TSした上に『負完全』の妹   作:Minus-4

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 友達とお寿司を食べていたので大遅刻しました。

 ごめん。




第50箱「何してんの?」

 

 

「私は鶴喰鴎。君よりも少しだけ主人公(めだか)に近い男さ」

 

「めだかちゃんに近い……? なんだと!? それはどういう意味だてめえ!!」

 

 起き抜けに突然知らない人から妙なことを言われたせいか、善吉は混乱してそんなことを聞いた。

 

 しかし鴎にそれを聞いたところで、まともな返答は返ってこない。事実、彼は言うだけ言って顔を逸らしてしまった。

 

「……悪いが私を見ないでくれるかな。私は人と目が合うと、キョドって上手く喋れなくなるんだ」

 

「え? あ、ああ……うん」

 

 まるで恥ずかしがるそぶりもなく、無駄にいい声で発されたその言葉に、善吉は流石に困惑を隠しきれなかった。今までも隠しきれていたかと聞かれると、少々反論し難いが。

 

 しかしここまで幾度となく修羅場を潜ってきた善吉は、即座に情報を収集することにしたようだった。動き出しもスムーズであり、こういう状況に慣れてきたことが窺える。

 

 名前を聞いたことがない・今まで見たこともない・性格がなんだか暗そうなどの理由から、善吉は鴎が()()()()()()()()()()()()()()と判断した。

 

 マイナスには、()()()()()()()()()()

 球磨川禊の一件から善吉が学んだことの一つである。

 

 善吉は鴎に向かって、笑顔でジャンプの話を投げかけた。

 

「なあ鶴喰くん、お前今のジャンプでどの漫画が好き?」

 

「は? きみ高校生にもなってまだジャンプ読んでるんだ。ないわー! だってあの雑誌子供向けじゃん! そうだね、そういえば昔幼稚園の頃弟に借りて読んでたよ!」

 

「──は、はは、そっか……」

 

 しかし残念ながら、鴎は斜に構えながらそんなことを口にした。彼はいわゆる()()()()()()()()()()()の人であったからだ。

 

 この返答から善吉は「こいつはマイナス十三組ではない」と判断した。何故なら過負荷(マイナス)達は皆、こぞってジャンプが好きだからである。

 

大体今のジャンプってメディアミックスに力入れすぎだよね? なんでもかんでもアニメ化すりゃあいいってもんじゃないと思うのよ私は。ほらもう私って大人だからアニメとか見ないわけじゃない? だったらむしろ漫画本体にもっと力を入れて欲しいって言うかさあ。おっとごめん! また本当のこと言っちゃった! これだから私ってよく人から『変わってる』って言われちゃうんだよねー。多数派に合わせるってことができないんだ! 損を承知で自分の意見を通しちゃうっていうかさあ──でもこれが私だから!

 

(……こ、こいつとは友達になれねー……)

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()の人である鴎の持論──暴論に善吉は驚愕を隠せない。なんだか先ほどから驚愕しっぱなしである。

 

「えっと、それじゃあ鶴喰くんはどんな漫画雑誌が好きなのかな?」

 

「ん? 馬鹿だな、そんなの決まっているじゃないの──男は黙って、ジャンプSQ.(スクエア)

 

「ああ……俺も好きだよ。月刊に移ってから本当にやりたい放題だもんな──ToLOVE(とらぶ)るダークネス

 

「ばっ、きみ何勘違いしてんの!? へー今あの漫画SQ.でやってたんだ! 知らなかったー! 知らなかったー!」

 

 善吉の指摘に対し、鴎は明らかに動揺していた。先ほど「ジャンプSQ.が好きだ」と言ったのに、ToLOVEるダークネスの存在を「知らない」などと(のたま)ったあたり、墓穴を掘ったことには気がついていなさそうである。

 

「私ネットとかやらないからそういう情報知らないんだよねー! ほら私ネットとかやらないからー!」

 

()()()()()()()()の人でもあるのか……)

 

 どんどんとボロを出す鴎を憐れんだのか、それとも呆れてしまったのか──実のところは焦りから来るものだが、善吉は痺れを切らして立ち上がり、保健室の外へと向かって歩き出した。

 

「付き添ってくれたことには礼を言うがよ、俺は今新キャラに構ってられる気分じゃねーんだよ。そんな場合でもないしな。つーわけで、そういう話はマイナス十三組の前では──」

 

……構ってられる気分じゃない、ね

 

 善吉としては、なんでもない別れの言葉のつもりだった。しかし、いささか()()()()()()というのが、鴎の思うところであった。

 

 故に鴎は、荒療治に打って出る。

 

「そんな了見の狭いことできみは、本当に主人公になれると思ってるのかな、人吉くん」

 

「……え?」

 

安心院(あんしんいん)さんにスカウトされて舞い上がっているのかもしれないけれど。黒神めだかを敵にしたことでハイになっているのかもしれないけれど。断言しよう。今のきみじゃ主人公(めだか)どころか、影の主役(わたし)にもなれないよ

 

 鴎はそう言いながらゆらゆらと立ち上がり、そして扉の前にいる善吉の方を向いてから、いっそ分かりやすく善吉のことを()()し、戦闘態勢に入った。

 

嘘だと思うなら自慢のキックを繰り出してご覧。君の蹴りは私の身体に、きっとかすりもしないから

 

「……お前、本当に一体何者だ?」

 

「言ったろ? きみよりも主人公に近い男──そして、()()()()()()()()()()()()()()()

 

「……?」

 

「かかって来ないのかい? それはつまり認めるということだね、所詮ジャンプはSQ.の二軍に──」

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「えっ?」

 

 善吉はそう宣言すると()()()()()()()()()()()()()()()。しかし蹴り出すために一歩踏み出したところで、その足自体を鴎に踏まれ、機会を潰された。

 

「……驚いたね、きみみたいな性格だったら、多少なりとも遠慮してくれると思ってたんだけど」

 

「生憎な、こっちも色々と事情があって()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。剣道家の親友にそう教え込まれてるんだ」

 

「へーえ、そう! なるほど、きみを少し過小評価していたよ、人吉くん──どうやらまるで見込みがないってわけでもないらしい。どれ、()()()()()()()──

 

(ッ──!? なんだ、()()()()()()()()……!)

 

 鴎は善吉の足を踏みつけながら、段々と笑みを深めていく。それと比例するように不気味さも高まっていき、その姿からは過負荷(マイナス)が想起された。

 

 まさに一触即発。善吉は右足を潰されている以上、両腕か左足で攻撃するしかない──が、()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「──それが、どうした……! こんなところで潰されて、めだかちゃんの相手ができるかよ……!

 

「いいね、主人公らしくて──影の主役(わたし)としては、負けるつもりはないけどね……!

 

 段々と保健室内に熱が籠ってゆく。互いの誇り(プライド)を賭けた戦いが、始まろうとした──ところで。

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 ──剣道における()()()()

 

 

その瞬間足にかかる負荷は、1()()()

 

 

「──二人とも、何してんの?

 

 

 善吉と鴎の足にとてつもない衝撃が響く。直後に訪れるはずの痛みは──どうやら()()()()()()()らしい。いつまでもやってくることはなかった。

 

 代わりに訪れたのは、痛いくらいの静寂。そして、二人の喉元に突きつけられた二振りの日本刀。

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()によって、この場は即座に制圧された。

 

「なっ……(そそぎ)!? お前どうしてこんなところに──」

 

「ちょうど保健室の前を通ったら『ジャンプはSQ.の二軍』って聞こえてきたからさあ……ぼくとしては、我慢ならなかったんだよね」

 

 乱入してきたのは、先ほど安心院(あんしんいん)さんに勧誘されて善吉陣営に入った(そそぎ)だった。当然善吉はそんなことを知らないので、困惑するばかりである。

 

なにがSQ.だ。男は黙ってウルトラジャンプだろ

 

 何はともあれ、こうして()は揃った。

 

主人公候補・人吉善吉。

影の主役・鶴喰鴎。

作られた主人公(オリジナル)・球磨川(そそぎ)

 

 この三人が揃った時、一体どうなるのか──それは、人外たる安心院(あじむ)なじみも()()()()()()()である。

 

 世界の知識を持っていたとしても、球磨川(そそぎ)に関する情報は一つもないのだから。

 

 故に安心院(あじむ)なじみは、球磨川(そそぎ)()()()()()()のだ。

 

 






 今までぐだぐだと変数だの乱数だの篇数だの言ってましたが、本当のところはこんなに簡単でした。

 感想・評価・ここすき等よろしくね。

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