ゴールデンウィークのくせしてやることが多すぎる!!
「いやー、それにしても感慨深いぜ。実際ほんの半年前まで考えもしなかったよな、あろうことかこの俺が箱庭学園の生徒会長になって──こうしてみんなで、南極を歩くことになるだなんて……」
というわけでどうも、球磨川
叶野くんと名瀬くんの戦闘の影響で、戦闘機は危うくお釈迦になりかけたけど……そこは僕の腕の見せ所だった。
何を隠そう、ぼくが「
燃料もほどよく補充した戦闘機は、名瀬くんの操縦によって、無事に漆黒宴二次会の会場である南極へと辿り着いていた。
それにしても、いや……あり得ない寒さだね。死んじゃう、死んじゃう……。
「……
「やだ、絶対やだ!! 離れないし離さない!! 一歩でもぼくから離れてみろ、たちまち凍死してやるからな!!」
「おーそいつはおっかねーな。後輩に凍死されちまったら寝覚めが悪いし、流石にここは俺が妥協するしかねーかー」
「やった! 本当にありがとうございます名瀬くん……つーかさ、僕の名前
「次つまらねーこと言ったら凍死させてやっから覚えとけよ」
……うん、これ以上はやめておこう。名瀬くんは多分マジでやる。やると言ったら必ずやる子だから。
なんて、そんな風にぼくがバカなことを考えていると、後ろで善吉くんが江迎くんを支えて歩いているのが見えた。
うーん、まああの子、肉体的にはこの中で一番弱いからなあ。尤もそれは、江迎くんが弱いということを意味するわけではないけど。
ぼくはなんだかバツが悪そうな江迎くんに声をかけようとして──その行動を、名瀬くんに阻害された。
「……
「野暮って……ぼくってそんなに野暮ったい女に見えるかなあ。流石に女心の一つや二つくらいあるって」
「あっそ。じゃあお前、恋したことあるのかよ。どんだけ小さなもんでもいーぜ。一度でもあるんだったら女心を有していると認めてやる」
「えっ、いきなりガールズトーク? それじゃあ……剣に恋してる! ぼくの恋人は竹刀と真剣だよお──」
「凍え死にたいか」
「ああ待ってスキル解除しないで!! ごめんなさいぼくが悪かったですもうふざけません!!」
危ない、危なすぎる。ただでさえ名瀬くんはイラついてるっていうのに、これ以上はマジでヤバい。
「……とは言ってもさ、ぼくってば好意と恋の境目が分からないんだよね。厨二病とかじゃなく、ぼくは感情に折り合いを付けるのが下手っぴだから」
「ふーん……善ちゃんのことはどう思ってるんだ?」
「善ちゃんって……善吉くんのこと? なんで急に?」
名瀬くんは僕の方に近づき、よく分からないことを耳打ちしてきた。別にこそこそしなくてもよくないかな。
「ほら、だってお前……戦挙戦の時、善ちゃんに
「えー? いやそりゃあさ、確かに感謝はしてるよ。助けてもらえなかったらぼくは今生きてないわけだし……だから、まあ──
「重っ……」
「でも別に善吉くんに限った話じゃないよ。みんながいなかったら、ぼくは死んでた。それにさ、友達のために死ねないようなら、そんなの友達じゃなくない? 友愛ってのは、詰まるところ献身でしょ」
ぼくはぼくなりの考えを口に出す──元の話題からは完全にズレている気がするが──すると、名瀬くんはぼくの頭を一発ぶっ叩いてきた。
「ぁだっ……ちょっと、何すんのさ!」
「
「……あー、いや、なるほど……つまり名瀬くんはぼくに『そんな簡単に死ぬとか言うな』って言いたいってこと?」
「さあな、好き勝手に解釈してもらって構わねーよ──ほら、黒神基地に着いたところだし、可愛げのかけらも無えガールズトークはおしまいだ! さっさと中入んぞ」
……まったくもう! 名瀬くんは優しいなあ。身体だけじゃなく、心まであったかくなっちゃったじゃんか。
そんな事を考えながら、僕たちは雁首揃えて黒神基地の中へと入って行った。
黒神基地の中は、文字通りに
どうせ今回は
そんな風にぼく達がまごついている間に、どうやら善吉くんと江迎くんがめだかちゃんの痕跡を見つけたらしく、全員が
「こんな所に閉じ込められていたなんて……黒神さんは大丈夫なんでしょうか? 今更ながら心配になってきましたよ……」
「なるほどな、虎居はそう思うのか。しかし俺はむしろ安心したぜ。だって、ほら。
「……つまり善吉くんは、
「その通りだよ江迎。他の6人の安否は不明だが、何はともあれ、めだかちゃんが自分の意思で同行している以上、きっとこの牢屋の中に
……えっと、善吉くんはそう言って、床の隙間に挟み込まれていた紙を探し出したんだけど……なんか善吉くん察しが良くなりすぎじゃない?
いやまあ、ぼくと
そんな風にぼくが独り言を頭の中でぶつぶつと呟いていたら、善吉くんは手に持った紙を開いた。そこには予想通りに、
「……これってもしかして、
「だろうな。そしてこの血は恐らく、めだかちゃんのものだ──うん、よし。
「そうだね、そうしよう──え? えっと、善吉くん、今なんて言ったの?」
「いや……だから、
「えっ……えええええええええっ!?」
いや……
「うぅっ……ぐすっ……成長したねぇ、善吉くん……」
「お母さんみたいなこと言うのやめてくれねえかな……」
──こんな風に、善吉くんの成長に舞い上がっていたせいで。ぼくは、牢屋の中に
異変といっても、些細なもの。だけどそれは、江迎くんにとっては
だから、まあ。
一言で纏めるのならば。
ぼくは「友達のためなら死ねる」とかいう戯言を吐けるほど、強くはなかったらしい。
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