酒の子   作:スピリタス3世

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この物語はフィクションです。
未成年の飲酒は法律で固く禁じられています。
またアルコールの強要、暴飲、
宴会での破廉恥な行為についても
それらを推奨する意図はありません。
あくまでギャグ物としてお読み下さい。


第三章 はちゃめちゃな大学生活編
十杯目 広がる友の輪


  side アクア

 

 伊豆春祭明けの講義室がやけに殺気立っている。

 

「あの…………」

「「「「「チッ‼︎」」」」」

 

 北原がしゃべった途端、室内に鳴り響く舌打ち。きっと4人や5人の音量じゃない。恐らく講義室中のほぼ全員だ。今は男女比140:3くらいだから、恐らくこの部屋にいる人ほぼ全員が舌打ちしていることになる。そんな大勢の恨みを北原は買ったのか………。もしくは今村か?

 

「北原、お前なんかした?」

「いや、何も。いつも通り全裸なだけだ。」

「なら今村は?」

「俺もいつも通り全裸なだけだが。」

「アクアが悪いんじゃねえのか?」

「俺か?いつも通り服着てないだけだぞ。」

「だよなぁ。俺たち何も悪く無いよなぁ。」

 

 別に特別変なことはしていない。ただいつも通り飲み会明けで、ただいつも通り服と昨夜の記憶が無いだけだ。

 

「誰か何か知ってるか?」

「さあ……?」

 

 もしこの事情を知る人間がいるとしたら………有馬はここの大学じゃない、ケバ女は正体不明、先輩らはわざわざ知らない1年に絡まない。だとすると………

 

「古手川か………」

 

 コイツだ。奴なら何か知ってるに違いない。

 

「千紗?」

「奴がどうした………なにっ⁉︎」

「耕平、どうした⁉︎」

「見てみろ、あの顔………っ!」

 

 今村は何を見つけたんだ?古手川の顔がどうしたのか?疑問に思って、後ろを振り向くと………

 

「…………♪」にこっ

 

 そこには、役者も驚くほどの満面の笑みを見せる古手川が居た。

 

「異常事態だな。」

「ああ、間違いない。」

「空から酒が降るかもしれん。」

 

 古手川は普段あんな感じで笑う女じゃない。そもそも最近特に北原に対して機嫌が悪く、ずっとゴミを見るような目で生活していた。なのにこれは一体………?

 

 とりあえず、事情を聞くしかない。話しかけてみるか………

 

「なぁ、古手川。」

「何、マリン?今日は珍しく男装してるね〜!」

「珍しくも何も、俺は男だ。」

 

 満面の笑みで言葉を返す古手川。というかいつまで俺を女扱いするんだよ。

 

「ところでお前、北原と何かあったのか?」

「何も、伊織は私の彼氏だよ♪」

「「なにっ⁉︎」」

「マジか。」

 

 なるほどな、事情は分かった。俺が元からやろうとしてた、伊織への復讐だ。男コン後の打ち上げで有馬と一緒に古手川に提案しようとしたことだ。残念ながら俺はコイツと有馬に殺されたが、俺の願いは有馬が引き継いでくれたらしい。

 

「「「は、死ね。」」」

 

 そして、その瞬間に飛びかう無数の凶器。その中には、殺害予告まで紛れていた。なになに………古手川千紗と別れなければお前を殺す………か。予想通りだな。北原への復讐は成功したというわけだ。

 

 ただ、今村の方はどうやら無傷らしい。

 

「なぁなぁ、もしかして俺は関係ない感じか?」

「ああ。」

 

 本人もそれに気づいて、周りの知らない男に確認している。やはり奴らの狙いは北原だけみたいだ。このままでは今村への復讐は果たせなくなってしまう。北原だけ不幸とか可哀想だし、奴も不幸にしてやるか。

 

「ところで古手川、今村は青女の子に告られたらしいけど。」

「らしいね!受け入れたのかな〜?」

「「「「ほう………」」」」

「星野貴様ァ⁉︎」

「嘘じゃないよなぁ、耕平‼︎俺もこの目で見たんだし‼︎」

 

 有馬から聞いた話だが、アイツはケバ女に告られたらしい。北原が目撃したのもあって、奴を懲らしめるにはこれが最適だろう。

 

 

 

 そして、復讐は完遂した。後は逃げ方だが…………

 

「よし古手川、これ以上奴らに事情を悟られるわけにはいかない。ここは女子会に行こうか。」

「そうだね、マリン!」

 

 古手川に女扱いされてることを逆手に取り、コイツと一緒に逃げる。そして、北原今村にもこれ以上情報を与えない。これで逃げ切れるだろう………

 

「ちなみにアイツは有馬かなをフって黒川あかねと付き合ってるんだぜ。」

「これがキス映像だ。」

「「「「死ね。」」」」

 

 ふざけんなよアイツら⁉︎今ガチ引っ張り出してくんのはずるいだろ‼︎完全な証拠映像じゃねえか‼︎つーか誰に教わったんだよ⁉︎

 

 

 

 

  side 伊織

 

 重曹がこのキスシーンを教えてくれた。ありがとな!

 

 

 

 

 

  side アクア

 

 その後、俺たちには大量に殺害予告が届いた。

 

「量ヤバいな、これ。」

「アクア、お前は芸能人だから慣れてんじゃねえのか?」

「流石にこんな量を一度に貰ったことはねえよ。」

「ありはしたんだな。」

 

 そりゃあることにはある。だがだいたい警察に突き出せば解決してた。ただ今回はあまりにも量が多過ぎる。しかも警察に突き出せば、この大学の学生はほぼ居なくなるだろう。

 

 そんなことを思ってると………

 

「「やぁ君たち。」」

「同じ学科の野島だ。」

「山本だ。」

 

 変態と思われる2人がやってきた。

 

「誰宛の脅迫状だ?」

「それとも全員か?」

「無いなら帰ってくれ。」

「もう受け取り慣れたのか……」

「やっぱお前ら普通じゃねえな。」

 

 脅迫状を渡さないだと………?一体コイツらは何しに来たんだ?

 

「お前ら困ってるんだろ?」

「同じ学科のよしみで助けてやろうと思って。」

「マジで⁉︎」

「お前らいい奴だな‼︎」

 

 どうも胡散臭い。ただ芸能界には無い圧倒的な小物臭さから、心配しなくて大丈夫だろう。

 

「ただ代わりに教えて欲しいんだ。」

「何をだ?」

 

 まあ、何かはあるだろうな。さて、何を教えるんだ?

 

「「お前ら如き変態でも彼女が作れる催眠術だよ。」」

「「お前ら喧嘩売ってんのか?」」

 

 思ったよりクソだった。

 

「えっ、無いのか……?」

「なら北原には彼女なんて不可能なはず………」

「星野も顔で騙したんだろ。」

「「顎にジャブ入れて脳揺らすぞコラァ‼︎」」

 

 しかも今村までアイツら側に加わってる。確かにお前は彼女居ないけど、そもそも作る気ないだろ。

 

「おまえら、催眠術は無いらしいぞ〜。」

「とんだ期待外れだったな。」

「で、どうする?」

「部室等の裏に小さい山があったろ。」

「あそこなら人が来ないな………」

 

 そして、事実を聞いた奴らは仲間の元へ行き、相談を始める。

 

「いかんいかん、俺たちを埋める場所の相談が始まってる。」

「催眠術が無いと分かった途端これか。」

「お前らも人のこと言えないだろ。」

 

 それはまるで、普段の北原と今村だ。

 

「お前らよく聞け!耕平とアクアはともかく、俺については誤解なんだ!」

「ほほう。」

「命乞いか?」

 

 そして、北原が命乞いを始める。1人だけ助かろうとする魂胆か‼︎許せねえ‼︎

 

「俺と千紗はお前らが考えているような関係じゃなくて………」

「子供の頃からの長い付き合いだがな。」

「あくまで同じ学校の知り合いで………」

「四六時中一緒にいるがな。」

「別に付き合ってるわけでもないんだ。」

「一緒に暮らしてるがな。」

「ちなみに最近は酒飲んで裸見せつけてるぞ。」

「「「「よし、死刑。」」」」

「テメェら………っ‼︎」

 

 死ぬ時は一緒だ‼︎転生して三つ子になろうじゃねえか‼︎

 

「北原め、男だらけのうちの学科に咲いた一輪の花をよくも……っ‼︎」

「今村も青女の女の子に告られやがって……っ‼︎」

「星野は有馬かなと黒川あかねに告られたのかよ……っ!」

「しかも黒川あかねとキスまでしやがって‼︎」

「「「落ち着けお前ら‼︎話せば分かる‼︎」」」

 

 くそっ、この状況を打破するにはどうすればいいんだ……っ⁉︎リア充を妬む男の気持ち………これを満足させるには………。そうだな、アレしかない‼︎

 

「「「合コン組んでやるよ‼︎」」」

「「「「俺たち今日から親友だぁぁぁあ‼︎」」」」

 

 ということで、治安の悪い親友が新たに4人誕生した。

 

 

 

 

 俺たちはその場しのぎで生き延びたものの、次の策を考えなくてはならない。

 

「んで、誰を合コンに呼ぶんだ?」

 

 女の調達だ。誰を呼んでくるかが、俺たちの延命にとって重要になる。そのため、俺たちは店で作戦会議を開いていた。

 

「そんなのアクア(おまえ)の知り合いでいいだろ。」

「皆そんな暇じゃねえよ。」

「とりあえず呼べ。俺たちは合コンを開きさえすればいいんだから。」

 

 誰も釣れないと思う。奴らの顔見せた瞬間に別の仕事が決まるな………

 

へぇ。あーくんはあかねと付き合ってるのに合コンするんだ?

 

 って有馬⁉︎いつの間に⁉︎

 

「有馬、聞いてくれ。これは誤解なんだ。」

「どこが誤解なのよ?思いっきり合コンの相談してたじゃない。」

「合コンを開かないと死ぬんだ‼︎」

「………もしもしあかね〜?」

「頼む、それだけはやめてくれ‼︎お願いだ‼︎」

 

 こんなことあかねに知られたら、間違いなく殺される。それじゃあ本末転倒だ。延命のために別の人間に殺されたら意味ないからな。

 

 

 

 そんなことを思ってると、

 

「「……重曹でいいんじゃね?」」

「重曹言うな‼︎」

 

 北原と今村がいい事を言ってくれた。確かに有馬なら行けるだろう。もちろんアイツらとなんか付き合わせるつもりは毛頭ないが。

 

「有馬、頼む。合コンに来てくれ。」

「普通フった女にそれ頼む?」

「行くだけでいいんだ。なんかあったら俺が守るから。」

「あーくんが守ってくれる///」

 

 よしっ、まずは1人確保だ。後はどうするか………

 

「それで重曹、残り行けそうな人はいるか?」

「ったく……!まあアテはあるけど。」

「「「あるのか⁉︎」」」

 

 アテあるのか。これは助かった‼︎

 

「アンタらと私が連れてきた人なら。」

 

 俺たちと有馬が………?どういう事だ………?

 

「ほら、来なよ愛菜!」

 

 有馬が呼ぶと、柱の陰からなんとも可愛らしい女の子が現れた。青いボブカットは、まるで昔のあかねを思い出す。ただ、この子は誰なんだ………?

 

「青女一年、吉原愛菜。ティンベルを辞めてこのサークルに入会します‼︎」

 

 いや、誰…………?*1

 

「「まさか………ケバ子か⁉︎」」

「だからその呼び方やめてって、何度も言ってるでしょ⁉︎」

 

 マジで⁉︎あのケバ女だと⁉︎どこをどうやったらこうなるんだ⁉︎

 

「伊豆春祭直後にうちに入会したいって言ったのよ。」

「なるほどな。」

 

 確かに理由は納得いく。自分を救ってくれた集団に入りたいと思うのは普通のことだ。

 

「おい重曹、これ詐欺じゃねえか‼︎」

「重曹言うな‼︎」

「ただの脱皮したケバ子だろ‼︎」

「ケバ子言うな‼︎」

「お前らなんかそっくりだな。」

「「誰が恋愛弱者だって⁉︎」」

 

 そして、この感じ………うちには上手く馴染めそうだな。特に心配しなくてよさそうだ。

 

 ということで、俺は吉原に合コンメンツの調達を頼み、有馬を口封じし、なんとか延命することに成功した。

*1
この時点ではアクア目線名前が判明してないです。

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