酒の子   作:スピリタス3世

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この物語はフィクションです。
未成年の飲酒は法律で固く禁じられています。
またアルコールの強要、暴飲、
宴会での破廉恥な行為についても
それらを推奨する意図はありません。
あくまでギャグ物としてお読み下さい。


百六杯目 10秒で泣ける天才子役

  重曹視点

 

 ふとした仕事帰りのある日のこと。いつものようにあーくんの事を考えながら、何気なく見たSNSで衝撃の映像が流れてきた。

 

「星野マリンが黒川あかねにプロポーズ………?」

 

 それはあまりにも信じられない光景だった。あの浮気したがりで遊びたがりのあーくんが、束縛の激しい女黒川あかねにプロポーズ。しかも自分から。何故か女装をしているが、そんなことは問題じゃない。私の目の前で、一体何が起きてるっていうの………?

 

「あーくん…………」

 

 負けなんて認められない。それに、絶対あーくんはあかねとの婚姻なんか望んでいない。とすると考えられるのは…………まずこの動画がAIであるということ。ただ、その線は薄い。ただのプロポーズに伊織やその仲間といった連中をバックに映すだろうか。いや、ない。こんな映えない連中はプロポーズの現場に相応しくないからだ。

 

 次に考えられるのが、この動画がやらせだということ。ただそれなら、こんなにSNSで拡散する必要がない。ましてや過去炎上した経験のあるあかねなら尚更。だとすると…………後ろのクズどもの笑った顔…………

 

やはりあーくんは黒川あかねに脅されてるに違いない‼︎

 

 きっと浮気がバレたのだろう。それでいつもの制裁では飽き足らず、このような脅しを用いてあーくんの身を縛ろうと考えた。いかにもあかねが考えそうなことだ。だとすると、あーくんは困ってるはず!

 

「いよいよ私があーくんを救う時が来たのね!」

 

 助けてあげなきゃ!そして結婚してあげなきゃ!今日があーくんと私の結婚記念日よ‼︎待ってなさい、黒川あかね‼︎そう思って私は大急ぎで電車に飛び乗り、伊豆へと向かった。

 

 

 

 

 そして私は早速伊豆に着くと、目的地まで向かおうとした。のだが………

 

「ここ、誰の家よ?」

 

 あーくんの現在地が分からないのだ。あかねの動画に映っていた家には、確かに伊織や耕平などの他のメンバーがいた。そして、PaBメンバーの家ならば全員知っているため、すぐに向かえる。だけども映っていたのは知らない家。となると野島とか山本たちの家になるけど………全然場所が分かりそうもない。

 

「なら電話ね。」

 

 となると、あーくんたちに電話するのが手っ取り早いか………いや、待てよ?この独特の刺激臭………鼻の奥をツンと刺してくるような匂い…………

 

間違いない、スピリタスだ‼︎

 

 これを飲むのは間違いなくあーくん達しかいない‼︎そうと決まれば話は早い‼︎全力で向かうわよ‼︎

 

 そして私は全力で走り…………

 

「あーくん、来ちゃった♡」

「有馬⁉︎」

「かなちゃん⁉︎」

「「「「重曹⁉︎」」」」

 

 あーくんたちのいる所へと辿り着いた。

 

 

 

 

 

 

 さて、着いてすぐにやることといえば…………

 

「っぷはぁ〜!やっぱスピリタスは美味しいわね〜!」

「嘘だろ………」

「早すぎんだろ………」

「これが10秒で飲める天才子役か………」

「子役が酒瓶はマズイだろ……」

「有馬、相変わらずね。」

 

 スピリタスの一気飲み。これでボルテージを上げる。やっぱりお酒と言ったらこれよね!さぁ、テンション上がってきた‼︎次はあかねを問い詰めて、私があーくんを救う番だ‼︎

 

「かなちゃん、どうしたの?もしかして誰かに呼ばれた………?」

「よくしらばっくれた態度取れるわね、黒川あかね。」

「えっ、私⁉︎私呼んでないよ⁉︎むしろ呼ばれた側だし………」

「SNSに挙げたあの動画‼︎何よあれ‼︎アンタとあーくんが結婚⁉︎ふざけないで‼︎認められるわけないでしょ‼︎」

「でも、マリンちゃんはちゃんと私にプロポーズしてくれたから………それも自分から。」

「まーちゃん、正直に言っていいのよ。あかねに脅されました、って。」

「いや、自分でプロポーズしたわよ。」

「へっ⁉︎」

 

 嘘でしょ⁉︎まーちゃんが自分の意思で⁉︎そんなはずはない⁉︎なんでそんな真似を⁉︎おかしい、おかしいわよ‼︎錯乱しながら周囲を見渡すと、そこには散らばったジェンガと、『恋人にプロポーズする。』の文字が書かれていた。ふ〜ん、なるほどね………

 

「あかね、それ見なさいよ!ジェンガの文字‼︎」

「これ?確かジェンガの罰ゲームで、私にプロポーズしたんだよね?」

「まあ…………そうね。」

 

 やっぱり‼︎罰ゲームなら納得がいくわ‼︎つまりあーくん、もといまーちゃんはあかねと結婚する気はないと‼︎

 

「よっしゃきた‼︎じゃあアレはただの誤解なのね。全くやめときなさいよ〜、SNSに拡散なんて。変なファンに絡まれるわよ?」

「でも、プロポーズはプロポーズだよ?ちゃんと言質取るために、ああやって拡散したんだから。」

「はぁ⁉︎アンタそれでいいの………?」

「うん♪」

 

 嘘………でしょ?罰ゲームだろうがなんだろうが、利用するってこと?そして、それにまーちゃんは巻き込まれたの………?

 

「で、でも、まーちゃんが………っ!」

「大丈夫、有馬。心配しないで。」

「そんな…………」

 

 しかもなんでまーちゃんも満更じゃない感じなのよ‼︎くそっ、こうなったら…………私の実力を見せつけるしかない‼︎

 

「ぐすっ、うぇぇぇぇぇぇん‼︎」

「か、かなちゃん⁉︎」

「有馬…………っ⁉︎」

「まーちゃんがぁぁぁあ‼︎まーちゃんがぁぁぁぁあ‼︎」

 

 必殺、女の涙‼︎私が昔なんて呼ばれてたか………そう、10秒で泣ける天才子役‼︎いつでも泣けるように鍛えてんだ‼︎泣きの演技の場数が違うのよ‼︎

 

「有馬、落ち着いて………」

「じゃあまーちゃんはあかねをフってよぉぉぉぉ‼︎私と付き合ってよぉぉぉぉぉ‼︎」

「いや、それは、その………」

「かなちゃん、ごめん。マリンちゃんは私と結婚することになったから。いくらでも泣いていいけど、それで未来が変わることはないよ。」

 

 くそっ、なんで通用しないのよ‼︎まーちゃんはちょっと動揺してたのに、あかねのせいで台無しじゃん‼︎

 

「女を泣かせるとは………星野アクアマリン、これは死刑だな。」

「極上のシャルピー衝撃試験を用意しようか………」

「チンスピ、ウォシュレットシャンプー、燃え盛るローズヒップ、雪山のチンコブレーキ………どれがいい?」

「いいや、全部だろう。」

 

 アンタらはまーちゃんを殺さなくていいから!むしろ私とまーちゃんのランデブーだけを手伝ってくれたらいいから‼︎あと蔑称多すぎ‼︎まーちゃんやらかし過ぎでしょ‼︎

 

 そんな事を思っていると、

 

「有馬、話があるの。あかね、私に任せて。」

「マリンちゃん、お願いね。」

「やっと私と2人きりで話す気になってくれたのね、まーちゃん♡」

 

 まーちゃんと私の2人きりの時間がやってきた。これはチャンスね!酒殺(しゅさつ)して持ち帰るわよ!

 

 

 

 

 

 そして私たちはドアの外に出て、2人きりで話すことにした。

 

「まーちゃん………いや、あーくん♡私と付き合う気になった?」

「いや。星野マリンは黒川あかねと結婚する。これは変わらないわ。」

「えっ⁉︎」

 

 そうして期待してたのに…………まさかの事実。あーくん、そんな…………。やめてよ、フらないでよ………

 

「でもそれは、星野マリンとしての話。俺には星野アクアとしての名義というか、人格がある。」

「へ?」

 

 そんな事を思ってたら、急に地声に戻られて、しかも変な事を言われた。どういうこと?全然意味が分からないんだけど。

 

「星野マリン名義では、黒川あかねと結婚したことにする。でも世間一般的には、星野マリンと星野アクアは別人となっている。」

「つまり、星野アクアとしてはフリーだってこと?」

「ああ。この事実がある限り、俺が男の時間はあかねも俺に手を出しづらいはずだ。」

 

 なんと、そういうことなのね‼︎マリン名義でとりあえずあかねと結婚しておいて、別人扱いとなるアクア名義では自由になる、と‼︎そして男でいる間は自由、つまり………っ‼︎

 

「安心しろ、有馬。俺、星野アクアはフリーだ。」

「やったー‼︎それじゃあ私と付き合ってくれるのね⁉︎」

 

 私があーくんと付き合えるということ‼︎これで晴れて、長年の恋が身を結ぶわ‼︎諦めずに追い続けてよかった‼︎

 

「いや、それは無理だ。」

「は?」

 

 そんな事を思っていたら、あーくんがふざけた事を言い始めた。

 

「俺、星野アクアは自由でありたいからな。特定の恋人は作らずにまったり生きたい。恋人にならなくても、出来ることはいっぱいあるだろ?」

 

 まさか、色んな女の子と遊ぶために私をフるってこと……?そんなの許せるわけないじゃない‼︎アンタは必ず私のものになってもらうからね‼︎

 

「そんなのない‼︎」ガッ‼︎

「ちょっ、有馬⁉︎」ゴボゴボゴボゴボ

 

 こうして私はあーくんを手に持っていたスピリタスで酒殺し、

 

「かなちゃん!マリンちゃんと不倫するつもりだったでしょ‼︎」

「不倫………?何のことかしら?」

「さっき言った通り、私はマリンちゃんと結婚するって………」

「コイツ、星野マリン名義では結婚するけど、星野アクア名義では結婚しないって言ってたわよ。」

「へぇ〜、そういうことしようとしてたんだ〜。」

「これはお仕置きが必要ね。」

「そうだね、かなちゃん。」

 

 駆けつけたあかねと珍しく協力して、あーくんをシバいたのだった。

 

 

 

〜おまけ〜

 

 あーくんをシバいた後のこと………

 

「かなひゃ〜ん、ぎゅってひて〜♪///」

「あかね、アンタまた酔っ払ってるじゃない⁉︎」

「えへへ〜♡///」

「えへへ〜、じゃないのよ‼︎アンタ酒弱いんだから、無理して飲むなって言ってるのに‼︎全く、もう‼︎暑苦しい‼︎」

「かなひゃんが飲んでりゅと、わたひも飲みたくなっちゃうの〜♪///」

「アホか‼︎さっさと水飲んで寝なさい‼︎燃えない方の、ね‼︎」

「ひゃ〜い♪かなひゃん、しゅき♡///」

「うるっさいわね‼︎」

 

 やけ酒したいはずの私は、またしても酔っ払ったあかねの介抱をする羽目になったのだった。




へべれけ黒川あかね、何気に気に入っています。
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