木原数多の異世界生活 作:ポテトチップス
ここには学園都市のようにパソコンやスマートフォンは普及していない。そのため日記を書くことにした。この俺がこんなアナログな手法で記録するとは思ってもみなかったが、あの糞ヤロウに敗北したのもアナログを軽視していた面は若干あるかもしれねぇ。
書き方とか文法がおかしいところがあるかもしれねぇが、思ったことをそのまま書いているわけだからしょうがねぇ。本当は文脈を綺麗にしねぇと後で面倒なのは自分だが、人間の記憶はそこまで長くは保てない。思いついても数十秒で忘れてしまい思い出せないということはよくある話だ。いたしかたあるまい。現に今も書き方がおかしいが、これもしょうがねぇ。思い出せず記憶の底に無くしてしまうよりはマシだろう。
この世界に来てから分かったことを箇条書きにすると
・学園都市よりも科学が発展していない
・魔力という概念がある
・言語や生活習慣が異なる
・獣人やエルフがいる
ざっと挙げるだけでこれだ。最初は大変だったが、住民の協力があったお陰でなんとかこうして日記をかけるほどには生活にゆとりを持つことが出来た。住民の言葉は分からねぇが、なんやかんや練習した結果日常会話程度はこなせるようになってきた。通貨の概念も把握したため代わりに買い物に行くことがある。こうして日の光を浴びながら生活するとは、木原としては落第者もいいところだ。
ここに来てからの一日の流れは大体こうだ。
起床→朝食→掃除→仕事の手伝い→昼食→仕事の手伝い→この世界に関する勉強→夕食→就寝。
勉強は図書館によく行った。研究資料を片っ端から読んでいく。学園都市には既に研究し尽くしたものばかりで何か新しいものは無いかと探していると面白い研究を見つけた。
執筆者はルクレシア・バーネット。研究内容が成功すれば、一か所に巨大な魔力を集めることができるとかなんとか。是非彼女の研究に携われないものだろうか…。ここには施設も学者も実験動物もいねぇ。いるにはいるがこいつらのお陰で生活が出来ているのだから、こいつらがいねぇと俺の命が危ない。何か合法的に近づく手段は…
読んでいた本を棚に戻すと、幼女とぶつかった。ピンク色の髪の毛で気弱そうだ。こちらの目を見ると怯えたように去って行った。その時彼女のスカートのポケットからハンカチが落ちた。手に取ると、隅の方に名前が書いてあった。
シェリー・バーネット
…
……
俺はハンカチを手に持って歩き出した
★転生前その2
「木原」とは、純粋な科学の一分野を悪用しようとする実行者のことをいう。概念そのものといえる。実験は実験体に一切の慈悲をかけずに行うことを信条としており、僅かでも実験体を心配するような真似をするなら、如何なる功績を出したとしても落ちこぼれとして扱われる。