酒の子   作:スピリタス3世

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この物語はフィクションです。
未成年の飲酒は法律で固く禁じられています。
またアルコールの強要、暴飲、
宴会での破廉恥な行為についても
それらを推奨する意図はありません。
あくまでギャグ物としてお読み下さい。



二杯目 三人目の馬鹿

  side アクア

 

 ガイダンスの翌日、俺たち3人はパンイチトリオとして早くも話題になっていた。

 

「みてみて、あの人たち〜!ほぼ全裸だよ〜!」

「うわ〜、変態じゃん!」

「顔はいいのに、他が最悪だな。」

「近寄らないでおこう。」

 

 別に華々しい大学生活なんて期待していたわけじゃない。なのに、これはあんまりじゃないか………?

 

「おい、お前ら。」

「どうした、星野愛久愛海?」

「なんだね、星野愛久愛海?」

「その名で呼ぶな。アクアにしろ。」

「「マジかよ。」」

「それで、この惨状はどういうことだ?」

「自分の服見れば分かるだろ?」

「その服が無いんだな。」

「確かに。」

 

 しかも隣にいる2人は、フルネームすら知らない男たち。同級生くらいの情報しかない。なんせ、自己紹介する前に潰れたからな。

 

「お前らの名前教えてくれよ。俺まだ知らないんだ。」

「分かった。俺は北原伊織。お前と同じ1年だ。彼女を作りに大学に来た。」

「俺は今村耕平。俺を中心とした、二次元美少女サークルを作りに大学に来た。」

「そうか。俺は知っての通り、星野アクアだ。」

「「よろしく。」」

 

 なるほどな。黒髪変態が北原で、金髪オタクが今村か。どうやら役者としての俺を知らないみたい。それは安心した。あと、どっちもろくでもない奴らみたいだ。昨日の見た目通りだったな。

 

 

 

 

 それにしても、俺は今ある問題を抱えている。消えた服の在り方もそうだが、何しろ家の場所が分からないんだ。本当は昨日memから教わって、ガイダンスの帰りに行くところだった。だが学校で記憶を失ったせいで、それが出来なかったのだ。しかもmemらが普段どこで活動してるのかも知らない。携帯の充電もとうに切れており、奴と連絡すら取ることが出来ない。

 

「なあお前ら、俺の家知らねえか?」

「知るわけないだろ。家は勝手に歩いて消えないぞ。」

「今村、そうじゃねえ。本当は昨日初めて家に行く予定だったんだ。」

「じゃあ何があったんだよ?」

「お前らと同じだよ‼︎」

 

 そして、同級生は全く頼りにならない。

 

「とりあえずPaBの活動場所に行くか。そこでmem先輩が教えてくれんだろ。」

「北原、お前知ってるのか?」

「当たり前だ。」

 

 と思ったら、意外にも頼れる。

 

「俺は初日にそこで洗礼を受けたんだ。」

「うわ〜、行きたくね〜。」

「俺も同感だ。」

 

 洗礼ってなんだよ。まさかアレを一昨日も受けたのか。それならろくな場所じゃないだろう。ただ、memに聞かないことには話にならない。とりあえず行くか………

 

「ただ、俺は家に帰りたい。すまないが北原、PaBのところに連れて行ってくれ。」

「………報酬は?」

「大人気YouTuberの半裸写真で。」

「待て。俺にも手伝わせろ。」

「手を打とう。今村も来い。」

 

 それにしても、相変わらず下衆な連中だな。ぴえヨンの裸体でも送ってやるか。

 

 

 

 

 そうして、俺が北原に案内された場所は、ダイビングショップ『Grand Blue』だった。

 

「そうか。あそこ一応ダイビングサークルだったな。」

「俺も知らなかった。」

「一応ってなんだ。俺もまだ潜ってないけど。」

 

 昨日の様子から、ただのバカサーだと思ったんだが………。一応ダイビングもやってるらしい。信じられないが。

 

 そして、店の扉を開けると………

 

 

 

 

 

 

 

「「「「誰もが、服奪われてく‼︎君は、完璧で究極のアルコール‼︎」」」」

 

 昨日の連中が大声で叫びながら、酒盛り野球拳をしていた。

 

「「失礼しました。」」

「おい待て、帰るな。これがここの日常茶飯事だ。」

「嘘だろ………」

「これが北原が伊豆に来て最初に見た景色か………」

「残念ながらその通りだ。」

 

 なんでダイビングショップで堂々と服脱いでんだよ。確かに外には閉店の文字出てたけど。潜り過ぎて陸と海の区別がつかなくなったのか?

 

「おっ、アクたんにいおりんにこうち〜ん!早速飲みに来たんだね!偉い偉い‼︎」

「「ありがとうございます‼︎」」

 

 memちょに褒められて鼻の下伸ばすな、馬鹿ども。

 

「おいmem。よくも俺を騙したな。」

「まあまあ落ち着いて、アクたん。とりあえず水飲む?」

「火がつかないやつならな。」

「そんなのあるの⁉︎」

「あるだろ‼︎」

 

 コイツだって奴らと同じ、アル中なんだぞ?

 

 まあいいや。とりあえず部屋を案内してもらおう。話はそれからだ。

 

「色々聞きたいことはあるが、まず俺の部屋を教えてくれ。」

「分かった分かった!それじゃあ案内するね〜。」

「ついでに俺の分も頼みます。」

「北原、お前は来んな。」

「俺も知らねえんだよ、自分の部屋。伊豆に来て3日目だけど。」

「嘘だろ………」

「奈々ちゃん*1から聞いてるよ〜。いおりんもこっち来て〜!」

「はい!」

 

 俺より先に伊豆に来たのに、俺と同様自室を知らない。それだけで、このサークルにヤバさを感じる。

 

「それじゃあ俺は帰るとするか。」

「こうちんはトッキーとブッキーが話しあるって!」

「マジですか?」

「待て耕平。」

「野球拳がまだだろう?」

「やめろ〜、助けてくれぇ〜‼︎」

「「Vamos‼︎」」

 

 ちなみに今村は先輩らに拉致された。きっと数分後には、身ぐるみを剥がされているだろう。つーか女いんのに野球拳すんなし。

 

 

 

  

 memは先に北原を案内した後、俺を案内した。

 

「ごめんね〜。服トッキーとブッキーが洗濯するって言って持って帰っちゃって。」

「なら替えをアイツらに持ってこさせろよ。」

「飲み会後に服を着る発想が無かった!」

「アホか‼︎」

 

 ちなみにその道中で着替えをくれた。久々の着衣に、人類の叡智を感じる。

 

「ここがアクたんの部屋ね〜。」

「店の離れが俺の部屋かよ。」

「そうだよ〜!」

 

 そこは少し古めの和室だった。ただ広さは充分。まあカミキ探しの寝床に過ぎないから、これで充分だろ。

 

「ありがとう。」

「それじゃあ荷物置いたら飲み会ね〜!ばいば〜い!」

「いや待て。色々聞きたいことがある。」

「な、何っ⁉︎まさが私がもうすぐ30(*2)なのに、現役大学生に混じってキャピキャピしてるのが痛いって〜⁉︎」

「そこじゃねえよ。」

 

 そして、memちょを問い詰める時間だ。

 

「まず、何を持ってこのサークルを自信満々に紹介したんだ?」

「楽しいから!」

「こんな酒盛りや全裸祭りが激しいって聞いてないんだが。」

「私はちゃんと言ったよ!楽しめるようなサークルだって♪」

「どこが楽しめるんだよ⁉︎」

 

 こんなサークルを堂々と勧めるなんて。コイツどうかしてる。

 

「それに、俺はさっきまでパンイチだったんだぞ⁉︎スキャンダルとかどうすんだ⁉︎」

「それについては絶対大丈夫!なんせ、やってきたマスコミが皆記憶を無くしてるから♪」

「酒で潰してんじゃねえか⁉︎」

「2年間私に何もなかったのが、何よりの証拠でしょ?」

「こんなところで身を以て体現するとは………」

 

 マスコミ対策も強引過ぎんだろ………。確かにこんな量の酒を出されて、生きて帰れる奴は居ないけど。

 

「あと、恋愛的ないざこざがないこと!どう見てもそれとは無縁でしょ!」

「…………あかねの要求か。」

「当たり前でしょ?せっかく復縁したんだから〜、大切にしなよ〜♪」

「だな。」

 

 ちなみにあかねとは色々あって復縁することになった。まあ元より、カミキの捜索に利用するってだけだが。決して俺がアイツに心惹かれたわけじゃない。決して。いやマジで。これは政略結婚的なアレだから。

 

 あとあかねが大学に入ってない理由は、単純に忙しいからだ。なので今は遠距離恋愛となっている。

 

「そうだmem。あかねのことは絶対に言うなよ。」

「あ〜、確かに復縁は非公式だもんね〜。」

「それに、アイツらに知られてみろ。俺の命は無くなる。」

「善処するよ!」

 

 あと、このことは隠さなきゃいけない。スキャンダル的な意味もあるが、何より北原や今村に知られた時のリスクがデカ過ぎる。奴らとは出会って2日目だが、間違いなく俺のことをボコボコにしてくる確証がある。この事は黙っておかないとな………

 

「質問は以上かな?」

「ああ。」

「それじゃあ飲み会に行くよ〜!」

「それは断る。」

 

 さてと、memに聞くことも終わったし、今日は部屋で情報整理でもするか〜。

 

「それは無理だね。」

「なんでだよ?」

「後ろ振り向いてごらん?」

 

 無理?なんでだ?まさか後ろに………

 

「「Vamos‼︎」」

 

 時田と寿がいた。

 

「さっき呼んどいた♪」

「謀ったな貴様ァ‼︎」

 

 こうして俺は、またも記憶を無くすのだった………

*1
奈々華。memちょより学年は上だが、確実に歳下だと思うので、あだ名で。

*2
アクアが入学当初20歳→誕生日が来ると21歳。なのでアクアより9歳年上のmemちょは誕生日がくると30歳。原作の春までは24歳の発言から、5〜6月くらいに誕生日があると推測される。




あかねを復縁させました。
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