この素晴らしいカズマに祝福を!   作:名もなき駅員

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ダクネス絡みのいざこざは優しいカズマさんによってスルーされたので、スムーズに事が運びますね。


この素晴らしい女騎士に祝福を!

ジャイアントトードのクエスト報酬と討伐報酬を得た俺達は、ギルドのテーブルで夜ご飯を食べながらくつろいでいた。

 

「しっかしカズマさんたらスキルポイントも知らないなんて、私がいないと何も出来なかったんじゃない?」

 

アクアには本当に世話になっていると思う。一般常識なんかは転生者にはどうしようもないし、いつも説明を入れてくれて助かる。

 

「そうだ、どうせならカズマも自分の冒険者カードくらい見ておいたらどうですか?」

 

めぐみんからそんな事を言われたので、俺は自分の冒険者カードを見てみる。レベルは8、職業は冒険者。スキルはなしで、スキルポイントは…

 

「294!?」

 

「「にひゃく!?」」

 

アクアは唐揚げを喉に詰まらせ、めぐみんはお茶を吹いている。どーなってんだこれ…

 

「カズマ!? そんな量のスキルポイントレベルアップで得られる訳ないでしょ! レベルが8って事は最大値は40~45くらいのはずよ!」

 

「アクア、それだとカズマの初期スキルポイントが250前後ってことになるんですが…」

 

アクアの説明だと初期スキルポイントが多い人は優秀だって話だが…俺が優秀? ないない。

 

「カズマ、ちょっと冒険者カードを見せてください! …って、ステータス高ッ!? 筋力がクルセイダー、敏捷性がソードマスター並ですよ!? それに知力も私と同じかそれ以上じゃないですか! 幸運に関してはもう何ですかこれ、エリス様の加護でも貰ってるんですか?」

 

そんな馬鹿な…

俺は毎日ゴミ拾いしてたから、タンスなんかは片手で担ぐときもあったし3据くらい一気に運ぶときもあったけど…頭に関してはそんなにいいのか?

 

「…すまない、ちょっといいだろうか…?」

 

俺が考え込んでいると、背後から声を掛けられた。一体なんだと振り向いたら。

 

「なんでしょう?」

 

「この募集はあなたのパーティーの募集だろう? もう人の募集はしていないのだろうか」

 

そこにいたのは女騎士といった風貌の女性。

見た感じ、すごく美人だ。

俺よりもちょっと年上っぽい感じの身長をしていて、白の聖鎧に黄金の装飾、黄土色の腰簑を纏っている。

 

「募集ですか? まだしてますよ。とは言っても、パーティーリーダーがこんなですけどね」

 

俺は自身を指さしながら苦笑する。が、その女性はその手をガッと掴み。

 

「ぜひ私を! ぜひ、この私をパーティーに!」

 

えっ。

 

「いや、えっと…? あっそうだ、一旦座って話し合ってははどうですか? すみません、コーヒー四つお願いします!」

 

女性は少し戸惑いながら俺の向かい側の席に着き、話を続行する事にした。

 

「私はあなたと、隣の水色の髪の少女がジャイアントトード相手に戦っているのを見ていた」

 

「そうなんですか? なら俺達の実力がまだ低い事も知ってるはずじゃ…」

 

女性は机をバンと叩いた。当然、コーヒーカップが揺れ、中に入っていたコーヒーもこぼれる。

 

「私もあのカエルに食われ…いや違う、こんな年端もいかぬ少女があんな風になっているのは見過ごせないのだ!」

 

「えっ」

 

続けざまに、またしても俺は手を掴まれ。

 

「どうか私を粘液まみれに…間違えた、前線に出してくれ! きっと守って見せよう!」

 

「えっ、えっ」

 

俺は押され気味になっている。この女性は、ジャイアントトードに食べられるアクアを見てどう思ったのだろうか。と、ここで俺の隣にいるアクアと斜向かいの席にいるめぐみんが。

 

「あなた、一回カズマから離れなさい! ドMが純粋なカズマに変な性癖植え付けようとしてんじゃないわよ!」

 

「どうせあなたにも何か欠点があるんでしょう。カズマにこれ以上負担を負わせたくないんです、お引き取りください!」

 

二人とも?

 

「け、欠点…いや実は、私は力には自信があるのだが如何せん不器用で…その、だな…攻撃が全く当たらないんだ…」

 

「「やっぱり!」」

 

「まあ二人とも落ち着いて。…うーん…」

 

攻撃が当たらないにしてもそこは俺やめぐみんがカバーできる。盾役として入ってくれるのだったら、断る理由はないと思うが…

 

「二人はどう思う?」

 

「カズマに任せるわ。リーダーは貴方なんだもの」

 

「カズマの心労を考えると入れたくないです。…と言いたいところですが、私も構わないですよ」

 

めぐみんの台詞がとても気になるところだが、一旦置いておくとしよう。

 

「それじゃあこれから宜しく。ええと名前は…」

 

「ダクネス。私の名はダクネスだ」

 

俺達のパーティーに、仲間が増えた。

 

ーー

 

「めぐみん、スキルの習得っていうのはどうやるんだ?」

 

ポイントがえげつない量あるので、何か習得できるのなら早めに習得して損はないだろう。

 

「冒険者なら、誰かに使い方を教えて貰えれば覚えられるようになっていますよ。実際に目で見て、どうやって使うのかを理解すれば、カードに『習得可能』と出るので、ポイントを消費してそれを選択すれば完了です」

 

成る程…じゃあひとまずはダクネスに教えて貰うか。めぐみんの爆裂魔法は覚えられるらしいけど、ポイントをほぼ消費するのに加えて使用すればめぐみんと同様ぶっ倒れるみたいだ。

 

「うーん…ダクネスは防御系スキルを持ってるんだっけ? 俺でも使えるのってある?」

 

「『プロテクション』ならばそこまでポイントは消費しないぞ」

 

ダクネスの体が発光する。

 

「あ、ホントだ。項目に追加されてる…消費ポイントは1か、えいっ」

 

俺はカードに記載された『プロテクション』の文字をタップし、習得した。

 

「私のスキルは覚えないの? 私は女神だから、覚えているスキルも便利なのが多いわよ!」

 

「おお、流石はアクア! それじゃあお言葉に甘えて、教えて貰ってもいいか?」

 

「ふっふっふ、私のスキルは半端ないわよ? 本来なら誰にでもホイホイ教えられるスキルじゃないんだからね」

 

俺は神妙に頷いた。神様という絶対的立場であるアクアがおいそれと教えられないレベルのスキル…一体どれ程のスキルなんだ…!?

 

「じゃ、まずはこのコップを見ててね。この水の入ったコップを自分の頭の上に落ちないように載せる。ほら、やってみなさい?」

 

俺は飲み干したコップに水を注ぎ、頭の上に載せる。すると、アクアはどこからか取りだした種をテーブルに置く。

 

「さあ、この種を指で弾いて一発でコップに入れるのよ。するとあら不思議、このコップの水を吸った種はにょきにょきと伸び…」

 

「それが敵に襲いかかるんだな! ありがとうアクア、早速やってみるよ!」

 

「いや、攻撃用スキルじゃないけど…」

 

じゃあ何なんだこのスキル。

これが噂に聞く宴会芸スキルとやらか…?

とにかく俺は『花鳥風月』という大層な名前の宴会芸スキルを身につけ、試してみた。

 

「よっ…お、入った!」

 

そして植物はぐにぐにと形を変えながら伸びていき…俺、アクア、めぐみん、ダクネスの四人の姿を模した植物アートができあがった。

それはコミカルでありながらも芸術的で、日常の一場面を切り取ったかのように繊細だった。

 

「やったじゃない、成功よ! しかし習得してすぐにこんなに使いこなせるなんて、やるわね…」

 

「アクアの教え方が上手かったからじゃないかな。そうだ、他にはどんなスキルがあるんだ?」

 

俺は植物アートが生えたコップをテーブルに置きながらアクアにそう言った。ギルド内の冒険者や受付の人たちが絵を見るために押し掛け、密度が凄いことになっている。

 

「そうねー…『ヒール』とかかしらね。本当は教えたくないけど、自分の身は自分で守るべきだもの。初級回復魔法くらいは教えてあげるわ」

 

「本当か!? アクア、ありがとう!」

 

「ふ、ふふん。当たり前でしょ? 何てったって私は女神なんだもの!」

 

アクアは頭の上にコップを置いたままドヤ顔している。それは悪く言えば珍妙な格好で、良く言えば派手な、目立つ格好だ。

 

「あっはっは! キミ、ダクネスが入ったってパーティーの人? 有用なスキルが欲しいなら、盗賊スキルなんてどうかな?」

 

それは突然かけられた声。

見れば隣のテーブルには、女性が一人座っていた。皮の鎧を着た、身軽な格好の女の子。

明るい雰囲気の快活な美少女だ。

 

「盗賊スキル? ってのはどんなのが?」

 

俺の質問に、彼女は上機嫌に笑う。

 

「興味を持ってくれて嬉しいよ。盗賊スキルは使えるよ~。罠の解除に敵感知、潜伏に窃盗。持ってて損はしない、それどころか有用でお得なスキルが盛りだくさん。さらには必要なポイントも少ないというお手軽仕様。どう? 今ならしゅわしゅわ一杯で教えたげる」

 

なんと!

俺は敏捷性や幸運が高いし、盗賊系スキルとは相性抜群なのではないだろうか?

 

「お願いします! すみませーん、この人に冷えたしゅわしゅわを一つ!」

 

数分後、俺は盗賊系スキルを教えて貰うため、人気のない広場に行った。




カズマは今回スティールで何を奪うのでしょうか?
財布を取り返すのか、それともやっぱりぱんつを盗っちゃうのか…
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