TSした上に『負完全』の妹   作:Minus-4

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 球磨川くんってなんか回を重ねるごとに幼い顔立ちと体型になってません? なってますよね。そうですよね。




第17箱「みなさん応援してください!」

 

 

「さて、思わぬ邪魔は入っちゃったけど斬り替えて! ここから先は幹部同士の親交を深める会といこうか!」

 

 ハロー、球磨川(そそぎ)だ。日之影くんには散々やられたが、どうにか撃退できてよかった。こんな序盤も序盤で殺しちゃう訳にもいかない。死んだり生き返ったりするのはもう少し先だからな。

 

 そんで今はどういう状況かっつーと、机を並べてお菓子パーティ兼作戦会議中。あっお兄ちゃん、たい焼きひとつちょうだい。カスタードの方。ありがと。あーんっ、ぶちぶち、ぐちゃ。

 

「んー! このたい焼きおいしー! ……ん? どしたの志布志くん、蝶ヶ崎くん、鳩が88ミリ砲(アハトアハト)喰らったみたいな顔して」

 

「いえ、本当にあなたも過負荷(こちら)側なのだなと思いまして」

 

「本当にな。てっきりあたしは球磨川さんの妹ってだけでここに来たのかと思ってたよ」

 

「あはは……まあ()()()()()のは本当につい最近……自覚したのがこの前だったからね。危うく首の骨折られちゃう所だったよ!」

 

「ハッ、違いないね! 本当の所を言うと、あたしも直前まで迷ってたからよ!」

 

 うーん、物騒だけどみんな笑顔で楽しそう。他人の骨を折るかどうか迷った話でここまで和気藹々とできるのはもはや才能だよな。まあ私にとってもこういう話題は新鮮で面白いけど。

 

「それにしても……やはり生徒会執行部は私達の邪魔をするようですね。まあ当たり前といえば当たり前ですけど」

 

「それなら生徒会をすり潰しちゃえばいいじゃねーか。向こうから先に仕掛けてきたんだし口実はあるだろ。あたしにやらせろよ! マイナス五秒であいつらを地面と区別つかなくしてやる」

 

『こらこら飛沫ちゃん、そんな乱暴なことを言っちゃあいけないよ』

 

「そうだよ! 確かに私は思い切りボコボコにされたけどさ、殴られたからって殴り返しちゃったら、そこからはもう殴り合いの殺し合いしかなくなっちゃうじゃん!」

 

『だからちゃんと話し合って分かってもらおう? 僕達のエリート抹殺計画がどれほど素晴らしいのかを!』

 

 うひゃー、同調して過負荷(マイナス)になった私が言えた義理じゃないのは分かってるけど、お兄ちゃんヤバいな……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 いやー、今頃志布志くんと蝶ヶ崎くんも思ってることだろうけれど……自分より下種(マイナス)な奴がいるっていう事実ほど安らぐ事はないね。私が剣道やって心を鍛えてなかったら呑み込まれて終わってた。

 

『それで……僕達の目下の目標は、大半が登校していない十三組の面々をどうするかってことだよね。よくないなー、学校は楽しい所なのに登校しないなんてもったいない!』

 

「……お悩みのようですね。だったらいい手がありますよ、球磨川先輩」

 

 おっと、半袖くんが来てくれた。いやー良かった良かった。私がここにいるせいで来てくれないかと思ってたよ。さて、()()()()()()

 

 半袖くんが席についてカステラを食べようとした瞬間……志布志くんの踵落としが半袖くんの頭にもろに入った。あまりの勢いにカステラは粉砕されているし、なんなら机までぶち壊れている。

 

「ちょっ……いきなり何をしてるんですか志布志さん!」

 

「え? いやほらなんか後から来たくせに偉そうでムカついたから……ごめんなさいもう二度としません許してください」

 

 うーわ、反省の色が見えねー。やっぱ過負荷(マイナス)ってこうじゃないとね。人として曲がっててこその、あるいは間違っていてこその過負荷(マイナス)だから。

 

「あのねぇ志布志さん、気持ちは分かりますが……」

 

「同感です。」

 

「偉そうな奴ってのは、誰に何されてもしょうがないですよねえ」

 

 蝶ヶ崎くん、見た目は大人しそうだし話し方も理知的なんだが……今この教室にいる連中の中だと一番ヤバい奴説があるからな。沸点もよく分からないし、今だって半袖くんの頭を踏み潰し続けている。

 

 いやごめん、今の嘘。

 

「二人ともー、ダメじゃんクラスメイトをいじめたら!」

 

『それに、不知火ちゃんの食事の邪魔しちゃダメだぜ?』

 

「「!?」」

 

 おー、驚いてる驚いてる。そりゃ驚くよな、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「いくらボールは友達だとはいえ、友達をボールにしちゃうのはいただけないな! それじゃあ半袖くん、いい手とやらを教えてもらおうかな!」

 

「……(そそぎ)、あんた結構楽しんでない? まいっか。とにかく、あたしが提案するのは……十三組生と生徒会執行部、その両方をまとめて()()()()ウルトラCですよ。まあ聞くだけ聞いてください」

 

 


 

 

 あの後半袖くんが語った計画の概要はこうだ。

 今生徒会は、私が辞表を提出したことで副会長が不在だ。故に、めだかくんが会長兼副会長ということになっている。つまり今の生徒会は()()()()()2()()*1()()()()()()()

 

 揚げ足取りみたいな理由だが、私が辞任したのは事実だし、辞任を許可したのは生徒会側だ。だから私は悪くない。

 

 つまり、今の生徒会には「副会長不在」という明白な不備がある。なのでそこを突いて、()()()()()()()()4()5()()*2()()()*3を用いてめだかくんに解任請求(リコール)を宣言する。

 

 この校則は全校生徒の過半数による署名がなければ行使できないが、マイナス十三組は理事会と繋がっているので問題ない。生徒数の水増しなど容易に可能だ。

 

 そしてめだかくんを解任した後、()4()5()()()()()()*4(のっと)り次期選挙までの間は解任請求者……つまりはお兄ちゃん、球磨川禊が臨時で生徒会を務めることになる。

 

 そしてめでたく生徒会長に就任した後、()()()()()1()7()()*5を用いて()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。そうして一ヶ所に集めた十三組生を一網打尽にしようという策だ。

 

 ……いやえげつねーな。ありえないくらいよく出来た即死コンボかよ。それにこんな作戦決行しようものなら、私が生徒会を離れた理由がバレてしまう。まあ別にそれはいいんだけどさ。

 

 もう決行してるしね。

 

「なっ……(そそぎ)に……不知火!? どうして……!?」

 

「……なるほど、不知火と(そそぎ)がそちら側か、納得いった。転校したてにしてはやけに校則や生徒会則に詳しいと思ったのだ」

 

「やっほー。ま、色々試してみたくてね。ほら、これからの社会では多角的な視点が必要になってくるって言うじゃん? だから、ね?」

 

 まあこんなの真っ赤な大嘘だが。今はまだ目的を話すわけにもいかないからね。

 

『あ、そうだ。いい機会だし早速新生徒会長としてマニフェストを発表しなきゃ! えーとまずは──』

 

 

『授業及び部活動の廃止』

 

『直立二足歩行の禁止』

 

『生徒間における会話の防止』

 

『衣服着用への厳罰化』

 

『手及び食器等を  

  用いる飲食の取締り』

 

『不純異性交遊の努力義務化』

 

『奉仕活動の無理強い』

 

『永久留年制度の試験的導入』

 

 

『以上八点の実現に向けて一生懸命頑張ることをここに誓います! みなさん応援してください!』

 

 …………いやだあ〜〜〜〜。誰が嬉しくてこんなことしなきゃいけないんだよ。本当にこれでいいのかお兄ちゃん。

 

 そのマニフェストが通ると私は素っ裸で四足歩行で人間以外の言葉を発しながら授業にも参加せずに永久的に不純異性交遊と奉仕活動に勤しまなければならないんだが。

 

 性癖が螺子れまくった成人向けマンガかよ。一応少年誌掲載だぞ、このマンガは。私と半袖くんと……あと瞳くんはだいぶ絵面がまずいことになる。全員小学生みたいな体型だし、瞳くんに至ってはあれで母親だからな。いやまあそれ以外でも大概ヤバいが。

 

「それより球磨川! お前達の言う生徒会ってのは六人なのかよ! 生徒会則第2条には『生徒会は五名からなる』って書いてあるじゃねーか!」

 

『うん、書いてあるね。でも()()()()()()()()()()()()()()()()()()()? それに規定人数に達していないのは明白な不備だけど、僕らはより円滑な生徒会執行のために役員の人数……会計を二名に増やしたに過ぎない。()()()()()()()()()()()()。ま、文句があるんだったら全校生徒の過半数の署名でも集めてきなよ』

 

「ぐっ……! マニフェストといい、強制招集権といい……球磨川、貴様という男は……どこまでマイナスなのだ……!」

 

 ここまでやればこちらの勝ちはほぼ確定だ。ただまあ、()()()()()()()()()()()()()()()。実際のところ、お兄ちゃんもこれで終わるだなんて思っていないだろう。だって相手はめだかくんだから。理由なんてそれだけで十分だ。

 

『あれ? どうしたのめだかちゃん。天を仰いで仰天って感じ?』

 

「……()()()塾則第百五十九項*6『塾頭解任請求ニ関スル項目』」

 

 ほらな、斬り返してきた。これでこそめだかくんだ。だからこそめだかくんだ。誰よりも主人公らしい主人公だ。

 

「そちらがルールに則って攻めてくるなら、こちらもルールに則って受けて立つまでだ、球磨川禊」

 

『塾則なんてカビの生えた古臭い野蛮な決まりごとが現代で通用すると思うの? たまたま手続き上撤廃されてないだけのルールなのに』

 

「それを言うなら貴様の出してきた使用されたことのないルールとは違い、第百五十九項には過去三度の適用実績──()()がある」

 

 完全にしてやられたね。まさか校則どころか塾則まで全部覚えてるなんて……まあ予想の範囲内だろう。だってめだかくんだし。

 

『原則同士が対立した場合の判断は現生徒会長に委ねられるのが原則……だっけ? あーあ、してやられたよ』

 

「リコールを宣言してしまった以上、私達はめだかくんに従わざるをえなくなってしまったわけだけど……当然、()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

「…………」

 

 おい無視すんな。飴食うな。目ェ合わせろ……はあ、まあいいや。とりあえずここまでは問題なく進んだしな。ここからは……できることは全部やる。味方だろうが、敵だろうが、第三勢力だろうが。

 

「異存はないようだな。ならば規定に基づき、たった今この瞬間より新生徒会と現生徒会の決闘を開始する。生徒会選挙──否」

 

 

「生徒会戦挙だ。」

 

 

 さて、頑張るか。

 

 

*1
役員選考に関する条目。生徒会執行部は会長・副会長・会計・書記・庶務の五名よりなり、会長は当選後迅速に他の役職に相応しき者を選定しなければならない。

*2
生徒会執行部の罷免に関する条目。

*3
生徒会執行部に明白な不備がある場合、全校生徒の過半数の署名をもって役員は即日罷免される。

*4
解任責任に関する項。行事運営に支障をきたさぬよう、解任請求者は次期選挙までの間臨時で生徒会長を務めなければならない。

*5
生徒総会の強制招集権に関する条目。生徒会長は職務に則り任意に生徒総会を設け全校生徒を一同に集められる。

*6
塾頭ニ解職ヲ徴ルツイデ、塾頭側ト徴ル者側ノ決闘ヲモチテ次期塾頭ヲ選ブ






 注釈6は適当に古文調にしただけなので多分文法とか間違えてます。違和感あるかもしれませんが、広い心で許してください。

 感想・評価・ここすき等よろしくね。

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