酒の子   作:スピリタス3世

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この物語はフィクションです。
未成年の飲酒は法律で固く禁じられています。
またアルコールの強要、暴飲、
宴会での破廉恥な行為についても
それらを推奨する意図はありません。
あくまでギャグ物としてお読み下さい。


九十五杯目 雪原のそりすべり祭り

  side アクア

 

 ヘルシンキでの撮影とあかね有馬からの拷問を終えた翌日、俺たちは電車に乗り込みサンタクロースの村・ロヴァニエミへと向かっていた。

 

「全く、昨日は酷い目に遭ったわ。」

「それはこっちのセリフだよ、マリンちゃん。」

「もう一回拷問してやろうかしら?」

「ごめんなさい。」

 

 座席の配置は飛行機の時と同じ。よって俺の両脇は拷問官2人に囲まれることになってしまった。トイレに出るのも一苦労、ほんと最悪だ。

 

「意外に速いんだね、この電車。もっとゆっくりなのかと思った。」

「確かに、私もアネモネと同じこと思ってた。」

「どっちが速いか競争しようよ、memちょ!」

「ルビー、それは無理でしょ⁉︎」

 

 前の方では楽しそうな会話をしているのに………

 

「では素敵な女社長ミヤコさんに、私の特別講義を開催しよう!」

「バイトくん、この人を黙らせて。」

「ええ…………」

「何故そうなる⁉︎私は通訳兼名誉教授だぞ⁉︎」

「出世を偽りすぎよ。」

「名誉教授なら退職してるだろうが。」

 

 もっと前の方は………見なかったことにするか。

 

 

 

 それにしても、フィンランドの景色はいいな。日本の雪国の光景も確かにいいのだが、フィンランドはフィンランドでまた別の良さを感じる。日本よりも気温が低く空気が澄んでいるので、寒さがある種の刺激となって感じることが出来る。そんな中を颯爽と走る列車は、まるでサンタクロースを乗せて走るトナカイのようだ。

 

「そういやマリン、アンタは今回トナカイの衣装なのよねえ。なんでミニスカヘソ出しサンタコスじゃないのかしら?」

「仕方ないでしょ。露出増やしたら男だってバレるもん。」

「アンタだけダメージの少ない格好ばっかでずるい‼︎」

 

 そして、俺は新曲のPVではトナカイになっている。ルビーに有馬、memがサンタコスで、

 

「私は今回マリンちゃんと一緒だ!」

「だね。」

「なんでアンタもなのよ⁉︎」

「1人だけセンターじゃないのにトナカイは変でしょ?」

「だから背の高い2人がトナカイになったんだよ。」

「なるほどね………」

 

 あかねがトナカイコスだ。もっぱらB小町では背の高い2人が両端にいることが多く、今回もそうなっている。見栄えの問題だ。

 

「それじゃあ2人はもう着替えられるわよねえ〜?トナカイコスは露出少ないもんね〜?」

「いや、今はちょっと………///」

「あかね、別に大丈夫でしょ。」

 

 そんな俺たちを羨む有馬。まあ俺的には今まで恥ずかしい格好をさせられてた、というか着る服そのものが無かったことが多いから、こんくらいは全然大丈夫だ。

 

「かなちゃん、それはちょっと待ってね!」

 

 そんな事を思っていると、前からmemが口を挟んできた。

 

「えっ?なんでよ?」

「実はマリンたんは先に着る服があってね………」

「「えっ?」」

 

 俺が先に着る服………?そんなの聞いてないんだが。一体何をやらされるんだ…………?

 

 

 

 そう思ってから数時間後…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「祭りのはっぴ⁉︎」」」

 

 俺はアクアモード+青い祭りのはっぴを着せられ、サンタクロースの村でそりすべり祭りに参加させられていた。

 

「なんで俺もなんだよ⁉︎」

「私は通訳者ではなかったのか⁉︎」

 

 しかも壱護さんや准教授まで。どうなってるんだ⁉︎memの奴は何を企んでるんだ⁉︎

 

「は〜い、皆さ〜ん、こんmem〜!memちょだよ、イェーイ!今日は特別企画、『世界中どこへでもレッツゴー・お祭り男3人衆!』をやっちゃいたいと思いま〜す!」

 

 お祭り男3人衆⁉︎俺とこの2人が⁉︎どう考えても変な組み合わせじゃね⁉︎適当に寄せ集めただけだろ‼︎

 

「まずはメンバーの自己紹介!最初は苺プロダクションのベテランアルバイト、サングラスおじさんだよ〜!」

「誰がおじさんだ⁉︎」

「ツッコむところそこじゃねえだろ。」

 

 サングラスおじさんって見たまんまじゃねえか‼︎もうちょっとひねろうぜ‼︎

 

「次は伊豆大学の万年准教授、准教授だよ〜!」

「教授の間違いだな。」

「そこは間違ってないだろ‼︎」

 

 准教授は役職名そのままだし‼︎コイツ直前になって適当に考えただろ‼︎

 

「そして最後はB小町んちんの浮気担当、ホシノ・チンスピ・アクアマリンだよ〜!」

「そっちの名前かよ‼︎」

「今日は-15℃*1なので、流石に服を着ています!」

「いつもは着ていないみたいな言い方やめろ‼︎」

 

 俺に至ってはちんちんの方の名義。しかも浮気担当とかいう不名誉な役割まで与えられた。あと流石に服は着させてくれ。ここは伊豆じゃねえんだ。死んでしまう。

 

「3人には、今から『サンタクロース杯・雪原のそりすべり大会!』に参加してもらいます!誰かが優勝した場合には、地元の人から豪華景品がもらえるそうです!」

 

 そして、何故かこのおっさん2人と祭りに参加するという。しかもそりすべり。目の前に見えているかなり急な雪の坂をそりすべりで滑り降りるという。これがなだらかな坂ならいいんだが、残念ながらスキー場並みの急勾配だ。滑るどころか転んで雪だるまになってもおかしくない。マジで恐ろしい祭りだ。

 

「お祭りは何人かのグループで分かれて1回戦を行い、上位3人が決勝ラウンドに進みます!3人はそれぞれ別のグループに入ってもらうので、決勝ラウンドで当たれるといいですね!」

 

 そして、俺はサングラスおじさんや准教授とは違うタイミングで滑ることが判明。皆が見てる前で滑ららなきゃ行けねえのかよ。大変だな、おい。

 

「ちなみに主催者の方からのひとこと!」

「(フィンランド語)温室育ちの皆さんがどこまでやれるか、気になりますねぇ〜。」

 

 更には主催者のおっさんに煽られる始末。まあでも、現地の人に勝てるわけがないのは事実だ。

 

「あ?貴様、私を侮辱するのか?」

「ほら、通訳!」

「仕方ないなぁ。温室育ちの………(以下略)。」

「なんと、それは強気な発言ですね〜!ここは我々の力を見せるしかありません!」

 

 そういやお前通訳だったな。俺はナンパのために言葉覚えたから、完全用済みだったが。

 

「ということで、最初はサングラスおじさんです!行ってらっしゃい!」

「嫌だなぁ………」

 

 ということで、壱護さんことサングラスおじさんがそりすべりをする番になった。

 

 

 

 

 

 しばらくすると、おじさんが坂の上へと到着した。

 

『おじさ〜ん!今の意気込みは〜?』

『怖えよぉぉぉぉぉ………っ!ミヤコ、代わりに出ないか〜?』

『嫌よ。』

 

 あかねの盗聴器を利用して上にいるおじさんと話す。どうやらあの人はかなりビビってるようだ。まあこの傾斜じゃ仕方ないか………

 

「それでは位置について、よ〜い、どん!(フィンランド語)」

 

 そんな事を言ってると、あっという間にピストルが鳴らされた。

 

『あぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎』

 

 そして、勢いよくそりに乗ってやってくるおじさん。しかも何故か両手ではなく片手でそりを持っており、もう片方の手はサングラスに伸びている。なんでだよ⁉︎そっちが本体か⁉︎

 

『しまっ…………!』ゴロン、ゴロン

 

 案の定、おじさんはそりから手を滑らせ、転げ落ちるように雪の坂を転がり落ちてきた。

 

「おっと、早くもそりから落っこちちゃったようです!」

「あの人はダメね。」

「頭が悪いのだろう。私と違って。」

 

 ミヤコさんの厳しい評価のもと、おじさんは転がり落ちてきた…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「グラサン被った雪だるまになっちまった………」

 

 何故かグラサンだけは無事で。

 

「そこだけ守ったのか⁉︎」

「自分のキャラ意識………だとっ⁉︎」

「このグラサン気に入ってるんだよ‼︎」

「ちなみに20人中17位ね。」

「「超遅いじゃねえか⁉︎」」

 

 この世のどこにサングラスかけた雪だるまがあるんだよ⁉︎グラサン抑えてた手をそりに使ってれば、こんなことにはならなかったんじゃねえの⁉︎この人アホだな‼︎

 

「ということで、サングラスおじさんは雪だるまグラサンになってしまいました!この無念を果たせるか、次は准教授の出演です!」

「仕方ない。私の完璧な計算をお見せしよう!」

 

 さてと、次は准教授か………。どうせ無様な姿を晒すだろうから見なくていいか。

 

 そして、案の定准教授は………

 

『私の計算によれば、前屈みになって空気抵抗を減らすのが一番速………ぎゃぁぁぁぁぁぁあ‼︎』

『思いっきり転がり落ちてるじゃねえか。』

 

 雪だるまになって帰ってきた。

 

「ふぅ………少し予想外の変数が入力されてしまったようだ。」

「予想通りの変態はそのまま帰ってくれ。」

「酷いぞ貴様‼︎それが教授に対する物言いか‼︎」

「助教の間違いだろ。」

「勝手に降格させるな‼︎」

「ちなみに20人中20位でした!」

「なん………だとっ⁉︎」

 

 雪だるまになってもなおカッコつける精神。野島に通ずるものがある。もしかしたらこの2人は親子なのかと思いつつ、このおっさんに恋人など出来るはずがないことに気がつき、その考えは無くなった。

 

 さてと、いよいよ俺の番か。

 

「なんと、いよいよ最後になってしまいました!ホシノ・チンスピ・アクアマリンさんの出番です!」

「よし、それじゃあ行ってくる。」

「アクアくん、頑張って!」

「帰ってきたら私が暖めてあげるわ。」

「ロリ先輩………頭大丈夫?」

「うるさい‼︎」

 

 俺はこいつらみたいにこけたりしない。普通にそりを滑って、普通に20人中8位くらいのそこそこの成績で帰ってこよう。そのためにも、景気づけに一杯飲んで………っと。

 

 

 

 

 そう思って上がってきたのだが、ここでアクシデントが発生してしまった。さっきスピリタスを飲んだからか、猛烈に服が重く感じるのだ。ここは外国、しかも-15℃。脱いだらダメなのは分かってる。でも………でも………よしっ、半脱ぎくらいにしよう。しかもバレない程度で。

 

「それでは位置について、よ〜い、どん!(フィンランド語)」

 

 そしてそりに乗って、華麗に滑…………

 

「あっ…………」

 

 しまった、そりから落ちた!しかも服が脱げた‼︎マズい、クソ寒い‼︎しかもこのままでは雪だるまコースだ‼︎なんとかうつ伏せになって、雪だるまを避けるしかない‼︎

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」

 

 しかしマズいな、このままだとブレーキが効かない‼︎皆のいるところに突っ込んじまう‼︎しかし手や足で踏ん張ったところで、止まるはずもない‼︎くそっ、どうすれば…………いや、あの手があったな。股間に全神経を集中させ、-15℃の過酷な環境を跳ね返し、強烈に固くしてブレーキとして機能させる。チンコがデカいからこそ、前立腺ブレーキを作動させるんだ‼︎止まれ、止まれぇぇぇぇぇぇぇ‼︎

 

 

 

 

  side あかね

 

 アクアくん、君の醜態はゴールテープから20cm先で主催者さんが止めてくれた。冬の雪の冷たさだろうね、社会的損傷は大きかったみたい。あの後すっごい話題になったよ。タイムは1位になったけど、公然猥褻で失格になったって。頭が悪くて可哀そうだって。でも違うんだよね?一生懸命考えて、これだったんだよね?頑張ったね。私は君の想いを受け継いで、頑張るよ!

*1
調べてみたらこのくらいでした。意外と寒くなかったです。

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