漫画アニメ短編集&救済の物語   作:クリリ☆

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今回のストーリーは、ムスカが生存したらどうなるか。あるいは、どうしたらムスカは生存できたのかを追求したものです。
もしかしたら、ムスカが生き残るこんなハッピーエンドもありえたのではないか、というような事を楽しんでいただけたらと思います。


天空の城ラピュタ【ムスカ大佐の大人の交渉術】(救済)

その日、ムスカは人生最高の日と最悪な日を同時に迎えていた。ほんの十数分前までは人生最高の日だった。飛行石を手に入れ、念願だったラピュタに到着し、さらに王族の末裔の美少女まで自分の支配下に置いていた。これから薔薇色の人生が待っているハズだった。ラピュタの科学力を駆使し、世界を征服。そして、誰にも邪魔されずに美少女とキャッキャウフフできるハズだった。

 

しかし、ついつい調子に乗ってしまった。自身が乗ってきた軍用飛行船ゴリアテまで撃沈し、軍隊を一気に滅ぼし調子に乗って高笑いしていると、シータが反発心をおこし、飛行石を奪って逃走を図ったのだ。純真無垢な少女の前であの態度はさすがにちょっとやり過ぎたとムスカは反省する。

 

そうして何とかシータを追いかけ、ようやく玉座の間で追いついた所までは良かったが、シータは旅の道連れの少年パズーと合流してしまう。シータ一人ならばどうとでもなった。自分にとって抵抗する意志は見られても、戦おうという意思は見られなかった。飛行石を奪って逃げ惑うのがせいぜいだった。しかしパズーは違った、その瞳には明確に闘う意志が宿っている。

 

パズーとシータ、そしてムスカは玉座の間にて20m程の距離を取って対峙する。ムスカは銃、パズーは小型のハンドバズーカを互いに向け合い緊張が走る。

 

そして、戦うとなると彼らにはもう一つ、究極の選択肢があった。それは滅びの言葉だ。飛行石を手にして滅びの言葉を唱えれば、簡単にラピュタは崩壊してしまう。言わば自爆ボタン。何故そんな物騒な機能を組み込んだのか、ムスカはご先祖様を恨む。が、恨もうが何をしようが、とにかく滅びの言葉一発で自分の人生は詰む。そうなると、この少年と少女をこれ以上に追いつめる訳にもいかなった。

 

こうなるともう戦略の方向転換をせねばならぬ。ムスカは深呼吸をして、頭を冷静にすると銃を下げながら言った。

 

「いいだろう、3分間待ってやる」

 

彼らに3分間の時間を与えたのには実は訳があった。それは、カップ麺を作るためであった。

ムスカは脇に置いていたバッグからカップ麺と保温用携帯ポットを取り出すと、カップめんの蓋を開けてお湯を注ぐ。その様子をパズーとシータは横目で窺っていたが、どうしても気になったのかパズーが声を掛けてきた。

 

「おいお前、何してるんだ?」

 

「ああ、これかね。これはカップ麺という最新式の軍用食糧(レーション)だ。お湯を注いで3分待つと、いつでもどこでも熱々のヌードルが食べられる画期的な物でね。君達に与えた3分の間にこれを作らせてもらうよ」

 

「何だよお前、これから大事な話し合いをするのにメシを食いながらする気かよ」

 

「やれやれ、君はランチミーティングというものを知らんのかね。今どきは食事をしながら会議や打ち合わせを行う事は珍しい事ではないのだよ」

 

「へっ、勝手にしろよ」

 

「ああ、そうさせてもらおう」

 

そうしてその隙にパズーとシータは滅びの呪文を唱える作戦を確認する。そうして3分が経過する頃にはカップ麺ができあがり、香ばしい匂いを漂わせる。ムスカはカップ麺の蓋を剥がすと、フォークで中身をかき混ぜて麺をほぐす。そして、それをフォークで摘まみ上げると一気に啜った。

 

「時間だ。君達の答えを聞かせてもらうか」

 

そう言いながらもムスカはさらにカップ麺を啜った。すると、カップ麺の匂いがパズーとシータ達がいる範囲にも届いたようで、条件反射のようにパズーの腹がグゥと鳴った。それに緊張の糸が切れたのか、シータが思わずプッと吹き出してしまう。

 

「あっ・・」

 

パズーは思わず顔を赤くして、腹を手で押さえる。その瞬間をムスカは見逃さなかった。というよりも、これはムスカの作戦だった。

 

現在3人が置かれている状況は明らかに現実離れしている。ラピュタという現実離れした場所で、パズーとシータは今まで一度もした事のない殺し合いを強いられている。何もかもが非現実的だ。そして、現実離れしているからこそ、非現実的な決断も下しやすい状況であると言えた。宿敵を道連れにラピュタもろとも無理心中など、明らかに狂気の沙汰だ。とても普段の二人が下せるような選択肢ではない。

 

ならば精神を日常に引き戻してやる必要があった。そのためには日常の象徴である食事ほど効果的なものはない。食べ物の匂いをかがせて二人の精神を非日常から日常へと引き戻してやろうというのがムスカの狙いだったのだ。

 

「おやおや、君達もお腹が空いているようだね。ならばちょうど良い、カップ麺はまだある。君達にもご馳走しようじゃないか」

 

そう言うとムスカは、二人の確認もしないままカップ麺を2つ取り出してお湯を注ぎ入れる。

 

「おい待てよ、俺たちは別に食べるなんて言ってないぞ」

 

「もう準備をしてしまったよ。生憎私はそんなに食が太い方ではないのでね。さすがにこんなには食べられない。それとも何だね、せっかくの食料を無駄にするつもりかね? 食べ物を粗末にする事は決して褒められる事ではないぞ」

 

するとシータが困ったように言った。

 

「パズー、いただきましょう」

 

「でも、毒でも入ってるかも知れないぜ」

 

「その心配は無用だ。私がその気になったら、そんな面倒な手を使わずとも、これがあるからね」

 

ムスカはそう言うと、懐にしまった拳銃をチラリと見せつけた。

 

「確かにそうだな。…いいよ、それじゃ食ってやるよ」

 

一見、銃を持っているムスカが圧倒的に優位に思えるかもしれない。しかし、現実は違った。もし二人が滅びの言葉を唱えれば、その時点でムスカは詰む。それを回避するには、銃で二人を同時に即死させなければならない。もし急所を外して一人でも生き残ってしまえば、絶命するまでのほんのわずかな間に滅びの言葉を唱えられる。

 

先ほどはシータのお下げ髪を銃で撃ち抜いて見せたが、それはシータが全く動かなかったからだ。本気で抵抗して動き回る人間の急所を正確に撃ち抜く自信はムスカにはない。

二人は銃の存在が絶対のように思っていたが、実際のところ、主導権を握っているのはパズーとシータの方だったのだ。

 

そうして再び3分が経過し、新たにカップ麺ができる。ムスカと二人の中間辺りの位置にカップ麺を置き、パズーが後方でバズーカを構え、シータがそのカップ麺を回収して再びムスカと20m程の距離をとって対峙する。

 

「うわっ、美味い。何だこれ」

 

「本当、美味しいわ」

 

二人はカップ麺を美味そうに食べていく。

 

「気に入ってもらえて光栄だよ。まだ試作段階でね、味や使用感なども報告しなければならないのだが、まあ、これなら開発部に良い報告ができそうだな」

 

二人にカップ麺を食べさせ、精神的に日常に戻した。そして、ここからがムスカにとっての交渉術の始まりだった。

 

「ところで君達、『滅びの言葉』を唱えるつもりだろう?」

 

いきなり核心をつかれて、パズーはカップ麺を吹き出してむせ込んでしまう。

 

「な、何言ってんだお前、そんな訳ないだろ…」

 

咄嗟に嘘をつくが、パズーは視点をどこに向けていいのか混乱し、目がキョロキョロと中空を彷徨う。

 

「どうやら図星のようだね」

 

「……そうだよ、確かに俺たちは滅びの言葉を言う覚悟はできてる。だからどうだって言うんだよ!」

 

ムスカはスープを一口啜りながらニヤリと笑みを浮かべる。

やれやれ、どうやら駆け引きの『か』の字も知らないらしい。仮に相手に奥の手がバレた場合、それでもなお自分からは明かしてはならない。あるいは、仮に何もなかったとしても、更に奥の手があるように見せなければならない。交渉というのは、底が知れた時点で負けなのだ。と、ムスカは考える。

 

滅びの言葉が切り札であれば話は簡単だ。そもそも滅びの言葉など、唱えたくて唱える訳ではない。ならば、それをしてはいけない口実を与えてやればいい。

 

「君達が死ぬのは、まあいい。覚悟を持って滅びの言葉を唱えて、そして死ぬ。だがしかし、それに巻き込まれて死ぬ空賊共は実に哀れだな。君達に関わってしまったがために命を落とすのだから」

 

「それなら大丈夫だ。オバさん達を縛っていたロープは解いたよ。ナイフも渡した。もう全員脱出してるハズさ」

 

「果たしてそうだろうか? 君は自分の目でそれを確認した訳ではないだろう? ここ、天空の城ラピュタには地上の人間が目の眩むような巨万の財宝がある。もし空賊共がそれに目を奪われていたら、いまだラピュタ城内に残っているかも知れないぞ」

 

「しかし、オバさんの飛行船は撃沈したんだ。仮に財宝を持ち出せるとしても、フラップターに積み込める分だけさ。それくらいの時間は十分にあったよ」

 

「だが、もし彼らが君達の帰還を待っていたとしたらどうする? もしかしたらまだラピュタの敷地内で待機しているかも知れない。そして、もし滅びの言葉を唱えた場合、その後はどうなるか分からない。ラピュタが崩落したら、フラップターで飛び立つ間もないかも知れないぞ」

 

するとシータが頭を抱えながら言った。その手は小さく震えていた。

 

「パズー、私オバ様達を巻き込むことはできない」

 

「でも、オバさん達だって覚悟を持ってここに来ている人だ。それにオバさん達が死ぬと決まった訳じゃない」

 

「でも、でも・・」

 

シータの心は完全に折れているようだ。目には涙が滲んでいる。しかし、少年の闘志はまだ折れてはいない。いいだろう、ならばもう一枚切り札(カード)を切ろうじゃないか。ムスカはそう思いながら、さらにカップ麺のスープを一口啜る。

 

「ところでパズー君と言ったかね? これはドーラに尋問した時に聞いたのだが、君のお父上はラピュタに一度来た事があるそうだね?」

 

「ああ、それがどうしたんだ?」

 

「しかし、君のお父上はその事実を誰にも信じてもらえず、ほら吹き扱いされたまま、失意の内に命を落としたとか」

 

「だから、それがどうしたって言うんだよ!」

 

パズーはムスカを睨みつける。

 

「もし君達が滅びの言葉を唱えれば、ラピュタはこの世から消え去る。つまり、君のお父上は永遠に名誉を回復する機会を失うのだ。それでいいのかね?」

 

「いい訳ないだろ。しかし、お前は俺たちを殺す気じゃないか。もうこれしか俺たちに残された方法はないんだ」

 

「いいや、もし君達が私の出す3つの条件を飲んでくれたら、君達と空賊共全員の安全を保障しよう」

 

「なんだと!?」

 

「そうすれば君達は生きて地上に帰り、ラピュタがあった事を証明できる。君のお父上の名誉は回復し、君もその少女と末永く暮らせばいい」

 

「その話、嘘じゃないんだな?」

 

「ああ、私もこれでも王族なものでね。ラピュタの誇りにかけて嘘は言わない」

 

「分かった、それじゃ3つの条件を教えてくれよ」

 

相手からこちらの条件を聞きたくなるように仕向ける事に成功し、ムスカは完全に勝利を確信する。もはや交渉の主導権は完全にムスカのものだった。

もしかしたら、一人を射殺しても、残った一人はもう滅びの言葉を唱えられるような精神状態ではないのかも知れない。だがしかし、カップ麺で腹が満たされたムスカにとっても、もはや二人を射殺する気持ちは失せていた。

 

そもそも人を殺すという行為ほどストレスの大きいものはない。相手が敵や自分の嫌いな者ならばともかく、本来は大人が庇護しなければならない女子供を殺す事など、ムスカ自身できればやりたくない行為なのだ。

 

先ほどゴリアテを躊躇いなく撃沈した時は、完全に有頂天になっていた。それに相手がモニター越しだった事もあり、そもそも人を殺したという感覚があまりなかった。

 

「では一つ目の条件だ。私の身の安全を保障し、地上に帰還させる事」

 

「お前の安全?」

 

「そうだ。今はともかく、この後ドーラ共と合流した場合、私と君達の立場は完全に逆転する。その際に私の身の安全を保障する事が条件の一つだ」

 

「いいだろう、お前の安全を保障する」

 

「では条件の二つ目。私がゴリアテを撃沈した事を他言しない事だ」

 

「ゴリアテの撃沈を?」

 

「ああ。地上に戻ったら私はゴリアテが撃沈し、私以外の軍隊が全滅した事を報告しなければならない。その際に、ラピュタに到着する過程で不慮の事故で撃沈したと報告するつもりだ。もし私が故意に撃沈したなどと軍に知られれば極刑は免れない。だから、ゴリアテを撃沈した事は一切他言無用だ」

 

「分かった、それも守るよ」

 

「では三つ目の条件だ。ラピュタの財宝を全て持ち出す。その手伝いをして欲しい」

 

「ラピュタの財宝を全部? それは無理だろう。さっきも言ったように、せいぜいフラップターに積める程度しか持ち出せないよ」

 

「それについては私に考えがある。まあ、これはドーラ共と交渉する時にも重要な切り札(カード)になるので、その方法は今は明かせないが」

 

「分かった、それじゃそれも飲むよ」

 

「オーケー、交渉成立だ」

 

そうして二人は近づき握手を交わす。その様子を見て、シータもホッと胸を撫でおろした。

 

「ああ、そうそう。もう一つだけ君達にお願いしたい事があった」

 

「何だよ、まだ他にあるのかよ」

 

これもムスカなりの交渉術の一つだった。最初から4つの条件を出すより、3つを飲ませてからの方が4つ目の条件も飲みやすいというものがあり、あえて面倒くさい条件を一つ残しておいたのだ。

 

「大した話ではない。私と空賊共との交渉が終わるまで、娘を人質に預からせてもらいたい」

 

「シータを人質にだと!?」

 

パズーが怪訝そうな顔をする。

 

「仕方ないだろう。ドーラ共と遭遇した瞬間、私は問答無用でハチの巣にされる恐れもあるのだ。つまりこれは1つ目の条件、私の身の安全を保障する手段の一つだと思ってくれたまえ」

 

「じゃあ、もしオバさんとの交渉が決裂した場合どうなるんだ?」

 

「その際は命の保障はできない。恐らくシータは私の道ずれになるだろう」

 

「なんだと!?」

 

「シータを無事に返して欲しいのならば私とドーラ共との交渉が上手くいくように君も全力でフォローしたまえ。それとも、やはり滅びの言葉を唱えて私と空賊共を巻き込んで無理心中を謀るかね?」

 

するとシータが言った。

 

「パズー、私は大丈夫だから、今はこの条件を飲みましょう。私、誰にも死んでほしくない」

 

「…分かった、シータがそう言うなら。でも、もしシータに危害を加えてみろ、お前の命も保証しないからな」

 

「いいだろう、私の身に危害が加えられない限り、シータの安全を保障しよう」

 

そうしてムスカはシータの背中に銃口を突きつけ、そのすぐ後ろを、パズーがハンドバズーカを構えて歩いた。

 

そうして城内から出て、庭園に差し掛かった所で、ドーラ達が待機していた。遠目からパズー達が出てくるのを確認する。

 

「ママ、シータとパズーだ。それにムスカもいるよ!」

 

「ムスカだと!?」

 

ドーラが双眼鏡で3人の姿を確認すると、シータの背中に拳銃が突きつけられている事が分かった。

 

「どうやらシータが人質に取られてるようだね。こうなると迂闊に手出しできないよ」

 

どうしたものかドーラが思案していると、遠方からパズーが叫ぶ。

 

「オバさん撃たないで。ムスカとは話し合いがついたんだ!!」

 

「話し合い!? どういう事だい?」

 

そうして今度は10m程の距離を取ってドーラの一味とムスカが対峙する。

 

「ドーラ、お前たちに話がある!」

 

「オバさん、ムスカの話を聞いて欲しいんだ」

 

パズーも必死でムスカの話を聞くよう、ドーラに促した。そうしてムスカは再び、先ほどと同じ条件をドーラに提案する。

 

「で、ラピュタの財宝をどうやって持ち出すと言うんだい?」

 

「それは、お前達が協力を約束してからの話だ。どうだ、私の条件を飲んでもらえるのかね?」

 

ドーラはちょっと考える。が、このままムスカを始末して脱出するよりも話に乗った方が美味しそうだと考えた。

 

「いいだろう、お前の条件を飲んでやるよ」

 

「グッド。ならば交渉成立だな」

 

ここまで来てようやくムスカはシータを解放する。

 

「済まなかったなシータ、これでお前は自由だ」

 

するとシータは一目散に駆け出し、パズーに向かって飛びつくと、二人は人目も憚らず強く抱きしめ合った。その様子を見てムスカはフッと軽く笑みを浮かべる。

 

「眩しいものだな、若さというものは」

 

「ハッ、私から見たらあんただってまだまだ鼻たれの青二才だよ」

 

ドーラもパズーとシータの様子を微笑ましく見つめる。

 

「それよりも早く、ラピュタの財宝を持ち出す方法を教えてもらおうか」

 

「ああ、それなら簡単な事だ。財宝をここから地上に向けて落下させるだけだ」

 

「ここから落下させる?」

 

「ああ、私は現時点でのラピュタの座標を把握している。幸い落下地点は海で、比較的浅く波も穏やかな海域だ。ここならば地上に戻ってから十分サルベージができる」

 

「なるほど。じゃあ、あんたを拷問にかけて落下地点さえ把握できれば、財宝を独り占めできるって訳だねえ」

 

ドーラはムスカに意地悪く微笑んで見せる。

 

「それはどうかな? いくら浅いと言っても民間の業者がサルベージ出来る程浅くはない。軍の科学力と技術力は必要だ。それに時間が経てば経つほど財宝は海流に流されてしまう。効率よく財宝を回収するには私の手引きが必要だろう」

 

ドーラはちょっと考えてから言った。

 

「しかし、それじゃ私らにはほとんど旨味がないねえ」

 

「ああ、それについては考えがある。この作業には多大な労力が必要になる。その業者の一つに君達を指定しよう。その上で、軍部の目を盗んで好きなだけ財宝を持ち出して構わない」

 

「ほお、随分と太っ腹じゃないか」

 

「その代わりと言っては何だが、君達が回収した財宝を軍部に内緒で私個人に3割バックして欲しい」

 

「なるほど、そういう事かい。あんたも腹黒いね」

 

「何を言う。私はラピュタ王の末裔なのだよ。本来なら全て私が相続する権利があるんだ。それが一業者が持ち出した内の3割など、少なすぎて涙が出る思いだよ」

 

「いいや、2割だ。2割で手を打とうじゃないか」

 

「2割だと?」

 

「ああ、それでも個人の財産としちゃ破格だろ」

 

今度はムスカが返答に詰まる。しかし、ムスカにとっても選択の余地はなかった。

 

「いいだろう、2割だ」

 

「グッド」

 

そうしてムスカとドーラが握手を交わした。

 

 

その後、ムスカの指揮の下、全員が一丸となってラピュタの財宝を持ち出す作業に移る。落下させた時に離れ離れにならないように、できるだけ多くの財宝をロープで括りつける。また、小さい物はできるだけ袋詰めにしていく。そして3日ほどかけてようやく、金目の物は財宝から調度品、小物に至るまで海上に落下させる事に成功した。

そして全員でフラップターに乗り込んで地上に戻った。

 

 

ムスカは軍部に戻ると、ラピュタに着陸する過程での事故でゴリアテが墜落、たまたま遭遇した空賊の一味に助けられたと上層部に報告した。そして、ゴリアテを沈没させてしまったが、その代償に大量のラピュタの財宝を持ち出す事に成功した事を説明した。

 

そして、財宝のサルベージ作業の業者の一つにドーラの一味を指名。その一味の中にはパズーとシータの姿もあり、精力的に財宝の回収作業にあたった。

 

そして、ムスカはラピュタの財宝を展示するラピュタ博物館を建設し、その初代館長となった。

博物館は連日満員で国の新たな観光資源となった。そして、博物館の入り口にはパズーの父親の肖像画の巨大パネルが飾られ、そこには『ラピュタを発見した偉大な冒険家に敬意を表す』と書かれている。

 

 

終わり☆

 

 




おまけ☆


パズー「シータ、滅びの言葉を教えて。僕も一緒に言う」

シータ「ええと、パルスっていうの」

パズー「パルス?」


その次の瞬間、ラピュタは崩壊した。

おしまいw



【制作こぼれ話】
この作品は当初、ムスカが「3分間待ってやる」と言って待ってる間にカップ麺を作るってだけのネタでした。しかし尺の都合でもう少しネタをと考えて、おまけ部分のラピュタ崩壊ネタを考え、さらにもしムスカが助かったらどうなる、とネタを考えました。
そうしたら、自分でも驚くほど話が広がってしまい、今回の形になりました。

ちなみに、非日常の精神状態を、食べ物の香りを嗅がせて日常に戻すみたいな展開は【信長のシェフ】という漫画であったネタでした。戦国時代の合戦中に敵兵に食べ物の匂いを嗅がせて士気を奪うみたいな使われ方をしておりました。

そして、これを機会に、作中で悲惨な結末を迎えたキャラをガンガン救済していくのも楽しいかもなあと思いました。
もし皆さんの中で悲惨な結末を迎えた作品やキャラクターで、救済して欲しいキャラなどがありましたらお気軽にご提案ください。出来る限り形にしてみたいと思います。
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