TSした上に『負完全』の妹   作:Minus-4

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 暗号学園の四問目を解いたりモンスターをハントしていたので遅れました。
 久々に色々やって楽しかったです。




第37箱「見せて見せて!!」

 

 

 やっほー。球磨川(ゆき)だ。

 今私がどこにいるかというと、第三面接会場……お兄ちゃん、そして財部くんと同じ部屋にいる。

 

 ちなみに(そそぎ)ちゃんは善吉くん、与次郎くんと一緒に第四面接会場にいる。あの子も大概善吉くんのことが好きだねえ。やっぱり元々が同じだと趣味嗜好も似るのかな。

 

オイ何無視してんださっさと面接しろよカスあの、どうしたんですか? 面接をするのでは……」

 

『ん? ああいや、ごめんね財部さん。僕の新しい妹である(ゆき)ちゃんが箱庭学園生徒会執行部の制服を着ているところをまじまじと見ていたせいで、危うく面接をなあなあで済ませてしまうところだったよ』

 

気持ち悪いななんだお前拗らせたシスコンかよ拗らせたまま死ねなるほどですね!! 黒神めだか生徒会長のポリシーに強く感銘を受けたというのもありますけど、実は制服も着てみたいなって思っていたんです!!」

 

「一般生徒の制服なら、この体験期間中貸してあげてもいいけど……どう? 着たい?」

 

うるせーな制服目当てなわけねーだろ少し考えれば分かるだろいえいえ、お気持ちだけでも嬉しいので大丈夫です!!」

 

 ……うん、誤魔化せてるつもりでいるのかな? この激しい暴言は財部くんのチャームポイントではあるけれど、お兄ちゃんすらも若干引かせるレベルだし、これはこれで武器として運用できそうだ。

 

『……ま、めだかちゃんに感銘を受けて志望した、と。そういうことにしておいてあげよう。僕は優しいからね、特に年下の女の子には』

 

気色悪い目で見てんじゃねーよ負け犬そうなんですか! では是非ともご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い致します!」

 

 本音と建前の線引きが凄いねえ。一時期(そそぎ)ちゃんが使っていたアレにも似てるね。こんな感じのやつ。(そそぎ)ちゃんが私の過負荷(マイナス)をコピーした改稿斬昧(オールリヴィジョン)だね。

 

『……じゃあ、早速一つ教えてあげるよ。この学園では、言葉なんて何の意味も持たないぜ』

 

何わけわかんねーこと言ってんだこのカスはいっ! 早速の教鞭ありがたく頂戴いたしますっ!」

 

 おー怖い怖い。よかったね(そそぎ)ちゃん、こっちの相手じゃなくて。とはいっても、今頃与次郎くんに圧倒されてる頃かな。

 

 頑張ってね。

 

 


 

 

 面談終了ののち、数十分後。とある人外とその影は、箱庭学園の屋上から下々を見下ろした。

 

「ふーん、第二次世界大戦以来久し振りにこの学園に帰ってきたけれど、しかし世紀を跨いだくらいで変れば変わるものだな」

 

 安心院(あじむ)なじみは辺りを見まわし、誰に向かってというわけでもなく一人語る。

 

「……いや、衰えるだけ衰えたというべきだぜ」

 

 と、そこにとある人物が現れた。その人物はまるで昔からの知人……というより、勝手知ったる()()()()に向かって話しかけた。

 

 財部(悪平等)は、安心院(悪平等)に向かって、話しかけた。

 

「……衰えたとすれば、それは黒神めだかの苛烈な改革が原因でしょうね。そうは思いませんか、悪平等(ぼく)

 

「やあ財部(ぼく)──首尾は如何かな? 生徒会の面接はうまく切り抜けたかい? 斬り取られたりはしていないかな?」

 

「斬り……? どちらにせよ、もちろんですよ、悪平等(ぼく)──五人のうち誰も、正体(ノットイコール)を見抜かれる事はありませんでした

 

 いつのまにか、両手を広げて宣言する財部の背後には、ヘッドホンとゴーグルが特徴的な少女の喜々津、メルヘンチックな印象を与える与次郎、眼帯のクールビューティーである鰐塚、そしてアンドロイドの希望ヶ丘が立っていた。

 

 先ほどの宣言の通り、全員が全員安心院(ノットイコール)であり、その正体は全て悪平等(安心院)である。

 

「……それは重畳。それにしても、めだかちゃんはどうするんだろうね、この場合。敵も味方もいないこの戦いを、どうやって戦うんだろうか」

 

ところであの球磨川とかいう二人組ムカつくからぶっ殺してもいいですか? ところであの球磨川兄妹に後輩としてご挨拶したいのですが、構わないでしょうか? 安心院さん」

 

「んん? 財部(ぼく)は僕にしては好戦的だなあ……ま、いいだろう。あの二人に可愛がってもらいなさい。ただし、(そそぎ)ちゃんに気をつけてね」

 

 安心院(あじむ)なじみは財部たちに、やけに仰々しく、しかし軽々しく警告した。

 

 


 

 

 明くる日の朝。「見習い」の腕章を身につけた財部は、並んで歩いている禊と(ゆき)を見つけ、元気な声を出しながら走って近づいていった。

 

「禊せんぱいに(ゆき)せんぱい、おはようございまーす!! 今日も一日、よろしくご指導お願いしますねっ!!」

 

「やっほー、財部くん。今日も朝から輝く笑顔をどうもありがとう!! 今日の業務も滞りなく執行できそうだよ」

 

『……やあ、おはよう、財部ちゃん。その腕章、凄く似合ってていいと思うぜ』

 

「えへへっ、ありがとうございます!!」

 

 球磨川兄妹にそれぞれ褒められた財部は、照れながらも喜ぶ……演技をした。内心毒づいているものの、それを全く面に出さないその演技力は大したものである。

 

 二人に声を掛けた時の反応を見て、二人が自分に対して敵意や不信感を抱いていないことを確信した財部は、球磨川兄妹のうち二人を始末する作戦を開始した。

 

「あのー……禊せんぱい、(ゆき)せんぱい……実は、一つお願いがあるんですけど……」

 

『ん? お願い? まあいいけど』

 

「分かった、言ってごらん」

 

「はいっ! それではせんぱい方──

 私のパンツ見てもらえませんか?

 

 当然、本当に見せるつもりなどさらさら無い。禊といえど女子中学生のパンツに食いつくことは無いだろうという予測、そして万が一食いついたとしても、一見まともな妹である(ゆき)が止めてくれるだろうという希望的観測に基づく作戦である。

 

 が、しかし。財部にとって誤算があったとするならば、それは一つ。ついつい忘れがちなことではあるが──。

 

 球磨川兄妹……禊、(そそぎ)(ゆき)の3人は、先天的・後天的を問わなければ全員過負荷(マイナス)で、なおかつ異常(アブノーマル)……というより。

 

 

異常性癖(アブノーマル)だった。

 

 

『「パンツ? 財部ちゃん(たからべくん)のパンツ? ()せてくれるの? ()たい()たい! ()せて()せて!!」』

 

 

「………………お前ら疑問とか感じねーのかよ兄の方はともかく妹までこの調子なのかよ何喰いついてんだ揃いも揃って女子中学生のパンツが大好きとか欠落するにも程があるだろ人間失格どもが!! うわあ嬉しいなあ! せんぱい方ならきっと見てくれると思ってました!」

 

 結果としては財部の一人負けのような形になってしまった。いやまあ、作戦としてはこれ以上ないくらいの成果なのだが、そのために払った犠牲はあまりに大きかった。

 

安心院(あんしんいん)さんから聞いてはいたがここまでとは……兄妹も大概変態だけど、これじゃまるで私も変態みたいじゃねーかえっと、じゃあ、ちゃんと見ててくださいねっ」

 

 そう言った次の瞬間、財部は自らのスカートを控えめにまくり、秘められた領域を露わにした。

 

「どうですかせんぱい方、私のパンツ、可愛いですか?」

 

 ──そこにあったのは、縞々柄のベーシックタイプのパンツだった。普段は隠れ、激しく存在を主張するわけではない、あくまで下着としての役目しか持っていないはずのパンツは、今この瞬間、財部の魅力をより引き出すアクセサリへと昇華された。

 

 サイドからクロッチ部分にかけてのラインがこれまた見事である。パンツがまるで体の一部のようにベストフィットしているため、財部の生肌とパンツの布地の境界線がやや強調され、健康的な印象を与えるものとなっていた。

 

 財部が通っている一升女子中学の、セーラータイプの制服とも相性は抜群である。制服がシンプルであるため下着はついつい派手な物を選んでしまう者もいるだろうが、その点財部は理解がある(あるかは定かではないが)ようで、全体通して見た時に非常にバランスが良い。制服とパンツが互いの魅力を高め合っているといえよう。

 

 魅力を高めるといえば、当の財部本人の表情・反応も見逃せない。顔を紅潮させ、伏目がちになり、もじもじと恥ずかしがりながらもパンツを晒している現状は何とも異様ではあったが、同時にえもいわれぬ背徳感を煽るものでもあった。

 

 やや本題からは離れるが、眼鏡をかけているというのも素晴らしい。古来より眼鏡といえば真面目キャラ、清廉潔白キャラ、委員長キャラであることが多い。財部が真面目キャラであるかどうかは置いておくとして、まるで真面目で清廉潔白な委員長を支配下に置いているかのような感覚も得ることができる。

 

 下の方に目をやれば、膝下ほどまで丈があるソックスが目に入る。このソックスによって被覆面積が増やされている分、パンツとソックスの間にある肌……その玉のような、色白の肌に覚える喜び、あるいは悦びが大きくなっているのも見事としか言いようがない。計算されているかどうかは別として、だが。

 

 結論。

 

『「うん!」』

 

 

作戦は大成功である。

 

 

『かわいいよ!』

「かわいっ……い?」

 

 (ゆき)が感じたのは違和感。あるいは異物感。体から何かが抜けているような感覚がするというのに、何故か体は火照っている。というより、燃えているような熱さを感じていた。

 

 続いて痛みが脳を刺す。出所は背後、恐らくは内臓。そしてそこに至るまでの肉。硬いものが突き刺さっているようだ。背中から右の内腹部にかけて耐え難い熱さと痛みが支配している。

 

 ぞりゅ、と引き抜かれる感覚がしたと同時に、襲ってきたのは先ほどとは真逆の虚脱感。寒気、怖気。相変わらず痛みは残っている。(ゆき)は体が小さい。びちびちと音を立てながら赤がこぼれる。

 

 (ゆき)は息も絶え絶えに刺された方を振り返る。そこにいたのは財部と同じく生徒会見習いとして体験入学してきた喜々津だった。その手には血のついたバタフライナイフが握られている。

 

「あー残念! 一機死んじゃったあ。やーっぱゲームは片手でやるもんじゃないよにゃあ!」

 

『なっ……喜々津ちゃん!? いつの間にそこに……』

 

「私がどこから来たかよりも、妹さんの心配をした方がいーんじゃにゃいかなーっと、私はそう思うんですがねー」

 

 言われた禊が隣を見ると、そこにいたのは地面に寝転び、体を丸めながら必死に痛みに耐える(ゆき)の姿だった。

 

『……一体、どういうつもりでっ──!? 痛っ……まさか、狙撃っ……!?』

 

 喜々津に詰め寄ろうとした矢先、突如として窓が割れ、禊の頭は強く揺さぶられた。貫通していないということは実弾ではないが、まず間違いなく狙撃である。

 

 撃たれた方を見やると、やはり狙撃銃の銃口が見える。そしてそれを構えている鰐塚の姿も確認できた。

 

「ええ、狙撃銃、それもアンチマテリアルライフル、バレットM82A1であります」

 

 鰐塚は事もなげにさらりとそう言うと、(ゆき)にも弾丸を撃ち込んだ。

 

『っ……揃いも揃って(ゆき)ちゃんを狙うなんて……』

 

「ご安心ください、使っているのは模擬弾ですので。それに、我々としては先に(ゆき)殿を潰しておかねば、作戦遂行に支障が出てしまいかねますので。それに……(ゆき)殿はあなたの弱点でしょう」

 

 鰐塚の吐いた言葉を否定することは禊にはできない。つい最近できたばかりの二人目の妹ではあるが、それはそれとして愛はある。時間の問題ではないのだ。仮に妹でなかったとしても、仲間である。どちらにせよ、禊には否定できないことだった。

 

『……とにかく、ここは一旦(ゆき)ちゃんを遠くに運ばなきゃ──っ!? 今度は何!? スタンガン!?』

 

「違いますっ。これは私の雷系魔法『サンダーボルト』ですっ!」

 

 続いて禊たちに襲いかかったのは、雷系魔法……ではなくスタンガンを持っている与次郎だった。どこからどう見てもスタンガンを使っているのに、本人的には本気で魔法を使っているつもりらしい。

 

『与次郎ちゃん!? いやいや、魔法!? それはどう見ても……』

 

「どう見ても魔法ですっ。そして喰らってください、『間近でマジカル☆ワンダーツギハ』でお馴染みの私が! もっとも得意とする水系魔法──『ウォーターボトル』!!」

 

 与次郎は魔法名を高らかに叫ぶと、手に持っている容器から水系魔法……濃硫酸をぶちまけた。肌に触れると皮膚と溶け合い激しく発熱するその液体は、禊と(ゆき)に平等に降り注ぐ。

 

『ぐっ……濃硫酸んんんっ!! 熱っ……焼け……溶け……る!! (ゆき)ちゃん、しっかり……近くのプールまで、ほんの少しの辛抱──!?』

 

 禊は既に瀕死に見える(ゆき)を抱き抱えながら、廊下の窓を開けて、プールに行くため飛び降りようとした。

 

 しかし当然悪平等(ノットイコール)たちはそれも想定済みである。窓の外には、スラスターを用いて飛行して待機している希望ヶ丘がいた。

 

「廊下を走ってはいけません、校舎から飛び降りてはいけません。校則ですよ、禊せんぱい」

 

『……空を飛んではいけませんって校則が、今後追加されるかもね、希望ヶ丘ちゃん……ところで、(ゆき)ちゃんが危ないんだ。通してくれたりは……』

 

「ノン。ここを通すわけにはいきません。仮にも生徒会見習いとしての立場がありますので、校舎から飛び降りようとする先輩方を、階段へと案内しなければなりませんので」

 

 希望ヶ丘は禊の顔面を蹴り飛ばし、階段下まで吹き飛ばした。同時に(ゆき)も吹き飛んで転がり落ちていくが、禊が庇ったためにほとんどダメージはなかった。

 

 転がり落ちた後も何とか立ちあがろうとする禊だったが、財部に頭を踏みつけられたために起き上がれない。

 

「どうしたんですか禊せんぱい、お願いですからもっと私のパンツを見てくださいよぉ、見たかったんでしょう私のパンツ。パンツパンツパンツパンツパンツパンツパンツパンツぅ!!」

 

『……きみは何もしてない癖に偉そうだね。パンツを見せるのが財部ちゃんの役目かい?』

 

うっせぇ私だって死ぬほど恥ずかしいんだお前ら兄妹のせいでこんなことになってんだよあらら♪ 痛いところを突かれてしまいましたね」

 

 そう言いながら財部が取り出したのは、工具、工具、工具……つまりは、拷問器具。痛めつけるための、甚振るための道具類。その数およそ10個ほど。

 

でもご心配なく──私が何かするのは()()()()です。動けなくなったせんぱい方を、思う存分甚振ってあげますからね

 

『……妹は、勘弁してくれないかな』

 

「やなこった、です♪」

 

 ──球磨川禊・(ゆき)悪平等(ノットイコール)に敗北。

 

 






 背中からバタフライナイフで刺されるってヤバそう。
 パイセンって本当に不死身みたいですよね。

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