酒の子   作:スピリタス3世

7 / 123
この物語はフィクションです。
未成年の飲酒は法律で固く禁じられています。
またアルコールの強要、暴飲、
宴会での破廉恥な行為についても
それらを推奨する意図はありません。
あくまでギャグ物としてお読み下さい。


七杯目 ミスコン

  side アクア

 

 俺はメイク中、有馬に口封じを依頼していた。

 

「頼む有馬。もしアイツらに会った時は、あかねの事は黙っておいてくれ。」

「なんでよ?現地妻でも作るつもり?」

「断じて違う。というかそんなことしたら、俺の命があると思うか?」

「まあ間違いなく死ぬわね。」

「だろう。」

 

 もちろん理由はあかねじゃない。

 

「俺が危惧してるのはアイツらの方だ。」

「治安悪い友達のこと?」

「だな。奴らのリア充への怨念は見ての通りだ。」

「確かにね〜。でもどうしよっかな〜♪」

「有馬、誰かを助けるのに理由がいるか?」

「それ助けられる側が言うセリフじゃないでしょ。」

 

 今村と北原だ。

 

 

 

 

 そんなことを考えてると、

 

「さて、出来たよあーくん!」

「ありがと。」

 

 俺のメイクが終わった。だが鏡を見るつもりはない。俺の黒歴史は出来るだけ忘れたいから。

 

「お〜、似合ってるぅ〜!流石アクたん!」

「千紗ちゃんと並んで優勝狙えるんじゃない?」

「奈々華の言う通り!」

「狙いたくないんだがな。」

「うちの事務所に()おへん?」

「俺をグラビアにすんな。」

「星野さん、頼むから頑張って。」

「お前が頑張れ、古手川。」

「2人ともよ。」

 

 そして、いよいよ俺の出番になった。こうして舞台に上がるのは、東京ブレイドの時以来か………。だがあの時とは違う。何をやっても恥晒しにしかならないという事実が。とりあえず、とっとと切り上げてアイツらを殴ろう。

 

 

 

 

 

  side 伊織

 

 さてと、いよいよミスコンの時間だ。

 

「お〜、皆勢揃いだね〜!」

「あれ、そちらにいるのは………」

「有馬かなちゃん!暇そうだから連れて来ちゃった!」

「ひ、暇そう……っ⁉︎よ、よろしくお願いします。」

「うおお、マジか………」

「こちらこそ、よろしくお願いします。」

 

 メイクしてたPaBの女性陣+有馬かな+寿先輩の妹を含め、千紗とマリンちゃんの出番を見守ることになった。

 

「えらい人入っとるな〜。」

「そりゃコレと男コンがステージの目玉だからな。」

「こんな大勢の前に出るのか………」

 

 とても多くの観客が集まっている。俺こんな人数の前で女装しなきゃいけないのか。

 

「耕平はまだいいだろ、男の格好なんだから。」

「ネタ枠が不満なのか?」

「不満というか、アクアもいるのに出る必要を感じないというか………」

「何を言う。見てみろ伊織。」

「はい?」

 

 そんな俺の目の前に現れたのは………先ほど会ったばかりのケバ子だった。アクアと別れた後、俺たちをナンパしてきた化粧のケバい女だ。どうやらイケメンの耕平が目当てらしい。あの時アクアがいれば、確実に押しつけられたんだがな。

 

「ほかのサークルだって、ネタ枠を用意しているだろ?」

「それに、アクアことマリンはネタ枠じゃない。」

「それで俺がやる気になるとでも?」

 

 そのアクアもネタ枠なのが心の救いだが、それでも嫌なものは嫌だ。

 

 

 そんなことを思ってると、

 

『では続きまして………』

「おっ、星野の出番か。」

「さあ、どんな醜態を晒すんだろうなぁ。」

 

 いよいよアクアことマリンちゃんの出番がやってきた。さて、どんな姿で出てくるのか…………

 

 

 

 

 そこに現れたのは………煌びやかな金髪の長い髪*1をなびかせた、綺麗な水色の瞳の、黒いロングドレスを着た長身の美少女が立っていた。ロングドレスも肩や骨格が見えないタイプのもので、アクアの男らしい骨格が目立たないこともあってか、それはまるで本物の美少女のようだった。

 

 その姿は、まるでB小町の星野ルビーの煌びやかさと、女優の黒川あかねの妖艶な美しさが合わさったかのような、そんな印象を受けた。

 

 

 

 

 

  side アクア

 

 どうせ俺はネタ枠だ。だから、次に控えてる古手川にできるだけ注目を集めるため、自分の評価を極限まで下げとくか。まずは仏頂面でいこう。印象を悪くするには見た目からだ‼︎

 

「「「きゃぁぁぁぁ‼︎カッコ可愛い‼︎」」」

「超美人じゃねえか⁉︎」

「こんな子が素人だとっ⁉︎」

「クールビューティー、ここに極まれり………っ‼︎」

 

 なんで?なんで大人気なの?アイツら一体どんなメイクをしたんだ?顔恥ずかしくて鏡見てないんだよな。

 

 まあいい。こうなったら喋りで好感度を下げにいこう。

 

「所属サークルとお名前をどうぞ。」

「Peek a Boo、星野マリン。(裏声、ミスコン中ずっと)」

 

 出来るだけ短く、その後の会話を続けないようなつまらない回答を連発しよう。

 

「「「「マリンちゃぁぁぁぁぁん‼︎」」」」

 

 ってうるせえ、PaBの連中‼︎何叫んでんだ⁉︎

 

「えらいべっぴんさんやな〜。」

「マリン、星野マリン‼︎アンタちょ〜可愛いじゃん‼︎」

 

 みなみに有馬‼︎お前らも混ざってんじゃねえ‼︎

 

 

 いけないいけない、落ち着かないと………。ここは冷静に、つまらない回答連発作戦だ。

 

「ご趣味は?」

「無い。」

「えっと………なら特技は?」

「無い。」

「好きな男の子のタイプは?」

「無い。」

「な、なら………今日何食べました?」

「何も食べてない。」

「好きな本は?」

「内緒。」

「遊びに行くならどこに行くんです?」

「のらりくらり散歩。」

 

 よしよし、客席が徐々に白けてきた。いいぞいいぞ、もっと評価を下げてやる。

 

 

 

 

  side 重曹

 

 このままじゃ、あーくんもといマリンの魅力が引き出せてないわね。アイツの魅力をもっと出すには……思いついたわ‼︎

 

 

 

 

  side アクア

 

 さてと、会場も白けてきた頃だし、そろそろ退散するか………

 

 

ビュー

 

 

 ん、風?どこから吹いて………ステージの上手にサーキュレーターが設置されてるな。なんでだ?もしや、ステージが暑いから…………

 

「ちょっ………やめっ!///」ピラッ

 

 じゃない‼︎ロングドレスがめくれるんだが‼︎ふざけんなよ‼︎

 

「止めて、風‼︎///」

「「「「おお‼︎」」」」

「見そうで見えない秘密は蜜の味‼︎」

 

 しかも風強えって‼︎一体誰がやったんだよ、こんな仕掛け………

 

「有馬さん、これで良かったんですか?」

「ええ。こちらこそ、急なお願いを聞いてくださり、ありがとうございます。雑誌撮影とかで使われる手法なんで、良かったら今後もどうぞ。」

「分かりました!」

 

 有馬(おまえ)かよぉぉぉぉぉぉ‼︎

 

「私、帰る!///」

 

 とりあえず、出番を中断させ、ステージ裏に帰る‼︎そして有馬をぶっとばす‼︎ついでに怒ってるのも前面に出す‼︎これで評価は更に下がるだろう‼︎

 

「なんと、恥ずかしがって帰ってしまいました。」

「「「可愛いぃぃぃぃぃ‼︎」」」

「クールで大人な見た目と無口な性格‼︎」

「そしてなんと恥ずかしがり屋‼︎」

「これは優勝だな‼︎」

 

 ふざけんなよ‼︎なんもかんも裏目じゃねえか‼︎

 

 

 

 

 こうしてそそくさと舞台裏に引き上げた俺は、

 

「ありがとう、星野さん。おかげで出やすくなった。」

「俺はなんも嬉しくないがな、古手川。それより有馬を捕まえてくる。」

「行ってらっしゃい。」

 

 裏声をやめ、舞台袖で待機していた古手川に別れを告げた後、

 

「有馬どこだ⁉︎出てこい‼︎」

 

 有馬を探しに出かけた。

 

 

 

 

  side 伊織

 

 マリンと千紗のミスコン後、俺は………

 

「北原、大人しく古手川に処刑されたらどうだ?」

「テメェ、他人事だと⁉︎」

 

 耕平と………

 

「というか重曹、なんでお前まで……?」

「なんか知らないけど、あーくんに殺されそうなのよ‼︎」

「いや、理由は明白だろ。」

「諦めろ、重曹。北原と一緒に死ね。」

「というか重曹って呼ぶな‼︎」

 

 何故か有馬かなこと重曹を舐める天才子役と一緒に身を隠していた。ちなみに俺が10秒で泣けるを重曹を舐めるって間違えて言ったから、コイツのあだ名は重曹になった。

 

 あと俺が千紗に殺されそうになってる理由は、アイツのミスコンの時に俺がスーパーボールを投げてアイツのスカートめくりをしたからだ。他の奴らもやる予定だったのに………。俺が怒りたい気分だ………

 

 

 

ガサガサ………

 

 

 

 マズい、草むらの動く音だ‼︎まさか見つかったのか……⁉︎いや、違うな………

 

「なんだ、このケバい気配は……?」

「千紗でもアクアでもないな。」

「ケバい気配って何⁉︎」

「それはだな………っ‼︎」ガシッ

「ねえアンタ…………」

 

 ケバ子だ。あの時ナンパしてきたケバい女だ。

 

「変質者だ⁉︎」

「誰が変質者よ⁉︎というか有馬かな⁉︎」

「そうよ、有馬かなよ。」

「最近あんま見ないけど……っ‼︎」

「一応仕事はしてるわ‼︎」

 

 初対面の重曹は当然ビビる。まあそうだろうな。というか2回目の俺らですらビビってるんだから。あと流石に重曹のことは知ってるみたい。

 

 

 

 そんなことを思ってると………

 

「そんなことより、アンタ………」

「な、なんだ?」

「私と付き合ってよ。」

「付き合うって………俺とお前が?」

「そうよ、文句無いでしょ。」

 

 ケバ子が耕平に告白した。これはチャンスだ。

 

「おめでとう、耕平。末永くお幸せに。」

 

 耕平を捨てる、な。

 

「待て貴様。どこへ行こうというのかね?」

「後はお前ら2人でと思って………」

 

 くそっ、逃げられなかったか………

 

「アンタらいいじゃない!私はあーくんと付き合えなかったのに‼︎」

「どこが羨ましいんだ、重曹⁉︎」

「つーか、今嫉妬すんなよ。」

 

 しかも重曹は嫉妬してるし。というかアクアと付き合えなかった………?俺だったら、こんな可愛い子とは真っ先に付き合うのに。どういうことだ………?

 

 

 

 そんなことを思ってると、

 

「もういい。」

 

 ケバ子は去っていった。

 

「なんだったんだ?」

「昼に会ったテニサーの女じゃない?」

「アンタらがバカだから、呆れて帰ったんじゃないの?」

「今日会ったばかりの男にバカとは失礼な。」

「だからアクアにフラれたんじゃね?」

「うっさいわね‼︎」

 

 それはそうと、これで確定したな。重曹はアクアにフラれた。しかしアクアはコイツの告白を断ってまで、恋愛しないほどのインポ野郎とは思えない。となると………間違いない、アイツは彼女持ちだ。これは是非とも耕平に伝えるべきだろう。

 

「耕平、かくかくしかじかなんだが……」

「それはマズいな、北原。今すぐにでも刑を執行しなければ。」

「だな。」

 

 そして、俺がすべきことは………星野愛久愛海の処刑だ。

*1
ウィッグ




マリンちゃんをどうするか、めっちゃ悩みました。ルビー要素だけだと、体格と性格があまりにもかけ離れているんですよね。なので女子にしては高い身長をあかね要素として捉えました。ついでに髪の毛もあかねみたくロングにしてます。また、本人の性格をクール系美女として扱うことで、大人っぽいけど恥ずかしがり屋なマリンちゃんを産み出しました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。