漫画アニメ短編集&救済の物語   作:クリリ☆

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通常の会話は「 」
死神(リューク)の会話は『 』 この二重カッコは(ライト)(またはデスノートに触れた事のある人)にしか聞こえません。


デスノート【青年よ林檎を喰らえ 前編】

デスノート、それは死神の持つ、人を殺すためのノート。そのノートに名前を書かれた者は死ぬ。死因を書けば、その死因によって死ぬ。死因を書かなければ40秒後に心臓麻痺で死ぬ。さらに、死の間際の行動を記せば、その行動を起こして死ぬ。

 

死神のリュークは退屈しのぎにデスノートを人間界に落とした。そのノートをたまたま拾ったのが夜神(ライト)だった。(ライト)は人一倍正義感の強い青年だった。そんな(ライト)はデスノートを使って犯罪者を裁き、善良な市民が安寧に暮らせる平和な世を創ろうとした。そんな(ライト)の行動は必然的に多くの人に知られるようになり、キラ(キラー)と呼ばれるようになっていた。

そうして(ライト)は自身の信念のもと、今日も社会に不要な犯罪者の名をデスノートに記し、裁きを下していた。そんな状態の中、死神のリュークが部屋の壁をすり抜けて(ライト)のもとへやって来た。

 

『なあ(ライト)、このチラシを見てくれ、こいつをどう思う?』

 

リュークは懐から紙を取り出すとそれを広げて無造作に(ライト)の机に放り投げる。そのサイズはA1用紙ほど。どうやらチラシというより、店頭に貼ってあったポスターをリュークが勝手に剥がして持ってきたのだろうと(ライト)は思った。

 

「すごく、大きいな」

 

『デカいのはいいからよ、このままじゃおさまりがきかなくてな』

 

そう言いながらリュークが指で指し示す所を見ると、そこには【林檎の大食い大会 参加者募集】と書かれていた。

 

「林檎の大食い大会?」

 

「ああ、さらにここも見てくれ」

 

再びリュークの指し示す所を見ると、そこには【優勝賞品:林檎1年分】と書かれていた。

 

『どうだ(ライト)、優勝すれば1年間林檎食い放題だぜ。これは参加するしかないよな』

 

「何を言ってるんだ。僕には無理だよ」

 

『何でだ(ライト)?』

 

「だって、僕はキラとしての活動で忙しいし、それに、僕は以前竜崎()に『知っているかエル()、死神はりんごしか食べない』というようなメッセージを送った事がある。つまり、竜崎はキラと林檎には何らかの関連性がある事を知っているんだ。そんな状態で、キラだと疑われている僕が林檎の大食い大会なんかに参加したら、もはや僕がキラだと自白するようなものじゃないか」

 

『何だよそれ、お前が変なメッセージを送りつけたのが悪いんじゃないか。それで、デスノートの能力がかなり(エル)に知られちゃったんだろ』

 

「ああ、正直言うと(エル)を舐めてた。まさかあそこまで頭のキレるヤツだとはな。今は少し後悔しているよ」

 

『まあ、お前の後悔は分かったからさ。とにかくこれに参加しろよ』

 

「だから、参加できないって言っただろ」

 

(ライト)はリュークとの会話を遮るかのように、再びデスノートに犯罪者の名前を書き始めた。

 

『そうか、これだけ頼んでも駄目か』

 

「まあ、たまには林檎を買ってやるから、それで我慢してくれよ」

 

『いいや、それじゃ俺の気が済まねえ。(ライト)、ここでお別れだ』

 

そう言うと、リュークは腰にぶら下げている小物入れから自分のデスノートを取り出した。

 

「おいリューク、いきなりデスノートなんて取り出して何をする気だ?」

 

『何って、お前の名前を書くところだよ』

 

「何だって!? 僕の名前を」

 

『前に約束しただろ、最後には俺のノートにお前の名前を書いてお前を殺すと』

 

「だからって普通、いきなり殺すか?」

 

『まあ、普通殺すだろ』

 

「いや、普通は殺さないだろ」

 

『そうだな、分かりやすく例え話をしてやろう。例えばガムを噛んでたとするだろ。そして、そのガムの味が無くなったら普通は捨てるだろ。それと同じ事だ』

 

「人の命と味の無くなったガムを一緒にするなよ」

 

『まあ、大差ないだろ』

 

「そうか、まあ、死神にとってはそうなのかも知れないな。それにしても、僕は僕なりに短い時間ではあるけど、お前に対して奇妙な友情のようなものを感じていたのにな。もし僕が逆の立場だったとしたら、できる限りリュークを殺さずに済む方法を模索するぞ」

 

『ウソくせー、なーんかウソくせー』

 

「失礼なヤツだな、本当だよ!」

 

『まあいい、分かった。それじゃ、お前の友情に免じてもう一度最後に選択肢をやる。林檎の大食い大会に参加するか、今すぐ死ぬか好きな方を選べ』

 

「何だよそれ、それじゃ参加するしかないじゃないか」

 

『おお、参加してくれるのか?』

 

「分かったよ、僕の負けだ。参加してやるよ」

 

『さすがは(ライト)、話せば分かるヤツだと思ってたぜ』

 

「何が『話せば分かる』だよ、話し合いの余地なんか微塵もなかったじゃないか」

 

『まあそう言うな。俺たちは最高のパートナーじゃないか」

 

「全く調子の良いヤツだな。だが、参加した所で優勝できる保証はないからな」

 

『安心しろ(ライト)、実はすでに必勝法を考えてある』

 

「必勝法?」

 

自信満々なリュークを見ていると、逆に(ライト)には悪い予感しかしなかった。

 

「で、何だよ必勝法って」

 

『ああ、大会の間、お前より多く林檎を食べるヤツがいたら、全員オレのデスノートで殺してやるよ。どうだ、必勝だろ?』

 

「何だって!?」

 

『頑張れ(ライト)、お前がナンバーワンだ』

 

「馬鹿を言うな。そんなに不自然に人が死んで、繰り上がりで僕が優勝したら、それこそまさに僕がキラだと言うようなものじゃないか。そんな事絶対駄目だ」

 

『それじゃ(ライト)、他に優勝する方法があるのかよ』

 

リュークは(ライト)の目をジッと覗き込む。その目はいたって真剣で、参加者を殺すのがはったりではない事を感じさせた。

 

(くそ、リュークのヤツ本気で対戦相手を殺す気か。適当に参加すれば納得すると思ってたけど、甘かったようだな…)

 

(ライト)は少し考えてから一つの方法を思いついた。

 

「それじゃリューク、僕とお前で一緒に林檎を食べるのはどうだろう?」

 

『俺も一緒に林檎を食うのか?』

 

「そうだ。幸いお前は僕以外の人間には見えない。さらに、お前の体内に入った物、すなわち食べた物も消えて見えなくなる。僕は林檎を手で包み隠すように持つ。お前は僕の指をすり抜けて、中の林檎だけを食べるんだ。そうすれば誰にも分からない」

 

『なるほど、悪くないアイデアだな。いいだろう、それでいこう。ただし、俺達よりも多く食べる者が現れた場合、そいつを殺す。それでいいな』

 

「分かったよ。つまり、僕らが優勝すれば誰も殺さずに済むって事だな」

 

『まあそういう事だ。それにしても、毎日人を殺してばかりいるお前が今更随分と人を殺さない事にこだわるんだな』

 

「勘違いするな、僕は殺しを楽しんでいる訳じゃない。ただ、社会に実害を為す犯罪者と、キラの活動の邪魔となる社会不適合者に然るべき裁きを下しているだけだ」

 

『そうか。まあ、これからも楽しみにしてるぜ(ライト)

 

 

そうこうしている内に大食い大会の予選当日となった。大会の概要は下記の通り。

1.制限時間は予選20分(決勝戦は30分)、その間により多くの林檎を食べた上位3名を予選通過とする。

2.食べ方、道具の持ち込みも自由、味変用の調味料も特に制限はない。ただし、汚い食べ方は禁止。

3.芯は食べなくて良いが、あまりに芯の周りに食べ残しが多い場合は指導が入り、食べ直す必要がある。

4.決勝戦は一週間後、予選通過者3名に、主催者の招待選手2名を加え、計5名での勝負となる。

5.本戦はウーチューブにてライブ配信される。

 

 

そうして、(ライト)とリュークは2人食べ戦法で20分間に15個の林檎を食べ、予選を1位通過する事ができた。そして決勝戦の当日を迎える。

大会開始1時間前、(ライト)は選手控室に入ろうとし、扉を開くと一瞬固まった。

 

「あ、あいつは…」

 

『どうした(ライト)?』

 

(ライト)は部屋に入らず、サッと扉を閉めて少し廊下を歩く。

 

「主催者は本気だ。とんでもない招待選手を用意したみたいだ」

 

『どんな相手なんだ?』

 

「親父ギャグ中曽根と、ハンター錠二だ」

 

『そいつらは強いのか? 名前だけ聞くと全然強そうには感じないが』

 

「親父ギャグ中曽根、通称ギャグ曽根。大食い女王になれるほどの大食いの実力と、寒い親父ギャグを連発する独特のトークが受け、一介のフードファイターでありながら芸能界で生き残り、大食いタレントという新ジャンルを確立した、まさに大食い界の開拓者(パイオニア)だ」

 

『ほうほう』

 

「そしてハンター錠二。まさに大食い界の生きる伝説(レジェンド)であり、不動の頂点。特筆すべきは両手に箸を一膳ずつ持ち同時に食べる二丁喰いだ。この二丁喰いが真価を発揮するのは熱い麺類を食べる時、片方の箸で麺を食べている間に、もう片方は麺を持ち上げておく。そうする事によって、麺は食べやすい温度に冷め、同時にツユを吸わず麺が伸びないんだ。多くのフードファイターが彼の真似をするが、いまだに彼に追い付ける者はいない。僕は特に大食い番組を好んで観る方ではないが、それでも彼が負ける姿を見た事は、今まで一度もない」

 

『なるほど、どちらも強そうだな。どうする、今のうちに殺しておくか?』

 

「駄目だ。大会のずっと前ならともかく、大会当日に2人揃って死んだとなったら、僕がキラだって疑われる」

 

『じゃあどうする?』

 

「やるしかない。実力であの二人を下すしかない」

 

『実力ったって、俺たちは二人がかりで林檎を食うんだけどな』

 

「水を差すような事を言うなよ。優勝したいんだったら死ぬ気で食え。この勝負、お前にかかってるんだからなリューク」

 

『ああ任せろ。この日のために一週間も林檎禁をしたんだ。早く食べたくて仕方ないぜ』

 

そうして、いよいよ大食い大会決勝戦が始まるのだった。

 

 

 

続く☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 




おまけのキャラ紹介。

ハンター錠二(獅子戸錠二)
食いしん坊(土山しげる著)に登場するキャラ。
大食いをスポーツとして神聖な競技と捉える、丹下フードファイターに所属し主人公を導く作中最強キャラ。
ラストで主人公に敗れて以来、フードファイターとしては引退するが、その後も土山しげる先生の様々な作品に登場し、存在感を示し続けた。


【制作こぼれ話】
りんごの大食い対決のネタは当時、アニメの公開中に思いつきました。しかし当時はそういうアイデアを発信する場もなく、そのまま自分の中だけで終わっていました。しかし今回ハーメルンと言う発表の場が得られ、作品として日の目を見る事ができました。
とは言え、ずっと眠っていたネタだったため、当時のアイデアとはかなり形が変わってしまったと思います。
そのためか、今回はかなりゴテゴテ肉付けが多くなったように思います。そして、本作はかなり意図的に(無理やりにも)多くの作品のセリフのパロディが含まれています。
あなたはいくつお気付きでしょうか? その解答は後半あとがきにて☆
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