酒の子   作:スピリタス3世

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この物語はフィクションです。
未成年の飲酒は法律で固く禁じられています。
またアルコールの強要、暴飲、
宴会での破廉恥な行為についても
それらを推奨する意図はありません。
あくまでギャグ物としてお読み下さい。


百五杯目 黒のジェンガ

  アクア視点

 

 俺は学科のクズどもと一緒に山本の家で飲み会をしていた。

 

「あ〜、そろそろ彼女出来ねえかな〜。」

「山本、それは諦めた方がいいぞ。」

「サッカーのルール知らないのに、ワールドカップのメンバーになりたいって言ってるのと同じだ。」

「そこまで⁉︎」

 

 野島に山本、それに藤原。この童貞3人集が彼女できるなんて夢のまた夢だろう。もし仮に出来たとしたら、絶対に美人局(つつもたせ)だ。友人として、きちんと通報してやろう。

 

 そんな事を思っていると…………

 

「そうだ、今日は面白い遊びを持ってきたんだよ。」

 

 野島が何やらよく分からない箱を取り出した。そこに書いてあったのは………

 

「「「「「黒のジェンガ…………?」」」」」

 

 どうやら普通とは思えないような、異様な雰囲気を放ったジェンガだった。

 

「このジェンガには一個一個罰ゲームが書いてあってな。取ったブロックに書かれていた罰ゲームを行う、というものだ!」

「罰ゲーム不可避のゲームだと⁉︎」

「中々に鬼畜だな!」

「ちなみに崩したら、残っていたブロック全ての罰ゲームを行なってもらう!」

「ならちゃんとジェンガした方がマシなのか………」

「そうだな!」

 

 罰ゲームしかないジェンガか。控えめに言って帰りたいな。こうなったら、軽めの罰ゲームを引く事を祈るしかない。若しくは酒系の何かを引く。それなら俺は強いから、なんとか耐えられるだろう。

 

「とりあえず俺がお手本を見せるから、お前らは後に続け!」

「「「「「1番手は俺だ‼︎」」」」」

 

 そして、何よりジェンガは先行有利‼︎俺たちはしれっと先行を取ろうとする野島を酒殺(しゅさつ)*1し、じゃんけんの末に順番が決まった。

 

 

 

 

 まず最初、藤原のターンだ。

 

「さてと………俺はこの白いのにしようかな。」

「筋肉でぶち壊してしまえ!」

「ヤー‼︎って叫んで破壊しないのか?」

「しねえよ‼︎」

 

 そりゃ一番最初の人は上の端っこに乗ってるやつを取るだろう。さてと、罰ゲームの内容は………

 

「えっと………自分の右手をつねる………か。」

「自分の手、だからいくらでも加減できるじゃねえか。」

「くそ簡単だな。」

「軽くつねって………っと。はい終わり。」

 

 なんだ、全然しょぼい罰ゲームじゃねえか。こんなの罰ゲームにもならねえよ。野島にしては優しいな。

 

 

 

 さて、次は北原のターンか。

 

「次は俺だぜ!この黒いやつでいく!」

「そんな張り切らなくても………」

「どうせ大した罰ゲームじゃないのによ。」

 

 さてと、コイツの軽い罰ゲームはなんだろう…………?

 

「チンコにスピリタス…………⁉︎」

 

 嘘だろ⁉︎さっきとの落差が酷えぞ‼︎なんだよそれ‼︎急に地獄じゃねえか‼︎

 

「「「「ぎゃははははは‼︎」」」」

「俺だけ酷くねえか⁉︎」

「バカの北原にぴったりだなぁ‼︎」

「大丈夫だ、別に死にはしない。」

「その証拠に、星野が生きてるしな‼︎」

「うるせえ‼︎」

「汚ねえ証拠だな‼︎」

「スーパーチンスピブラザーズ、か。」

「「コイツとコンビだけは嫌だ‼︎」」

 

 俺以外に恥晒しが増えるのはありがたいんだが、それを理由に北原とセットにされるのだけは嫌だ。こんなバカと一緒とか最悪だ‼︎

 

「ほら、北原。大人しくしておけ。抜けなくなるぞ。」

「早く観念しな。」

「嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」

 

 そんなこんなしているうちに、北原はチンスピをして死んだ。

 

 

 

 

 さてと、次は野島のターンか。

 

「次は俺がカッコよく決める番だ!」

「どんな無様を晒してくれるのか?」

「楽しみだなぁ!」

「俺が無様を晒すわけないだろ!これにするぜ!」

 

 そう言って野島は白いのを引いた。さてと、罰ゲームは…………?

 

「割り箸を逆に持って食べる、か。」

 

 なんかしょぼくね?

 

「「「つまんな。」」」

「仕方ねえだろ。罰ゲームには緩急があるんだからw」

「そもそもこの程度、罰ゲームじゃなくね?」

「ほんとそれな。」

「まあまあwそんなに俺の幸運が憎いかw」

 

 マジで腹立つ顔しやがって。ジェンガ崩して絶望すればいいのに。なんならビールにスピリタス混ぜて酔わせてやろうか、とつい思ってしまった。

 

 

 

 

 

 その後は俺を含め、色んな人間が罰ゲームを受けていった………のだが………

 

「野島、なんかお前だけ罰軽くね?」

「おかしいよな?」

「仕方ないだろう!俺は持っている男だからな!」

「「「くそが!」」」

 

 野島だけが軽すぎる罰ゲームを受けていたのだ。これはあまりにもずるい。他のみんなはクソまずいドリンク飲まされたり、この中で誰を一番恋人にしたいか答える、などなど地獄のようなレパートリーだったのに。山本なんか行ったことあるデートスポットを答えよ、って罰ゲーム引かされて、泣きながら黙ったんたぞ。それなのにお前はビールを飲むだの歌うだの大したことないのばっかり引きやがって。

 

「ほら、次は今村の番だぞ!」

「えっと俺はこの黒いのを………っと………って黒歴史を一つ暴露する、だとっ⁉︎」

「う〜わ、可哀想だなw」

「ほら、早く教えろよ!」

 

 こんなキツいやつも引かされてるのに………っ!黒いのを引いたら黒歴史を暴露されるとか、最悪だろ…………ん?待てよ?黒いの?

 

 この黒のジェンガは3種類の色のジェンガがある。白と茶色と黒だ。他の人の罰ゲーム内容を分析すると………ふむ、なるほど、そういうことか‼︎罰ゲームは色に応じてキツさが決まってるんだ!白がホワイトで軽い罰、茶色がビターで中間くらいの罰、そして黒がブラックでキツい罰、だ‼︎その証拠に、野島は白ばかり引きやがる‼︎くそっ、そういうことだったのか………っ⁉︎

 

「?どうした、星野?うんこでも漏れそうなのか?」

「いや、なんでもない。」

「そうか。」

 

 しかし、こんな大切なこと、他のみんなには教えてたまるか‼︎これは俺と野島だけが持ってる、重要な情報として扱わせてもらおう‼︎

 

「よしっ、次は御手洗だな。」

「くっそ〜、取るところがねえよ………」

「そこの黒いのとかどうだ?」

「まあ、これが一番取りやすいな………ってこれは⁉︎」

 

 ということで、早速俺は御手洗をハメた。奴はどうやらキツい罰を引かされた様子。どれどれ、どんなやつだ…………?

 

「恋人にプロポーズする、だと⁉︎」

「「「「「ぎゃははははははは‼︎」」」」」

 

 マジでヤバいやつじゃねえか‼︎俺が引かされてたらとんでもないことになってた‼︎流石にここであかねにプロポーズしたらマズイ‼︎自由なゴローライフが送れなくなっちまう‼︎

 

「待て待て、冗談じゃないって‼︎俺の人生終わっちまう‼︎」

「往生際が悪いぞ、糞野郎‼︎」

「早く粉砕されろ、糞野郎‼︎」

「女がいるだけいいじゃねえか、糞野郎‼︎」

「結婚は人生の墓場って知らないのか⁉︎」

「とっとと墓に入れ、糞野郎‼︎」

 

 でも本当に良かった。ここで御手洗が引いてくれたってことは、俺はこの地雷を引くことは無くなったということ。これに比べたら、ほかのどんな罰ゲームも大したことないからな。

 

『もしもし。大橋、聞いてるか?御手洗が話があるそうだ。』

『分かった、今すぐ行く。』

「なんで連絡先持ってるんだ、お前⁉︎」

「いざという時のために。」

「いざという時ってなんだ⁉︎」

 

 ということで、俺は御手洗を強請(ゆす)るために持ってた大橋の連絡先を活用し、鬼嫁をこの場に呼びつけた。

 

「優お兄ちゃん、来たよ!」

「り、りえ⁉︎早すぎるだろ⁉︎」

「で、話って何?」

「いや〜、ちょっとプロポーズをと思ってさ〜。」

「え〜、もうやだぁ〜♡」

「な〜んて、冗だ………」

「嘘だったら殺すから。」

「あぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」

 

 それにしても、本当に良かった。俺がそれを引いていたら、同じような事をあかねにそれていただろうから。本当に安心した。

 

「よしっ、次は俺の番か。」

「さっきのやつもう一回引くか?」

「冗談はよしてくれ。俺はまだ自由でいたいんだ。」

 

 さてと、御手洗の死に様を見たところで、俺の番か。もちろん狙うは白いジェンガなのだが……………取れそうなところに全然無え‼︎くそっ、全部野島に持ってかれてるじゃねえか‼︎残りがほとんど一番下とか地獄だぞ‼︎全部崩したら残ってるジェンガの分全ての罰ゲームを受けなきゃいけないし…………

 

「どうした、早く引けよ?」

「それか死ねよ。」

「待て。今考えてるんだ。どれを抜くか。」

 

 しかも茶色も全て絶妙な位置にしかない。くそっ、ここは一番取りやすい黒を取るか。背に腹は変えられない‼︎最悪プロポーズは御手洗が引いてくれたから、酷いことにはならないはず…………っ‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっと………恋人にプロポーズする………」

 

 ってなんでだぁぁぁぁぁぁぁ⁉︎

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ⁉︎」

「「「「ぎゃはははははは‼︎」」」」

「なんで俺もなんだ⁉︎さっき御手洗が引いただろ⁉︎」

「同じ罰ゲームが無いなんて、一言も言ってないよなぁ⁉︎」

「嘘だろぉぉぉぉぉぉぉ‼︎」

 

 ふざけるなし‼︎よりにもよってこれを2つ入れる必要はないだろ‼︎くそっ、どうすればいいんだ⁉︎どうすれば自由を取り戻せる⁉︎何か考えないと…………っ‼︎

 

『黒川あかね様、大至急来てください。星野愛久愛海殿が貴方に話があるようです。』

『ありがとう、伊織くん!』

「おい北原、勝手に呼ぶな!」

「いいだろ、お前もやったんだし!」

「俺は御手洗とは違うんだよ‼︎」

 

 今すぐに別れを告げて恋人を無くすか?いや、それはダメだ。あかねに酷過ぎるからな。だったら御手洗のように冗談や演技と称すのは………ダメだ。奴みたいに確実に殺される。となると…………あれしかない‼︎

 

「アクア、どこ行くんだ⁉︎往生際が悪いぞ!」

「逃すと思ったか‼︎」

「トイレ行くんだよ、トイレ。逃したくないなら玄関で待ってろ。」

「何故にトイレ………?」

 

 こうして俺は荷物を持ってトイレに篭り、プロポーズの準備をしたのだった。

 

 

 

 

 数分後、

 

「アクアくん、来たよ!」

 

 とうとう鬼嫁がやってきた。だが俺の作戦は万端‼︎

 

「あかね、ごめんね。今日は来てくれてありがとう。」

「「「「「マリンスタイル⁉︎」」」」」

「なんで………?」

 

 俺はさっきのトイレで星野マリンになった。常に仕事用にメイクと女装を持ち合わせているので、こうした早替わりが可能なのだ。そして何より、ここで女装したのは………

 

「今日はあかねに言いたいことがあって。」

「言いたいこと………?」

「この私、星野マリンと結婚してくれるかしら?」

「えっ、いいの⁉︎」

「ええ、そうよ。これは私星野マリンとしての、混じりっ気のない本音よ。」

「あ、ありがとう………っ!」

 

 星野マリンとして、あかねと結婚するため‼︎俺の本体はあくまで星野アクアだ。マリン名義で結婚したとて、アクア名義では結婚したことにならない。性別を2つ持つ者だけが許される、特別な方法だ。

 

「皆聞いてた?マリンちゃんが私と結婚してくれるんだって!」

「黒川の奴、ネット配信をしているぞ!」

「SNSで炎上した過去をそう利用するとは………」

「なんて強い女なんだ………」

「これはもはや言い逃れ出来ないな。」

「画面の向こう側の皆さん、今後とも星野マリンをよろしくお願いします。」

「よろしくお願いします!」

 

 あかねはネットを味方につけて勝ち誇った顔をしているが、残念だな。お前と結婚するのはあくまで星野マリンの時だけだ。星野アクアの時は自由にやらせてもらうぞ!

*1
酒で人を潰して殺すこと。よく重曹がアクアを持ち帰るのにやっている。




現在、次の大きなお話について計画中です!時期はおそらく推しの子のアニメ3期に合わせて、来年1月からでしょう。お楽しみに!
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