酒の子   作:スピリタス3世

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この物語はフィクションです。
未成年の飲酒は法律で固く禁じられています。
またアルコールの強要、暴飲、
宴会での破廉恥な行為についても
それらを推奨する意図はありません。
あくまでギャグ物としてお読み下さい。



二十杯目 ケバっ子カフェ

  side アクア

 

 いよいよ待ちに待った女子大祭。なのに俺は………

 

「イオリちゃ〜ん、耕ちゃ〜ん、マリンちゃ〜ん!コーヒー上がったよ〜!」

「「「かしこまり!」」」

 

 女装してメイド喫茶で働いていた。

 

 

 

 

 遡ること1日前。

 

「「「ケバっ子カフェ?」」」

「うん。」

 

 俺たち*1は青女生・吉原の学科で行われる催し物を聞いていた。

 

「なんだ、その男心を粉砕する邪悪な単語は?」

「9番目の地獄か何か?」

「完全にネタ枠じゃねえか。」

「この間の合コンの写真見せたら乗り気になっちゃってね。」

「普通引くだろ⁉︎」

「伊達にお前の友達やってないな⁉︎」

「どうせ深夜テンションで決めたんだろ。」

「真っ昼間に決めたよ!」

「逆に心配だぞ。」

 

 ケバっ子カフェ。合コンの時に見せたケバい仮称を身に纏い接客するという、B専向けのカフェだ。しかも少し化粧が濃い、くらいのを想像すると痛い目を見る。それくらい悍ましい代物だ。

 

「まあ、私はこれでカモフラージュ出来るからいいわね。」

「重曹みたいな有名人はそりゃ目立つからなぁ。」

「ナンパ避けにもなるだろ。」

 

 しかし、それで助かる奴もいる。有馬なんかはその最たる例だ。PaBの近辺なら週刊誌の記者を酒で潰せるのでいいが、青女となるとそうもいかない。チケットがあるとはいえ、変な輩が居ないとも限らないし。

 

「かな、本当に手伝ってくれてありがとう!」

「いいわよ、愛菜。あーくんとのデート権さえくれたら。」

「アクアね、好きに使って!」

「おい、人の予定を勝手に決めるな。」

「「じゃあ今日が命日だな。」」

「勝手に決めるなって言っただろ。」

 

 にしても、最近俺の扱い雑すぎないか?一応有名人だぞ?

 

 まあいいや。ここは古手川もケバくするか。1人だけ仲間はずれも可哀想だしな。

 

「それはそうと、古手川も手伝ったらどうだ?ナンパ避けになるだろ。」

「それとこれとは話が別。」

「マジで頼む……千紗‼︎お前の汚い顔が見たいんだ‼︎」

「絶対に嫌‼︎」

 

 にしても、北原の頼み方はホントバカだな。コイツはダイビングの話を振ればすぐ首を縦に振るというのに。

 

「青女の友達作ってダイビング誘えばいいだろ。」

「………考えてもいいけど///」

 

 ほらな。コイツはある意味有馬以上に扱いやすい。

 

「でも、私だけ恥をかくのは嫌‼︎」

「お前だけじゃないだろ。有馬に吉原も居るんだぞ?」

「そうじゃなくて。」

 

 もちろん、コイツが男たちを巻き込みたいのも承知の上だ。それに対する策は既にある。

 

「そういや北原は、男コンの時に浜岡の格好してなかったっけ?」

「さらばっ‼︎」

「「逃すかっ‼︎」」

 

 まずは北原、コイツは資質も実績もある。逃すわけにはいかない。

 

「それと今村、手伝ってくれたら俺が水樹カヤに会わせてやる。」

「私も彼女は知ってるからね。」

「私の友達も関係者だよ〜。」

「やらせていただきます。」

 

 次に今村。コイツは水樹カヤ目当てだ。ならば知り合い権限を活かして会わせると、餌を巻けばいいだけのこと。

 

「あと、ルビーはその日空いてるって言ってたから呼ぶぞ。」

「ルビー、来てくれるんだ。」

「アイドルが居ると頼りになるね!」

「ここに元アイドルが居るんだけど?」

「かな、怒らないで〜!」

 

 次にルビー。アイツは基本多忙だが、青女祭の日はたまたま空いてたとのこと。ならば呼ばない手は無いだろう。

 

「それで、マリンはまた自分だけ逃げようとしてるの?」

「んなわけねえだろ。今回は仕方ないから手伝ってやるよ。」

「やった〜!マリン降臨だ〜♪」

「有馬、喜び過ぎだ。」

 

 そして最後に俺。もちろん行く………と見せかけて、仮病で休む。これ以上女装して恥を晒すわけにはいかないからな。ルビーも兄が女装してる隣で働きたくないだろう。これは俺なりの気遣いというわけだ。

 

 

 

 

 

 ということで、俺は翌朝目を覚ますと………

 

「や〜、寝てると化粧やりやすかったわ!」

「流石愛菜。これでマリンの良さが活かせる。」

「しかし、いつ見ても本当に可愛いわね。襲われないか心配だわ。」

「は…………?」

 

 知らない天井と女3人衆が俺を待ち受けていた。ここはどこ?そしてなんでお前らが………?

 

「しかし北原、酒で潰して運ぶとは中々やるな。」

「コイツがやけにすんなり受け入れたから怪しくてな。念のため酒で潰して運んだんだ。」

「流石だ北原。もしかしたら仮病で休まれてたかもだしなぁ‼︎」

「お前ら殺す………っ‼︎」

 

 くそっ、俺の考えを読まれていたのか‼︎ふざけるな‼︎これじゃあ何度も女装する変態じゃねえか‼︎こんな姿がルビーに見られたら………

 

「うわっ、お兄ちゃんだ!可愛い〜!」

「ルビー、今はお姉ちゃんだよ!」

「そうだね愛菜ちゃん!おはようお姉ちゃん‼︎」

「普通に受け入れるな‼︎」

 

 見られた………。軽蔑されなかっただけマシとするか……。あと、あかねに見られなかったことも幸いだ。

 

 俺はみやこさんにいつもの電話をした後、普通に働くことになった。

 

 

 

 

 ということで、今に至る。

 

「マリン、コーヒー1席さんにお願い!」

「わかった。(裏声)」

「マリン、3席片付けて。」

「わかった。(裏声)」

「お姉ちゃん、一緒に運んでくれる?」

「いいわよ、ルビー。(裏声)」

「ピーマン、タベル?」

「おっ、おう。(地声)」

 

 しかもケバい女たちに囲まれながら。前世で俺はどんな罪を犯したというんだ。ただちょっとだけ女遊びが激しかっただけなのに。ただちょっとロリコンと呼ばれただけなのに。

 

「え〜、これが合コンの時の伊織君と耕平君とアクア君⁉︎」

「すご〜い‼︎ぎゃはははは‼︎」

「ちょっ……ブフッ……きっこ笑い過ぎ………ブフッ……」

 

 しかも吉原の友達兼合コンの時の化け物たちにまで笑われる始末。

 

「というか、星野マリンってアクア君のことだったんだ〜!」

「伊豆大にすっごい美人がいるって、青女で話題になってたよ!」

「ぎゃはははは‼︎本当に可愛い‼︎」

「私も初めて知った時びっくりしたよ〜!」

「そんなに人気なの………」

 

 というか青女でも噂になってるのかよ。伊豆大でも消えた謎の美女って、ずっと話題になってるのに。この間なんか、最近見ないから男に拉致されたって噂まで流れてたんだぞ。ミスコンも優勝じゃなかったから、犯人は運営だのなんだの、とか。頼むからやめてくれよ。俺は男として生きたいんだから。

 

 しかも俺と今村と北原だけ普通の化粧なせいで、ナンパが全部俺たちのところに来る。本当に気持ち悪いから勘弁してほしい。男にナンパされて嫌がる女子の気持ちが分かったよ。

 

 

 

 ただ幸いなことに、PaBの知り合いは既に俺のこの形態を知っている。

 

「……やばっ、梓さんとmem先輩だ!……」

「浜岡にmem、いらっしゃい。」

「お〜、マリンだ〜!」

「伝説の復活、だね♪」

「……お前、よく普通に……」

「こっちが伊織だね!」

「いおりん、可愛い〜♪」

「あぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」

「それで、あっちがこうちんだね!」

「exactly。」

 

 だから北原みたいなバレた時のダメージを考慮しなくて済む。まあ、ルビーにもバレたしな。みやこさんにもルビーが勝手に写真送ったし、あとバレたらまずいのは………

 

「なるほど、星野マリンはあの早熟のガキだったというわけか。」

 

 監督だぁ⁉︎

 

「なんでいるの⁉︎(裏声)」

「居て悪いか?」

「あっ、監督!お久しぶりです!」

「memも久しぶりだなぁ。」

 

 コイツは幼少期から俺を知っている。そんな奴が20になって女装して酒を飲み、全裸になって寝っ転がってるなんて知ったらどうなることか。

 

「というかアンタはB専なの?(裏声)」

「違う。このケバい集団を見て、何か映画の構想が出ないか考えててな。」

「B級コメディーしか無理でしょ。(裏声)」

「にしてもお前、女になりきってるんだな。」

「まあ、仕事だし。役者だし。(裏声)」

「流石じゃねえか。」

 

 にしても、この子供部屋おじさんはいつも映画のことで頭がいっぱいだな。普通ケバい集団見て、映画の構想を考えるか?しかもコメディー撮るタイプじゃないだろうに。

 

 

 まあいいや、これで監督にもバレちまった。後はあかねくらいか………

 

 

 

 

 

「野島、ここで合ってんのか?」

「そうだぞ、山本。ここがかの有名な星野マリンが働く喫茶店だ。」

「待て待て、アレじゃね?」

「おっ、本当だ。」

 

 そんなことなかったぁぁぁぁ‼︎なんと、野島たちが来店してきたのだ。

*1
ルビーは仕事でいません。重曹は今ガチの合間でいます。

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