酒の子   作:スピリタス3世

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この物語はフィクションです。
未成年の飲酒は法律で固く禁じられています。
またアルコールの強要、暴飲、
宴会での破廉恥な行為についても
それらを推奨する意図はありません。
あくまでギャグ物としてお読み下さい。


三十杯目 オトーリ Part1

  side アクア

 

 いよいよやってきてしまった、悪魔の行事・オトーリ………

 

「星野貴様ァ、よくも自分だけのうのうと逃げようと………っ‼︎」

「今村、俺は自分の命を優先させただけだ。」

「ただのクズじゃねえか⁉︎」

「まあまあ落ち着けよ、2人とも。俺たちで乗り切ろうじゃねえか。この儀式を。」

「「ああ。」」

 

 とりあえず2人を生贄に、乗り切ることにするか………

 

「皆も知っての通り、宮古島に来た理由の8割を占めるオトーリ体験だが………」

「予定していた店が何故か臨時休業になった為、断念することになった。」

 

 マジ………?あっ、昨日の出禁のやつか。なら自業自得だな。これで地獄からは逃れられた………

 

「だがせっかく宮古島まで来たんだ。」

「せめて俺たちなりのオトーリをやってみようじゃないか‼︎」

 

 嘘だろ……?俺たちなりのオトーリだと⁉︎そんなの死ぬに決まっている‼︎いち早くここから逃げなければ………っ‼︎

 

「ダメだよ〜、3人とも!はしゃぎすぎ〜♪」

 

 何っ、memだと……っ⁉︎しかしコイツに俺たちを止められる力はないはず………くそっ、畳にサンオイルが撒かれている‼︎足が滑って前に進めない………っ‼︎

 

「それじゃあ、始めよっか♪」

 

 こうして浜岡の楽しげな合図の元、地獄の儀式が幕を開けた。

 

 

 

 

 まず、3年の幹部らによってルール説明がされた。

 

「今回は皆で同じ瓶の酒を飲もうと思う。」

「せっかくの合宿だからな。」

 

 同じ釜の飯みたいなもんか。それか闇鍋とも言うべきか………

 

「ところがどっこい!」

「全員の好みが一致する酒って、意外と難しいのよね〜。」

 

 確かに、酒の好みというものは人によって大きく異なる。ルビーがカクテル、memがビール、あかねが日本酒に、有馬がスピリタスと、あそこの4人だけでも全然好みが違う。もちろん寿みなみみたいに、グラビアという仕事柄体型維持の観点からあまり飲まない人もいる。だから同じ瓶の酒を飲むってのは、絶対にうまくいかないはず………

 

「だがここで皆の感想が異なるのは寂しいだろう?」

「だから俺たちは考えたんだ。」

 

 まさか酒の闇鍋か………?

 

「「「「ならば公平になるよう、全員にとってキツい酒にしたらいい、と‼︎」」」」

 

 公平の取り方おかしいだろ‼︎全員損してどうすんだよ⁉︎これじゃあ闇鍋以上の害悪じゃねえか⁉︎

 

「で、今からこの瓶を回して酒を注いでもらうわけだけど……」

「その時何でもいいから一言口上を述べてくれ。」

「島と海の美しさに捧げます、とかね!」

「まずはトッキーとブッキーが手本を見せるよ!」

 

 口上か。正直どうでもいい。早くここから立ち去らせてくれ。俺は死にたくないんだ。

 

「出身地がバラバラの俺たちがこうして同じ時に同じ場所に集い、」

「同じ船に乗り、同じ瓶の酒を飲める事を嬉しく思う。」

「この場にいる全員が同好の士であり、仲間だ。」

「いずれそれぞれの道は分かれようとも、共に過ごした時間は無くならない。」

「どうか皆の人生における青春の思い出として、」

「今日という日を忘れないでほしい。」

 

 そして、時田と寿兄は立派な口上とは裏腹に、手に持った邪悪なスピリタスを瓶の中に注ぎ始めた。

 

「「「アホかぁぁぁぁぁ⁉︎」」」

「何が青春の思い出だ⁉︎」

「思い出以前に記憶すら残す気ないだろ‼︎」

(わたし)、皆と過ごした日々を絶対忘れないからね!」

「なら何故スピリタス(それ)を注ぐ⁉︎」

「本当に覚えておく気があるのか⁉︎」

 

 更には浜岡までスピリタスを注ぐ始末。涙を流しながら酒を流すその光景は、どう考えてもサイコパスの集団だ。あの口上が言えるなら、もっとまともな酒注げるだろ。

 

「ほら、mem。」

「うん…………」

「どうしたの、mem?」

「いや〜、上手く言葉が出て来なくてね〜。」

 

 そしてmem、しれっと嘘をついている。お前こういうの得意だろ。

 

「私アイドルが好きで、アイドルの練習ばかりやってきたから、こういう時気の利いたことが出来なくてさ………だからせめて私のできる事で………」

 

 そう言って、memは消毒用アルコールを入れようとした。

 

「「「入れるなぁぁぁぁぁ‼︎」」」

「おいみやこさん‼︎お前んとこのアイドルがヤバいことしようとしてるぞ‼︎」

「大丈夫でしょ。memも度数を下げる真似はしないわ。」

「そこじゃねえ‼︎」

「冗談だよ、アクたん!ちゃんとスピリタス入れるから!」

「ちゃんと入れるな‼︎」

「冗談なのはお兄ちゃんのチンスピでしょ。」

「それは悪かったから‼︎」

 

 にしても、冷静に考えると消毒用アルコールより度数高いんだよな、これ。こんなモンで乾杯したら当然、命の保証はない。かくなる上は………何食わぬ顔で水でも入れて、度数を安全圏まで下げる‼︎

 

 ということで、まずは北原と今村が瓶へと向かう。

 

「ぐわぁぁぁぁぁ‼︎」

 

 すると、北原が揮発したアルコールで目をやられる………えっ、嘘だろ?そんな目をやるほどヤバいのかよ、あの瓶の中は‼︎ますます飲むわけにはいかない‼︎

 

「ぐぶっ!」

「だ、大丈夫ですか、mem先輩‼︎」

 

 そして、揮発したアルコールで目潰しされた北原は、思わずmemに肘打ちしてしまう。

 

「大丈夫大丈夫〜♪」

「これくらいで怒る人はPaBにはいないよ!」

「先輩……っ!」

「なら俺のも入れますね。」

 

 それを聞いてニコリと笑うmem。まあコイツは優しいからな。隣で見ていた浜岡も笑ってる。本当に温かいサークルだな。そんなサークルなら、水を入れても問題ないだろう。

 

ねえいおりん?

何ふざけた真似してんの?

「そこでキレんの⁉︎」

「肘打ちはオーケーなのに⁉︎」

「キレるポイントおかしいだろ⁉︎」

 

 前言撤回、問題大アリだった。こうして度数を下げる作戦は失敗した。

 

 

 

 

 その後、北原や今村、吉原に古手川とどんどん口上を言って酒を入れていった。そして次は………

 

「アクアくん、私たちの出番だね。」

「おう。」

 

 まさかの俺とあかね………

 

「いいや、私もよ!」

「かなちゃんはもっと後でしょ!」

「いいや、行かせてもらうわ!」

「じゃあ2人で行ってこい。」

「「はぁ⁉︎」」

「期待してるからさ。」

「ったく、仕方ないわね〜。」

「分かったよ、アクアくん。」

 

 じゃなくて、あかねと有馬という、これまためんどくさいコンビになった。さてと、2人のコントを堪能させてもらうか………

 

「私黒川あかねは、このサークルのおかげで………」

「有馬かな‼︎」

「の魅力に気付きました。最初は流されて始めた………」

「恋愛リアリティーショー‼︎」

「も、今ではいいものだと思っています。これからは一層努力して、自分から…………」

「アクアくんはかなちゃんに譲るね♪」

「と言えるように頑張りたいと………ふざけないでよ、かなちゃん‼︎これはやっていいことじゃない‼︎」

「これくらい普通……ちょっとあかね⁉︎口に酒瓶突っ込まないで……あががががが‼︎」

「面白かったぞ、2人とも。いっそお笑いの仕事も受けたらどうだ?」

「「嫌だ‼︎」」

 

 アイツら本当に仲良いな。いっそのことあの2人で付き合えばいいのに。そうしたら俺も復讐が終わり次第、手っ取り早く皆の前から消えられるからさ。

 

「はいは〜い!じゃあ次は私の番ね〜!ロリ先輩とお義姉ちゃんはどいたどいた〜!」

「アンタ、やけに張り切ってるわね〜。」

「何かあるのかな?」

「お義兄ちゃんも応援してるゾ☆」

 

 そんなことを思ってると、次はルビーの番になった。さて、コイツは何を言うのかな………?

 

「お兄ちゃ〜ん‼︎」

 

 ん?俺を呼ぶのか?まさか兄妹で口上か。今村以外は納得しそうだが………

 

「16歳になったら結婚してくれるって話、忘れてないから〜‼︎」ドバドバ

 

 今それ言うの⁉︎さっきあかねと有馬がバトルしてたのに⁉︎急にさりなちゃん時代の話出してくるなよ‼︎もしかしてもう酔ったのか⁉︎そんなことしたら、俺死んじゃうだろ‼︎

 

「「ちょっと死んでくれないか?」」

「違う違う‼︎今のは誤解だ‼︎」

「シスコンキモっ‼︎」

「本当に違うんだって‼︎」

「アクアくん。」

「考えてやる、ってしか言ってない‼︎だから頼む殺さないでくれ、あかね!」

「せんせ……お兄ちゃん、忘れたとは言わせないよ?」

「さり……ルビーの方が聞き間違ってるから!」

 

 こうして俺は修羅場った挙句、記憶を無くしたのだった………




アクアは一旦潰れますが、オトーリは次回も続きます。
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