この小説は9割がその場のノリと屁理屈で構成されてるので、「前に言ってたことと違う!!」とかあったら教えてもらえるとすっごく助かります。
それと今回、めちゃくちゃ文章が崩れてるように感じると思います。ですがわざとなので、気にせずに楽しんでいただければ嬉しいです。
「さて、それじゃあ彼女の過去について、僕なりに要約したことをお伝えしようと思ったんだが……」
教卓の上に座っている安心院なじみはそこで一度言葉を切ると、大仰な動作で足を組んだのちに、口元に立てた人差し指を持っていき、小首をかしげてから言葉を継いだ。
「その前に一つ……捉えようによっては二つ、
「……そもそも俺は、
「それならいいんだ。ま、最初から君はそう言うと分かってはいたけれど……改めて言葉にされると肌が粟立つね──さて、それでは約束事その壱だ」
安心院なじみは善吉が座っている机の正面に瞬間移動すると、善吉の真正面にある机に腰掛け、足を組むのをやめた。
「さっきからやけに深刻そうにその『約束事』とやらを強調するが……この場合、そんなに肝心なことなのか?
「
安心院なじみは善吉の緊張をほぐすためか、はたまた他に理由があるのかは定かではないが、その表情をほんの少しだけ綻ばせた。それを見た善吉も自然と肩の力が抜ける。
「うん、自然体で何より。他人と話すときはできる限り肩の力を抜いた方がいいものだよ、善吉くん。さて、話を聞く準備はできたかな? できていないならもうしばらく待とう。どうせここでは、時間なんて有って無いようなものだからね」
「いや、大丈夫……準備はできた。いつでも話してくれていいぜ、その『約束事』とやらをよ」
「それじゃあ遠慮なく。僕から君にお願いするのは、
安心院なじみはそこで一度善吉から視線を外し、中空へとその顔を向けてから、支離滅裂なことを言い放った。
「また、
「……? どこに向かって話してんだ?」
「さあ?当てずっぽうの鎌掛けみたいなものさ。やらなくても別に問題ないが、やれることはやれるうちにやっておくべきだろう?」
「……まあいいさ、分かった。俺が見た過去と要約が食い違ってればその時点で話を聞くのをやめる……それくらいなら誰でもできるしな」
と、そこで善吉はもう一度安心院なじみの発言を思い返した。確か安心院なじみは
「なあ、二つ目の条件ってのは一体なんなんだよ?」
「ん? ああ、いやなに、別に大したことじゃあない。
「やたらと遠回しな言い方だな……」
「生憎だけれど、このくらい慎重にならないといけないことだからね……この僕でさえも、万全を期して語らねばならないほどの難題さ」
それから安心院なじみは、椅子に座ったまま大きく伸びをした後に「さて」と前置いてからたっぷり時間を置いた後に、ようやく
「そうだな……ま、とりあえずは雪ちゃんの生い立ちから復習してまとめていこう。雪ちゃんは実は一人っ子だった──という所は説明するまでもないね。流石の君でもここは覚えているだろう?」
「ああ、流石にな。他にも生まれた時から気力がないように見えてたとか、成長しても無気力なままだったとか、だけど剣道はそこそこ強かったとか……そのくらいまでは覚えてるぜ」
安心院なじみは笑みを深めながら、善吉に続けるようにして話を進める。
「そうかい、だったらその辺は捨て置いておこうか。既に知っていることをわざわざもう一度話すのは時間の無駄だしね。ま、この教室には時間なんて概念はないんだけど──じゃ、雪ちゃんが虐められていたという話については?」
「覚えてるに決まってるだろうが。それにそもそも、あんなもん忘れたくたって忘れられるわけないだろ……!」
「ま、ちょっと刺激が強すぎたかな? まあ少しやりすぎたし、反省しているよ、きっと。それじゃあその次……雪ちゃんが手を上げられた次の日からの話がまだだったんだっけ?」
安心院なじみはわざとらしく小首を傾げながら、それでいて得体の知れない笑みを浮かべながら、善吉に向かって声をかけた。
「そうだ。そこで俺があんたの話を止めたんだよ……? あれ、いやでも、
「虐められていたよ。それはもう壮絶なものだったさ! 尊厳なんてない。人権なんてない。きっとあの時、クラスの最底辺に位置していたのは、人間の階層構造の中で最下層にいたのは、他でもない雪ちゃんだ。可哀想にね」
「──そっか、そうだよな。土下座まで……ああ、いや、土下座なんてしてないか。うぁー、どうにも考え事が纏まんねえな……」
「まあ中々にショッキングな映像だからね、記憶が混乱するのも致し方ないと僕は思うぜ。あー、後はなんだろうな、他に話すことといえば……」
安心院なじみはわざとらしく『他に話しておくことはない』みたいな空気を出しながら、勝手なことに話を終わらせようとしていた。
「そうそう、そういえば善吉くん。君は結局のところ、雪ちゃんをどうしてやりたいんだい?」
安心院なじみは突然息を吹き返したかのように話し始め、先ほどまで失いかけていた興味を取り戻した。
「どうするもこうするも、俺はあいつを
「はあ……甘いね善吉くん。今の球磨川くんよりも甘い。何が甘いかって、
「ま、余計なお世話だろうけれど」と安心院なじみは呟くと、突然彼女を救うための方法を話し始めた。
「そもそも雪ちゃんは救いなんて求めてない。彼女がやたら自分のことを卑下するのはなぜだか分かるかい?」
「……そりゃあ、あのいじめが原因なんじゃねえのかよ?」
「うーん、原因というよりは……
特に変わった様子は見受けられない。
「ようやくまとめに入るけれど、つまり彼女は赦しではなく、むしろ正反対の罰を欲しがっているのさ。そこまで大きくはない体でよくやるよね。あの見た目で自罰的な性格となると、僕としては心配で──おっと、今はこの話は関係ないか」
「……つまりなんだよ。十中八九いじめの傷跡が残っているであろう
「おいおいちょっと待っておくれよ。僕は別にそんなことは一言も言ってないぜ? というかむしろ、言って欲しいことは今からしっかり言うとも」
変わった様子は特にないように見える。
「君には『間違ってない』と言って欲しいのさ。たったそれだけ。それ以上でもそれ以下でもなく、ただ一言、何も考えずに、余計なことはせずに、その口で『間違ってない』と言えばいい。それだけさ」
「はあ? いよいよもって話がよく分からねえぞ。『間違ってない』だなんて、それこそ
「
変わった様子は特にはないと思う。
「だからさ、きっと彼女には必要なんだよ。君みたいに無遠慮に、無条件に、無責任に救いの手を差し伸べてくれる
変わった様子はない。
「つまりさ、彼女にとってのヒーローになってあげてほしいんだ。一人で生き続ける人生ほどつまらないことはないだろう?」
笑みを浮かべている。
「お願いだ、頼む、この通り。文字通り、一生のお願いってやつさ。雪ちゃんを赦してあげてほしい。さ、善吉くん」
笑っている。
「『間違ってない』と
嗤っている。
「さ、善吉くん。言いなさい」
「言ってくれ」
──それなら、嗤われているのは一体誰なのだろう。
安心院なじみが嗤っているのは、嘲笑っているのは──果たして一体誰に向けてのものなのだろうか。少なくとも、善吉ではない。
なぜこのタイミングで彼女が嗤っているのか、善吉には理解が及ばない。笑みを浮かべる理由こそあれど、誰かを嘲る必要性が、全くと言っていいほど存在しない。侮辱されていい人間など存在しないはずなのだから。
侮辱というよりは見下されている感覚に近いものを覚えながらも、善吉は考えることをやめなかった。
そんな漠然とした感情、安心院なじみとの会話から得られた知識、これまでの
(
善吉はしばらくの間、頭を抱えて考え込んだ。絶対に間違えないために。今度こそ親友の隣に並び立つために。この選択は失敗できないから。
考えに考え抜いて、善吉は答えを決めた。既にその顔に迷いはなく、また後悔の類も微塵も見受けられなかった。
「──俺は
その表情は──。
さて、久々にやりますかアンケート。
重く捉えてくださいね。
ちなみに僕の中ではこのアンケートは正解があります。
明日は20時に更新します。
感想・評価・ここすき等よろしくね。
善吉はなんと言った?
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間違ってる
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間違ってない