この素晴らしいカズマに祝福を! 作:名もなき駅員
バックアップ? 何それおいしいの?
数時間後、俺は自分の実力を確かめるために剣を買い、ジャイアントトードと呼ばれる大きなカエル型モンスターの討伐に向かうことになった。
「それじゃあ最低限の装備も調えたし、早速行こうか」
「遂にレベル上げね! ま、女神であるこの私にかかればちょちょいのちょい…」
ーー
「カズマ! カズマさぁぁぁぁぁん! 助けてぇぇぇぇぇっ!!」
俺はジャイアントトードから必死に逃げ回るアクアを助けようとするも、もう一匹に邪魔されて中々辿り着けない。
「くっ…こうなったら!」
俺は後ろの木に回り、スルスルと器用に登ると、木の枝から思い切り飛び降りながらカエルの頭に剣を突き刺した。
流石にすぐに絶命とは行かないが、十分重い一撃を出せたみたい。よし、アクアの所に急ごう。
「アクア! だいじょう…ぶ…」
俺が見上げるとそこには、聳え立つカエルの口から見覚えのある衣装の足が見えた。
あれ、アクアだ。
「ほ、捕食…」
アクアに申し訳なさと同情を感じながら、アクアの消化に夢中になっているジャイアントトードを斬って倒す。中からヌルヌルになったアクアが出てきたので、取り敢えずジャージを貸す。
「これでぬめりを拭いてくれ。幾分かは良くなるはずだから」
「ううっ…ぐすっ…あ、ありがどう…カズマぁ…ありがどうねっ…うわぁぁぁぁぁん…っ!」
「よ、よしよし、カエルは倒したからな」
俺はわんわん喚くアクアを見ながら、昔よく泣いていた幼馴染を俺が慰めていたという懐かしい思い出を思い出したのだった。
彼女は今どうしてるんだろう。
結婚しようって言ってくれた事は、幼い頃と言っても今も忘れていないし、時々思い出す。
…あっちはもう忘れてるかな。
「ふぅ…大分マシになったわ。今度こそリベンジよ! あのにっくきカエル相手に逃げ出したら、女神の名が泣くわ!」
「えっ流石に今日はもう…」
俺の制止などない事にして、アクアは駆けだした。そのカエルに打撃が効かないことは先の戦いで分かっていたはずなのに、何故もう一度パンチを放つのだろう…
こうなればもう、俺もぼうっと呆けてる場合ではない。アクアがまた攻めの状態でなくなれば、引け腰になったところを捕食されてしまう。そうなる前に、俺が急所を斬る必要があるのだ。
「神の力、思い知れ! 私の前に立ち塞がったこと、そして神に牙を剥いたこと! 地獄で後悔しながら懺悔なさい! ゴッドブローッ!!」
アクアの怒りの籠もった一撃は的確にジャイアントトードの鳩尾を貫…く事はなく、ぶよんと柔らかい音を立てて拳をめり込ませるだけに終わった。が、俺が同時に斬り込んだ事によってジャイアントトードのお腹はパックリと割れた。
「ふ、ふふん! どう? これがゴッドブローの効果よ!」
「はは、凄いよアクア。お疲れ様」
そう言って、俺はまだ服の隙間にヌルヌルが残っているアクアに、帰ったらお風呂に入っておいてくれと告げた。
ーー
「さて、そろそろ寝ようか」
「そうね。それで何で寝る所が、私が宿、カズマが馬小屋なのかしら?」
それは、節約しないとだし…
俺が財布を見ながらそう言うと、アクアから折檻と言わんばかりのゴッドブローもどきを喰らった。弱く打ってるが、それでもかなり痛い。
「嫌よ差別なんて! 宿か馬小屋、どっちか一つにしなさい! 私とアンタの立場は今は平等なの!」
「宿二人は高いし今は個室しかないんだよ。でも、アクアを馬小屋で寝かすわけにも…!」
つい大声になる俺達に、罵声が飛んできた。
「おい、うるせーぞ! 何時だと思ってんだ、早く寝やがれ!」
「あっ、ごめんなさい!」
冒険者家業は収入がかなり不安定だ。俺はこの一日でそれを理解した。宿暮らしなんて土台無理な話。でも俺のせいでここに呼ばれてしまったアクアに、女神に馬小屋なんて絶対にダメだと思う。
「私は別に馬小屋でも良いわよ」
ほら、アクアだって宿がいいって言ってる。
でも俺達二人で同じベッドに寝るなんて流石に冒険者と言っても今なんて?
「カズマさんが馬小屋にしか行かないんだったら、もういっそ馬小屋でもいいわよ」
そんなに嫌いなのか…差別してるわけではないんだけどなぁ。多少の違いとはいえ一瞬でも女神という上の立場にいさせてあげたいだけなのだ。
「なら、いつも宿で寝られるようにカズマさんが頑張れば? 私も出来る事なら手伝うわ! 出来る事ならね!」
「そう、か…うん、分かったよ。じゃあ明日からも頑張ろう!」
「うるせーっつってんだろ! しばかれてーのか、こらっ!!」
「「す、すみません!!」」
この時点でアクアが相当アクアじゃない
あれ、おかしいな…