未成年の飲酒は法律で固く禁じられています。
またアルコールの強要、暴飲、
宴会での破廉恥な行為についても
それらを推奨する意図はありません。
あくまでギャグ物としてお読み下さい。
side アクア
ガイダンスの翌日、俺たち3人はパンイチトリオとして早くも話題になっていた。
「みてみて、あの人たち〜!ほぼ全裸だよ〜!」
「うわ〜、変態じゃん!」
「顔はいいのに、他が最悪だな。」
「近寄らないでおこう。」
別に華々しい大学生活なんて期待していたわけじゃない。なのに、これはあんまりじゃないか………?
「おい、お前ら。」
「どうした、星野愛久愛海?」
「なんだね、星野愛久愛海?」
「その名で呼ぶな。アクアにしろ。」
「「マジかよ。」」
「それで、この惨状はどういうことだ?」
「自分の服見れば分かるだろ?」
「その服が無いんだな。」
「確かに。」
しかも隣にいる2人は、フルネームすら知らない男たち。同級生くらいの情報しかない。なんせ、自己紹介する前に潰れたからな。
「お前らの名前教えてくれよ。俺まだ知らないんだ。」
「分かった。俺は北原伊織。お前と同じ1年だ。彼女を作りに大学に来た。」
「俺は今村耕平。俺を中心とした、二次元美少女サークルを作りに大学に来た。」
「そうか。俺は知っての通り、星野アクアだ。」
「「よろしく。」」
なるほどな。黒髪変態が北原で、金髪オタクが今村か。どうやら役者としての俺を知らないみたい。それは安心した。あと、どっちもろくでもない奴らみたいだ。昨日の見た目通りだったな。
それにしても、俺は今ある問題を抱えている。消えた服の在り方もそうだが、何しろ家の場所が分からないんだ。本当は昨日memから教わって、ガイダンスの帰りに行くところだった。だが学校で記憶を失ったせいで、それが出来なかったのだ。しかもmemらが普段どこで活動してるのかも知らない。携帯の充電もとうに切れており、奴と連絡すら取ることが出来ない。
「なあお前ら、俺の家知らねえか?」
「知るわけないだろ。家は勝手に歩いて消えないぞ。」
「今村、そうじゃねえ。本当は昨日初めて家に行く予定だったんだ。」
「じゃあ何があったんだよ?」
「お前らと同じだよ‼︎」
そして、同級生は全く頼りにならない。
「とりあえずPaBの活動場所に行くか。そこでmem先輩が教えてくれんだろ。」
「北原、お前知ってるのか?」
「当たり前だ。」
と思ったら、意外にも頼れる。
「俺は初日にそこで洗礼を受けたんだ。」
「うわ〜、行きたくね〜。」
「俺も同感だ。」
洗礼ってなんだよ。まさかアレを一昨日も受けたのか。それならろくな場所じゃないだろう。ただ、memに聞かないことには話にならない。とりあえず行くか………
「ただ、俺は家に帰りたい。すまないが北原、PaBのところに連れて行ってくれ。」
「………報酬は?」
「大人気YouTuberの半裸写真で。」
「待て。俺にも手伝わせろ。」
「手を打とう。今村も来い。」
それにしても、相変わらず下衆な連中だな。ぴえヨンの裸体でも送ってやるか。
そうして、俺が北原に案内された場所は、ダイビングショップ『Grand Blue』だった。
「そうか。あそこ一応ダイビングサークルだったな。」
「俺も知らなかった。」
「一応ってなんだ。俺もまだ潜ってないけど。」
昨日の様子から、ただのバカサーだと思ったんだが………。一応ダイビングもやってるらしい。信じられないが。
そして、店の扉を開けると………
「「「「誰もが、服奪われてく‼︎君は、完璧で究極のアルコール‼︎」」」」
昨日の連中が大声で叫びながら、酒盛り野球拳をしていた。
「「失礼しました。」」
「おい待て、帰るな。これがここの日常茶飯事だ。」
「嘘だろ………」
「これが北原が伊豆に来て最初に見た景色か………」
「残念ながらその通りだ。」
なんでダイビングショップで堂々と服脱いでんだよ。確かに外には閉店の文字出てたけど。潜り過ぎて陸と海の区別がつかなくなったのか?
「おっ、アクたんにいおりんにこうち〜ん!早速飲みに来たんだね!偉い偉い‼︎」
「「ありがとうございます‼︎」」
memちょに褒められて鼻の下伸ばすな、馬鹿ども。
「おいmem。よくも俺を騙したな。」
「まあまあ落ち着いて、アクたん。とりあえず水飲む?」
「火がつかないやつならな。」
「そんなのあるの⁉︎」
「あるだろ‼︎」
コイツだって奴らと同じ、アル中なんだぞ?
まあいいや。とりあえず部屋を案内してもらおう。話はそれからだ。
「色々聞きたいことはあるが、まず俺の部屋を教えてくれ。」
「分かった分かった!それじゃあ案内するね〜。」
「ついでに俺の分も頼みます。」
「北原、お前は来んな。」
「俺も知らねえんだよ、自分の部屋。伊豆に来て3日目だけど。」
「嘘だろ………」
「奈々ちゃん*1から聞いてるよ〜。いおりんもこっち来て〜!」
「はい!」
俺より先に伊豆に来たのに、俺と同様自室を知らない。それだけで、このサークルにヤバさを感じる。
「それじゃあ俺は帰るとするか。」
「こうちんはトッキーとブッキーが話しあるって!」
「マジですか?」
「待て耕平。」
「野球拳がまだだろう?」
「やめろ〜、助けてくれぇ〜‼︎」
「「Vamos‼︎」」
ちなみに今村は先輩らに拉致された。きっと数分後には、身ぐるみを剥がされているだろう。つーか女いんのに野球拳すんなし。
memは先に北原を案内した後、俺を案内した。
「ごめんね〜。服トッキーとブッキーが洗濯するって言って持って帰っちゃって。」
「なら替えをアイツらに持ってこさせろよ。」
「飲み会後に服を着る発想が無かった!」
「アホか‼︎」
ちなみにその道中で着替えをくれた。久々の着衣に、人類の叡智を感じる。
「ここがアクたんの部屋ね〜。」
「店の離れが俺の部屋かよ。」
「そうだよ〜!」
そこは少し古めの和室だった。ただ広さは充分。まあカミキ探しの寝床に過ぎないから、これで充分だろ。
「ありがとう。」
「それじゃあ荷物置いたら飲み会ね〜!ばいば〜い!」
「いや待て。色々聞きたいことがある。」
「な、何っ⁉︎まさが私がもうすぐ30(*2)なのに、現役大学生に混じってキャピキャピしてるのが痛いって〜⁉︎」
「そこじゃねえよ。」
そして、memちょを問い詰める時間だ。
「まず、何を持ってこのサークルを自信満々に紹介したんだ?」
「楽しいから!」
「こんな酒盛りや全裸祭りが激しいって聞いてないんだが。」
「私はちゃんと言ったよ!楽しめるようなサークルだって♪」
「どこが楽しめるんだよ⁉︎」
こんなサークルを堂々と勧めるなんて。コイツどうかしてる。
「それに、俺はさっきまでパンイチだったんだぞ⁉︎スキャンダルとかどうすんだ⁉︎」
「それについては絶対大丈夫!なんせ、やってきたマスコミが皆記憶を無くしてるから♪」
「酒で潰してんじゃねえか⁉︎」
「2年間私に何もなかったのが、何よりの証拠でしょ?」
「こんなところで身を以て体現するとは………」
マスコミ対策も強引過ぎんだろ………。確かにこんな量の酒を出されて、生きて帰れる奴は居ないけど。
「あと、恋愛的ないざこざがないこと!どう見てもそれとは無縁でしょ!」
「…………あかねの要求か。」
「当たり前でしょ?せっかく復縁したんだから〜、大切にしなよ〜♪」
「だな。」
ちなみにあかねとは色々あって復縁することになった。まあ元より、カミキの捜索に利用するってだけだが。決して俺がアイツに心惹かれたわけじゃない。決して。いやマジで。これは政略結婚的なアレだから。
あとあかねが大学に入ってない理由は、単純に忙しいからだ。なので今は遠距離恋愛となっている。
「そうだmem。あかねのことは絶対に言うなよ。」
「あ〜、確かに復縁は非公式だもんね〜。」
「それに、アイツらに知られてみろ。俺の命は無くなる。」
「善処するよ!」
あと、このことは隠さなきゃいけない。スキャンダル的な意味もあるが、何より北原や今村に知られた時のリスクがデカ過ぎる。奴らとは出会って2日目だが、間違いなく俺のことをボコボコにしてくる確証がある。この事は黙っておかないとな………
「質問は以上かな?」
「ああ。」
「それじゃあ飲み会に行くよ〜!」
「それは断る。」
さてと、memに聞くことも終わったし、今日は部屋で情報整理でもするか〜。
「それは無理だね。」
「なんでだよ?」
「後ろ振り向いてごらん?」
無理?なんでだ?まさか後ろに………
「「Vamos‼︎」」
時田と寿がいた。
「さっき呼んどいた♪」
「謀ったな貴様ァ‼︎」
こうして俺は、またも記憶を無くすのだった………
あかねを復縁させました。