この素晴らしいカズマに祝福を!   作:名もなき駅員

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文字数少ないのはご了承ください…
ボルガ博士、お許しください!


この素晴らしい爆裂散歩に祝福を!

「カズマ、早速討伐に行きましょう! それも、大量の雑魚モンスターがいるヤツです! コロナタイトを飾り格好良くなったこの杖で爆裂魔法を撃ちたいのです!」

 

突然、めぐみんがそんな事を言い出した。

 

「まあ俺もこの前は新スキルとか試せなかったし、安全なクエストに行くのはアリかもな。…ところでめぐみん、コロナタイトなんていつ手に入れたんだ?」

 

サッとめぐみんが目を剃らす。

…全く、しょうがない。

 

「まあ過ぎた事だし仕方ない。その代わりクエストでしっかり活躍して貰うぞ」

 

「もちろんです」

 

めぐみんが胸を張って佇んでいる所に、今度はダクネスが紙を握りしめて走ってきた。

 

「見ろ、山に出没するブラックファングと呼ばれる巨大熊の討伐! これにしよう!」

 

「え? でもこれってどう見ても高難易度なんじゃあ…というか、高難易度のクエストしかなくないか?」

 

俺の呟きは職員にも聞こえたらしく、申し訳なさそうな顔をしながら近付いてきた。

 

「ええと…申し訳ありません。最近、魔王の幹部らしき者が、街の近くの小城に住み着きまして…その影響か、この近辺の弱いモンスターは隠れてしまい、仕事が激減しております。来月には国の首都から討伐のための騎士団が派遣されるので、それまではそこに残っている高難易度のクエストしか…」

 

唐突な理不尽に、アクアが悲鳴を上げた。

 

「な、何でよぉーー!」

 

ーー

 

俺はめぐみんと共に街の外へ出ていた。

現在、街の近くに危険なモンスターは出ておらず、弱いモンスターは軒並み隠れている。

クエストが受けられない間「せっかく杖を新調したのに、これじゃ爆裂できないです」と嘆いていためぐみんに散歩を提案した。

めぐみんは一日一回爆裂魔法を放つ事を日課にしているらしい。

 

「そこの平地とかいいんじゃないかな」

 

めぐみんが首を振った。

 

「駄目です。街から離れた場所じゃないと、また守衛さんに叱られます」

 

「…また?」

 

「前に近場で放った時、音がうるさいだとか迷惑だとか色々いちゃもんをつけられたのです」

 

それはいちゃもんではなく叱責というのだが…まあ、反省してるならいいか。

遠出もアリかもだし。

 

思えば、この世界に来てからは毎日が忙しくてのんびりする時間なんて無かったなぁ…

出歩く場合は大抵がモンスター討伐、たまにウィズさんの店に行くくらい。

のどかに散歩って言うのもたまには…

 

「…? あれは何でしょうか? 廃城?」

 

遠く離れた丘の上。そこにぽつんと佇む、朽ち果てた古い城。まるでお化け屋敷みたいな…

 

「な、何か怖いな。幽霊でもいそうだ」

 

「アレにしましょう! あの廃城なら盛大に破壊しても誰も文句は言わないはずです!」

 

そう言ってウキウキと魔法の準備を始めるめぐみん。まずい、これは非常にまずい。

 

「だ、誰か住んでるかもしれないぞ!?」

 

「住んでる訳ないでしょう、あんなボロ屋敷!」

 

「万が一って事があるじゃん!」

 

「私の詠唱は誰にも止められません!」

 

ダメだ、話を全く聞いてくれない!

そして遠くの丘で、廃城が大爆発した。

 

「…やっぱり謝りに行ってくる」

 

「えぇ…もう撃ったのにですか?」

 

俺は全力でダッシュし、屋敷のドアを叩いた。すると押し戸だったらしく鍵もかけてなかったため開いた。中には、大量の骸骨。

 

「…え…」

 

廃城は、廃城だった。

 

「うわあああぁぁぁぁぁっ!?」

 

俺は全力で扉を閉め、走って戻ってめぐみんを担いで宿に帰った。モンスターの蔓延る城なら、まあ元々の城主には申し訳ないが爆裂してもいいかもしれない。こうして、俺とめぐみんの新しい日課が始まった。

 

借金こそ返せたものの一文無しとなったアクアはアルバイトをしている。俺の金を分けようとしたけど、断られた。

ダクネスはしばらく実家で筋トレをしてくると言って荷物をまとめて帰って行った。

やる事のない俺とめぐみんは毎日廃城へ通い、爆裂魔法を放ち続けた。

それは、寒い氷雨が降る夕方。

それは、穏やかな食後の昼下がり。

それは、早朝の爽やかな散歩のついでに。

どんな時でも、めぐみんは廃城に向かって魔法を放ち続けた。めぐみんの側で魔法を見ていた俺は、いつしかその日の爆裂魔法の出来が分かるようになっていた。

 

「『エクスプロージョン』ッッ!!!」

 

「おお、今日は凄いぞ! 爆裂の衝撃が重く骨身に響く! 爆熱も程良く肌に当たってチリチリと熱気を伝わらせてくる…ナイス爆裂!」

 

「ナイス爆裂! しかし、カズマも爆裂道が分かってきたようですね。今のカズマはポイントに余裕がありますし、いっそ本当に爆裂魔法を覚えてみてはどうですか?」

 

「うーん、それもいいかな…でも、まだポイントの使い道は考えてないよ。そうだなぁ、ピンチになったら覚えるかもね」

 

俺とめぐみんが日課の爆裂散歩を続けて一週間が経った。その日の朝、いつでもクエストを受けれるように武器の点検をしていると。

 

『緊急! 緊急! 全冒険者の皆さんは、直ちに武装し、戦闘態勢で街の正門に集まってくださいっ!』

 

街中に緊急アナウンスが走った。

そのアナウンスを聞いていち早く現場に到着すると、そこにいた凄まじい威圧感を放つそのモンスターの前に、呆然と立ち尽くした。

 

デュラハン。

 

それは人に死の宣告を行い、絶望を与える首無し騎士。アンデッドとなり、生前を凌駕する肉体と特殊能力を得たモンスターだ。

 

「…俺はつい先日、この近くの城に越してきた魔王軍の幹部の者だが…」

 

やがて、首が小刻みに震えだし。

 

「ままままま、毎日毎日毎日毎日っ! お、俺の城に欠かさず爆裂魔法を撃ち込んでく頭のおかしい大馬鹿者は、誰だぁぁぁぁぁッ!!」

 

「誠に申し訳ありませんでしたぁぁぁぁぁ!」

 

魔王の幹部は、それはもうお怒りだった。

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