酒の子   作:スピリタス3世

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この物語はフィクションです。
未成年の飲酒は法律で固く禁じられています。
またアルコールの強要、暴飲、
宴会での破廉恥な行為についても
それらを推奨する意図はありません。
あくまでギャグ物としてお読み下さい。



十四杯目 星野アクアの受難/手紙

  side アクア

 

 北原が飲み会の買い出しに行ってる間、俺は部屋で待ってたのだが………

 

「ダメだ、暑すぎて耐えられねえ………」

 

 あまりの季節外れの暑さに絶望していた。俺と北原の部屋は取り壊し予定離れにある。そして、取り壊し予定ということはボロい。なので、部屋のエアコンがぶっ壊れていても不思議ではない。それは分かるんだが、いざ自分がこうなると腹立たしいものがある。

 

 

 

 さてどうする、この暑さ。アイスはもう食っちまったし、何か冷たいものは…………あるじゃないか!冷凍庫でも凍らない酒、スピリタスが‼︎しかし、酒を飲んで身体が冷えるかは微妙だし………

 

 ん?待てよ?この大きめの口径………使えるな‼︎

 

 

 

 

  side 伊織

 

 俺たちが買い出しに行ってる中、アクアから連絡が来た。

 

「あっ、あーくんからだ!私出ていい?」

「まあいいけど。」

「やった〜♪」

「お前本当に星野好きだな。」

「諦めない心、私も見習うわ!」

「頑張って。」

 

 だが、重曹が出ることになった。コイツどんだけアクアのこと好きなんだよ。アイツにお前が惚れるほどの価値があるとは思えないが………

 

『すまん北原。』

『なぁに、あーくん?』

『有馬が出てるのか。まあいい。』

『まあいいって何よ⁉︎』

『それより大変だ。スピリタスが飲めなくなっちまった。』

 

 なんだと⁉︎あの野郎、まさか………っ⁉︎

 

『はぁ⁉︎私のスピリタスを1人で飲んだってわけ⁉︎』

『おいおい、先駆けとは許せないなぁ⁉︎』

『有馬に今村、そうじゃない。』

『なら(こぼ)したんか?』

『そうでもない。』

 

 飲み切ったわけでもなく、こぼしたわけでもない。それじゃあ一体………?

 

『それじゃあ何だよ?』

『それだけは言えない。ただ俺も未熟だったってわけだ。』

 

 何言ってんだ、アイツ?頭おかしくなったのか?いや、元からか………

 

『それじゃあまた。』プツッ

 

 電話切れちまったし。ったく、追加で買わなきゃいけねえじゃねえか。めんどくさいなぁ‼︎

 

 

 

 

 

  side アクア

 

 ヤバい、やらかした。

 

俺のチンコにスピリタスがすっぽりハマっちまった。

 

 股間を冷やすと熱中症対策になるという、なまじ前世の医者知識を変に使ったせいだ。とりあえず抜かないと………

 

 ヤバい、抜けない。マズい、マズいぞ‼︎アルコールは胃や小腸の粘膜を通じて血中へと取り込まれる。そして胃の中ではゆっくりと吸収されるが、小腸などの粘膜だとその速度は飛躍的に速くなり、血中アルコール濃度も爆発的に高まる。要は粘膜摂取は経口摂取に比べて異常なまでに酔いやすいのである。つまり…………

 

チンコから酒を飲むと爆速で酔っ払う‼︎

 

 だから早く外さなきゃいけないのに……っ!ヤバい、酔って手元がおぼつかない‼︎

 

「おい、帰って来たぞ、アクア。」

「いいから素直に飲んじまったと白状しろ。」

 

 ヤバい、奴らが帰って来た‼︎マズいぞこれは‼︎こんな姿、見られるわけにはいかない………っ‼︎

 

「にしてもアツいね〜。」

「そうだね。マリンも大丈夫かな?」

「アイツは……まあ大丈夫でしょ!」

 

 しかも、今日暑いから女性陣が薄着してる‼︎吉原に古手川に有馬がここから遠目で見えるけど………っ‼︎ヤバい、興奮すると表面積がデカくなっちまう‼︎ぐわぁぁぁぁぁぁぁ‼︎アルコールがぁぁぁ、身体の中にぃぃぃぃぃ‼︎

 

 

 

  

  side 伊織

 

 部屋に戻ると、そこにはチンコにスピリタスをハメて死んだアクアがいた。面白かったので、記念に写真を撮っておいた。後でこれを使って揺さぶろう。

 

「あーくん、ホント何してんの………」

「私の憧れた役者は変態だった………っ‼︎」

「マリンになっちゃえば良かったのに。」

 

 そして、女性陣もドン引きしたのでヨシ‼︎まさかここまで綺麗に自滅するとはな………。ざまあみやがれ‼︎

 

 

 

 

 

  

  side アクア

 

 俺がチンコにスピリタス、略してチンスピして死んでから数日が経たったある日のこと。

 

「この手紙は……?」

「妹の栞からだな。」

 

 どうやら北原の妹から北原宛に手紙が届いたようだ。どれどれ、一緒に読むか。

 

『拝啓 兄様

青葉若葉のみぎり、いかがお過ごしでしょうか?こちらは沢桔梗や禅庭花が色付き、山は早くも夏の装いです。兄様が大学生になってから早二ヶ月、奈々華姉様や千紗姉様、登志夫叔父様に迷惑をおかけしていないでしょうか。直向きに勉学を修めているでしょうか?栞は心配です。父様と母様も言葉にしておりませんが心配しております。本当は帰省して欲しいのですが、叶わないなら近況だけでも教えて下さい。兄様のお返事、楽しみにしています。 敬具

追伸 反物の残り布で人形を作ってみました。それを栞と思って飾って貰えたら嬉しいです。』

 

 その文章は、あまりにも洗練されていた。本当に血のつながりがあるのか疑問に思うような、そんな完璧な文章だった。

 

「なあ、コイツ本当にお前の妹か?」

「一応な。頭良すぎて俺もビビってるわ。」

「お前が妹の出涸らしだったりして。」

「黙れ星野チンスピアクアマリン。」

 

 俺もルビーとは似てなさすぎて驚くことがあるけど、北原家のはそれ以上だ。なまじ本人がバカなだけに。

 

「んで、お返しの手紙は書いたのか?」

「いや、今回は書かない。」

「なんでだよ?」

「便りがないのは元気な証拠って言うだろ?」

「それはそうだが………」

 

 それ、よく言われるけど俺はそう思わないんだよな。普通に心配になる。だから俺もルビーとは定期的にやりとりしてる。もっとも、今の惨状は全て隠してるけど。

 

 それに、北原に届くということは従兄弟の古手川にも届くということ。代わりに古手川が書いてくれる、というのもあるのか。

 

「古手川、北原が妹への返信任せたって。」

「分かった、今の惨状を全て伝えておく。」

「それだけはやめてくれ‼︎」

「ならお前が書け。」

「分かったよ………」

 

 ただ、書く方が絶対にいい。北原の妹もそれで喜ぶだろう。

 

 

 

 さてと、しばらく経ったな。北原は手紙を書けたのか………?

 

『拝啓 栞へ

こっちももう直ぐ夏です。

伊織より。』

 

 その文章は、あまりにもお粗末だった。

 

「本文どこいった⁉︎」

「じ、時候の挨拶が浮かばなかったんだよ‼︎」

「なら前略とか使えば?」

「なるほど、それはいいな。」

 

 さてと、これでどうなる…………?

 

『前略

中略

後略』

 

 余計酷くなった。

 

「何も書いてねえだろ‼︎」

「全略のが良かったか?」

「アホか!」

「もう書いちゃうよ。」

「待ってくれ千紗‼︎」

 

 逆に、こんなバカでも書ける手紙って何かあるか……?そうだ、こうするか。

 

「ならお題を出して、それに沿って書けば?」

「分かった、マリン。それじゃあサークル活動、学校の勉強、私生活について。」

「OK、嘘偽りない報告をしよう。」

 

 さてと、どうなるか………?

 

『栞へ

俺は今、Peek a Booというダイビングのサークルに入っている。ここの皆はとても紳士的で、飾らない自分を表現する方法を教えてくれた。』

 

 服で飾らない自分、要するに全裸だな。

 

『大学の勉強は中学や高校とは全然違っていて驚いている。テストの内容は難しいが、誰もが努力を重ね入念に準備をしている。今や俺たちは専門知識と技術を用いるスペシャリストだ。』

 

 カンニングのスペシャリストだな。野島はワンナイとかいう、腕の内側にカンペを貼り付ける手法を生み出してたっけ。汗で滲んで見えずに自滅したが。

 

『私生活については書くことが何も無いくらいだ。』

 

 嘘つけ。

 

『毎日規則正しい生活をして、』

 

 いつもきっかり1時間遅刻してるな。

 

『不衛生な服など着ていないし、』

 

 衛生的な服も着てないな。

 

『時には刺激のある毎日を過ごしている。』

 

 非リアからの拷問という刺激がな。

 

『うまくやっているから心配いらない。父さんと母さんにもよろしく伝えておいてくれ。伊織より。』

 

 うん、めちゃくちゃ心配だ。ただ、これで表面は取り繕えたか。

 

「それにしても、今時手紙なんて珍しいな。」

「だろ。妹はめちゃくちゃ機械音痴でな。」

「そういうことか。」

 

 にしても、スマホ社会と言われる現代で機械音痴とは珍しい。これだけ頭のいい妹だ、正直嘘をついていてもおかしくはない。まあ嘘ついてた方が面白いし、北原を騙せるからいいけど。

 

 さあ、俺もルビーからの連絡に返信するか。ちゃんとした大学生活を送ってるって伝えておこう。

 

 

 

 

 

 

  side ルビー

 

 私は今日、電車の中である女の子とばったり遭遇した。

 

「お姉さんもPeek a Booへ向かうんですか?」

「そうだよ栞ちゃん!私あそこにお兄ちゃんがいてね〜。」

「奇遇ですね。私もですよ、ルビーさん。」

 

 北原栞ちゃん。とってもお淑やかで可愛らしい女の子だ。私は今日からこの子と一緒に、超超超心配なお兄ちゃんの様子を見に行くよ〜‼︎




というわけで、第四章は7巻の栞の話になります。ルビーもいよいよ登場、お楽しみに!
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