酒の子   作:スピリタス3世

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この物語はフィクションです。
未成年の飲酒は法律で固く禁じられています。
またアルコールの強要、暴飲、
宴会での破廉恥な行為についても
それらを推奨する意図はありません。
あくまでギャグ物としてお読み下さい。


第七章 如月グランドパーク編
三十二杯目 地獄の遊園地


  side アクア

 

 柔らかな日差しと穏やかな波の音と共に、俺は夢の世界から現実へと戻ってきた。そして目の前には燦々と輝く大量のアイのポスターと、隣の領域から見てほしいと言わんばかりに主張してくるAV女優のポスターたち。自分の部屋でいつもよく見る光景だが、そこには圧倒的な違和感があった。

 

 まず一つはAV女優の主、北原伊織が居ないこと。いつも全裸で隣で寝ているその男は、今日は朝早くからバイトがあると言い、既に服を着て出かけてしまった。寝坊が日常の彼が早起きなど、まるで前世で推していたアイドルの子に生まれ変わるくらいの珍事。それはそれは違和感この上ない。

 

 そしてもう一つの違和感。それは………

 

「おはよう、アクアくん。」

 

 全裸の汚い男の代わりに、白いワンピースを着た青髪の彼女が隣に座っていることだ。

 

「おはよう、あかね。」

 

 劇団ララライのエースにして、俺の彼女であるあかね。今日は一段と気合の入った服装で、いつにも増して可愛らしく、まるで綺麗な妖精のような佇まいでそこにいた。その光景自体は、まるで自分が目覚めたら天国にいたかと錯覚させるようだった。

 

 しかし改めて思うと、今日は特に予定など無いはず。しかもこの部屋はボロい離れとはいえ、一応鍵もある。もちろんあかねに渡した覚えなんてこれっぽっちもない。最近は呪いのイヤリングのせいで女遊びも出来ないため、怒られるようなことはない。だとすると…………

 

「あかね、俺の携帯取ってくれるか?」

「いいけど………はい。」

「ありがとう。」

 

 コイツがここにいる理由。それは………

 

『もしもし、警察ですか?』

 

 不法侵入だ。

 

 

 

 

 不法侵入させた犯人が分かったので、俺は全速力で店へと向かった。

 

「おはよ〜、アクたん!」

「おはようのあかねちゃんはどうだった?」

「何してくれてんだ、memに奈々華‼︎」

「興奮しすぎよ、アクア♪」

「黙れ浜岡‼︎」

 

 店の中が見えた時に居た3人。昨日は上級生女子会やってたから、コイツらが犯人なのは明白だった。

 

「おかげで俺が二次元と三次元の区別が出来てない妄想野郎って言われたんだぞ‼︎」

「それってなんか、昔の伊織君みたいな……」

「厨二病ですかね?」

「アクたんも厨二だったね〜。」

「虚言を言ってカッコつけなくても、あかねは離れないでしょ。」

「カッコつけてるわけじゃないから‼︎」

「私はそういうアクアくんも受け入れるよ!」

「受け入れなくていい‼︎」

 

 しかもさっき警察に電話したら呆れられた。通報虚しく相手にされず、おまけにバカ扱い。他の奴らもここぞとばかりにバカ扱い。流石に耐えられない。

 

「とりあえず、今後は部屋にあかねを入れるな‼︎北原もいるんだぞ⁉︎」

「それだといおりんと浮気してるみたいな言い方だね〜。」

「へー、そうなんだー。」

「やめろmem、あかねをいたずらに刺激するな。」

「実際お酒飲んで裸で同じ部屋寝てるじゃん。」

「浜岡もノるなや‼︎」

 

 あんなバカ男と浮気なんて絶対嫌だ。しかもそんなんであかねに殺されるとか、頼むから勘弁してくれ。

 

 

 

 

 そんなことを思っていると、

 

「そういやあかね、今日はアクたんと行くところがあるんじゃないの〜?」

「そうだね!」

 

 memが意味不明なことを言った。あかねが俺と行くところ?そんな予定、今日は無いはずなんだが………。あれか、昨日酔った勢いで口約束したとか?でも昨日の飲み会にあかねは居なかった。なら一体……?

 

「アクアくん、今からここに行くよ!」

 

 そう言って、あかねは如月グランドパークのペアチケットを差し出してきた。嘘………だろ…………。俺、あかねと結婚させられるのか………?

 

「あかね、どうしてこれを………?」

「親切な人がくれたんだよ!」

「なるほどな。」

 

 俺が知ってる中で、そのチケットを持ってたのは北原(あのバカ)くらいしかいない。宮古島の商店街でくじ引きした時に当てたものの、彼女に1秒で断られてたあのバカしか。何が結婚を前提にお付き合いしてる知り合いだ‼︎おもっくそ俺への当てつけじゃねえか‼︎ゴロー出来なくさせるための‼︎アイツめ、そんなに俺の幸せが憎いか‼︎ならばこうしてやる‼︎

 

 こうして俺は北原に非通知で電話をかけ………

 

『はいもしもし、北原で〜す!』

キサマヲコロス………』

『えっ、誰⁉︎何⁉︎もしもし〜⁉︎』

 

 怒りのままに殺害予告をして、即切った。

 

 そして、とりあえず自分が巻き込まれないために、

 

「よしあかね、お前1人で行ってこい。」

「は?これペアチケットだけど………?」

「ならmemでも浜岡でもいいだろ。」

「ふ〜ん。」

 

 他の人を誘うように言った。ペアチケットだから、誰を誘ってもいいわけだしな。あかねはどうやら納得いってない様子。だが俺だって、いきなり当日に遊園地に来いと言われるのはキツ過ぎる。あまりにも理不尽だ。だからこれくらいはしても…………

 

「そういやアクアくん、かなちゃんや愛菜ちゃんのお友達と合コンしたらしいじゃん?」

 

 ヤバっ、なんでそれ知られてるんだ………?い、いや、人を動揺させるための罠かも‼︎知り合いは厳重に口封じしたから、あかねがそれを知ってるはず無いし………

 

「何を言ってるんだ、あかね?そんなことするわけないだろ。」

「清子ちゃんって分かる?あの子あの後ケンゴ君と付き合い始めたんだよ。それでケンゴ君から聞かされたってわけ。」

 

 嘘………だろ?なんでそこ縁があるんだよ………?確か清子ってパチンコ女だよな………?それがなんでケンゴと………?くそっ、分からねえ‼︎そしてこれ以上は、言い逃れ出来ねえ………っ‼︎

 

「えっと………」

「殺されたくなかったら一緒にここに来ること。いい?」

「承知しました………」

「「ギャハハハハ‼︎」」

「笑うな2人とも‼︎」

「頑張ってね、星野君!」

「何を頑張るんだ、奈々華⁉︎」

 

 ということで俺は、あの手この手で結婚させられる魔の遊園地へあかねと行くハメになってしまったのだった………

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