未成年の飲酒は法律で固く禁じられています。
またアルコールの強要、暴飲、
宴会での破廉恥な行為についても
それらを推奨する意図はありません。
あくまでギャグ物としてお読み下さい。
三十七杯目 First Round 授業妨害
side アクア
俺の前世は医者だった。だから工学部の授業は初めてで、知らないことばかりでかなり苦戦した。熱力学、流体力学、機械力学、電磁気学などなど…………。そしてこの材料力学も同様だった。物体にどう力が加わるのかよく分からないし、曲げモーメントだのたわみの方程式だの難しい概念や数式が頻発する。おまけに教科書の演習問題の答えは『省略する』の一言。何の参考にもならない。
そんな中で出されたレポートは無理難題ばかりで、自力では到底完成不可能だった。だから図書館に通っては資料を読み漁り、そこから正しいことを読み取り作成する。その苦労たるや、授業の比ではない。今ガチで徹夜した時以上の苦労をし、ようやく作り上げたレポートを発表する場で俺たちは………
「zzzzz」
出題者である准教授が爆睡している様を目の当たりにした。
しかもソイツは起きるや否や、なんと偉そうに説教を始めた。
「お前たちに非がある。相手が寝てしまうほど、退屈な発表をした自分を恥じたまえ。そもそもプレゼンテーションの本質とは、洗練された美しさにこそあるものだ。まずはそう、朝に嗜む一杯のローズヒップ………」
まるで自分に非があるとは1mmも思ってないかのように。奴の中では完璧な自分と馬鹿な学生という構図が出来てるのだろう。この間なんか酷い鼻歌を歌っていたな。
「はいはい私は特別です♪貴様らはハナからおまけです♪
とまあ、色々と酷すぎる奴だったので、俺たちの
「なんだ、あの言い
「俺たちがどれだけ苦労したと思ってるんだ‼︎」
「待ちに待った新作AVを早送りにしてまでレポート制作に時間を割いたのに……っ‼︎」
「俺なんて今期覇権アニメの最新話を録画に頼ってしまったんだぞ………っ‼︎」
「俺は女装の仕事以外断ったのに………っ!」
「そもそもテメェはどうなんだって話だよ‼︎」
「全くだ‼︎毎度退屈な講義をしやがるくせに………っ‼︎」
どうやら他の皆も苦労していた様子。ならばやる事は一つ。復讐だ。
「退屈な発表をする方が悪い、って言ってたよな………?」
「………そうだな。」
「上等だよ、あの野郎。誰に喧嘩を売ったか教えてやる。」
俺は黒い星を瞳に宿し、仲間と共に進むことを誓った。
そして、俺たちは作戦決行日を迎えた。爆睡した日の次の授業の日だ。
「さてと、次期教授候補筆頭の私の講義だ。1秒1秒を噛み締めて受けたまえ。」ゴソ、ゴソ
早速教室内を物音がこだまする。ポテチを袋から取り出す音だ。これは俺の盗聴器から流している、あかねが出してる音。その場にいないから詳細は分からないが、音を聞く限りだと、彼女は稽古の休憩中みたいだ。ちょうどいいタイミングでポテチ食ってくれて助かった。
「誰だ、飲食をしている者は⁉︎」
すかさず万年准教授が反応する。コイツ、自分には優しいくせに他人には厳しいんだよな。酷い目に遭えばいいのに。それはともかく、そんな教授のことなどあかねが知る由もない。
「…………」ゴク、ゴク
あかねが奴の忠告を無視し、ペットボトルの水を飲む。
「水を飲むな‼︎」
そして、すかさず准教授が反応する。
「…………」プシュー
そのタイミングで、北原が音を鳴らす。
「だから水を飲むなと言ってるだろ‼︎」
もちろん奴が食いついてきたので、すかさず北原が反論する。
「いや、
「ビールはおかしいだろ⁉︎」
アイツが飲んでるのはビールだ。水を飲むなと言ったのだから、水じゃないのは飲んでいいのだろう?
「えっ、この水飲んじゃダメなのかしら?」
「それは水じゃなくてスピリタスだろう⁉︎」
「有馬、タクシー呼んどくから家に帰って寝ろ。ここは野蛮な連中しかいないから。」
「ありがとう、あーくん♪」
あと酔っ払った有馬が講義室に紛れ込んでいた。意味が分からなかったが、とりあえず心配なので家に帰らせておいた。
「そんな事より講義の続きをお願いします。」
「余計な時間を使わないで下さい。」
「チッ!この蒸らしすぎたカモミール共め‼︎」
そして、間髪入れずに野島と藤原が准教授に文句を言う。あたかもまともに勉学に励みたい学生であるかのように。こうして奴にじわりじわりとダメージを与えていくのだ。
数分後、
「おい貴様、早弁か?飲食は禁止と言っただろ?」
別の学生の早弁を准教授が指摘する。
「俺だけじゃないっすけど。」
「なにっ⁉︎」
そしてソイツの発言により、准教授が辺りを見渡して飲食を摘発する。ある者はカロリーメイト、ある者はコンビニ弁当、そして俺たちは…………
「焼肉はおかしいよなぁ⁉︎」
ホットプレートを使った焼肉だ。
「何のことですか?」
「偶然カバンに入っていただけですよ。」
「偶然でこんな物持ち歩くか‼︎」
すかさず今村と山本がしらばっくれる。偶然持ってたんだから仕方ないだろ。
「ええい、全員カバンに入ってる物を出せ‼︎」
それを聞いた准教授がキレで持ち物検査を始める。中学や高校じゃあるまいし、そんな事しなくていいのに。
「エロ本か………これはまあ分かる。AV………
他の皆は次々とエログッズを差し出す。思ったより皆持ち歩いているんだな。俺も前世の頃はそうだったが。今はあかねに電流流されるから出来ないけどな………
「女物の服にメイク道具………星野お前、そういう趣味だったのか。」
「あっ………」
しまった、仕事道具入れっぱなしにしてた。なんか最悪………
「だが………掃除機については微塵もわからん‼︎」
こっちの掃除機が本命だったのに。
「掃除機とは、電気エネルギーを用いて掃除をする機械のことですよ。」
「掃除機の定義を聞いてるんじゃない‼︎なんでお前らが持ってるんだって話‼︎」
当然奴は頭を抱える。これの用途が分からないのだろう。御手洗の話でだいたい分かるものだが、まあ仕方ない。
「講義室の掃除をする殊勝な連中とは思えんし。」
「何を言いますか。俺たちこう見えて、気を遣う真面目系男子ですよ。」
ここは俺たちが教えてやるか。こうして俺たちは………
「ほら、掃除機を使って焼肉の煙を吸えば………他の人が煙たくないでしょう?」
「おのれっ、妙なところで常識的な………っ‼︎」
掃除機を換気扇がわりに用いた。これなら問題ないだろう?
しばらく准教授とバトルを続けていると………
『アクアくん、大丈夫?なんか揉めてるみたいだけど………』
あかねから盗聴器越しに心配された。
『大丈夫だあかね、問題ない。』
まあ、あかねに心配される事じゃないしいいだろ。それに、これで奴に仕掛ける事が出来る………っ‼︎
「おい女装家‼︎授業中に電話するな‼︎」
奴は俺が授業中に通話する非常識な人間だと思っているのだろう。だが問題ない。
「安心して下さい。決して
「盗聴器越しに会話⁉︎頭おかしいのか、貴様ぁ‼︎」
「お互いに盗聴器をつけたら会話するでしょう?そんなことも分からないのですか?」
「普通は盗聴器をつけないだろ‼︎」
これは電話じゃないから。あと言われてるぞ、あかね。これを機に盗聴器を外して、俺を自由にさせてくれ。
その後も俺たちと准教授のバトルは続いた。没収されかけたAVを筆箱や定規に使ったりして没収回避しようとしたり、AVを痛グッズとしたりなどなど………そして遂には、俺たちの思いを打ち明けることになった。
「そっちこそいい加減非を認めろよ。」
「非を認めろ、だと?」
「この間言ったじゃないですか。退屈な発表をする方が悪いって。」
「俺たちだってこんな事したくないんです。」
「ただ居眠りの非を詫びて欲しいだけなんです。」
「あと単位が欲しいんです。」
「高評価で欲しいんです。」
後半の藤原と山本はともかく、これで奴は詫びる気になったか………?
「あの発言を撤回する気はない。」
なんだと………っ⁉︎なら実力行使しか………
「だか私の講義が退屈だったというなら反省しよう。」
なんと………遂にわかってくれたのかっ‼︎
「そこで退屈な講義にならないよう…………」
良かった、話せば通じるもんだな。これからは対話を増やして、准教授をまともな人間に…………
「今から臨時テストを行う‼︎」
するのは無理そうだな……………
「このテストで単位評価の大部分を決めるからな♪」
「ふざけるな、卑怯者‼︎」
「悪い大人め‼︎」
「恥を知れ、恥を‼︎」
「何とでも言え、馬鹿ガキ共‼︎大学で教授に逆らった事、後悔させてやる‼︎」
くそっ、万事休す………かっ‼︎俺たちの復讐もこれまで…………
と思ったら、
「なんかレポート真面目にやったおかげで、普通に点取れたな。」
「「「「俺も。」」」」
「くそぉぉぉぉぉぉ‼︎」
普通に努力が実り、復習が復讐の成功を呼ぶ形となったのだった。