TSした上に『負完全』の妹   作:Minus-4

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 次回以降頭を使うバトルになるので今回はだいぶ短めです。
あと、かなり忙しいので土日は更新しません。




第70箱「お節介な女さ」

 

 

 あの勝負が終わったあと、律儀に言葉(スタイル)を解除してもらえたから、善吉くんの怪我と斬られたヘリは治しておいた。

 

 そんでもって、これまた律儀に教えてくれたんだけど……漆黒宴二次会会場は南極大陸にある黒神基地ってところらしい。人呼んで暗黒要塞なんだとか。こわい。

 

 そしてさらに律儀なことに教えてくれたんだけど、()()()()は婚約者六人の中で()()()()()()()から空母にいたんだって。

 

 ……本当かな? そんな簡単に負けるようには見えないんだけどな。

 

 ああ、そうそう……()()()()もいるよ。人間力で負けちゃったわけだし、分かりやすく敬意を表すために呼び方変えてみたんだ。なんか新鮮だね。

 

「あと1時間くらいで到着か──ハハ、意外と近いんだなー南極大陸! まー亜音速で飛んでるんだしそんなもんか」

 

「いや名瀬師匠! ()()もうちょっとなんとかならなかったもんかな! 一人分の座席に六人とか! 俺達は一体何のどういうダークネスなんだよ!」

 

 ──というわけで海の上の次は、雲の上からこんにちは。球磨川(そそぎ)だ。

 

 今は激狭な戦闘機の後部座席に名瀬くん以外全員詰め込まれてて、善吉くんに密着されてる。きゃー善吉くんのえっちー。

 

「しょーがねーだろ元々定員二名の戦闘機なんだからよー、文句言うなよスクール水着で兄貴の背中を流してようやく貸してもらったんだからよー

 

「……えっと、名瀬くん? ぼくの聞き間違えでなければ、そっちの方がよっぽどダークネスなんだけど」

 

スクール水着で兄貴の背中を流してようやく貸してもらった。」

 

「そんなに堂々と言われても」

 

 名瀬くんと真黒くんの闇が深い(ダークネスすぎる)関係性はともかくとして、一人くらい前の座席で引き取ってくれてもよかったのにね。

 

 というか戦闘機って、七人も乗っても平気なんだ。意外と融通利くんだね。

 

「……窮屈なら私を降ろせばいいんだよ。場所は教えてあげたんだし私はもう用済みでしょ?」

 

「そうは問屋が卸さないわよ贄波さん! まだあなたが本当のことを言ったとは限らないし、それにあなたには黒神さんを取り戻す交渉材料になってもらうんだから!」

 

「そうだそうだ! それにまだまだ教えてもらいたいことがあるんだから、こんな所で逃がしてあげないよ!」

 

「……交渉材料はともかくとして、()()()()()。教えてもらうって、一体何を? 私はきみより全然刀の扱いはなってないと思うけど」

 

「え? いや、何って……言葉(スタイル)だよ。だってぼく、スキルの使い方は知ってるけど言葉(スタイル)の使い方は知らないもん」

 

「ふーん、まあいいや。別に伝わっても困るもんじゃないし、減るもんでもないから」

 

 やったー! 教われるものは教われる時に教わっておいた方がいいからね、聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥だよ。

 

 ぼくは生煮くんとハイタッチした。いえーい。

 

「……お前ら、何でそんなにいきなり仲良くなってるんだ? ついさっきまでガチでやり合ってただろ」

 

「剣士同士、色々と通ずる所があったんだよ。ねー、生煮くん?」

 

「そうだね後輩ちゃん、私達の関係性が深まりに深まって、最早親友と呼んでも差し支えないくらいまで近づいたのには、それはもう空よりも高いほど高尚で、海よりも深いほどの深刻な理由が──」

 

「あー、うん……分かったからまた今度にしてくれ……」

 

 なんだよ善吉くん、せっかく生煮くんが話そうとしてくれてるっていうのに……あーほら生煮くん話遮られたから泣いちゃったじゃん! 涙流してないから嘘泣きだけど!

 

「えーん後輩ちゃん〜、きみの所のボスがいじめるよ〜」

 

「ちょっと善吉くん、生煮くんが嘘泣きしちゃったじゃんどうするの!」

 

(そそぎ)お前贄波に感化されてきてないか?」

 

 感化だなんて、そんなわけないじゃん。ぼくはぼくだし生煮くんは生煮くんなんだから、ただ仲良くなっただけだよ!

 

「生煮くん、そうだよねー」

 

「ねー」

 

「──もう放っておくからな……」

 

 ちぇっ、流石にやりすぎちゃったかな。でもこういうノリになれる相手は初めてだから、許して欲しいな。

 

 なんて、そんな風にふざけていたら、突然鰐塚くんがぼくの袖をちょちょいと引っ張ってきた。どしたのさ、可愛らしい呼び方しちゃって。

 

(そそぎ)せんぱい。ここって上空何メートルくらいでありますか?」

 

「え? うーん、どうだろう……メートルどころか1()0()()()()()()()はくだらないと思うけど」

 

「そうですか……それでは人吉先輩。この戦闘機って、時速何キロなのでしょう?」

 

「はあ、時速? いまいち正確なところまでは分かんねえけど、さっき名瀬先輩が言ってただろ、()()()だよ。それがどうした?」

 

「いえ、それがどうした、というか──」

 

 鰐塚くんはそこで一度言葉を区切ってから、戦闘機の右翼側の方を指差した。

 

「──それならもう、()()()()()()()()のかな、と思いまして……」

 

 普通なら何もあるはずがなく、また、誰もいるわけがないそこには──翼に這いつくばって口で鎌を咥えている、スーツを身に纏った眼鏡の女性がいた。

 

なっ、なああああ!? 何だあいつ、どこから……というかいつからいたんだよ!?」

 

「あー、あいつかあ……後輩ちゃん、言葉(スタイル)を身に付けたいならよく見てなさい。()()()()()()()()()()()()()()

 

「えっ、あっ……そ、そうだね。見て……えっと、見なきゃダメ?」

 

「……? だって、言葉(スタイル)知りたいんじゃないの? それだったらあいつを見て、見取り稽古しないと──まさか、後輩ちゃんお前、高所恐怖症?

 

 うぐっ。い、いや、別にそんなことはないよ? ただちょっと、誰かにしがみついてないと冷や汗出てきちゃいそうなくらい高い所が苦手なだけで……。

 

(そそぎ)、お前……だからさっきから俺に抱きついてきてたの!? そうならそうって早く言ってくれたらよかったのに!」

 

「ごめんね善吉くん……というかそれより! どうしようこの状況!? まさか外に出て戦うなんてできるわけないし──」

 

「つーかどうでもいいんだけどよー、あんま暴れて戦闘機壊すなよー?これ壊したら今度こそ兄貴に何されるか分かったもんじゃねーからさ」

 

 おっと、名瀬くんがそう言いながら後部座席の窓を叩いてきた。確かにそうだね、暴れたりしたら戦闘機傾いちゃうかもしれないし──。

 

 

 ──えっと、名瀬くん? どうして外にいるの?

 

 

「なっ、名瀬先輩いいいっ!? もう少し迷ってから外に出てくださいよ!?」

 

「はは……悪いけどこの戦闘機借りものだからさー、落とされると困るんだわ。つーわけで、黒神家除籍、名瀬夭歌。お節介な女さ──お前も名乗れよ、推定婚約者さん」

 

「……えらく急いではりますなあ。そんなに急かさんでも、今名乗るところどす──叶野家代表、叶野(かないの)(すい)。黒神めだかの婚約者その6や。

 

 うう……怖いけど、しっかり見ておかないと……。

 

 






 贄波が暴れすぎたせいで(そそぎ)ちゃんが贄波化してきてる……。

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