありそだな」

 

「酷いな君は!?」

 

 そこに、玲珠がつまらなそうに呟いたのである。

 

「勝己はぶっ殺し甲斐なかったけどね……」

 

「ちょ、玲珠やめなって……」

 

 耳郎の努力も虚しく、玲珠は爆豪の足を無理やり掴んだ。

 

「やだよ、やめなーい。いくら響香のためでもここはやらせてもらうよ。……ホラ、弱いんだからせめていい子ちゃんでいな、クソガキ」

 

 勿論抵抗する爆豪だったが――彼の足は、まるで何かに吸い込まれるようにして地に着いた。

 

「んな……ッ!? クソッ!!」

 

 だが――爆豪は、キレながらもクレバーだった。

 

(……今の素の力か……? いや……絶対違ェ。そういう感覚じゃねェ……。触れられた感覚が曖昧すぎた。なんか気持ち悪ィカラクリがありやがるな、このクソ白髪――【重力操作】とかそんな類かァ……? いや、もっと――)

 

 個性【無限】……その一端を、類まれな洞察力によって見抜いたのである。

 だがそれがなんだというのか。玲珠の煽りは留まることを知らない。

 

「しっかしまあ、あんな恥ずかしー負け方しといてよく吠えられるよねー、羞恥心とかないわけ〜? 自分が弱い癖して人を端役だのモブだの――。うーん、れーじゅちゃん、棚上げはよくないと思うな〜っ♡」

 

 えへへ、と、花も恥じらう満面の笑顔を見せながら、玲珠は悪辣の限りを尽くした。

 その道で――そんな道が果たしてあるのかどうかはさておいて――食っていけそうなレベルであった。

 

「て、めェ……言わせておけば……ッ!! あん時の俺と同じだと思ってンじゃねェぞクソ白髪……ッ!!」

 

 爆豪の理性の糸がプツンと切れるまさにその刹那。

 飯田が、手をブンブンと振る個性的なジェスチャーをかましながら口を開く。

 

「ま、待ちたまえ五条くん! 助太刀については感謝せねばならないし、爆豪くんの言動は確かにヒーローらしからぬものだが……! 君のその言い方も、あまりよろしくないと思うぞ! 勿論君が強く気高いヒーローの資質を持っていることは入試の結果から明らかな事実だが――。であればこそ、規律と道徳を重んじ、人を導く存在であるべきだ、君は!」

 

 飯田の発言は反論の余地のないもっともらしいものだったが……しかし玲珠には届かなかった。

 

「ん? 天哉〜、それって正論? ボク正論嫌いなんだよね〜……しかも話なっがいし。あー吐きそ、これもう傷害事件でしょ……謝ってくんない?」

 

「な……っ!? な、なな……な……っ!?」

 

(((性格わっっる!!!?)))

 

 うぅ……、と口を押さえて目を潤ませる玲珠は――見た目だけなら、完璧に病弱ヒロインのそれだった。

 完璧な見た目と声から繰り出される、悪辣すぎる発言の数々が――その場にいた者の脳をバグらせていく。

 

(え、幻聴? 幻聴だよな……?)

 

(ケロ……怖い子だわ、五条ちゃん)

 

(オイラも足机に乗せたらあの白い手で触ってもらえんのかな……やろうかな……いや身長足りねぇわ……)

 

「んで、俺は無視かよクソ白髪テメェ……ッ!!」

 

「あはー、返事して欲しかったの? 寂しんぼかなぁ?? よしよしいい子でちゅね〜」

 

 正に、一触即発の雰囲気。

 

「あ! そのモサモサ頭は!! 地味目の!!」

 

 そこに乱入する緑谷と麗日の声がなければ。

 飯田は、数分は『な』だけしか言えぬ機械と化していた事だろう。

 爆豪は、持ち得る実力の限りを尽くして玲珠に襲いかかっていたであろう。

 

 こうして五条玲珠に対する皆の第一印象――ゆるふわあるいは清楚系お姫様といった幻想は、完全に崩れ去り。

 緑谷と麗日は、図らずも救世主として崇められることとなった。

 

 

 

 そして――相澤先生による個性把握テストが始まる。

 

「五条、中学の時ソフトボール投げ何mだった」

 

「70くらい……? そんなに覚えてないけど」

 

(((70!!? あの体で!!?)))

 

 A組の生徒たちが驚くのも無理はなかった。

 何しろ、玲珠の体は貧相ではないものの――。

 非常に引き締まった、モデル体型とでも言うべきすらっとした代物で。

 余計な脂肪はもちろんのこと、筋肉もほとんどついているようには見えない。

 

(クソが……!! 個性なしでも俺より上って事かよあのクソ白髪……ッ!!)

 

「……じゃあ個性を使ってやってみろ。円から出なきゃ何してもいい。はよ」

 

――ソフトボール投げ。

 

「んじゃまあ……無限順転――【蒼】……死ねェ!!!」

 

(((………………死ね?)))

 

 奇しくも彼女の掛け声は、後に投げた爆豪のものと一致した。

 

「パクリじゃんだっさ」

 

「違ェわクソ白髪!! 黙ってろ!!」

 

「仲良いなーアイツら。競い合うライバル……漢だな!!」

 

「……そうなのか? そうは見えねェが……」

 

 極めつけは、テスト結果が発表された直後。

 爆豪の機嫌が悪いとみるや、にやりと笑って――その仕草すらも可愛らしいのが誠に遺憾ではあるが――口を開いた。

 

「はい一位〜、どっかの誰かは四位〜圏外〜」

 

 やけに整ったリズムに乗って繰り出された渾身の煽りに、その場の全員がドン引きした。

 

(((うわぁ……)))

 

(やりすぎだって玲珠……。ウチには結構優しいのにな……。そんなに爆豪が気に食わなかったのかな……はっ! ま、まさか同族嫌悪……?)

 

「テメェ……っ!! いや、言葉で何言っても結果は変わんねぇ……見てろ、次は越してやる……ッ!!」

 

「おいそこ私語は慎め。……あ、ちなみに除籍はウソな。君らの最大限を引き出す合理的虚偽」

 

「「「はーーーーー!!?!?」」」

 

 生徒の殆どがザワつく中、涼しい顔でツッコミを入れる者が二人。

 

「「あんなの嘘に決まってるでしょ(じゃない)、ちょっと考えればわかるよ(りますわ……)」」

 

「「あ」」

 

「気が合うね、えーっと……」

 

「こほん。五条さん、私、八百万 百と申しますわ」

 

「そっか、百ね……あぁ、推薦入学者なんだっけ。期待してるよ、よろし――あっ」

 

 挨拶の途中で玲珠は突如頭を抱え、目をガン開いた。

 

「え、どうしましたの!!?」

 

 そして玲珠は、心配し慌てふためく八百万の豊満な胸に……あろうことか、体を預けた。

 ――むぎゅう、と。

 

「……あー。ごめん限界、落ちる。ちょっと百、体貸して……あーうんいい感じの枕だ助かる。……よし、おやすみ」

 

「ご、五条さん……五条さん!!?」

 

 そうして、嵐のように場をかき乱していた少女は八百万の胸の中で――すやすやと眠りはじめてしまった。

 

「お、おい…………」

 

「ふ、不思議ちゃんすぎるぜこいつ……」

 

 上鳴の一言は、皆の心境の代弁であった。

 

「おっぱいの中でおっぱいが寝てやがる……おいおいおいおっぱい天国じゃねえか……っ!!」

 

 言うまでもなく、峰田は女子陣に殴られた。

 

「……ったく騒々しい……。これにて終わりだ。教室にカリキュラムなどの書類がある。戻ったら目通しとけ……」

 

 呆れを隠さない相澤の様子に、皆は思った。

 五条玲珠は異常である――と。

 

 そして。

 

「緑谷、保健室で婆さんに治してもらえ。後……五条も保健室に放り込んでおけよ」

 

「あ、はい…………はい!!?」

 

 言葉を咀嚼し理解すると同時に、緑谷が全身が震え上がるのを感じた。

 そもそも自分なんかには一生触れられないほどの美少女――付随して、あの爆豪とやりあって全勝の女である。

 怖くないはずがなかった。

 

(五条さんを!!!?!? 僕がっ!!?!? 何故っ!!?!?)

 

「指が痛かろうが関係ない。むしろその痛みを身に刻んで個性の制御に励め」

 

(違う!!! そういう事じゃなくて!!! そういう事じゃないんですよ先生!!!!)

 

「明日からもっと過酷な試験の目白押しだ。覚悟しておけ……」

 

(覚悟が必要なのは今なんですけどォっ!!?!? 助けてオールマイト……っ!! あ、やばい何かこの人柔らかいいい匂いするうわぁぁぁぁッ!!!!)

 

「緑谷許さねぇ……許さねぇぞ、オイラだって五条のゴジョオッパイを――」

 

 峰田は女子陣に蹴られた。

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