TSした上に『負完全』の妹   作:Minus-4

15 / 95


 今回7,000文字近く書いていますが、大半が例のシーンに費やされています。さて、どこでしょう?




第15箱「子供は何人欲しい?」

 

 

「でさ? 酷いんだよ善吉くんったら。まるで全部私が悪いみたいに決めつけてさ」

 

『そいつは酷いね。善吉ちゃんってば女の子に庇われるだけじゃあ飽き足らず、まさか友達の女の子を悪く言うなんて。まったく! 許せないなあ』

 

 やあ、球磨川雪(そそぎ)だ。生徒会室にカチコミを入れてから数時間後。マイナス十三組は授業があるわけでもないし、私も暇だったのでお兄ちゃんに学園を案内してあげている。

 

「めだかくんは私のこと壁に叩きつけるし……阿久根くんはめだかくんをえこひいきするし……善吉くんは私を悪者扱いするし! ほんと喜界島くんだけが癒しだよあの集団! お金が絡まなければすっごいいい子だしさ!」

 

『やっぱりこの学園って碌(ろく)でもない奴らの寄せ集めだよね。よーっし、俄然! この学校を改革する気に……ん?』

 

「あれ? いきなり止まってどしたのお兄ちゃん……あー! 瞳くん! こんにちは!」

 

「……こんにちは! どうもさっきぶり! ところで私、ちょっと急ぎの用事があるから通してくれないかなー、なんて!」

 

 なーんだ、いきなり止まったからめだかくんでも見つけたのかと思ったら、瞳くんを見つけたのか。そりゃ止まるよな……って待てよ? 瞳くんとお兄ちゃんが出くわしたって事は……急げばあのシーン見れるか?

 

 よし決めた、覗き見しに行こ。

 

「お兄ちゃん! ちょっと屋上がやけに気になるから見てきてもいーい? いいよね? お兄ちゃんも丁度瞳くんとお話したかったでしょ?」

 

『当然! 何てったって人吉先生は僕の初恋の人だからね。積もる話もあるし、雪(そそぎ)ちゃんは先行ってていいよ。じゃ、また後でね』

 

「うん、また後で! 瞳くんばいばい! また今度話そ!」

 

「……意外と普通ね……?」

 

 よし、とりあえず壁登ってうずくまってる江迎(えむかえ)怒江(むかえ)くんからも……そういえばまだ紹介してなかったな。江迎くんはマイナス十三組に所属している、ちょっと思い込みが激しいだけの可愛らしい女の子だ。

 

 とにかく、うずくまってる江迎くんからも倒れ込んでる善吉くんからも見えない場所にスタンバイして……さあ来い!

 

「ハァッ、ハァッ……意外とやれちゃうもんだな壁走り! 人吉クライム……いや、デビルクライムと命名しよう!」

 

 うわっ……デビル……うわっ……えぇ、マジかよ。善吉くんってペットにソロモン72柱の名前とかつけそうだよな。

 

「て! それどころじゃねーか! おーい、お前は大丈夫か……どうした? ひょっとしてどこか痛め──」

 

「だっ……大丈夫だよ全然平気! どっ……どこも怪我なんかしてないわっ! ど……どこも……痛めてなんかないから──」

 

 気が動転しすぎてキャラがブレてる……いや、最初の方は割とこんな感じだったか。恋多き乙女って感じですっごくかわいいね!

 

 ……さあ、来るぞ。気合い入れろよ、並大抵の神経じゃ耐え切れないからな、あ(・)れ(・)は。

 

「あ、あの! 人吉くん! 私、江迎怒江っていうんだけど!」

 

 いやまあ、江迎くんが舞い上がっちゃったってのは分かるよ。彼女の持つ過負荷(マイナス)である『荒廃した腐花(ラフラフレシア)』のせいで、今まで彼女の手を取ろうとしてくれる人はいなかったから、初めて手を取ろうとしてくれた善吉くんに惚れてしまうのは分かる。ただ──。

 

 

「子供はっ……」

「子供は何人欲しい?」

 

 

「……………………………………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私(わたし)は三人(さんにん)欲(ほ)しいな。女(おんな)の子(こ)がふたり、男(おとこ)の子(こ)がひとりね。名前(なまえ)は人吉(ひとよし)くんが決(き)めてあげて。私(わたし)ってあんまりネーミングセンスないから。えへへ、どっちに似(に)ると思(おも)う? 私(わたし)と人吉(ひとよし)くんの子供(こども)だったら、きっと男(おとこ)の子(こ)でも女(おんな)の子(こ)でも可愛(かわい)いよね。それで庭(にわ)付(つ)きの白(しろ)い家(いえ)に住(す)んで、大(おお)きな犬(いぬ)を飼(か)うの。犬(いぬ)の名前(なまえ)くらいは私(わたし)に決(き)めさせてね。人吉(ひとよし)くんは犬(いぬ)派(は)? 猫(ねこ)派(は)? 私(わたし)は断然(だんぜん)犬(いぬ)派(は)なんだけど、あ、でも、人吉(ひとよし)くんが猫(ねこ)の方(ほう)が好(す)きだっていうんなら、勿論(もちろん)猫(ねこ)を飼(か)うことにしようよ。私(わたし)、犬(いぬ)派(は)は犬(いぬ)派(は)だけれど動物(どうぶつ)ならなんでも好(す)きだから。だけど一番(いちばん)好(す)きなのは、勿論(もちろん)人吉(ひとよし)くんなんだよ。人吉(ひとよし)くんが私(わたし)のことを一番(いちばん)好(す)きなように。そうだ、人吉(ひとよし)くんってどんな食(た)べ物(もの)が好(す)きなの? どうしてそんなことを聞(き)くのかって思(おも)うかもしれないけれど、やだ明日(あした)から私(わたし)がずっと人吉(ひとよし)くんのお弁当(べんとう)を作(つく)ることになるんだから、ていうか明日(あした)から一生(いっしょう)人吉(ひとよし)くんの口(くち)に入(はい)るものは全部(ぜんぶ)私(わたし)が作(つく)るんだから、やっぱり好(この)みは把握(はあく)しておきたいじゃない。好(す)き嫌(きら)いはよくないけれど、でも喜(よろこ)んでほしいって気持(きも)ちも本当(ほんとう)だもんね。最初(さいしょ)くらいは人吉(ひとよし)くんの好(す)きなメニューで揃(そろ)えたいって思(おも)うんだ。お礼(れい)なんていいのよ彼女(かのじょ)が彼(かれ)氏(し)のお弁当(べんとう)を作(つく)るなんて当(あ)たり前(まえ)のことなんだから。でもひとつだけおねがい。私(わたし)『あーん』ってするの、昔(むかし)から憧(あこが)れだったんだ。だから人吉(ひとよし)くん、明日(あした)のお昼(ひる)には『あーん』ってさせてね。照(て)れて逃(に)げないでね。そんなことをされたら私(わたし)傷(きず)ついちゃうもん。きっと立(た)ち直(なお)れないわ。ショックで人吉(ひとよし)くんを殺(ころ)しちゃうかも。なーんて。それでね人吉(ひとよし)くん、怒(おこ)らないで聞(き)いてほしいんだけど私(わたし)、中学生(ちゅうがくせい)の頃(ころ)に気(き)になる男(おとこ)の子(こ)がいたんだ。ううん浮気(うわき)とかじゃないのよ、人(ひと)吉(よし)くん以外(いがい)に好(す)きな男(おとこ)の子(こ)なんて一人(ひとり)もいないわ。ただ単(たん)にその子(こ)とは人吉(ひとよし)くんと出会(であ)う前(まえ)に知(し)り合(あ)ったというだけで、それに何(なに)もなかったんだから。今(いま)から思(おも)えばくだらない男(おとこ)だったわ。喋(しゃべ)ったこともないし。喋(しゃべ)らなくてよかったと本当(ほんとう)に思(おも)うわ。だけどやっぱりこういうことは最初(さいしょ)にちゃんと言(い)っておかないと誤解(ごかい)を招(まね)くかもしれないじゃない。そういうのってとても悲(かな)しいと思(おも)うわ。愛(あい)し合(あ)う二人(ふたり)が勘違(かんちが)いで喧嘩(けんか)になっちゃうなんてのはテレビドラマの世界(せかい)だけで十分(じゅうぶん)よ。もっとも私(わたし)と人吉(ひとよし)くんは絶対(ぜったい)にその後(あと)仲直(なかなお)りできるに決(き)まってるけど、それでもね。人吉(ひとよし)くんはどう? 今(いま)まで好(す)きになった女(おんな)の子(こ)とかいる? いるわけないけども、でも気(き)になった女(おんな)の子(こ)くらいはいるよね。いてもいいんだよ全然(ぜんぜん)責(せ)めるつもりなんかないもん。確(たし)かにちょっとはやだけど我慢(がまん)するよそれくらい。だってそれは私(わたし)と出会(であ)う前(まえ)の話(はなし)だもんね? 私(わたし)と出会(であ)っちゃった今(いま)となっては他(ほか)の女子(じょし)なんて人吉(ひとよし)くんからすればその辺(へん)の石(いし)ころと何(なに)も変(か)わらないに決(き)まってるんだし。人吉(ひとよし)くんを私(わたし)なんかが独(ひと)り占(じ)めしちゃうなんて他(ほか)の女子(じょし)に申(もう)し訳(わけ)ない気(き)もするけどそれは仕方(しかた)ないよね。恋愛(れんあい)ってそういうものだもん。人吉(ひとよし)くんが私(わたし)を選(えら)んでくれたんだからそれはもうそういう運命(うんめい)なのよ決(き)まりごとなのよ。他(ほか)の女(おんな)の子(こ)のためにも私(わたし)は幸(しあわ)せにならなくちゃいけないわ。うんでもあまり堅(かた)いことは言(い)わず人吉(ひとよし)くんも少(すこ)しくらいは他(ほか)の女(おんな)の子(こ)の相手(あいて)をしてあげてもいいのよ。だって可哀想(かわいそう)だもんね私(わたし)ばっかり幸(しあわ)せになったら。人吉(ひとよし)くんもそう思(おも)うでしょう?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………うんっ! そうだなっ!」

 

 

 

 ──流石にこれはねえよ。怖いよ。可愛いけど流石に怖いよ。善吉くんも恐怖のあまり思考放棄して生返事で返しちまった。その返事は江迎くん的には『結婚しよう』的な意味に聞こえてるぞ、分かってんのか善吉くん。

 

「あ! そうだ! 俺用事を思い出したからこれで──」

 

 あーあ、いっつも一歩遅いんだよな……なんていうか、間が悪いというより、運が悪いのかな? 星の巡りとかも悪そうだ。

 

 あーほら、文化包丁が善吉くんの足にぐっさりと……一度決めたら押し切るまで突っ込む姿勢は乙女ポイントが高いけど、些(いささ)か思い込みが激しすぎるのが難点かなー。それさえなければ、江迎くんは手で触れたものを腐らせてしまうだけの、普通に可愛い女の子なんだけど。

 

「何で逃げるのよ何で逃げるのよさっき手を差し伸べてくれたじゃないあれって好きってことでしょ好きってことでしょ私のこと好きなんだよね? 私達はもう恋人同士なのでしょう? 大体用事って何よ私より大事な用なんてあんたにあるわけないじゃないあんたは私を愛するために生まれてきたんだしあんたは私に愛されるために生まれてきたんだし私に出会ったあんたはもう何もしなくてもいいのよいいんだから」

 

「うわあああああああああっ!!」

 

 あちゃー、流石にまだ善吉くんには耐え切れないよな、あの気持ち悪(マイナス)さは。それにしてもついうっかりとはいえ、女の子を本気で蹴るなんていただけないなあ。

 

「……おい大丈夫か! えっと……江迎!?」

 

「大丈夫なわけないじゃん。痛かったよね?」

 

「なっ……杵築、じゃない雪(そそぎ)! お前らやっぱり裏で繋がって……」

 

「あーいや、これは私の来るタイミングが悪かったかな。ごめんごめん、勘違いさせちゃったね。正真正銘初対面だよ。ねっ? 江迎くん」

 

「……? 雪(そそぎ)お前、さっきまでとは……」

 

 あー待て待て、そんな事より今は江迎くんの怪我の具合を確認する事が先決でしょ?ほら悪いと思ってるならまずは蹴ったこと謝らないと。

 

「もしかしてあなた、球磨川さんの……妹?」

 

「そそ。それより大丈夫? 女の子の体に痣(あざ)が残ったら大変でしょう。触ってみた感じだとどう? まだ痛むかな?」

 

「いや……痛いは痛いけど、私はそこに愛を感じるから……って何言わせるの!? もう!!」

 

 あはは、年相応にぷんすこ怒る江迎くんは可愛いなあ。ほら善吉くん、今(・)な(・)ら(・)多(・)分(・)大(・)丈(・)夫(・)だ(・)か(・)ら(・)さ(・)っ(・)さ(・)と(・)謝(・)っ(・)て(・)。

 

「江迎、驚いたとはいえ……いきなり蹴っちまってごめん! そうだよな、球磨川の野郎と関係があるとはまだ決まってないのに……本当にすまん!」

 

「ほら、江迎くんも。いきなり足刺しちゃってごめんなさいって言わなきゃ……」

 

「善吉くん! その子は……あら? 平和ね?」

 

 あー……こ(・)っ(・)か(・)ら(・)ど(・)う(・)な(・)る(・)? もしここからバトルに発展しなければ、だ(・)い(・)ぶ(・)大(・)き(・)い(・)収(・)穫(・)に(・)な(・)る(・)んだけど……。

 

「──人吉くんのお母様ですか? 私と人吉くんの絶対的な愛を引き裂こうっていうのなら手加減はしませんけどお? もっとも! 私の抱える過負荷(マイナス)、『荒廃した腐花(ラフラフレシア)』は加減したところでどうにかなるようなものじゃないですけど!」

 

「はあ……結局そうなるなら最初から猫被ってんじゃないわよ! 愛だの恋だのほざくんだったら、意中の相手にくらいは何もかも曝け出して見せなさいな!」

 

 ……くそ。バトルに発展する経緯自体は変わったけど……結局のところバトルに発展しちまった。多少の時間稼ぎはできたけど、多(・)少(・)の(・)変(・)化(・)じ(・)ゃ(・)ほ(・)と(・)ん(・)ど(・)意(・)味(・)が(・)な(・)い(・)。

 

 はあ……もうこうなったら、瞳くんの縫合格闘技だけでも見て帰るか……。何か一つだけでいいから収穫が欲しい。うひゃー、瞳くんえげつない蹴り……あんなもん食らったら骨がバキバキになっちゃうよ。

 

「……お母様、あなた昔、どこかで私と会ってますかあ? 今の蹴り、なんだか身に覚えがある感じなんですけれどお」

 

「……さあねー、私はあなたみたいな小娘知らないけど? それからそれとなくお母様って呼ぶな」

 

 そうそう、江迎くんは実は昔、あの悪名高き箱庭総合病院の心療外科医だった、瞳くんの診察を受けている。問題なのは、その時から江迎くんが一切成長していない事だが。

 

 正直なところ、私は江迎くんが成長できるはずがなかったと思っている。誰の手も借りられず、誰からも手を差し伸べられない環境なんて、子供にとってはそれこそ地獄すら生ぬるいだろう。そんな状態で成長できるのは異常(アブノーマル)の連中だけだ。

 

 否、江迎くんだって成長はしている。

 マイナス方面に、だが。

 

 だからまあ、触(・)れ(・)た(・)空(・)気(・)を(・)腐(・)ら(・)せ(・)て(・)そ(・)れ(・)を(・)風(・)下(・)に(・)送(・)っ(・)た(・)ところで、別に驚きはしない。なんなら原作でやってるからな、これ。

 

 その後江迎くんはうっかり口を滑らせてお兄ちゃんの目的……『十三組の生徒(エリート)を皆殺しにする』という、まあなんとも荒唐無稽な目的を口走ってしまった。そしてそれに自分が加担していることも。

 

 ……ん? どしたの善吉くん。私は関わっているのかって? いやだなあ善吉くん。そ(・)ん(・)な(・)わ(・)け(・)な(・)い(・)じ(・)ゃ(・)ん(・)。人殺しちゃったら殺人犯だぜ? 流石にこの歳で人殺しはごめん被(こうむ)るかなあ……さっきからちょくちょく何なんだよ、不思議そうな顔しやがって。

 

「いや……お前、球磨川と一緒にいる時とそうじゃない時で人格でも入れ替わってるのかなーって思って……」

 

「そんなことあるわけないじゃん! それよりほら、瞳くんがピンチだよ! 息子! 助けなくていいの!?」

 

「いいや大丈夫! 母は強し、だよ!!」

 

 おおっ、含み針で形勢逆転……腐った空気を吸い込んでおいて、よくあそこまで動けるなあ。私が普通にやってもそれは無理だ。ただまあ、口の中に何か含んでおくってのは使えるかもな。

 

「縫(・)合(・)格闘技『狩縫(かりぬい)』・六の技『針漬(はりつけ)』、つってね!」

 

 おー、かっこいい。コンクリに縫い付けるって結構ヤバいよな。やっぱりこの人、普通に異常(アブノーマル)だ……おっと、そろそろ江迎くんが校舎を大規模に腐らせて脱出するはずだったな……あれ? 思ってたより出力強くない?

 

 ヤバっ……こ(・)の(・)ま(・)ま(・)じ(・)ゃ(・)善(・)吉(・)く(・)ん(・)達(・)が(・)校(・)舎(・)掴(・)め(・)な(・)く(・)て(・)そ(・)の(・)ま(・)ま(・)落(・)ち(・)る(・)! だいぶ不味いぞそれは!!

 

「あーもう、今回だけだぞこんちくしょう!」

 

 こうなったら私がどうにかするしかない! ここは杵築ミラージュでどうにか……よし届いた! あっぶねーマジで危ねえ! 落ちたら洒落にならないからな。

 

「二人とも大丈夫!?」

 

「いやまあ、大丈夫なんだけどさ……」

 

「えっと……助かったんだけど……」

 

 

「「どういう精神状態?」」

 

 

 ……えっ? 何が?

 

「いやだからさ、ついさっき生徒会のことをボロクソ言って出てったよな?」

 

「うん。でも友達とその母親が怪我しそうなの見過ごすと思う? 見過ごす奴がいるとしたらそいつはかなりヤバい奴だよ?」

 

「えっと、じゃあ何で江迎の事は助けなかったんだ? 俺が二回蹴って、お母さんが一回蹴ってるんだけど……」

 

「んー? いやだって、先に攻撃したのは江迎くんの方でしょ。しかも足を包丁で刺してるんだぜ? 先に攻撃したんだから、やり返されるのは当たり前じゃん」

 

「それじゃ、最後に私から一つ質問させてもらうよ……雪(そそぎ)ちゃん、君は味方? それとも敵?」

 

「うーん……敵は敵ですよ。ただ、味方じゃないってわけじゃない。敵味方とか、あんまりそういう考えじゃないんです。私は私の目的……やっぱこれはいいや。ま! 私は私が楽しくなれればいいんです! そんじゃバイバイ!」

 

 さっさとお兄ちゃんと合流しなきゃいけないからな、あんまり長話をするわけにもいかない。今の私はマイナス十三組の球磨川雪(そそぎ)だし、生徒会と関わりすぎるのも良くないだろうしね。

 

 よーっし、ここからは完璧に悪役になるわけだし、さっさと二年十三組の教室に向かおーっと。

 

 


 

 

「……善吉くん、あの子やっぱり、過負荷(マイナス)では無いっぽくないかな?」

 

「そりゃそうさ、杵築……雪(そそぎ)は元々、完(・)璧(・)に(・)俺(・)と(・)同(・)じ(・)普(・)通(・)の(・)人(・)間(・)だ(・)っ(・)た(・)ん(・)だ(・)か(・)ら(・)よ(・)」

 

「それに……私達を助けてくれた時の動き……め(・)だ(・)か(・)ち(・)ゃ(・)ん(・)に(・)そ(・)っ(・)く(・)り(・)じ(・)ゃ(・)な(・)か(・)っ(・)た(・)か(・)し(・)ら(・)?」

 

「そうさ、だってあれはめだかちゃんの動きを真似たものだ。本当に『過負荷(マイナス)』だったなら、そんな芸当出来るはずが無いんだけどな……」

 

「雪(そそぎ)ちゃん、一体あなたは何者なのかしら……?」

 

 腐った校舎に取り残された二人は雪(そそぎ)について考え込んでいたようだが、情報が出揃ってもいないのに正体を見抜けるはずもなく……。

 

「ま、とりあえず雪(そそぎ)が悪意を持って敵対してるわけじゃねえって事は分かったんだ。難しいこと考えるのは後に回して、とりあえず今はみんなの所に戻ろうぜ」

 

「うん、そうしよっか。はあ……こういうのは腰を据えて話した方がいいもんね……あっそうだ! 戻るまでの間、学校でどう過ごしてるのか教えてよ! この際だし!」

 

 結局、考えることをやめて二人して軍艦塔(ゴーストバベル)へと帰って行った。そこにあったのは腐りきった愛でも偏り斬った愛でもなく、ただ単純な──家族愛だった。

 

 






 ここだけはどうしても書きたかったんで無理して書きました。くぅ疲。

 感想・評価・ここすき等よろしくね。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。