電車移動中暇だったので一話だけ投稿します。
二ヶ月ぶりらしいです。
「……どうしたの、二人とも。近年稀に見る大怪我だけれど……まさか、階段を踏み外した……だけじゃあ、こうはならないよねえ」
いや、びっくりした。隣にいるめだかくんと半袖くんもびっくりしている。半袖くんって驚いたりできるんだね。いちばんの驚きだ。
「あちゃー、
『……うん、ありがとうね、
「いやー、いい眠気覚ましだった! ところで
なるほど、あの五人がやったのか。まあぼくも二人も根に持つ性格じゃないけれど、それはそれとして楽しそうだ。親交でも深めにいくとしようかな。
「ねえめだかくん。そういうわけらしいから、ちょっとみんなでお話ししてきてもいいかな? 今日の分の業務は一通り終わっているし」
「ああ、構わん。是非とも存分に親交を深めてくるといい! それはとても喜ばしいことだからな。寧ろこちら側から提案する手間が省けたというものだ」
よっし、それじゃあ行こうか。
お仕置きの時間だ。
「なんていうか、球磨川禊と
「機械的に言えば、今の彼は『
「言っちゃ悪いけど、イージーモードってやつだったにゃー。この調子なら
「どうした
「まあまあ、万が一にも見落としなんてないと思うけどな。それよりも、黒神さんに手を出すのは
「──いや、違う」
「さっきから歯切れが悪いな
やあオッス。どうも、球磨川
というわけで、私のことを刺してくれた喜々津くんの首筋に指を突きつけてみた。ご指名ありがとう、ってね。
「さっきぶり、喜々津くん。後ろ指を指されるようなことはしちゃダメなんだぜ? 見習いとはいえ、生徒会執行部の一員なんだから」
「っ……やっぱり気づいていにゃがら刺されてくれたってわけですかー? わーお、優しーい……ですねっ!!」
おっと、流石の私でも二回も刺されるのは避けたい。喜々津くん、なかなかやるねー。後ろを取られるや否や、本気でバタフライナイフを振り抜くなんて……おかげで飛び退く羽目になった。
計画通りに。
「なんで怪我が治ってんだよふざけんなあら
「んー、そだね。これは仕返しだよ、私にとっては。そんでもって──」
お兄ちゃん……球磨川禊は財部くんの肩にポンと手を置きながら、ヘラヘラと笑ってそう言った。うーわ、怖いだろうなーあれ。
「んなっ……いつの間に!?」
『や、さっきぶり。いつの間にと聞かれても困るなあ。君達が
「……まあいいですよ、仕返しでも仕置きでも、指導でも仕事でも……できるものなら、やってみてくださいよ!!」
そう言うと財部くんと与次郎くんはお兄ちゃんの方へ、喜々津くん・鰐塚くん・希望ヶ丘くんは私の方へと意識を向けた。うん、咄嗟の戦術にしてはかなりいい部類だろう。
身体能力が高い三人を私にぶつけるというのは、決して悪手ではない。それと同時に、お兄ちゃんにメンタルが強い二人をぶつけるのも。え? じゃあどうしてこんなに余裕の態度なのかって?
いや、だって……
女子中学生五人組の死角、つまりはちょうど五人の中心部分に突如として現れた
あーあ、知ーらね。
「で、誰がやってくれたのかな。お兄ちゃんと
とりあえず聞いてみる。もしかしたら素直に答えて謝ってくれるかもしれないし。ま、そんなことは期待してないんだけど。
「えー? なんのことですかー? 私達とせんぱい方はー、ちょーっと楽しく遊んだだけですよー? あれ? 今は私が話してたはず……?」
「
「にゃるほどにゃー、こいつが
「これ見よがしに刀なんて持っちゃって!! そんな物騒なもの、学校で振り回させるわけにはいかないわ!! …………あれ、私ってば、いつの間にか眠っちゃってた……?」
ふう、一丁上がり。ダメじゃない、女の子がそんなに血気盛んに戦いに身を投じちゃ。ぼくが言えた義理でもないんだけどさ。
「……私は、斬らないのですか? てっきり斬り伏せられるものかと、機械的に考えておりましたが」
「ん? だって希望ヶ丘くんはこんなことしなくても分かってるでしょ? ぼくが何をしに来たのか」
そう聞くと希望ヶ丘くんは機械的に首肯した。そりゃそうだよな、彼女は頭がスーパーコンピューターだから、ぼくの言いたいことなんて丸わかりだろう。
「……さっきから黙って聞いてれば、随分と上から目線でものを言ってくれるじゃないですか、
財部くん、前に見た時に比べて随分攻撃的だなあ。せっかくの可愛らしい印象が台無しだ。なんていうか、よく吠えるワンちゃんみたい。
「ま、それもアリか……生憎だけど財部くん。先に一つだけ謝らせて欲しいことがあるんだ」
「へえ? 一体何を──」
「君達を躾けさせてもらう」
「え?」
あれ、伝わってなかったかな? 声が小さかったとか? しゃーない、もう少し大きい声で言うか。
「君達を、躾けさせてもらう」
「どうやってそんなに冷静に大きい声を……」
剣道やってるからね、このくらいの声なら日常会話の範疇だ。実際に剣道やると耳が悪くなるから、少しばかり声が大きくなっちゃう人も多いらしい。
「──それにしても、躾とはまた大きく出過ぎたんじゃないですかあ? 自慢じゃないですけど、そんなに簡単に考えを改めるほど、私達もやわじゃありませんし!」
「うーん、まあ確かに……頑固そうだって言うのには素直に同意するよ。頭のてっぺんからつま先まで、まるで『大真面目ですよ』って表現したいみたいな見た目だし」
特にメガネとかはそうだな。この手の子はメガネをアイデンティティとして認識しがちだし、誇りを持ってメガネをかけているのだろう。
「うるせえな黙ってろよ随分とまあ言ってくれるじゃないですか。それで? 私が真面目だったらなんだって言うんです? 馬鹿真面目にお話で分かり合えるとでも──」
「大真面目に話を聞いてくれて本当にありがとう。それと
「──はあ? 一体何を……あれ、あれ? あれっ!? いつの間に私っ、壁に張り付けられて!?」
『君だけじゃないよ、財部ちゃん。一人ぼっちは寂しいからね、みーんなまとめて壁に張り付けておいてあげたぜ』
ありがとうお兄ちゃん。いつ見ても流石の螺子投擲精度だ。多分みんなもがけば抜け出せるけど、そうすると制服がボロボロになって絵面が際どくなってしまうだろうね。
いやまあ……女子中学生五人が廊下に張り付けられているのは、十分絵面としては際どいものなんだけど。
「なっ、だってそんな……いつの間に!?」
「
こうしてネタバラシと相なった訳だが──まだ一つ言ってないことがある。
「さて、気分はどうだい財部ちゃん? さっきまで散々見下してた先輩達にコテンパンにしてやられた気分は? 余裕ぶってたのにその実気づきもしないうちに壁に張り付けられていたと気づいた時の気分は?」
「……あなたは、あなたは! 何もしてないのに随分と偉そうですね! それともまさか、全部他の2人に任せておいて、最後の最後にこうやって煽り散らかすのが、あなたにできる精一杯の仕返しなんですかあ!?」
財部ちゃんはそう言って煽り返すが、そいつは悪手だぜ。
「へえ、この状況でそんな口聞いちゃうんだね。元気がいいのはいいことだよ、うん」
「……何が、言いたいんですか」
「私に斬られてることにも気づいてないくせに、よくもまあギャンギャン吠えられたもんだ」
「はあ? そうやって脅したって無駄ですよ。現に私達は今! 全員無傷で張り付けられているわけですが……その気になればいつだって抜け出せるんですから!」
もちろん
──羞恥心が意味をなさないのならば、増幅させてしまえばいい。
「死ぬほど恥ずかしいいい!! ほら! この通り、私は羞恥心なんかに屈しない!!」
『へえ、財部ちゃん……パンツを履き替えたのかい? さっきまでのとは違って、随分と大胆じゃないか。これ校則に違反してない?』
「えっ? って、ええええええっ何これえええええ!!!???」
財部ちゃんはスカートが破れることも気に留めず、張り付けられた状態から脱出する……が、お兄ちゃんの声を聞いて、自分のパンツを確認した。しなければよかったのにね。
財部ちゃんのパンツは──ギリギリの所まで斬り取られていた。事情を知らない人が見たんだったら、財部ちゃんは際どい下着を露出する変質者にしか見えないだろうね。
「いや待て、もしや私達の下着も……!?」
「いやー、ちょっとこれは……倒錯的すぎるんじゃないかにゃー……」
おや、ようやくみんな事態を理解し始めたらしい。
「もしかして、お前がやったことって……!」
「ようやく気づいたかよ中学生ども!! やられっぱなしってのも気に触るんでね、少年誌に掲載できるかできないかぐらいまでパンツを斬り取らせてもらったぜ!!」
うん、いいね。しっかり気迫が乗ってるし、何よりネタバラシのタイミングも最高だ。やっぱり
予想外の事態で顔を真っ赤にする女の子っていいよね。
女子中学生のパンツを三人がかりで斬り取る生徒会とか、潰してしまった方がいいのでは?
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