酒の子   作:スピリタス3世

34 / 123
この物語はフィクションです。
未成年の飲酒は法律で固く禁じられています。
またアルコールの強要、暴飲、
宴会での破廉恥な行為についても
それらを推奨する意図はありません。
あくまでギャグ物としてお読み下さい。


三十四杯目 吊り橋効果

  side アクア

 

 強靭な女性陣の活躍により、俺と御手洗の脱獄計画が失敗に終わっていると………

 

「ついでになんですが、お化け屋敷は如何ですか?」

 

 不幸の元凶、クソ男北原がクソ男今村と共に姿を現した。

 

「「俺たちがお化け屋敷以上の恐怖を味わわせてやろうか、北原?」」

「何故でしょうか⁉︎私はただ、あなた方の結婚をサポートしてあげただけなのに⁉︎」

「人の幸せを助長する最高のアルバイトだよなぁ‼︎」

「「人を不幸に叩き落とす最低なアルバイトだ‼︎」」

 

 本当ならば、今すぐにここで葬り去ってやりたい。しかし、ここは遊園地。あまりにも多くの人に見られている。だからこそ、断念せざるを得ないのが本当に残念だ。

 

 それにしても、野球拳で釣れた変態共がお化け屋敷を勧めてきた。アイツらのことだから、絶対に何か仕組んでるに違いない。目に見えて分かる地雷原に突入するほどバカじゃないからな。絶対に避ける一手だ。

 

「話が逸れたな。あかね、お化け屋敷以外に行くぞ。」

「りえもだ。」

「アクアくん、怖いの苦手?」

「優お兄ちゃんもダメなの?」

「「そういうことにしてくれ。」」

 

 今はプライドを優先させてる場合じゃないからな………

 

「「ちなみに、お化け屋敷は暗いから抱きつき放題です‼︎」」

 

 なんて事を言うんだ、貴様らぁ‼︎女性陣を焚きつけられたら、俺たちに勝ち目は無いじゃんか‼︎

 

「優お兄ちゃん、お化け屋敷行くよ♪」

「アクアくん、いい………よね?」

「りえ、やめろぉぉぉぉぉ‼︎俺を連れて行くなぁぁぁぁ‼︎」

「承知しました、あかね様。」

 

 こうして、俺たちは地獄のお化け屋敷に向かうハメに………

 

「ありがとうございます!では入場前にサインを!」

「危険なアトラクションでは万が一の事があった時に、誓約書を書くものなんですよぉ‼︎」

 

 なる前に、誓約書を書くことになった。

 

「誓約書付きのお化け屋敷か………」

「それはそれでスリルがあって楽しそうだな。」

 

 さてと、誓約書の内容は………

 

 

 

私、星野愛久愛海は、

黒川あかねを生涯愛し、

苦楽を共にする事を誓います。

 

住所:Grand Blue

氏名: 印

 

 

 

 

「「婚姻届じゃねえか‼︎」」

 

 とてもスリルがある内容だった。

 

「アクアくん、実印持ってきたよ!」

「なんで持ってるの⁉︎」

「みやこさんが貸してくれた。」

「何してんのあの人⁉︎」

 

 普通息子の実印を勝手に人に貸すか⁉︎勝手に変な契約結ばれてたらどうすんだよ⁉︎これじゃあ苗字まで芸名になっちまうじゃねえか‼︎

 

「さあ、どうぞこちらへ!」

「荷物、お願いできますか?」

「はい!」

「こ、こぼれるから気をつけて下さい。」

 

 なんか普通に入る流れになってるし‼︎あかねは何を預けたんだ⁉︎溢れる………まさかスピリタスか⁉︎そんなもん遊園地に持って来んなし‼︎俺あかねよりも酒弱いんだから、潰されたらどうしようもないだろ‼︎そんな怒りと不安にまみれながら、俺はお化け屋敷の中に入ることになった。

 

 

 

 

 中は廃病院を改装したお化け屋敷か………。薄暗い廊下と冷たいコンクリートの壁、そして誰もいないが故に響き渡る自分たちの足音。それがかえって恐怖を助長させている。確かに雰囲気はあるな。

 

「アクアくん………怖い………」

「あかね、苦手ならやめとけばよかったのに。」

「優お兄ちゃん、怖いよ………」

「俺はりえの方が怖いよ♪」

はぁ?

 

 同行している馬鹿は放っておくとして………確かにあかねはお化けが得意なイメージがあんまりない*1。友達が作ってくれたから入ろうとしたのであって、自ら進んでお化け屋敷を回るような性格ではないからだ。

 

『……んど………のし………』

 

 何やら声も聞こえる。怨嗟の声か。ここからでは遠いようで、何を言っているのか全く分からない。それがより恐怖を増していく。聞いたことあるような、ないような………そんな声が微かに、しかし確かに耳に入ってくる。

 

「ひぃ………」

「あかね、大丈夫か?」

「ううううん、大丈夫だよ!」

「どこをどう見ても大丈夫じゃないんだが。」

 

 怯えるあかねを庇いながら、前へ前へと仕方なく進んでいく。そしてそれに伴い、徐々に声が大きくなっていく。どうやら声の発生源に近づいているようだ。段々と内容も聞き取れるようになってきて………

 

『星野、今度俺ナンパした女の子と旅行に行くんだぜ!いいだろ!』

 

 遂には正体が分かった。怨嗟の声の主は御手洗だった。

 

「ちょっと待てよ⁉︎俺こんな事言ってないんだけど⁉︎」

優お兄ちゃん?

「違うって‼︎」

 

 なるほどな、このアトラクションの最大のお化けは彼女というわけか。恐らく御手洗の反応を見るに、本当に覚えのない事なのだろう。だとすると声の主は御手洗のフリをした今村。奴の声真似でハメようというわけか‼︎

 

「あかね、もし俺の声が聞こえてきても、それは今村の声真似だから。役者なら分かるよな?」

「えっ、うん……分かった。」

「アイツのせいかよ‼︎助けてくれぇぇぇ‼︎」

待って、優お兄ちゃん。とりあえずお話ししよっか?

 

 幸い俺の彼女は天才役者。本物の声と素人の声真似くらい、秒で判断出来るわ‼︎残念ながら、その手は俺らには通用しないんだよ‼︎

 

『そうか。なら上手いピーマンの店があんだよ。今度行くか?』

『イ、イイノ⁉︎』

『よしっ、それじゃあ君が空いてる日を教えて〜!』

『ウン‼︎』

 

 通用………しない………んだよ………

 

「あかね、これは今村の声真似で………」

「アクアくんも役者だよね?本物と演技の違いくらい、分かるよね?」

「もちろんな‼︎」

「それじゃあお話ししよっか?」

 

 ヤバい、これは有馬を合コンでナンパした時の録音じゃねえか‼︎あの馬鹿ども、なんで録ってやがったんだ⁉︎いつでも俺を脅せるように、ってか‼︎ふざけんな‼︎これじゃああかねがお化けになっちまう‼︎

 

 

 

ガコン

 

 

 

 しかも天井から物音と共に、凶器が落ちてきやがった!完全に彼女らが使う用じゃねえか‼︎

 

「「気がきいてる‼︎」」

「「ふざけんな‼︎」」

 

 ヤバい、お化けが武器を持ちやがった‼︎確かにこれはスリル満点のお化け屋敷だな‼︎マズい、あの2人は戦闘力がめちゃくちゃ高い!早く逃げ切らないと、俺たちが屍にさせられてしまう‼︎

 

 

 

 こうして俺と御手洗は死に物狂いでお化け2人から逃げ切り、地獄の屋敷から脱出したのだった。

 

「お疲れ様。どうだった?結婚したくなったかな?」

 

 そしてそこには、スタッフに紛れ込んだ古手川が待っていた。やはりコイツもグルか‼︎

 

「「どうしてこれが結婚に繋がるんだよ⁉︎」」

「危機的状況に陥った男女は、強い絆で結ばれるって聞いたから。」

「「それは襲い来る危機が結ばれる相手でなければ、だ‼︎」」

 

 吊り橋効果を狙ったんだろうけど、敵が恋人じゃあ無理がある‼︎違う意味でドキドキしたぞ‼︎

 

「それで、アクアくん?」

「ぎゃぁぁぁぁぁ‼︎」

「まだ何もしてないけど?」

「それは何かする予定がある人が言うセリフだ‼︎」

「とりあえず、お昼にしようと思うの。」

「分かった分かった、昼飯食いながら殺されればいいんだろ?」

「話が早くて助かるよ!」

 

 そして、お化けに遂に見つかってしまった。これは説教タイムだな………

 

「うわぁぁぁぁ‼︎りぇぇぇぇぇ‼︎」

待って、優お兄ちゃん。

 

 ちなみに御手洗は彼女から逃げるように、パークのどこかに消えてしまった。こりゃアイツとは脱獄できそうにないな。後で墓でも作っといてやるか。花を備えて(スピリタス)でもかけとけばいいだろ。

 

 こうして俺はあかねから説教されながら、昼飯を食うのだった。

*1
原作からの勝手なイメージです。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。