酒の子   作:スピリタス3世

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この物語はフィクションです。
未成年の飲酒は法律で固く禁じられています。
またアルコールの強要、暴飲、
宴会での破廉恥な行為についても
それらを推奨する意図はありません。
あくまでギャグ物としてお読み下さい。


百二十杯目 拝啓 二股してもいいですか?

  アクア視点

 

 時は朝の6:30。いよいよあかねと決着をつける時が来た。位置情報は………

 

 

 

・逃走者

アクア 新千歳空港国内線ターミナル

 

・ハンター

あかね 新千歳空港国内線ターミナル

時田 不明

 

 

 

 あかねはJRの駅を降りたところ。そして時田は不明。恐らく朝イチの便でこっちに来るはずだ。到着予定時刻は8:00。それまでにあかねを倒して羽田行きの便に乗らないと………俺の負けだな。

 

 そしてここ新千歳空港は、電車やバスとの乗り換え場所は国内線ターミナルの1階と地下1階。国内線の出発口が地上2階。俺は時田の影響を考慮し、保安検査を通過した後の制限エリア内で待っていた。さああかね、来い‼︎

 

「アクアくん、おはよう。今日は逃げも隠れもしないんだね。」

「ああ。お前相手に小細工は通用しないからな。」

「そう。」

 

 そして、奴がやってきた。黒川あかね。彼女の放つ圧倒的な殺気に、思わず尻込みをしてしまう。俺はこの怪物に勝てるのだろうか………

 

「じゃあ、死んで。」

「やれるもんならやってみろ、黒川あかね‼︎」

 

 だが、ここで引いたら負けだ。やられっぱなしで、黙ってられるか‼︎今日こそはこの鬼神を倒して、最高のゴローライフを迎えるんだ!そう誓い、俺とあかねの最終決戦は始まった。

 

 まずはあかねが近づいてくる………っ‼︎ならば避けて………ボールを投げる‼︎

 

「遅い‼︎」

 

 その瞬間立ち止まり、ボールを避けるあかね。ボールのストックは残り1個。幸い今投げたやつを取ればまた使えるが………どう動こうか?

 

「死ね!」

「死んでたまるか!」

 

 そして、急に方向を変え近づくあかね。これも横に避け………って速っ‼︎危ねえ‼︎間一髪のところだった‼︎

 

「ぐっ…………!」

 

 なのに………っ、痛え‼︎当たってないのにこの威力だと⁉︎手を動かしただけで衝撃波を発生させられるのか⁉︎なんて女なんだっ‼︎

 

「よろけたね、アクアくん!」

 

 そして、すぐさま方向を変えて俺に突っ込んでくるあかね。マズい………が、チャンスでもある‼︎突進の姿勢なら、ボールも避けにくい‼︎だからあかねに向かってボールを投げて………

 

「よっ………!」

 

 スライディングだと⁉︎姿勢を低くしてボールを避けたのか‼︎マズいっ‼︎とりあえずジャンプして、あっちに落ちてるボールを拾う‼︎

 

「避けなくていいのに。」

「それは無理………だっ‼︎」

 

 とりあえず避けて、なんとか片方のボールを拾ったが…………くそっ、これだけで息が上がる‼︎どこまで差があるんだよ、俺とあかねには‼︎相手はこれでも丸腰だぞ‼︎

 

「ほら、投げてきなよ?当てたらクリアでしょ?」

「はぁっ………うるせえ………っ!」

「私も手に何か持って来ればよかったな〜。そしたらあのボールをどこか遠くにやれたのに。」

「怠慢だな、黒川あかね……っ‼︎俺に勝てるとでも思ったか‼︎」

「だって保安検査に引っかかるもん。」

「そりゃそうか………」

 

 マジで制限エリア内にしといてよかった。棒とか使ってボールをどかされたら即終了だったな。丸腰対決とかすぐに捕まるし。

 

 そして、ボールのうち片方はずっと手に持っておこう。牽制用に。もちろんもう一個が投げる用。そして至近距離になったタイミングで当てる。これしかない‼︎

 

「まあ、靴を使って飛ばすけどね。」シュルルルル!

「あっ………!」

 

 しまった!あかねが自分の靴をボールに当てて、そのボールを遠くに飛ばしやがった‼︎くそっ、これじゃあボール1個じゃねえか!しかも補充しようにも、空自の千歳基地の正門は地味に遠い*1‼︎その間に時田に来られて終いだ‼︎

 

「これで残り1つ………」

「くそがっ………‼︎」

「さあ、観念しな。」

 

 そして、自分が飛ばした靴を取って履き直すあかね。マズい、このままだと高速タックルが飛んでくる‼︎すぐに横に避けないと‼︎

 

「遅い………っ‼︎」

 

 危なっ‼︎あと少しでアイツが伸ばした手に当たるとこだった‼︎なんなんだよ、コイツ‼︎

 

「くそっ、いい加減諦めろ‼︎」

「それは無理だよ。」

 

 全く、なんでこんなに意地張るんだよ‼︎昔から頑固なところはあったけど‼︎そろそろ諦めてくれたらいいのに‼︎

 

「だってアクアくんのこと、好きなんだもん。」

「じゃあ俺の好きなようにやらせろよ‼︎」

「そしたら浮気するじゃん。私が彼女なんじゃないの⁉︎かなちゃんにもちょっかいかけて、何がしたいの⁉︎」

「有馬にも言ったけど、俺は2人を選ぶだけだ‼︎本気が2つあるだけ‼︎浮気じゃない‼︎」

「そんなの認められない‼︎」

「わがままだなっ‼︎」

「わがままはアクアくんも同じ!仮にかなちゃんと二股するとして、更に好きな人が出来たら⁉︎」

「それはその時考えればいいだろ‼︎今考えるとことじゃない‼︎」

「今考えることだよ‼︎」

 

 一番がいっぱいあったっていいだろ‼︎同率一位って言葉はこの時のためにあるんじゃないのか⁉︎それに昔は日本は一夫多妻制だったろ‼︎なんでそこまでこだわるんだ⁉︎

 

「とにかく、アクアくんのその考えは受け入れられない。」

「そうか。じゃあ別れたらどうだ?」

「それも出来ない。だから私はあなたを殺す‼︎」

「支離滅裂だな、黒川あかね‼︎」

 

 とりあえず、また来る‼︎その時に備えて、予め横に避け………

 

「アクアくんの動きは読めてるんだよ‼︎」

 

 なにっ‼︎俺が避けた方向に突っ込んで来やがった‼︎マズい、このままだと当たる‼︎ひとまず、凄まじいジャンプで………

 

「それも無駄っ‼︎」

 

 急に姿勢を起こした‼︎マズい、このままだと当たる‼︎ならばボールを………

 

「当たらないようにすれば………っ!」

 

 真っ直ぐ投げたら絶対に避けられる‼︎だから一か八か‼︎ボールを地面に投げて、バウンドさせてあかねに当てる‼︎

 

「なっ、反射⁉︎」

「そうだ、これでお前の負けだ‼︎」

「先に触れれば問題なし‼︎」

「なにっ…………⁉︎」

 

 奴の手が俺の身体に触れる前に‼︎頼む神様、俺に勝たせてくれ………っ!どうかどうか、お願いだ………っ‼︎頼むから………っ‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『あかねがアクたんに触れる前にボールに当たったので、アクたんの勝ち!』

『ということで、あかねはアウトね。』

 

 良かった………。勝った………っ!この俺が、あのあかねに、初めて勝った‼︎

 

「しゃぁぁぁぁぁ‼︎」

「あーあ、負けちゃった〜。」

 

 これで自由だ………っ‼︎ついに解禁される………っ‼︎海外で、2週間のゴローライフ‼︎しかもあかね達の制裁を受けることのない、完全な自由‼︎

 

「あかね、止めたらルール違反だからな。」

「分かってるって、アクアくん。」

「それじゃあ、ちょっと海外行ってくるぜ。」

「いってらっしゃい、アクアくん。」

 

 姫川さんに騙された時は、世界が終わるくらい頭が真っ白になった。女遊び旅行の詳細があかねにバラされる。これは死以外の何物でもなかった。そして鬼ごっこ開始。絶望の最中、次々と投入される恐ろしいハンターたちや足を引っ張る逃走者たちを相手に、時に騙し、時に戦い、僅かな希望を夢見て逃げ抜いてきた。その結果、とうとう掴むことができた。最高の海外ゴローライフ賞金付き。この時のために頑張ってきたんだ。そう思うと、思わず嬉し涙が出てしまった。

 

 そして俺は、一度羽田に行って時田と行き違いになり、1時間待機した後、いざ海外・ヨーロッパへと旅立った。

 

『アクたんが国境を越えたので、彼の勝利となります!』

『地獄の鬼ごっこを潜り抜けてきた褒美を称し、盛大なプレゼントとして、賞金2,000万円と2週間の自由をお送りします!』

 

 memと浜岡のアナウンスが、とても心地よい。そんな瞬間だった。

 

 

 

 

 その後俺は2週間、ヨーロッパで快適なゴローライフを楽しんだ。色んな国を回り、色んな女の子と出会い、そしてかけがえのない時間を過ごした。前世と合わせても、これほどまでに楽しい時はなかった。そう思ったご褒美だった。

 

 そして俺はいよいよ、日本に帰ってきた。

 

「楽しかったな。」

 

 ふとそう呟き、空港の到着ロビーに着くと…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アクアくんには、これから地獄に堕ちてもらいます。」

「2週間経ったら何してもいいからね!」

「覚悟しなさい、二股糞野郎‼︎」

「「「「「俺たちが味わった分の苦しみも添えてやるよ‼︎」」」」」

 

 あかね・有馬・ルビーや、共に戦った友達(てき)が待っていた。

 

「嫌だぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」

「「「「「逝ってらっしゃいませ‼︎」」」」」

 

 こうして、『日本全国逃げ惑え!地獄の鬼ごっこ』は、かつてないほどのリンチを受けて幕を閉じたのだった。

 

 

 

 

  アイ視点

 

 なんと、アクアが私に会いに来たよ!

 

「えっ、アクア⁉︎なんで⁉︎」

「あかねに殺されたからな。」

「も〜、ダメだよ!浮気なんかしゃ〜!めっ!」

「浮気じゃない。ただ海外で遊んでただけ。現地で会った女の子と。」

「それ、じゅ〜ぶん浮気だからね⁉︎」

 

 浮気して殺されるって、本当に何してんの⁉︎せっかく生き延びたのに〜!う〜ん、もったいない!

 

「あっ、あかねからの呼び出しだ。」

「うわっ、地面からめっちゃ手が生えてきた!」

「アイツ死者蘇生出来るからな。」

「凄くない⁉︎本当に人の子⁉︎」

「そうらしい。」

 

 しかも彼女はネクロマンサーに。本当に大丈夫なのかなぁ⁉︎

 

「じゃ、また来るよ、アイ。」

「うん、分かった………って、また浮気する気じゃん‼︎」

「気のせい気のせい。」

「私の目を見て話して!」

 

 そんな事を思いながら、私はアクアとの久々の再会を終えたのだった。

*1
国内線ターミナルからだと、歩いて2時間くらい




ということで、鬼ごっこ編はこれにて終了です!読んで下さり、ありがとうございました‼︎
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