酒の子   作:スピリタス3世

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この物語はフィクションです。
未成年の飲酒は法律で固く禁じられています。
またアルコールの強要、暴飲、
宴会での破廉恥な行為についても
それらを推奨する意図はありません。
あくまでギャグ物としてお読み下さい。


十八杯目 兄たちの奮闘

  side アクア

 

 さてと、いよいよここが正念場。耐えるぞ北原、一緒にな。

 

 また、先輩らとは離れた場所で、俺たち兄妹は飲んでいる。あの光景を見せられたら一発アウトだしな。男女平等酒盛り野球拳とか、普通に考えて見せられるわけがない。

 

 さてと、俺たちは………

 

「それにしても北原、ウーロン茶は美味いな。」

「そうだなアクア。俺たち服も着ているし、兄として立派だよな。」

「だな。」

 

 とりあえず普通にソフドリを飲んで、普通に服を着る。これでアイツらの目に立派な兄として映るだろう。

 

「いや、それ普通だよね?誇れることじゃなくない?」

「「え゛っ⁉︎」」

 

 普通………だとっ⁉︎せっかくこっちが酒の席にも関わらず服を着て、こんなに重苦しい思いをしているのに………っ‼︎

 

「ルビーさん、あのウーロン茶火がつくらしいですよ。」

「どれどれ……あっ、本当だ……ってなんで⁉︎」

「可燃性なんだろ。」

「色はウーロン茶なんだから気にするな。」

「色で飲み物は区別しなくない⁉︎」

「ただし栞は飲むな。」

「それって大部分がアルコールってことですよね?」

「「気のせいだ。」」

 

 しかもなんで栞は火がつくの知ってるんだよ⁉︎やっぱコイツ監視カメラ付けてんだろ‼︎

 

「もう、お兄ちゃんがお酒好きなのは分かったからさ〜。」

 

 マズいな。これではアル中なのが隠せない。ならば奴の中の酒好きのイメージを変えさせる‼︎

 

「ルビー、お前が思っている酒好きと俺は違う。」

「どういうこと?」

「俺はオシャレに酒を嗜むタイプだ。ここの連中もそういう奴らが多くてな。カクテルとか混ぜていい感じに楽しむんだ。」

「すごいふわっとした言い方だね。」

 

 これでよし。世の中にはお酒を嗜むタイプの人間もいる。現に芸能界はそういう人間も多い。そして、俺をそっち側の人間だと思わせられれば………醜態は隠せるだろう。

 

「ならスクリュードライバーとかある?私あれ好きなんだよね〜♪」

 

 なるほど、スクリュードライバーだな。

 

「北原、作るぞ。」

「OK、アクア。」

 

 いっちょバーテンになったつもりで作るとするか。さてさて、スクリュードライバーは………水と氷とスクリュードライバー(ねじまわし)だな。

 

「お待たせ、ルビー。」

「ちょっと待て。」

 

 ん?なんでコイツは不服そうな顔なんだ?

 

「どうしたルビー?」

「どうした、じゃないでしょ‼︎明らかにおかしいじゃん‼︎」

「アクア、マイナスドライバーの間違いじゃないか?」

「それか精密ドライバーとか………?」

「そうじゃないっつーの‼︎」

「兄様、星野先輩………」

 

 どうやらルビーはお気に召さなかったようだ。

 

「なら変える!モスコミュールで‼︎」

 

 なるほど、モスが苔でコミュがコミュニティーの略、つまり集団だから…………

 

「「マリモ‼︎」」

「何の話⁉︎全然違うんだけど⁉︎」

 

 くそっ、違うのか………。これはマズいな。最近はスピリタスしかほとんど飲んでないからな。昔はおそらく分かったのだろう。身体が成長していくにつれ、精神の方が身体と環境に適合していく。どんどんと、「水」と「スピリタス」の境目が無くなっていく。それはつまり、ソフドリでもアルコールでも、水とスピリタスの間の度数(0〜96%)のものは区別がつかなくなってくることになる。

 

 

 

 まあいい、ここはアプローチを変えよう。アイツらに昼飯を作ってもらったお礼にお返しをして、立派な兄を演じるか。

 

「それは置いといて、」

「おいとくなぁぁぁ‼︎」

「今からお前にたこ焼きを作る。」

「うちのサークルに伝わる、伝統的なたこ焼きだ。」

「えっ、それ大丈夫なの………?」

「とりあえず見てみましょう。」

「栞は料理酒の関係でダメだ。」

「そうですか………」

「たこ焼きに料理酒要る⁉︎」

 

 さてと、PaB式たこ焼きでも作るか………

 

「よしっ。それじゃあ今回は簡単、PaB式たこ焼きを作ろうと思う。」

「北原、それは素敵だな。」

「作り方は簡単!たこ焼き粉を適量、卵を適量、そして水を大量に入れるぞ!」

「北原、揮発したアルコールで涙が止まらないんだが。」

「タマネギを刻んでると思って諦めろ。」

「北原、アルコールで生地が分離して、うまくたこ焼き器に流れないんだが………」

「だから早くやれと言ったのに。あとこの生地、超焦げやすいから注意な。」

 

 そんなこんなでたこ焼きが完成した。見た目は真っ黒コゲのゲテモノ、しかもあまりの水分のなさにパサパサしている。まるで炭が燃えた後のカスが泥まみれになったかのよう。しかもこのたこ焼き、推定アルコール度数は恐らく40%を超えるだろう。

 

「「はい、どうぞ。」」

「なんていうか、酷いね‼︎」

 

 どうやら評価は最低みたいだ。

 

 

 

 

 

  side ルビー

 

 確信した。やはりお兄ちゃんの生活はダメだ。

 

「「くっ…………」」

「はいは〜い!私が介抱するね〜!」

 

 しかも潰れてmemちょに介抱されるという。

 

「あの、ルビーさん。見てほしい映像があるのですが………」

「どれどれ、栞ちゃん?」

 

 更には栞ちゃんから見せてもらった映像。そこには股間に酒瓶をハメて死ぬお兄ちゃんが映っていた*1。この瞬間、私はお兄ちゃんが隠したかったものが全てわかった。

 

「これは帰ったら説教だね。」

「ですね。一緒に兄を連れて帰りましょう。」

 

 そして、私の心は決まった。この兄を真人間に戻さなければ。ミヤエモンに報告して、強制送還させないと………

 

 

 

 

 ということで、私はまずB小町のメンバーに話をつけることにした。

 

「ねえ2人とも、お兄ちゃんがこんなことになってるなんて知らなかったんだけど。説明してくれる?」

「ルビー、慣れたら普通よ。」

「慣れるな、天才子役‼︎」

 

 どうやらロリ先輩は手遅れの様子。まあこの人はチョロいからいいとして………

 

「まさかmemちょまでこうなってるとは………」

 

 意外としっかり者で信頼できるmemちょが、お兄ちゃんの惨状をずっと黙ってたことだ。なんなら彼女自身がこのサークルに2年もいることが、正直信じられない。さっきもお兄ちゃんと伊織君を見て不思議に思ってなかったし。

 

「ごめんね〜、アクたんに口止めされてて〜。私は別に話してもいいと思ったんだけどね〜。」

「話してもいいの、この惨状⁉︎」

 

 どうやらmemちょも変わってしまったらしい………

 

「本人が楽しそうだからいいかな〜、って。ずっとアクたん苦しそうだったでしょ?だけど今は吹っ切れてさ。確かに堕落はしてるけど、友達と楽しくワイワイやれてるからいいかな〜、って思ってね!」

 

 そして、お兄ちゃんも変わったらしい。だけど、悪い意味では無いような。

 

「あーくんが楽しそうなの、アンタなら分かるでしょ?」

「う、うん………まあ………」

 

 確かに、お兄ちゃんはずっと復讐のことで頭がいっぱいだった。いつも何か考えこんでいて、心から吹っ切れたことが無かった。そんな人が後先何も考えずに、友達と楽しそうに時を過ごす。それは確かに、悪くないのかも………

 

「というか、アンタはまだPaBじゃないから分からないのよ、この楽しさ。」

 

 そりゃ、私はここの人間じゃないもの。楽しさなんて分かるわけ………

 

「一緒に私たちと楽しも♪」

「ほら、入会届け。早く名前書きなさい。」

 

 そんなことを思っていると、彼女らから入会届を渡された。私でも、楽しめるのかな………?楽しんでいいのかな……っ!

 

「でも、私仕事忙しいし………」

「喧嘩売ってんのか、コラ。」

「好きな時にたまに来るでいいからさ〜♪」

「ホント………?」

「「もちろん‼︎」」

 

 楽しそうなお兄ちゃんの姿、そして楽しそうな皆の姿。それを歓迎するかのような、綺麗で暖かい海。前世ではダイビングで動き回るなんて、ましてやお酒を飲むなんて考えられもしなかった。それほど身体も動かなかったし、成人まで8年という月日は病弱な私にとってあまりにも長過ぎたから。だけど今は違う。こうして皆と………楽しんでいいんだっ‼︎

 

「分かった、私も入る!」

「やった〜‼︎」

「ようこそ。またアンタの先輩になるわね。」

「いや、同級生でいいでしょ。」

「なんだとコラ‼︎」

 

 こうして、私はPaBに入会し、

 

「あっ、でも、お兄ちゃんの股間スピリタスは報告するから。それを踏まえて、更生させるところはさせるね♪」

「アンタ知ってたの⁉︎」

「股間スピリタス⁉︎何それ私知らない⁉︎」

「そういや3年生は知らなかったわね。」

 

 お兄ちゃんを楽しませつつも、更生させることを決意した。

 

 

 

 

 とはいえ、私も多忙の身。すぐに翌日栞ちゃんと帰ることに。

 

「どうだった、伊豆……というか伊織君?」

「知りませんよ、あんな馬鹿兄様……っ///」

「そんな寂しそうに言わなくても〜♪」

 

 どうやら北原兄妹も前より仲良くなれた様子*2。これはいいことだ。

 

「おいルビー、何で俺が縛られて電車に乗ってるんだ?」

 

 そして、私はお兄ちゃんを一旦強制送還させることにした。現状をミヤエモンに報告させるというミッションのために。

 

「事情聴取だよ、お兄ちゃん!」

「そうか………全裸で土下座すれば、許してくれるか?」

「もしそうしたら、本当に軽蔑するよ?」

「そうか………ならみやこさんに何て言おう………」

「洗いざらい全て吐き出すこと!いい?」

「ああ…………」

 

 もちろん、それが終わったらPaBに帰してあげるけどね。私は優しいから‼︎

 

 

 

 

 そんなことを思っていると、

 

「そういや、もうすぐ近くの青海女子大で学祭が行われるらしいですね。」

 

 栞ちゃんが変なことを言い始めた。

 

「そうなんだ〜。」

「栞、なんでそれ知ってるんだ?俺も知らなかっんだが………」

「昨日今村先輩から魔法少女ららこたんについて熱弁されまして………。どうやらその声優さんがライブに来るみたいです。」

「ああ、水樹カヤか。」

「あの人人気だもんね〜。」

 

 まあ、耕平君なら言っててもおかしくないか。にしても青海女子大の学祭ね〜。確か愛菜ちゃんや梓さんが通ってるんだっけ。仕事無かったら行ってみよっかな〜?

 

 

 

  side アクア

 

 俺の努力は失敗に終わり、帰省した先でみやこさんに白状することになった。

 

「で、俺をどうするつもりだ?」

「いい、朝だけはちゃんと起きて決まった時間に大学行くこと。」

「分かった。」

「あと登校前に電話して。それで起きてるか確認するから。もし無かったら1日1万円給料ピンハネ、いい?」

「マジで分かった。絶対に守るよ。」

 

 そして、キツイ罰を言い渡された。最悪だ………

 

 まあいいや。次の青女祭でゴローとしてはっちゃけるとするか!

*1
伊織とアクアが同室のため、栞のカメラに映っている。

*2
原作と同じ。何も見抜いてないと思った伊織が、実は栞が旅館を継ぎたくないのを気づいてた話。なんだかんだ泣いて家を飛び出た栞を見つけたりと、いいお兄ちゃんしてた伊織。




というわけで、次回から青女祭になります。よろしくお願いします。
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