『十三組の十三人』は一人当たり二話くらいかかると思います。なので、球磨川パイセンが出てくるのは2週間くらい先になりそうです。できる事なら毎日投稿するつもりなので、大体合ってると思います。
が、明日は私用があるので更新できるか怪しいです。20時までに更新してなかったら間に合わなかったと思ってください。
さて、いきなりだがここで一つ悲しいお知らせだ。私たちは地下一階フロアの迷宮を
いやまあ、確かに善吉くんと阿久根くんと一緒に「『
「それより喜界島会計、ここはあの手で行こう。こないだ遊園地に行った時に迷路アトラクションで使ったやつだ」
「ああ、あの手! でも黒神さん、あれ、あとでこっぴどく怒られちゃったけど……」
「「お前ら二人で遊園地とか行ってんの!? 男子も誘えよ! 俺たちは全員揃って生徒会だろ!?」」
あーそうそう、こんなやり取りもあったね。完全に忘れてたよ……あれ? 私、遊園地なんて誘われてない……よね?
「あの、めだかくん? 私とは一緒に遊園地行ってくれたりは……」
「む? いや、それは無理な話だな。だって雪は土日になると街中の道場という道場を破りに回っているだろう?」
「あっそーか、確かに無理だね!」
「「お前道場破って回ってんの!? 普通に迷惑だし可哀想だからやめてやれよ!」」
おー、ナイスツッコミだ、善吉くんに阿久根くん。君たちもなんだかんだで仲良いよね。仲良くて何よりだ。
んで、その後。私が冥利くんに爆破されて瓦礫に閉じ込められた時に使った馬鹿でかい声を喜界島くんが使い、めだかくんがフロアの構造をエコーロケーションと同じシステムで把握。一瞬で迷路の構造は筒抜けになった。
いやー、やっぱり本家本元の人間アンプリファイアーは違うね。私もでかい声を出すだけなら余裕だけど、
流石は喜界島くん、水の中でさえあればめだかくんをも凌駕する化物なんだ。善吉くんも今頃同じ事を考えているだろうが、こんなに頼れる味方はいないね。
「よーっし、それじゃ行」
「トレビアン! ここ最初のフロアだから色んなやつが通って行くんだけどよ、そんな方法で迷路をクリアした奴はいなかったぜ!」
「ただまあ階段まで最短距離で行くとかつれねーこと言うなよ」と続けたのは、
その姿を認めた瞬間、私と善吉くんと阿久根くんの三人が飛び出した。ついさっき約束したからな、敵が来たらぶん殴りに行くって。ちなみに私は刀を持ち合わせてないので手刀で代用した。
──のだが、気づいた頃には高千穂くんはめだかくんの近くにいたし、私たち三人は仰向けになって積み重なっていた。一番下じゃなくて良かった……大柄な男子二人に押し潰されたら流石にヤバい。絵面とか。
それで、私たちがのんびり積み重なっているうちに、めだかくんと高千穂くんのカッコいい名乗り合いが終わってしまった。展開が早すぎて着いて行けない。ちくしょう。
いや、悔しがっている場合じゃない……というか、悔しがっているとこの後の展開を見逃してしまう。この戦闘の真骨頂はあくまで
さて、高千穂くんの粋な計らいにより、首にかけているUSBを奪ってしまえば高千穂くんの研究の全容が分かると明かされたが……普通に考えたらあんな小さい16GBのUSBに全容が入ってる訳ないんだよな。いわゆる容量不足。
おっ、そうこうしているうちにお互いにボクシングスタイルで構えたな。めだかくんがガチで構えるってことは、高千穂くんも大概化物なんだよな。だから
「最上級生の貴様に敬意を表して先手は譲ろう、来い」
「そうかい? じゃあお言葉に甘えて──!!」
「ッ、なっ……!?」
「真空跳び膝蹴りぃ!?」
次の瞬間、めだかくんの顔面に高千穂くんの拳──ではなく、膝蹴りが直撃した。うわー、絶対痛いよあれ。めだかくんは痛覚を無視できるとはいえ、見ている私たちは痛々しい気持ちになるから避けてほしいなって思ったり。
善吉くんは卑怯だと言うけれど……剣道の試合の時も言ったように、これは実践で、実戦なのだ。卑怯も何もないだろう。だって勝たなければ負けなんだから。
まあめだかくんに言わせれば、こんなものを卑怯と呼んでいたら猫美くんに笑われるらしいが。確かに猫美くんなら初手で股間辺りを潰してもおかしくない。ひえー、自分で想像しておいてなんだがおっかねー。
ていうかヘッドバッドで膝を迎え打つっておかしいだろ。一歩間違えば失明待ったなしだ。怖すぎるので私はあんなことはやりたくない。
ほら見ろ、首がもげる威力のキックをわざと受けてUSB奪ったぞ。肉を切らせて骨を断つなんてもんじゃない。しかもあのUSBは偽物の方だから、骨を折らせてくたびれ儲けだ。実際この後骨折られるしな。
おっと、高千穂くんがまためだかくんにも認識できない速度で動いたが……やっぱり見えねえな。しかもUSBもちゃっかり取っていってる。ここまで速いと最早『すごい』より『気持ち悪い』が勝つな。
「杵築、お得意の観察で何か見えたか……?」
「いんや、速すぎて無理。まあ、理屈は分かったかもしれないけれど……確定してない情報で場をいたずらに混乱させるわけにもいかない」
「ほーう、理屈が分かったってのはどうやら嘘じゃねえらしいな、ちっこいの」
「ちっこいの!?」
「どうしたんだよ杵築、まさかお前って低身長がコンプレックスとかいうテンプレみたいな設定があるわけじゃないよな?」
「いや違うよ、低身長も童顔も全部ひっくるめて私の強みだから。ってそうじゃなくて……高千穂くんってそういうこと言うキャラなんだなーって思って」
いや、マジで新発見だ。出会う人間全員苗字で読んでるイメージがあったから、他人を『ちっこいの』なんて呼ぶとは思っていなかった。
「俺としてはお前も実験台にしてみてえ気持ちで胸が一杯だが……生憎黒神の相手で手一杯なんでな、お前は後でじっくり研究材料にしてやるぜ」
「……もう、高千穂くんったら……んふふ……」
「人吉クン、なんで杵築さんは敵を目の前にして頬を赤らめているのかな?」
「いや、俺もよく分かんないんすけど……なんか知らんが惚れっぽいんですよ、杵築って」
おい聞こえてるぞ、生徒会の男二人。誰が惚れっぽいって? 私に限ってそんな事あるわけないだろう、お兄ちゃんじゃあるまいし。
「さて、ちっこいのはともかくとして、研究者の俺としてはデータってのは命より大事なもんでよ。悪いがこいつは返してもらうぜ」
そう言って高千穂くんがめだかくんの方を振り返ると、そこには楽しそうにニヤリと笑うめだかくんがいた。めだかくんが戦闘の途中で笑うって事はつまり『相手が同格かそれ以上なので一生懸命やり合えて楽しい』って事だからな、少なくとも強さがめだかくん級ということになる。
おっと、めだかくんが冥利くんから(勝手に)拝借してきたスーパーボールを取り出したって事は、ここで高千穂くんの異常で過剰な反射神経という
よし決まり。見取り稽古しよう。そうと決まれば善は急げだ。高千穂くんの真正面から
「おいおいどうしたよちっこいの。そんな所にいたらお前まで巻き添えを食っちまうぜ?」
「いや大丈夫。
「無論! 初めからそのつもりだ!」
次の瞬間ガガガガガガッという、到底スーパーボールから出ているとは思えない音が迫って来た。当然それらは高千穂くんと私目掛けて殺到する……が、冥利くんに反射神経の訓練してもらったからな、これくらいなら避けれるようになった。
なるほどなるほど、こりゃあ確かに異常だな。
「……人吉くん、あれはどういうこと? 私には杵築さんが
「いや見たまんまだよ……絶対お前
「いやだから前から言ってるじゃん。私はちょっと剣道をやってるだけの
「………………………………おう」
なんだその不服そうな顔は。「なんで逆に俺が怒られてるんだ?」って顔に書いてあるよ。まったくもう、何回言えば分かってくれるかなー? ちょっと冥利くんの物真似したくらいで大袈裟だよ。
「今ので分かっただろう、雪。説明してやれ!」
えっ私が? まーいいや、めだかくんの頼みならなんでも聞いてあげるからどんとこいだよ。
「高千穂くん、どうやら
「いや別に?」
「……ま、いいや。そんでこれは私が近くで見て分かったことだけど、
どや。どやや。
全力でドヤ顔をしながら、高千穂くんに向けて指を差していると、突然高千穂くんは笑ってから、自らの
「ご名答! 俺は生まれつき異常で過剰な反射神経の持ち主でな──言うなれば
うーん、こうして直接説明されると「これどうやって勝つの?」って気持ちになるな。攻撃全部避けられるとか、たまったもんじゃない。
「ところで! 俺の肉体が自動的に戦ってくれてる間に、暇を持て余してる俺の頭脳の方じゃなーんとなく分かりかけて来たぜ。黒神めだか! お前の完全さの秘密って奴がな!!」
さて、こっからが本番だぜ、めだかくん。私にできることは観察と解説くらいのものだし、あとは頑張ってカッコよく決めちゃってくれよ。
──時を同じくして。
箱庭学園前に立ち尽くす男が一人。
『手土産代わりに全国の進学校をいくつか潰して来たが、ちょっと少なかったかな? いやでも、僕にできる限りのことは尽くして来たし別にいっか』
『いやーそれにしても、誰も悩むこともなく誰も困ることもない平等で平和な世界を作る、ねえ。なんて素晴らしい教育理念、なんて素晴らしい思惑なんだ! 感動のあまりに大爆笑で涙を禁じ得ないな』
『ただ……結果には賛同できるけど、手段には賛同しかねるなあ。どうしよ、転校取り消そうかな。そもそもまだ転校が決定したわけじゃないんだけど』
『不知火理事長の話によれば僕はプランBらしいが……AとかBとか、そんなもんはまあ誤差みたいなもんだよな。うん、きっと僕のことを買ってくれているに違いない。そうに決まってる』
『僕の転校が正式に決定するのはプランAの方が失敗しそうになってかららしいが……僕に言わせてみれば、既に遅きに失していると言わざるを得ないなあ』
『どうせ失敗するんだからさっさと僕を敷地内に入れて欲しいんだけど。ここまで歩いて来て喉も渇いたしね。はあ、気の利かない学校だなー』
『うん、ここでずーっと待ってるだけってのも暇で暇でどうしようもないし、ここは一つ妹に電話でもしてみようか』
『……あれっ、出ないな。まったく、珍しいこともあるもんだぜ。僕から電話かけるといっつもワンコール以内には出てくれるのに……反抗期かな?』
『あー、そういえば生徒会に入ったんだっけ? いつかの電話で話してくれたっけ。じゃあ今頃はめだかちゃんと一緒に
『そういえば副会長になったって言ってたっけ。いやー、やっぱり血は争えないのかな? だって副会長ってことは、要するに上から二番目ってことだろう?』
『まったく、僕は最高の妹を持ったよ。君のおかげで僕は今日も自尊心を保てている』
『
『さて、それじゃあ不知火理事長からお呼びがかかるまではここで待ってようかな。僕みたいな奴を拾ってくれたんだ、少しくらいの雑な扱いは許してやるか。そもそも、これくらいの扱いなら散々されてるしね』
『直接会うのは何年振りかな、僕を見た時にどんな反応をするんだろう。年頃らしく余所余所しい感じ? それとも妹らしく元気いっぱいにハグでもしてくれるのかな。大人ぶって澄ました感じで再会ってのも萌えるよな……ああ、想像するだけで楽しみだよ』
『びっくりした?』
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