【WR】僕のヒーローアカデミアRTA 雄英HERO%【五条チャート】【有料DLC:呪術廻戦パックvol.01使用】   作:いる科

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ファッ!? 二次創作日間ランキング1位!?
なんだこれはたまげたなぁ……(歓喜) 皆応援してくれてありがとナス!


4裏―2 五条玲珠の"個性"

 ……。

 

 

 聞き間違い――では、ない。

 確かに、今、オールマイト、と――。

 OFA、と――ッ!!

 

「え……っ。な、なんで……っ」

 

 口に出してしまってから、バカか僕は、と緑谷は頭を抱えた。

 これでは肯定しているようなものだ。

 

(…………ばっ、バレた!!? いつ!? どこで!? どうやって……ッ!!? ぼ、僕が何かミスをしてしまったのか……っ!!? やばいやばいやばいヤバいっ!!! ごごごごごめんなさいオールマイト……ッ!!)

 

「あ……っ、そんな焦んないで、大丈夫。出久は何も間違えてないから」

 

 此方の思考を見通したかのように、そう前置きをしてから――五条はふふん、とあからさまなドヤ顔でこう宣った。

 

「ボクの個性だよ。視た人の個性は全部丸わかり、丸かじり」

 

「五条さんの、個性……? 重力とかじゃなかったのか……」

 

 ……それが本当なら……。

 

「うーん当たらずとも遠からず、かな? ま、折角だしボクの個性を教えておこうか。ふふっ、あんま人には言わないんだけど、出久なら大丈夫だよね。――どうせいつかは皆にバレるし……それに、言いふらしたりしないでしょ?」

 

「と、当然!! 誰にも言わないよ!! う、嬉しいな……前から凄く聞きたいと思ってて……っ」

 

 人の個性が分かる、重力変化みたいなことも出来る……きっと複合型の個性なのだろう。

 これまで培ってきた勘でなんとなく予想してきた輪郭の答え合わせ――。

 

 それどころではないとしても、ワクワクが止まらない。

 

「あははー、知ってたよ。めっちゃコッチ見てくるんだもん」

 

「え、えぇ!!? ご、ごめんなさい……」

 

「別にいいよ、じろじろ見られるのは慣れてるし……それに実みたいなやらしー視線じゃなかったしね」

 

 一拍置いて――五条は、話を続けた。

 

「さてと。説明といっても……百聞は一見に如かずって言うよね。うーむ……じゃあはい、ボクの手に触れてみて」

 

「ふ、触れ!!? 手に!!?」

 

「ほーら、はやく」

 

 急かされた緑谷は、バクバクとうるさい心臓を必死で押さえながら。

 五条のきめ細やかで、綺麗で……小さな。

 女の子の手に、自らの手を――。

 

「……!? 触れられない……!?」

 

「んー、触れられないってよりかはね――ボクに近づく度に遅くなってんの。これを使ってる内は何人たりともボクに触れられない。どれだけ速くどれだけ強くても、決してボクには辿り着かない……そう、オールマイトでさえもね」

 

「……ど、どういう原理で……」

 

「ボクの個性は――【無限】なんだ。偏在する無限を持ってきて、具現化する――ただそれだけの個性だよ」

 

「……【無限】……」

 

 偏在する無限? 具現化?

 言っている意味が、何一つ分からない。

 いや――待て。

 少なくとも今起きている現象については――。

 

「……! アキレスと亀のパラドックス……?」

 

「正解!! えらいぞ〜! 出久、やっぱり頭の回転はやいね。ボクは今、収束する無限級数をそっくりそのままここに持ってきてるんだ。その状態でちょっと力んでやると、無下限……負の数の具現化が出来て――そうだね、ブラックホールのパチモンみたいなのが作れるんだ。指向性持たせてやれば、瞬間移動も出来るよ」

 

「ブツブツブツブツ……凄い個性だ……。タイマンなら負けようがないんじゃ……いやでも無限級数って言うなら参照する値があるはずだからどこかに抜け道があって……それを探せば……? いやでもその値を常に変動させられるとしたら……。そもそも制御の感覚にもよるのか……? いや待てよ、収束が出来るなら発散も――ブツブツブツブツ……」

 

「ちょいちょいちょい! 一人の世界入んないで、れいじゅちゃん寂しくなっちゃう」

 

 緑谷の悪癖の最高峰――ブツブツモードには、流石の玲珠も面食らったようで。

 緑谷は軽めの優しげなデコピンによって、即座に正気の世界へと引き戻された。

 

 ……またやってしまった。

 

「あっ、ごめ……」

 

「こほん。まぁ君の言う通り、よーいドン、で戦ったらボクは最強だよ。オールマイトにだって負けない自信がある――けどね。コレ、制御に滅茶苦茶頭を使うからずっと出しっぱにしてると疲れちゃうんだ」

 

「……なるほど……だから五条さん、いきなり寝ちゃったんだ」

 

 個性の制御。

 例えばOFAの出力をこれから自分が制御出来るようになったとして。

 臨機応変に。

 必要な時に必要な制御を、迅速にミスなく行って――。

 ……いや無理だ。考えただけでも疲れてしまう。

 

「うむ、まぁ力を見せつけるためとはいえちょっと無理しちゃったからね。だから普段はオフってて、必要な時――戦う時とかに丸ごとスイッチオン。日常生活でいきなり後ろから奇襲とかされたら普通に死んじゃうってわけ。……まぁ、オールマイトのマッスルモードと一緒だよ」

 

 むしろそれが普通なのでは……と思う緑谷だった。

 暗殺まで自動的に防いでしまう個性など、あってたまるかという話だ。

 ……それよりも、まだ疑問が残っている。

 

「個性が見えるっていうのは……?」

 

「あぁうん、無限級数っていう細かい個性の制御を求められる都合上、ボクの目は特別製になってるんだ。【六眼】って呼んでるんだけど――まぁ、こっちも使うと滅茶苦茶疲れるから普段はオフなんだけどね」

 

「確かに……そんな複雑な個性、ゼロから分析するって方が無理があるよね……スイッチの感覚だって……僕なんてこんなに分かりやすい個性でも躓いてるんだし……。あ……そうだ、五条さん。OFAの件とかオールマイトの怪我の件は秘密なんだ……」

 

「……まぁ大体理由は想像つくかな。譲渡出来る個性なんて火種以外の何物でもないしね。……ま、その件含めて今度オールマイトに会わせてよ。秘密知っちゃった身としては協力したいしね」

 

「い、いいけど……いいの?」

 

「何が?」

 

「いや、だって……こんな、助けて貰ってばっかりで……」

 

「全然いいよぉ〜! 口止め料も弾むだろうしっ。トップヒーローのポケットマネーってどんくらいあるんだっけ〜あ〜楽しみっ!!」

 

(……オールマイトからカツアゲ!!? スケールがちがうや……さすが雄英……)

 

 にぱー、と満面の笑みでとんでもないことを宣う目の前の少女に、戦慄する緑谷であった。

 …………ただ。

 ふと、此方を心配する先程の顔を思い出して。

 それが――此方を元気づけるための冗談であることに気づいた。

 

 表面上の傲慢さや、自己肯定感の高さも彼女の紛れもない本音だろう。

 爆豪と喧嘩していた彼女も本当で、飯田に理不尽を仕掛けていた彼女も本当。

 

 しかし――その奥底にある慈愛。

 紛れもないヒーローの資質を、緑谷は感じた。

 

 

 ……どこか、温かい気持ちになった。

 

 

 

「……良かった」

 

 

 

「ん? 何が?」

 

「いや……凄い個性だと思ってさ。でもだからこそ、それを正しいことに使える五条さんで良かったな、って……。きっとその個性も喜んでるなって……そう思ったんだ……。あ、あはは!! な、何言ってるんだろ僕!? ご、ごめ――」

 

(うわうわうわうわうわいきなり何言ってんだよ僕は!! こんなの何か口説いてるみたいじゃんか!? 絶対引かれた、クッソこの口め……っ!!)

 

 その時の五条玲珠の顔を、きっと緑谷は生涯忘れることは無いだろう。

 打算の何一つない、とびっきりの笑顔。

 

「――ボクも、出久でよかったなって思ったよ」

 

「え……それって、どういう……」

 

「さ、そろそろ行こう。もう帰りの時間でしょ?」

 

「あ……うん!!」

 

 そうして、緑谷出久は図らずも。

 五条玲珠と、秘密を共有する初めての友達となった。

 

「遅かったな緑谷くん、指は治ったのかい? それに……五条くん」

 

「わ! 飯田くん……うん! リカバリーガールのおかげで……」

 

「あからさまに嫌そうな顔すんなよ天哉〜、朝のことなら謝るからホラ」

 

「……!! 分かってくれたのならいいんだ! しかし相澤先生にはやられたよ、俺はこれが最高峰――なんて思ってしまった! 教師が嘘で鼓舞するとは……」

 

 飯田のことも怖い人かと思っていたのだが、どうやら違うらしい。

 ただ真面目で、不器用なだけの男なのだ――と、緑谷は評価を改める。

 

(でもそれだと……自由奔放って感じの五条さんとは合わなさそうだな……)

 

 内心ヒヤヒヤとしながら、二人の会話を見守る。

 

「ん? いやアレは本気だったと思うけど?」

 

「何!? 君も言っていたじゃないか、そんなはずがない、と……」

 

「いやあれノリ。分かってたって言った方がマウント取れるじゃん。……実際、不出来な奴がいたらソッコー除籍だったと思うよ? 今回は最下位の出久含めて皆出来が良かったから撤回された……それだけのシンプルな話」

 

「なん、だと…………で、では何故相澤先生は除籍が嘘と……」

 

「出久はさ、最下位ながらに答えを出して可能性を示したんだよ。でも先生は立場上、出久一人を特別扱いするわけにはいかないでしょ? 誰が最下位でも除籍はなかった……って暗に示す必要があるってわけ」

 

「なるほど……君は賢いな! 勉強になる……」

 

「えへへ〜もっと褒めて」

 

(……五条さん、やっぱり色々凄いなあ……)

 

 飯田と共に思わず感心する。

 しかしそれはつまり……相澤が緑谷に何かの可能性を感じたからこうなった、ということで。

 つまり緑谷は、ただ運が良かったわけではなく――自分の力で今回の試練を乗り切ったのだ。

 それを自覚出来るのと出来ないのとでは、大きな差がある。

 ハッとして、緑谷が顔を上げると――五条がこちらを見て、ウィンクをしていた。

 

(……もしかして……だから、教えてくれたのかな。僕に自信を持たせるために……。優しいな)

 

 本当に、不思議な人だと思う。

 その強さ、在り方は爆豪とどこか似ているのに、自分には優しくしてくれた。

 弱きを助け強きを挫く――というには、少々荒っぽすぎる気もするけれど。

 

「あ、三人とも〜! 駅まで? 待って〜!」

 

「お茶子じゃーん! ボクは校門までだけど、まぁ駄弁ろ駄弁ろ〜」

 

(麗日さん!! 麗日さんも優しいんだよな……)

 

「君は∞女子」

 

「麗日お茶子です! えっと五条玲珠さんに、飯田天哉くんに、緑谷……デクくん! だよね!!」

 

「玲珠でいいよ、お茶子」

 

(……∞女子ってそれ、五条さんにも言えることだよな……偶然だけど、何か縁があるなぁ。……っていうか)

 

「デク!!?」

 

 爆豪にしか呼ばれない蔑称が思わぬところから飛んできて、思わず叫ぶ。

 

「え? だってテストの時爆豪って人が……」

 

 ……どうやら酷い誤解をされているらしかった。

 勿論、決して麗日が悪いわけではないのだけれど。

 

「あの……本名は出久で……。デクはかっちゃんがバカにして……」

 

「蔑称か」

 

「えーーそうなんだ!! ごめん!! でも――」

 

 ……他人から貰った言葉で、価値観が百八十度変わることがある。

 緑谷にとっては――これが、その瞬間だったと言っていい。

 

「デクって――頑張れ――って感じで、なんか好きだ私」

 

「デクです!!」

 

「緑谷くん!? 浅いぞ、蔑称なんだろ!?」

 

「コペルニクス的転回……!!」

 

「にゃははっ、お茶子やるねぇ〜」

 

 あれほど嫌だったデクというあだ名が、これほど嬉しく感じられたのは初めてだった。

 

 それに、そもそも。

 こんな風に友達と笑いながら対等に話すなど、果たして何年ぶりだろうか。

 

(出来ないことだらけだし、頑張らなきゃいけない……けれど、オールマイト……友達が出来たことくらいは、喜んでいいですよね――)

 

 

 

 

「ちょっと! 玲珠遅いんだけど……何よろしくやってんの。頭痛は平気なの?」

 

「あー、響香! ごめんごめん、もうぐっすり寝て元気だよ! 保健室でちょっと出久と盛り上がっちゃってさ……え、何その顔、どうしたの。……怒ってる?」

 

「……別に。はやく帰ろ」

 

「え、ちょっと、響香〜? …………はっ。もしや――生理?」

 

「クソかよ!!!!」

 

(お、オイラの耳おかしくなっちまったのか!? 今確かにご、五条がせせせ、生理って言ったような……!! クソぉぉおおお、録音しとけば良かった……っ!!)

 

 峰田は通りすがりの女子に蹴られた。

 

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