TSした上に『負完全』の妹   作:Minus-4

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 なんか12,000文字もあります。
 長い。




第85箱「言葉もない」

 

 

「これで私の勝ちだ、礼を言わせてくれ桃園喪々。いやまったく、あと一回りするまでに見抜いてくれなければ、私の負けは決まっていたよ」

 

 先ほどまで焦ったような顔をしていためだかの表情は一変し、まるで()()()()()()()()()()()()()()かのような笑みを携えている。

 

 その笑顔に桃園は一瞬気圧されるが、しかしすぐさま先ほどまでの調子を取り戻し、不敵な笑みを浮かべた。

 

「博士の話が一足早く聞けたのは、はっきり言って()()()()()()の外だったが、言わずもがなそれについても多謝の一言だ!」

 

「言ってろ、苦し紛れのハッタリであろ? (なれ)のその厚い面の皮、吾輩が引っ剥がしてやるわい」

 

 どうせ、後はただ普通にしりとりをやり切れば自分の勝ちである──桃園はそう考えて、再びしりとりの場についた。現在の手番はめだかなので、当然ながら、めだかが先に言葉を放つ。

 

 

14:00:00

手番:黒神めだか

()(もの)

 

15:00:00

手番:桃園喪々

()ボエ

 

16:00:00

手番:黒神めだか

役丁(えよほろ)

 

17:00:00

手番:桃園喪々

ロフタ()

 

18:00:00

手番:黒神めだか

()(なべ)

 

19:00:00

手番:桃園喪々

紅隈(べにぐま)

 

20:00:00

手番:黒神めだか

マテ(ちゃ)

 

21:00:00

手番:桃園喪々

(やわ)らぎ

 

22:00:00

手番:黒神めだか

()(ぶた)

 

23:00:00

手番:桃園喪々

蓼虫(たでむし)

 

00:00:00

手番:黒神めだか

(しる)そば

 

01:00:00

手番:桃園喪々

化猫(ばけねこ)

 

02:00:00

手番:黒神めだか

()()

 

03:00:00

手番:桃園喪々

アルバトロス

 

04:00:00

手番:黒神めだか

(すが)()

 

05:00:00

手番:桃園喪々

名著(めいちょ)

 

06:00:00

手番:黒神めだか

()(びと)

 

07:00:00

手番:桃園喪々

取説(とりせつ)

 

 

 ──ゲーム開始から、二回目の午前七時である。ここまで二人とも失格することなくもつれ込んだが、しかし終宴はすぐそこまで迫っていた。

 

 ……桃園の勝利は()()()()()()()()

 

(は、はは。やはり黒神の言ったことはまったくのハッタリ! 現状がそれを証明しておる! 吾輩は残っている文字を、適当に並べるだけで──?)

 

 と、桃園はそこで、自らの持ち字を思い返して……とあることに気が付いた。()()()()()()()()()

 

 ()()()()()()()()()()()()()()

 

(──いや、え……? ちょっと待て、まさか、()()()()()!? だけど、そんなこと可能なのか? いや、しかし、現にこうして……)

 

「あはははは、この私が戦いにおいて、()()()()()()()()()()()()とか、よくぞ見抜いてくれたよ桃園喪々──」

 

「ッ──黒神、めだかっ……!」

 

 桃園は突然何かに驚愕したように席を立ち、めだかのことを睨みつけ、歯軋りなんかもしていた。既に勝利は確定しているというのに、とても勝者の顔つきではない。

 

「……一体どうしたんだ、あのちびっ子。いきなり立ち上がって焦ってるみたいだが……」

 

「……そもそもさ、このしりとりって今どっちが勝っててどっちが負けてるの? いよいよ分からなくなってきたよ」

 

『ベースがしりとり、つまり語彙の競い合いであるにしたって、このゲームでもっとも大切なのは、互いの記憶力だからね。そこがこのゲームの難しいところだ』

 

「まあね──しかしとはいえ、ギャラリーの多くが『今』を把握していないのも決まらない話だ。鰐塚、ここらでここまでの記録を見せてあげなよ」

 

「え? でもそこまで細かい記録は取っていないのですが……」

 

「貸せ。お前には過ぎたデバイスであるそのタブレットを僕に貸せ」

 

 半ばキレながらも、安心院(あじむ)なじみは鰐塚からタブレットを借り受けた。そしてそこに今までに作られた言葉を並べ、それから残っている文字だけを記した。

 

「これが『今』だよ。あの二人の残る持ち駒は、実のところそこまで多くはなく、既にこれだけしかない──」

 

 

 

 黒神めだか 

 

×××××

××く×こ

×××××

×××××

×××××

×××××

×××××

× × ×

×り×れ×

×   ×

 

 

 

 桃園喪々 

 

××う××

×××××

さ××××

×××××

×××××

×××××

×××××

× × ×

×××××

×   ん

 

 

 

「黒神めだか残り『く・こ・り・れ』の四文字に対して、桃園喪々残り『う・さ・ん』の三文字──思っていたより()()()()()()()()し、しかも、これは……」

 

 視覚化された現状を目にした虎居は、悲痛な声色を隠しもしない。というか、その場にいるほとんど全員が悔しそうな表情を浮かべていた。

 

「四文字以上の言葉を作るルールだから、残り三文字の桃園は嫌でも次で五十音を使い切る! 状況は明らかに、桃園に傾いている……!」

 

「うん……しかも『取説』の『つ』から、めだかくんが作れる言葉は、ぼくの間違いでなければ──(つく)()』だけ。どう頑張っても、『れ』が残っちゃう

 

「……まさかあの子、ここまで考えて『つ』を回してたの!? ゆっくり話して感覚を乱したり、相手の使う言葉までコントロールするなんて、言葉(スタイル)とか関係ないじゃん……!」

 

(そそぎ)と江迎の言う通りだな。そして桃園はそれ──つまり『こ』を受け継ぎ、公算(こうさん)という言葉を成立させちまう。ということは、残念ながら……」

 

「もう敗色濃厚とか、そういう次元やないわ。なぜなら、今やこの勝負、残念ながら──あんガキの勝ちで詰んどるんどすから

 

「……ま、桃園相手によくやった方でしょ。いやー、私の敵を討ってほしかったんだけど、しょうがないよねー」

 

『きみ達一体どっちの味方なわけ?』

 

 ギャラリー達がやいやいと騒いでいるが、しかしその中でも禊と安心院(あじむ)なじみ、そして潜木もぐらだけは冷静だった。

 

『……というかさ、そもそも「公算」って「ん」で終わる言葉じゃん。これってルール④に抵触してない? そこのところどうなのさ、武器子さん』

 

「……いえ、その前に持っている五十音を全て使い切る──ぐすっ、つまり、ルール①が適用されるわけですから、ずびっ、この場合は、桃園さんの勝利でゲーム終了です」

 

「あーもういい加減泣き止みなさい、どうせこの後球磨川くんあたりが直してくれるさ、ロケットの一基や二基程度」

 

「えっ!? 本当ですか!?」

 

 安心院(あじむ)なじみの言葉を聞き、武器子は弾かれたように顔を上げる。ほんの少しの期待はあるようだが、しかし未だに信じられないようだ。

 

 そんな武器子に、禊は近付いて行き、耳打ちをした。どうやら何か条件があるようで、武器子はうんうんと頷いている。

 

「──なるほど、それならば、まあ……本人の意向次第ですけど、問題ありません。終宴後のことまで、我々月氷会は()()()()()()()()ね」

 

『オッケー、それならいいんだ……つーわけで、僕はやったよ安心院(あんしんいん)さん、いぇーい』

 

「よくやった球磨川くん。いぇーい」

 

 禊と安心院(あじむ)なじみは、大層嬉しそうにハイタッチした。どちらも今までに見たことが無いくらいのいい笑顔である。

 

 なんて、二人が何やら楽しげにしている間に、時刻は午前8時を回り、めだかが口を開いた。飛び出した言葉は当然ながら、予想された通りに「(つく)()」だった。

 

「ああっ……駄目だ! 分かっていても黒神さんは『こ』を回すしかなかった! 状況は必至!」

 

「あのガキ、ほんまに嫌味な奴やなあ。五十音を綺麗に使い切って、しかも相手が確認を怠った『ん』で締めるラスト!」

 

「それに関しては完全に同意だよ、叶野。ともかくこれで、あとは桃園が『こうさん』と言って終わり…………ん? あれ──」

 

 名瀬はそこで言葉を区切り、何かに気が付いたようで、冷や汗を一筋垂らした。その何かとは、先ほど桃園が気付いたものと同一で。

 

 

「桃園が『降参(こうさん)』と言って終わり……?」

 

 

 その言葉を聞いた全員が、絶句した。もう少し具体的に言えば、()()()()()()()()

 

「……確かに桃園さんは、ここで実現可能性って意味の『公算』を言えるわけだし、極端に言えば『高山』とか『合算』とかに()()()()()()()()()。だけど──」

 

「──もぐらの言う通り、吾輩が『降参』と言うのではなく、()()()()()()()()()()()。こいつは狙って吾輩に、その言葉を言わせるつもりなのだ」

 

『……どういうことか、分かるように説明しておくれよ、潜木ちゃん。勿体ぶられると、うっかり封印を一本増やしちまうかもよ?』

 

 禊はそう言って潜木を脅すが、しかし潜木はそれどころではないようで、禊の脅しなど気にも留めていなかった。

 

「黒神にもっとも近いだとか、そんなことを言っていた一昨日までの私が恥ずかしいのだ……()()()()、とか、そんな言葉でも物足りない──だって黒神は『う・さ・ん』を()()()()()()()()()()()!!

 

 潜木がそう大きな声で言い、全員が信じられないといった表情を浮かべる──が、しかし。潜木の話はそこで終わらなかった。

 

「しかも、その範囲は……別に桃園さんに限った話じゃあないんだよ。それに、五十音表の上での話ですらない」

 

「いや、いやいや、ちょっと待ちなよ潜木くん。それは、いくらなんでも()()()()()()()って!」

 

「その()()()()を黒神は()()()()()()()()()んだよ!! 黒神がゲーム第一手の『硫酸霧』で使ってから、ついさっき! お前達がタブレットで確認するタイミングまで! 『う・さ・ん』──」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その三文字を    

 口にした奴は    

 この場に一人も   

いないんだから。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

16人の人間が

34時間の会話の中で

一度も、一回も。」

 

 

 

 

 

 

 

コントロールしてたんだよ! 私達の会話を! 言葉を! 黒神は()()()()()

 

 

 

 

 ──今度こそ、本当に。

 

 その場にいる全員が()()()()()()

 

「……まあ、標的はもちろん桃園喪々一人だったのだがな。誰かが口にすれば思い出されてしまうので、皆には諸共になってもらった。やったことは貴様の『時を忘れさせる話術』と同じだよ」

 

「ッ──どこが、どこが同じなものか!! 吾輩がコントロールできたのは精々3()()()!! しかし(なれ)()()()()3()4()()()……こんな、こんなの……!」

 

 ()()()()、では、到底足りない。潜木も先程言っていたが、しかし()()()()()()()()()()()のだ。

 

 桃園は、言葉使い(スタイリスト)達は、()()()()()()()()()

 

 そんなこと、自分達には逆立ちしたって出来ないのだから──例え千年かけたって、そんなことはできないのだから。

 

 やけにルールを細かく確認したのも、ラストに『ん』を使うルールを確認しなかったのも、全てこのため。

 

 制限時間を一時間に設定したのは、確かに人質が自力で脱出するのを待っていたというのもあるが、本当のところは、桃園がフェイントで他の二人を倒してくれることを願ってのことだった。

 

 つまり、桃園は最初から最後まで、今この時まで、()()()()()()()()()()。途中で席を外しておいてこれなのだから、当然普通にやっていれば圧勝である。

 

 が、しかし。

 めだかはここに来て、急に桃園に全てを託した。つまり、桃園が「公算」と言うか「降参」と言うかを託したわけだ。

 

「……どうして、吾輩に勝敗を委ねるような真似をする。吾輩が気が付かなければ、それまでだったのだぞ。それに、吾輩にはまだ言葉(スタイル)が──」

 

「まあ、使いたければ使うがいい。()()()()()。が、しかし。()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 めだかがそう言った瞬間、桃園は口を開いて「警告」を使おうとする──したのだが、何者かの指が口の中に突っ込まれたので、発音が上手くできなかった。

 

 指を突っ込んだ犯人の正体は、たった今自力で封印を抜け出した不知火半袖であった。

 

「ッ──ろぉあっえ(どうやって)……!?」

 

「あひゃひゃ! どうやってって、そりゃあ()()()()、ですよお。身近に封印が得意な人がいるんだから、()()()()()()()()()()()()くらい準備しますって!」

 

 半袖はそう言ってからめだかの方を振り向き、にやりんと笑いながら「報酬は弾んでくださいよ」と目で訴えた。めだかもそれを察知したようで、一度深く頷いた。

 

 そしてもう一度桃園の方を見ると、やや涙目になっていたので、半袖はそこそこ強めの勢いで指を引き抜いた。6歳児への仕打ちではないが、若干自業自得の気があるのでしょうがない。

 

 桃園は咳き込みながらも、対面しているめだかを睨みつける。その目は「説明しろ」と促しているように見えたので、めだかはこんなことをした理由を説明し始めた。

 

「……そうだな。貴様の言うとおり、私はこの『消去しりとり(デリートテールトゥノーズ)』、勝つ気もやる気もなかったのかもしれん。私はな、桃園喪々──ゲームではなく、()()()()()()()()()のだ」

 

 その言葉を聞いた桃園が、目を見開く。しかしめだかは、そんなことお構いなしに説明を続けた。

 

「影武者六人が負けようと善吉達に追い付かれようと決して負けを認めない貴様が、しりとりで負けた程度で潔く負けを認めるとはどうしても思えなくてな」

 

「……もしやすると、ゲームのルールには従順かもしれぬぞ」

 

「ついさっき私の煽りに乗って言葉(スタイル)を使おうとした時点でそれはない。もっとも、それはないと分かっていたから、私は()()()()()()()()()()()()()()()のだ。最後の最後にやけっぱちになった貴様をすぐに止められるよう、()()()()()()()()()()な不知火に残ってもらったんだよ」

 

 半袖はその言葉を聞いて、苦笑いしていた。要するにめだかは、6()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 間違っても「勝った」なんて言えないように。

「まだ終わってない」なんて言えないように。

 

 分厚い面の皮を。分厚い二枚舌を。少しずつ少しずつ、言葉という鋭利な刃物で削り取っていく。

 

 約束事を舌先三寸で反故に出来ないように。言葉という鋭利な刃物で()()()()

 

「貴様に勝つというのは、つまり貴様の()()()()()()()に勝つということだ。()()()()()()()()()()、貴様を上回るしかなかったのだ。目には目、歯には歯、舌には舌だよ、桃園喪々」

 

 何も言えないのなら、それはつまり、()()()()()()()()ということで。

 

 これはもう、黒神めだかが()()()()()()()、桃園喪々の舌を切り取らせたのとなんら変わりない。

 

『小細工を弄した戦い方も、終わってみれば相手に合わせたフェアなスタイルか。ところで虎居ちゃん、()()()()()()?』

 

「……黒神めだかですよ。戦いに対して誠実で、私の好きな元生徒会長です!!」

 

 あくまで、暴力なしで。

 あくまで、謀略のみで。

 

「ま、これでも負けを認めないのならお手上げさ。その時は貴様の勝ちだ、なんとでも言え。結婚でもなんでもしてやるよ」

 

「ッ──!!」

 

 そして輝かしく、ヒロイックで、劇的に。

 

 

 

 

09:00:00

降参(こうさん)である!!

言葉もない!!

 

 

 

 

 そして初めて、()()()()勝利したのだった。

 

 

 

 

第二回漆黒宴 終宴

優勝者 黒神めだか

 

 

 

 


 

 

 ──ゆっくりと目を開くと、眼前には(そそぎ)ちゃんの可愛らしい顔が広がっていた。

 

「やっほー、おはよう。気分はどう?」

 

「……私が目を覚ました、ってことは……勝ったんだね、めだかちゃんは」

 

「おっ、やっぱ分かってたんだ。ちなみに(ゆき)ちゃんの怪我を治したのはお兄ちゃんだから、あとでお礼言っておきなね」

 

 あー……なるほどね、私が目を覚ましたのは()()()()()()()()なのか。周りを見渡すと、なんだか全員すっきりした表情をしてるし、善吉くんも元気そう。

 

 

 ……えっ? いや、何やってんのあの二人。

 

 

 ──うん、一件落着だね。よかったよかった。

 私はなんにも見てないぞ。

 

「……ツッコまなくていいの?」

 

()()にツッコミいれないとダメ……?」

 

 目覚めたばかりの私が見ている幻覚──とかではないな。残念ながら現実らしい。

 

「やっ、やっと目覚めたか負完全(マイナス)の妹御! 目覚めてそうそう申し訳ないのだが、吾輩を助けてくれ!!」

 

「いやいや、自分が謀って殺した相手に助けを求めるとかそれはないだろ、桃園ちゃん」

 

『そうそう。これでも僕達、結構温情をかけてやってるんだぜ?折角の勝利に水を刺すのもアレだし』

 

 ……私の眼前に広がる光景とは、安心院(あんしんいん)さんが何らかのスキルで、涙目の桃園ちゃんを空中に固定し、お兄ちゃんが先の丸い螺子で脇腹を小突いている光景だった。

 

 何してんの?

 

「この二人を説得してくれ妹御!! 吾輩は脇が弱いのだ!! 後生である!! たのむ!!」

 

「えいっ」

 

「ッ!?!? おい! おい妹御!! やめろ!! 日本刀の鞘で小突くでない!! やめろ!!」

 

 ……楽しそうだし、恨みもあるからつついてみたけど、こうして見るとちっちゃいなあ……私六歳児に負けたのか……。

 

『ちなみに実行犯の方は、どうやら桃園ちゃんに弱みを握られていたようでね。(ゆき)ちゃんが許すのなら、報復には行かないつもりだけど』

 

「ああ、うん……別に気にしないでいいよ、別に私って死んでも生き返れるし」

 

「まあきみならそう言うと思っていたから、そもそも攻撃しに行くつもりはなかったがね。あときみ多分、子供に攻撃したら怒るだろう?」

 

 安心院(あんしんいん)さん、そういうの考えられるようになったんだ。随分とまあ人間らしくなっちゃって……。

 

「っていうかもしかして、桃園ちゃんに対するこの仕打ち──報復と抱腹絶倒をかけてる?

 

『大正解。相手はまだ子供だし、こんくらいでちょうどいいでしょ。それに、下手に傷つけて()()()()()()()()()()を断られても困る』

 

 ……なんだろう、やってもらいたいことって。うーん……分かんないなあ。分かんないことだらけだ。

 

「ダメだ、(なれ)では話にならん!! 武器子、おい武器子!! 吾輩を助けろ!!」

 

「……えっと、その、あの……」

 

「おい、武器子、まさか……!?」

 

「ロケット、直してもらうって約束したので、手出しできなくって……それに、漆黒宴はもう終わってますし……」

 

武器子ぉッ!!

 

 いや、まあ……そうだよね、1兆7000億円が帰ってくるとなると、流石にそうなるよね。

 

「……ふっ、んふふ……なんだよ、私ってばこんな子供にしてやられたのか。うわ恥ずかしくなってきた……」

 

「ははは、今回はかっこ悪かったねえ、(ゆき)ちゃん。まあでも、こういうこともあるよ──それじゃ、一緒に帰ろ!!」

 

 ──(そそぎ)ちゃん、遠慮ないなあ。だけど今の私には、これくらいでちょうどいい。あーあ、してやられたってのに、これ以上ないくらい爽やかな気分だぜ。

 

「──うん、そうだね。それじゃあ帰ろっか、私達の箱庭学園に!」

 

 私たちはそのあと、全員で足並みを揃えて、黒幕島を後にした。これにて一件落着、よかったよかった。

 

 


 

 

「……えっと、安心院(あんしんいん)さん。桃園ちゃんも連れてくの?」

 

「うん。この子に()()()()()()()()()()()()()()があってねえ。研究者気質の僕としては、こんなチャンスを逃すわけにはいかねーな」

 

 お兄ちゃんに続いて、安心院(あんしんいん)さんまで、何をしようとしてるんだろう?

 

 ──でも、そんなことを気にしてる場合じゃないな。私には私で、()()()()()()()()()()()()()()から。

 

 ……鍛え直そう。()()()のために。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

絶対に、成し遂げるんだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






 漆黒の花嫁衣裳編、完!!
 あらかじめリポグラムに慣れておいてよかった。

 さて、次回からは事実上の最終章である不知火不知編に入るわけですが、何が何でも最後まで一気に駆け抜けたいので、書き溜めしてから投稿になります。

 つまり、次にこの小説が投稿されていたら、()()()()()()()()()()()()()ということです。

 当然ですが、()()を尽くします。
 お楽しみに。

 感想・評価・ここすき等よろしくね。

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