酒の子   作:スピリタス3世

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この物語はフィクションです。
未成年の飲酒は法律で固く禁じられています。
またアルコールの強要、暴飲、
宴会での破廉恥な行為についても
それらを推奨する意図はありません。
あくまでギャグ物としてお読み下さい。


五十九杯目 アルハラ

  side アクア

 

 俺と林は昼間海を充分に堪能した後、日が暮れた頃に居酒屋にやってきた。ここは沖縄の伝統楽器、三線(さんしん)のライブをやっている店で、観光客からはかなり人気の高い店だ。芸能界でもお忍びで行くスポットとして人気であり、特にケンゴは沖縄に来ると毎回寄ると言ってた。作曲の参考になるのだとか。

 

「「かんぱ〜い!」」

 

 そんな店で、俺たちは南国ビールで乾杯していた。

 

「沖縄といえば、このビールだよね。南国ビール。」

「あれっ、星野さんってお酒好きなんだ。」

「嗜む程度にね。」

 

 嗜む程度、といっても度数96%の酒を浴びるように飲み、野球拳をして全裸になる程度だが。

 

 ちなみにこの南国ビールは薄めだから普通に飲みやすい。簡単に言うとソフトドリンクだ。未成年でも飲んで大丈夫だろう。

 

 そんな事を思っていると、

 

「こちらジーマミー豆腐とソーミンチャンプルです。」

「おお。」

「美味しそうですね。」

 

 沖縄の郷土料理がやってきた。独特な豆腐とソーミンをメインに作られたチャンプルだ。特にチャンプルの方はコーレーグース、いわゆる島唐辛子の泡盛漬けをかけて食べるのがうまいらしい。もっとも、PaBの連中なら泡盛じゃなくてスピリタスで漬けそうだが。

 

「美味しそう………まさか店員さんがっ⁉︎」

「豆腐の方よ。」

 

 ちなみに店員は男。いくら女装しているとはいえ、俺が男に興味を持つわけがない。俺が興味を持つならば、むしろお前の方だ。このいい雰囲気の店でいい雰囲気になった後、いい雰囲気のホテルでいい雰囲気のまま野球拳を楽しむとするか……………

 

 

 

 

 

「貴女は星野マリンに興味を持った。しかし残念だね。彼女の肝臓と倫理観と性別は既に壊れかけている。」

 

 そんな事を思っていたら、聞き覚えのある、忌々しい女の声がした。

 

「疫病…………神っ‼︎」

「やあ、久しぶりだね。」

 

 ツクヨミという偽名で活動していた、疫病神の女だ。

 

「誰…………です?」

「昔共演した役者さ。ツクヨミって呼んでね。」

「よ、よろしくお願いします。」

 

 奴は林に早速話しかける。こうしてコイツが普通に人前に出てきているのが、なんだか腹立たしい。大人しく人目につかないところにいればいいのに。

 

「それで、私たちに何の用?」

「いや、ただ君に挨拶に来ただけさ。偶然会ったから、ね。」

「そう……………」

「にしても、ここで遊んでていいのかな?この光景を見たら、黒川あかねはどう思う?」

「さあね。」

 

 コイツの上から目線の澄ました態度が腹立つ。しかもコイツは15の嘘で共演しているため、あかねとも知り合っている。故に今日の事をバラされかねない。彼女らはパラオにいるからしばらく処刑されないものの、帰ってきたらどうなるか分からない。死人に口なし。ここで殺しておくのがいいだろう。

 

「そりより随分可愛いものを飲んでるね?りんごジュースかな?」

「そうさ。これ、美味しいんだよ。」

「もしかして、お酒が弱いからそれを飲んでるのかな?可愛いね。」

はぁ?

「強いお酒は飲めません、だからこれを飲んでます、って言いなよ。」

飲めるし。なめんな。

「じゃあこれ飲んで。」

 

 こうして、俺は疫病神をスピリタスで潰した。

 

「よ、よかったの…………?」

「いいの。この子とはいつもこんな感じよ。」

「そうなんだ…………」

 

 これで、コイツは記憶が混濁。あかねにチクられる事もないだろう。疫病神だから、未成年飲酒にもならないだろうし。

 

 

 

 

 

  side 林雪子

 

 星野マリン、ライバルの女を酒で消した…………っ‼︎コイツ、やっぱりビッチね‼︎

 

 ただ、このビッチが私と2人で旅行に来ている意味が分からない。一体なんなのだろう…………?

 

「ここからは皆さんと一緒に、カチャーシーという踊りを楽しみましょう!」

「やろうよ、林。」

「う、うん………」

 

 とりあえず、踊りながら考えよう。彼女の目的を…………

 

 

 

 

  

  side ツクヨミ

 

 最悪…………星野アクアに潰された…………ただ一人旅していただけなのに……………頭痛い、超気持ち悪い…………

 

「あれっ、ツクヨミちゃんじゃん!何してんの?」

「ホントだ………大丈夫?」

 

 そんな事を思いながら、店の外で項垂れていると、星野ルビーや黒川あかねたちに話しかけられた。memちょはともかく、他の3人はパラオに居たはずでは………?何故今この人たちは沖縄にいるのだろうか。

 

「大丈夫………だし………」

「いや、全然大丈夫じゃないでしょ。」

「とりあえずお水飲んで、ね?」

 

 まあいい。それよりも今は復讐だ。星野アクア、私に一杯しか飲ませなかった。これは悪手だよ。君の甘さが招いた、明確な失敗だよ。君からしたら、一杯で潰れていた方が楽だったのに。

 

「私………お姉ちゃんたちが知りたい事を知っているよ………?」

「この期に及んで見栄張るのやめなさいよ。

「とりあえず、私たちの部屋に泊める?」

「そうしよっか。」

「さっきね、有名な女装アイドルがここで極秘デートしていてね、相手がクラスメイトの女の子だったんだ…………今はそう、あっちのホテルに向かったかな…………」

「「「なるほど…………」」」

「えっ⁉︎その流れになるの⁉︎」

 

 残念だよ、星野アクア。君の自由はもう無いね。

 

 

 

 

 

  side アクア

 

 俺たちはホテルに到着した。早速受付に行ったのだが………

 

「予約していた部屋に急遽欠陥が見つかってしまいまして………今回はお詫びとして、こちらの豪華な別棟での宿泊となります。追加料金はお取りしませんので…………」

「ありがとうございます。」

 

 なんとラッキーな事に、ランクが上の部屋に同じ値段で泊まれる事になった。

 

「なんかツイたね。」

「まさか、乱交パーティーを計画して………っ⁉︎」

「違うって。私も知らないし、これ。」

 

 豪華な部屋で、むっつりな彼女と一緒に一夜を共にする。なんて素敵な日なんだろうか。鬼神はパラオに、その忠臣もパラオに。胡散臭い自称神をも倒し、まさに勝利のひとときだった。

 

 そして、いよいよ私たちは別棟に足を踏み入れた。

 

「おお、すごい豪華………っ!」

「だね。」

 

 一見したら、ありふれた豪華な別荘に見えた。しかし、注意深く隅々まで見たとき…………

 

 

 

 

 

 建物中そこかしこに、奇妙な違和感が存在する事に気がついた。

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