前回説明しきれなかったことの補足説明、そして導入回です。
生徒会関連の補足がメインになりますが、それ以外にも色々って感じで進みます。
第34箱「警戒しなくてだいじょうぶ」
やっほー。私だ。
渡し船で有名な私だぜ。
どーも。ぼくだ。
冒頓単于で有名なぼくだぜ。
というわけで、第99代箱庭学園生徒会執行部第二庶務の球磨川
メイド服で。
それも、ミニスカメイドみたいなコスプレじみたやつじゃなくて、ロングスカートのクラシックメイド服で。肌の露出なんてほとんどない、清潔感丸出しのメイド服で。
とりあえずその辺も含めて、いくつか
まず一つ目。結局ぼくは生徒会に復帰した。お兄ちゃんは原作通りに、滞りなく、何の問題もなく副会長に就任したけれど、ここで一つ問題が発生したのだ。それは──。
「
「えっ? いやいやいや、確かに戻りたいとは思っているけれど……流石にそれはまずいでしょ。だってぼくは、ついさっきまで学園の脅威だったんだよ? そんなぼくが生徒会に……」
「もう貴様の兄を生徒会に引き込んでいるのだから、一人か二人かなど誤差みたいなものだろう。それに、全校生徒の大半が貴様に戻ってきて欲しいと思っておるぞ」
「ええ……? いや、そんな、バカな……第一、どうやってそんなこと調べたんだよ!?」
「阿久根書記がSNSでアンケートを取ってくれた。ほら見ろ、貴様に悩みを解決してもらったことのある者達がこぞって貴様を支持しているぞ」
「ぐっ……いやでも! 生徒会執行部は庶務・会計・書記・副会長・会長の五名からなる組織のはずだ!! そこにぼくが割り込んで、規則を破るわけには……」
「
「……………………」
「というわけで、
「……………………分かったよ、やるよ。丁度いい償いの機会だ、雑務でも何でもこなして、失った信頼を取り戻して見せるさ!! やってやるよ!! ああやればいいんだろ!!」
──という流れ。
当初はまたぼくを副会長に据えて、副会長が二人という形になりそうだったのだが……まあ、なんだ。一応いろいろやらかした身の上ではあるし、下っ端からコツコツと積み重ねていくことが大事だと思ったんだよね。
だから庶務に据えてもらって、第一庶務は善吉くん、第二庶務がぼくこと、球磨川
……別に善吉くんとお揃いが良かったから庶務を志望したとか、そういうわけじゃない。庶務になれば、善吉くんと庶務同士、さらに仲を深められるかもとかは全くもって、砂粒一つほども考えちゃあいないからな。嘘じゃないぞ。
ま、それは置いておいて、二つ目の話に移ろう。
二つ目の話は、どうしてぼくがシックでクラシカルなメイド服を着てお掃除をしているのか。大体予想はつくだろうけれど、これも一応、ことの経緯を説明しておこうと思う。
「いやー、それにしても……まさか
「お兄ちゃん……うん、本当にごめんね。ぼくにできることだったら、法律の範囲内でなら一つだけNG無しで何でもするから、それでどうにか許してもらいたいです」
「えっマジ!? 一つだけNG無しで何でも!? いやー迷っちゃうなーどうしようかなー……ちなみにだけど、
「え? うん、それでもいいよ。お兄ちゃんがそう言うのなら、まあそうするけれど……じゃあ、はい。これからなんでも言うこと聞くよ」
「おい球磨川……お前実の妹にそれはあんまりじゃ……」
「いやいやいやいや善吉ちゃん!? まさかあんな願いが通るなんて思わないだろう!? ごめん
「んー……ぼくは別に気にしないんだけど……まあいいや。それで、お兄ちゃんはぼくに何をさせるの? 裸エプロンで一日中過ごせとか、手ブラジーンズで学校一周しろとか、全開パーカーを制服にしろとか、そういうのでもいいよ」
「よくねえよ!! どうせ『風紀が乱れてます!!』とか言いながら
「まあまあ善吉ちゃん。これはかなりデカいヒントだぜ。幼気な女の子がするにはいささか過激な服装を
「なっ……球磨川、てめえ!? なんて恐ろしいことを考えるんだよお前は!?」
「うーん、どうしようか……流石に実の妹に破廉恥な服装をさせるのは流石の僕といえども忍びない……だがしかし、健全な男子高校生としては、こんなチャンスを逃すわけにはいかない……露出度は前述の三つに比べると高くないけど体のラインが強調されるスク水か? いや、それなら旧スク水の方が何となく落ち着いて見えそうだ……
「それでさ、お兄ちゃんってば、昔っからぼくのこと大好きでさ、ぼくが悔しくて泣いちゃった時とかは──」
「へえ、今までずっとただのろくでなしだと思ってたが、そういう話を聞くとだいぶ──」
「…………………………」
と、まあ……そういうことだ。お兄ちゃんなら露出度の高い服装を選ぶだろうと思ってたんだけど、流石に実の妹にそういう格好はしてほしくなかったみたい。
言ってくれれば何でもやったのにね。毎日身の回りのお世話をしてあげるとか、毎日三食、腕によりをかけたお料理を作ってあげるとか。むしろぼくとしては、そういう使い方を想定してたんだけど。
まあ、これもおまけみたいなものだ。善吉くんの前で醜態を晒した今、この程度のことは全く気にならない。それにこの服、瞳くんが作ってくれたやつなので、ぼくに合っててすごくいい。
本当なら、作ってもらったお礼としてお金を払いたかったけれど、瞳くんは「子供がそういうこと気にするんじゃないの。大人しく受け取っておきなさい」って言ってくれた。大人の対応っていうのは、きっとああいうことなんだなって思ったよ。
……さて。
正直言って、ここまでは前座……いやまあ、前座と言うには少々濃すぎるけれど……本当に前座みたいなものなのだ。ぼくが生徒会に戻ったことも、クラシックメイドに転身したことも。
もう気づいている人もいるかもしれないけれど、実はぼくは今、
「
「あなたのことについて考えてたんだよ、
そうなのだ。
「おや、私のことを考えてくれていたとは感慨深いね。
よくもまあ、そんな簡単に歯の浮くような言葉を言えるな……まあ、ぼくがそういう風に望んで生まれた子なのだから、当たり前といえば当たり前なのだけれど。
それより。そんなことより、だ。ぼくが気にしているのは別に、
問題なのは──
ああ違う違う、別に
お兄ちゃんは
……
散々救うだの救うなだの、ごたごたと揉めた奴の言うことではないと思うけど……その言葉でぼくは救われちゃった。ぼくの心を封じていたものは、もう一つもない。
「……なんか、
「そうかい? 私からすれば、最近の
うーん……やっぱり余裕がある気がする。癪に障る感じじゃなくて、綽々というか。
「その点
「まあ、これも一つの禊だからね。やるからには本気で、全力で、極めるまでやるだけだよ」
「一意専心」が今のぼくの座右の銘なのだ。逃げも隠れもせず、やらなければならないことをやり、やりたいこともやる。球磨川
ちなみにだが、
そのうち半袖くんにもお礼を言いに行かなきゃね。
「っていうか、
「いやほら、こう見えても私って女の子なわけでさ。メイド服とかはいっぺん着てみたかったんだよね。だから案外乗り気だったりするんだよ」
へえ、意外。思ってたよりもかわいいものがお好きらしい。今度色々と見繕ってあげようかな。
そんなことを考えながらお掃除をせっせと続け、3時間くらいかけて全校の廊下を掃除し終わった。
「よーっし、お掃除終わり!! 廊下がピカピカだと何となく綺麗な心持ちになるし、みんなに気持ちよく学校に来てもらうためにも、こういう所から綺麗にしていくのが基本だよね」
「いやー、それにしても……大階段の掃除は中々にハードだったねぇ。デカいし広いし長いしで、思わずスキルを使うところだったよ」
「でもそれじゃあお掃除の意味がないからね。ちょっと大変だったけど、やっぱりこういうのは自力でやらないと」
「その通りだね、違いない……ただまあ、まさか私がへし折ったほうきがそのまんま残ってるとは……備品くらい買い替えてくれてもいいのに」
なんて話をしながら、ぼくらは掃除したばかりで綺麗な廊下を3分ほど歩き、ピカピカになった廊下を見て嬉しくなりながら生徒会室の前までたどり着いた。
そして扉を開き、生徒会室の中へと入っていった。ここがぼくの居場所の一つだから、当然遠慮も何もなく、平穏な心持ちで。
しかし、そこには。
というより、そこでは。
『ゆえに僕達は警戒しなければならないんだ。この世でたったふたりきりの
「いや、別に何も企んでないよん。だから警戒しなくてだいじょうぶ」
──「黒神めだかの後継者編」が、その幕を開けていた。
「黒神めだかの後継者編」、ついに始まります。
原作と乖離する場面もかなり多くなりそうですが、頑張って書き斬るつもりです。今から楽しみ。
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