酒の子   作:スピリタス3世

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この物語はフィクションです。
未成年の飲酒は法律で固く禁じられています。
またアルコールの強要、暴飲、
宴会での破廉恥な行為についても
それらを推奨する意図はありません。
あくまでギャグ物としてお読み下さい。


五十二杯目 ストーカーの心得

  side 伊織

 

 ということで、俺とフリルのパスポート奪還作戦が幕を開けた。

 

「で伊織、どうやって奪還するの?」

「それなんだが………栞の部屋に忍び込んで盗み出そうと思う。」

「強硬手段に出るの早いね。」

 

 しのごの言ってる場合じゃない。とりあえず作成したこの地図から、人目につかないルートを探さないと。

 

 そんな事を思っていると、

 

「よし分かった、じゃあ私が偵察してくる。」

 

 フリルが偵察係になると言い出した。

 

「偵察………?栞の動向をチェックするのか?」

「そう。注意深い観察をして隙を伺う。」

「なるほどな。」

 

 確かに、栞の普段の行動パターンを把握できれば、突入タイミングなどが分かりやすくなる。うまくいけば、パスポートを奪還してそのまま帰ることも出来るだろう。ただ、問題は…………

 

「とりあえず探ってる対象にバレないよう、サングラスにマスクと深めの帽子を被る。」

「ふむ。」

「そして出来るだけ近くで相手の生活を全て望遠カメラに記録し、」

「ふむふむ。」

「その記録をパソコンで分析して、相手の趣味嗜好………じゃなかった、行動のメカニズムを調べ上げるんだ。」

「なるほど………とりあえずやってみてくれ。」

 

 めちゃくちゃストーカーみたいなやり方なことだ。コイツはストーカーに慣れている。有名人ならされる側のはずなのだが、コイツに至ってはする側の方だ。本当に大丈夫なのだろうか………?

 

 

 

 俺の不安は的中し、

 

「気をつけて、伊織。栞を狙うストーカーが出たみたくて、警察が来たんだ。」

 

 先ほどからやかましいパトカーのサイレンがずっと鳴り響き始めたのだ。恐らくフリルのストーキングを見た誰かが呼んだのだろう。

 

「で、フリル、自首するか?」

「私のことじゃない。私が栞を陰ながらカメラ越しに見ていたら………」

「鏡でも見たのか。」

「だから私のことじゃないって。いたの、私の横に変態が。」

「つまり変態が2人、と。」

「なんで1人増えたの?」

 

 どうやら、フリルとは別の変態が1人増えたらしい。それで、どっちかを見た通行人が通報したってわけか。ただ、今は警察が来た。もう安全ってことだ。

 

「けど、通報したならもう大丈夫だろ。」

「そんなわけない。」

 

 どうやらフリル曰くそうでもないらしい。

 

「あれは観察段階。実行フェイズは別よ。」

「ほう、流石犯行の手口に詳しいな。」

「よしな。今は私を褒めてる場合じゃないよ。」

 

 変態は変態に詳しい。それはこの世の真理だ。

 

 ということで、俺たちは部屋からエントランスへと向かい、ストーカーを見つける事にした。

 

 

 

 

 エントランスを歩きながら、フリルはストーカーの特徴を説明してくれた。

 

「恐らく彼らは調べた情報を使って、正面から近づこうとしてくるはず。」

「ふむふむ。」

「そうなる前に、私と伊織でその人らと3p………じゃなかった、通報するの。」

「待て、今何しようとした?」

「なんでもない。」

 

 とりあえずストーカーを交えたパーティーは聞かなかった事にしよう。それよりも重要な問題がある。

 

「それより、どうやって変態を特定するんだ?栞は接客で多人数と接するぞ?」

 

 数多の栞に話しかけてくる人の中から、変態だけを見つけ出さなきゃいけないという事だ。もちろんこの世の大多数は一般人。フリルと似たような恰好でストーカーする人なんて、少ないはず。

 

「それはほら………変態の匂いで分かる。」

「同族を探り当てる力か。」

「伊織にもあるでしょ?」

「ねえよ‼︎」

 

 類は友を呼ぶ、じゃねえんだぞ‼︎第一相手の姿形も分からない。一応フリルが見かけたらしいが、それもサングラスにマスクに帽子付きという。普通正面から近づくなら、そんな格好はしないはず…………

 

 

 

 

 

 

 

 

「すいません、20:00で予約した水野星愛星海(みずのスターリン)です。」

「お待ちしておりました、水野様!」

 

 居たんだけど⁉︎サングラスにマスク、そして帽子‼︎しかも俺の魂がアイツの正体を告げている。その正体は、世紀の大変態…………

 

「ねえ、あくあ……じゃなくてスター君、いこっか!」

「そうだな、大友。」

「も〜、京子って呼んでよ〜!」

 

 星野アクアだ。しかも隣は知らない女。ご丁寧に浮気旅行ときたもんだ。あれだけ折檻されてるのに懲りないんだな、コイツ。最近は練習明けにつけ直す*1はずのイヤリング盗聴器をつけ忘れた事にして、浮気しまくってたっけ。

 

「すいません、ここに変態が居ます。」

「あっ、確かに。」

「なっ、いお…………って誰ですか?いきなり知らない人に話しかけるとか、どうかしてるんじゃないですか?」

 

 とりあえず俺たちは話しかける。ヤツはあくまでもシラを切る様子。ならば黒川に突き出すまで………

 

「「Oh‼︎ Das hier‼︎」」

 

 って例の変態ガチムチドイツ人までやってきただと⁉︎しかも2人揃って………っ‼︎これじゃあ変態が多すぎて、ストーカーの正体が分からねえじゃねえか‼︎

 

「凄いね、伊織。変態ホイホイだ。」

「ゴキブリホイホイみたいに言うな‼︎というか、お前も連れてる1人だぞ‼︎」

「兄様、私は変態じゃありません。」

「知ってるって‼︎」

「安心して、今から私が変態にしてあげるから。」

「お前をサツ*2に差し出していいか⁉︎」

「「Und jetzt zieh es an‼︎*3」」

「着せるな、馬鹿野郎共‼︎」

 

 しかもしれっとアクアと浮気相手が逃げやがった。一応写真に撮って黒川には送ったが、これじゃあ変態が特定出来ねえ。さて、どうしたものか…………

 

 

 

 

 

  side アクア

 

 くそっ‼︎せっかく京子との旅行だったのに、なんで北原や不知火が居るんだ⁉︎それに栞が仕事してるだと⁉︎まさか、ここの名は………北原旅館っ‼︎くそっ、アイツの実家、こんないいとこだったのかよ‼︎

 

 まずいな、あかねにバレたら湯船の底に沈められる。ここは金だけ置いて、京子と共に逃げるしかないか…………

 

「こんばんは、お兄ちゃん♪」

 

 ん?なんだ?なんでルビーの声がした…………?まさかここ、曰くつきの宿か…………?

 

「栞ちゃんとの妹同盟、忘れてたのかな?」

「随分とまた、舐めた真似をしてるわね。」

 

 それは気のせいではなかった。なんと栞から事を駆けつけたルビーが、物置きから出てきたのだった。しかも有馬まで。どういう事だ⁉︎

 

「スター君、嘘でしょ⁉︎この人たちって………っ‼︎」

「ああ、京子。これは間違いない。幽霊だ。」

「「幽霊じゃないよ‼︎」」

 

 マズイ、この2人がいるって事は………近くにヤツが…………っ‼︎早く逃げないと…………っ‼︎

 

「栞ちゃんから予約を聞いたんだよ。2人には先に部屋について潜伏してもらってたってわけ。そのくらい分かるでしょ、アクアくん?」

 

 すると入り口に立っていたのは、日本に伝わる鬼の嫁…………黒川あかねだった。

 

 

 

 

 

  side 伊織

 

 俺はアクアとドイツ人2人を通報した後、フリルと一緒に部屋に戻った。

 

「ごめん、お風呂先入ってた!」

 

 するとそこには、風呂上がりのケバ子がいた。

 

「エロ……っ‼︎///」

「フリル、変な事言うな‼︎///」

「分かった。襲っていい、愛菜?」

「何が分かった、なの⁉︎///」

 

 変態まみれのこの旅館で、1人健全な反応をしてくれるコイツにはとても涙が出る。そういうコイツも変なところはあるけど。

 

 それはさておき、パスポート奪還作戦の仲間が増えた。これはありがたい事だ。増えた仲間を利用していち早く奪還し、パラオに向かわなければ。そんな事を思っていると…………

 

「アノ…………」

 

 電車で見た、変態ガチムチドイツ人2人の連れの女が、襖を開けて入ってきた。

*1
ダイビングの練習中は外している。というのも、海水中で誤って感電した場合、空気中よりも遥かに電気が伝わりやすいが故、周囲の人も感電死する恐れがあるため。

*2
警察

*3
さあレディよ、これ(青色スプリング、きららコス(幼児服))を着てください‼︎




最近「珍鎮のフリーレン」の方ばかり更新して、ちよっと頻度が落ちてました。ごめんなさい!
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