漫画アニメ短編集&救済の物語   作:クリリ☆

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通常の会話は「 」
死神(リューク)の会話は『 』 この二重カッコは月ライト(またはデスノートに触れた事のある人)にしか聞こえません。


デスノート【青年よ林檎を喰らえ 後編】

青森県の某所にある林檎農園。その中に林檎の大食い大会の特設会場が設置されている。今回の大食い大会は林檎の販売促進のためのPRイベントとして企画された。そのため、その試合の模様はウーチューブにて全世界にライブ配信もされている。

 

司会者による出場選手5名の紹介を終え、いよいよ大食い対決が始まる。制限時間は30分、時間内にいくつの林檎を食べれるかの勝負だ。

 

 

(ライト)は予選の時と同様、まるでお祈りでもするかのように両手を組み、手のひらで林檎を挟んで口元が見えないように林檎をかじる。その独特の食べ方が司会者(実況も兼ねる)の目に留まった。

 

「おっと、予選一位通過の夜神(ライト)選手、実に独特の食べ方をしています。もしかしたら、モデルに見まがうような美形を崩したくないためか!」

 

突然話を振られて(ライト)は困惑するが、どう対応していいかも分からずそれを無視する。

 

「あの、夜神選手?」

 

再び話を振られ、仕方なく答えた。

 

「ああ、はい。その通りです。人前で歯を剥き出しにてかじる姿を見せたくないので」

 

「さすがはビジュアル系フードファイター、意識が高いですねえ。それでも予選一位通過、これはもしかしたら新スターの誕生の予感!」

 

続いて司会者が注目したのは中曽根選手、通称親父ギャグ中曽根だった。中曽根はナイフと充電式のハンドミキサーを持参していた。そして、5個の林檎をカットし、芯を外すと身だけをハンドミキサーに投入しスイッチを入れる。すぐに林檎はジュースになり、それをビールの大ジョッキにあけた。

 

「おっとギャグ曽根選手、あっという間に林檎を林檎ジュースにしてしまった!」

 

「いっただっきま~す」

 

中曽根は5個分の林檎ジュースをあっという間に飲み干した。

 

「美味しい~、爽やかな酸味と甘みがあって、出来立ての林檎ジュースは最高!」

 

すると、中曽根は再び5個の林檎を使って林檎ジュースを作ると、今度は味変用の調味料にハチミツを取り出し、それを3回りほど回し入れる。

 

「これまた美味しい、ハチミツの甘みとコクが加わって、林檎ジュースがさらに美味しく進化したわ!」

 

「おっとギャグ曽根選手、アイデアの差か、あっという間に10個の林檎を完食、いや、完飲か! わずか5分で10個もの林檎を平らげました!」

 

この様子を見てリュークが言った。

 

『おい(ライト)、あの女ヤバいぞ。開始5分で10個なんて尋常じゃない。これはもう早めに殺すしかないぞ』

 

(ライト)は林檎をかじりながら小声で言った。

 

「待てリューク、今対策を考える。殺すのは待ってくれ。あいつが死んだら僕がキラだと疑われる」

 

『しかしなあ』

 

そうこうしている内に中曽根は3杯目の林檎ジュースを完成させると、今度はそれにホイップクリームを上に乗せた。

 

「これまた美味しい~、クリームの甘みと軽い舌触りが加わって、まるで上質のスイーツを食べてるみたい」

 

開始10分の時点で中曽根は15個、ハンター錠二は8個、(ライト)&リュークは7個の林檎を完食していた。(ライト)は中曽根に、ここで完全に2倍の差を付けられた事になる。

 

(ライト)もうこれ以上は待てない。海より広いオレの心も、ここらが我慢の限界だ、もう堪忍袋の緒が切れたぜ!』

 

「待てリューク、策を思いついた」

 

『策だと?』

 

「リューク、あいつの持っているハンドミキサーを破壊しろ。ハンドミキサーがなければ中曽根は必ず止まる」

 

『しかしもう8個差だぜ。今更ミキサーを壊しても追いつけるのかよ?』

 

「中曽根は顎が弱いという致命的な弱点がある。かつて焼イカ対決で、優勝候補だった中曽根が最下位になり、泣きながらイカを食べていたのを見た記憶がある。麺類や粉ものには強いが、食材の丸かじりは苦手なハズだ」

 

『そうか分かった。だが、時間内に追いつけないと判断したら殺すからな』

 

「ああ、それで構わない。やってくれ。ただし、見た目じゃ分からないように外装は傷つけるなよ。ミキサー下部の稼働部だけ少し壊せばそれでいい」

 

『ああ、分かった』

 

リュークは中曽根に近づくとミキサーに手を入れ、中の稼働部を適当に引っ掻き回した。

 

『まあ、これでいいだろう』

 

それから数分後、中曽根はカットした林檎をミキサーに入れる。そしてスイッチを入れるが全く反応しない。

 

「あれ、おかしいな。朝充電マックスにしたのに、もう充電切れ?」

 

何度もスイッチをオン・オフを繰り返すがミキサーは全く反応しない。その様子を見て司会者が言った。

 

「おっとギャグ曽根選手、何やらトラブルのようです。どうやらミキサーが動かなくなったようです」

 

「こんな大事な場面で。林檎ジュース、ゴリンジュー(ご臨終)ッス…」

 

「おっとお、ギャグ曽根選手から親父ギャグいただきました~!」

 

そうして会衆から笑いが湧いた。

 

『どうやら上手くいったみたいだな』

 

「ああ。あとはハンター錠二だけだ」

 

そうして開始から20分が経過する。ここまでで中曽根18個、ハンター錠二17個、(ライト)が15個の林檎を完食していた。

中曽根を抜くのは時間の問題だが、ハンター錠二との差は一向に縮まる気配がない。ハンター錠二は常に一定のペースで食べ進めている。

 

『おい(ライト)、全然差が縮まらないぞ。そろそろ殺した方がいいんじゃないか』

 

「待ってくれ、最後まで諦めるな。こっちは二人がかりなんだ。腹の方も余裕があるし、きっと追いつく」

 

さらに5分が経過する。ここでついに順位に変動がみられる。ハンター錠二21個、中曽根19個、(ライト)も19個で中曽根に並んだ。

 

(ライト)、もう限界だ。あいつを殺す』

 

「待て、待ってくれリューク」

 

『安心しろ。不自然に見えないように死因は窒息死にしておいてやる』

 

リュークは(ライト)の制止を無視し、自らのデスノートを取り出し、ハンター錠二の名前を書き始めた。その次の瞬間、ハンター錠二は席から転げ落ち、顔を真っ赤にして唸り声を上げ始めた。どうやら林檎を誤嚥してしまい、林檎の欠片が気道を塞いでしまったようだった。

 

「うう、う、む、うぐぅ…」

 

(ああ、リューク、ついにやってしまったのか。終わった、これでもう僕は(エル)にキラだと断定される…)

 

(ライト)は目の前にいるリュークを思いきり睨みつけた。すると、リュークは困惑して手を振った。

 

『まて、俺じゃないぞ(ライト)

 

「えっ!?」

 

『こいつは俺が名前を書いている途中に勝手に倒れたんだ』

 

「何だって!?」

 

『人の死は大きく分けて二つある。デスノートによる死と、デスノートによらない自然死だ。どうやらこいつは自然死のようだな。良かったな(ライト)

 

「全然良くない。死因がデスノートだろうと、そうでなかろうと、このタイミングで不自然な死を迎えたら僕がキラだと疑われる事には変わりない」

 

『そうは言われてもよぉ』

 

「リューク、ハンター錠二を助けるんだ。お前なら出来るだろ」

 

『しかし、死神が死にかけている人間を助けるなんて聞いた事ないぜ』

 

「いいのかリューク、もしハンター錠二が死んだら僕達の優勝もなくなるんだぞ」

 

それを聞いて、先ほどまでどうでも良さそうにしていたリュークの表情が真剣になる。

 

『何でだよ、こいつが死ねば俺たちの優勝は間違いないだろ!』

 

「よく考えてみろ。PRイベントの最中に人が死んだとなったら、このイベントはご破算だ。優勝どころの話じゃなくなる。そうなれば当然、この勝負はノーコンテストだ」

 

『そ、そんな。あと一歩のところまで来て…』

 

「それが嫌だったら助けるんだ」

 

ハンター錠二の周りに救護班が駆け付け、吸引機などをあてているが、完全に気道にハマり込んだらしく、全く欠片が出てくる様子はない。

 

『全く、死神使いの荒いヤツだぜ』

 

リュークは小さく溜息を吐くと、ハンター錠二の胸の辺りに手を突っ込み、軽く中の林檎の欠片を掻き出してやった。すると、ポンと欠片が喉から飛び出してきた。

 

「ガハア、ハア、ハア、ハァ…」

 

幾度か深呼吸を繰り返すと、ハンター錠二の青ざめていた顔に赤みが戻って来た。

 

『これでいいか(ライト)?』

 

「ああ、良くやった。じゃあ、一気に林檎を平らげるぞ」

 

ハンター錠二は身体は回復したものの、そこからは林檎を一つも食べる事ができなかった。そして、ついに30分が経過する。そうして大食い対決は終了し、司会者が結果を読み上げる。

 

「…第三位、親父ギャグ中曽根、記録は20個。第二位、ハンター錠二、記録21個。そして第一位、記録22個、優勝は無名の大学生夜神(ライト)選手だ、おめでとう!!!」

 

司会者に讃えられ、会衆からも大きな拍手が沸き上がる。

 

「ありがとうございます」

 

「夜神選手、まずは一言感想を」

 

「いえ、途中でハンター錠二さんが倒れられた時は焦りました。とにかく無事で良かったです」

 

相手を気遣うコメントに、再び拍手が沸き起こる。

 

「それにしてもそのルックスに、その健啖力、これはもう大食い界に新たなスター誕生間違いないですね!」

 

「いえ、申し訳ありませんが僕はもう大食いはやりません」

 

「ええ、どうして、もったいない。間違いなくトップクラスのスター選手になれるのに」

 

「僕、今まで大食いとかした事ないし、今回のイベントも妹が勝手に参加申し込みをしただけで。それに僕、他にやりたい事がありますので」

 

「そうですか、それは残念です」

 

そうして、(ライト)の優勝で大会の幕は閉じられた。そして、その様子を(エル)はワタリと一緒に警察署内にあるモニター室で見ていた。

 

「それにしても、まさか(ライト)君が優勝するとはね。正直驚きました」

 

「そうですね。それしても、今回の件からはキラかどうか分析する事は難しいですね」

 

「いえ、どちらかというと、キラとしての容疑は低くなったかも知れません、ほんの1%程度ですが」

 

「何故です?」

 

「もし(ライト)君がキラなら、こんなイベント絶対に参加しないからです。元々キラは林檎と何らかの関連性がある事を(ほの)めかしています。そんな中、こんなイベントに参加してはキラだという疑いが深まるだけでしょう。だから、もし(ライト)くんがキラなら絶対に参加しない。なのに参加したという事は、(ライト)君がキラじゃなく、純粋に林檎が好きだったからという可能性があります」

 

「ですが、これは妹が勝手に申し込んだと言ってましたが?」

 

「ああ、それは嘘です」

 

「嘘?」

 

「実は、ここに(ライト)君が提出したイベントの参加申込書の写しがあります」

 

そう言って(エル)は一枚の紙を摘まみ上げるとひらひらと振った。

 

「これを筆跡鑑定士に見てもらった所、どうやら(ライト)君本人の筆跡で間違いないようです」

 

「では、何故妹が申し込んだなどのような嘘を?」

 

「さあ、ただの照れ隠しでしょう。ほら、モデルや芸能人が業界に入ったきっかけを聞かれた時、身内や友人が勝手に申し込んだとか言う時あるでしょう。あれ、ほとんど嘘ですから」

 

そう言いながら(エル)はテーブルに置かれたフルーツの盛り合わせの中から、カットされた林檎を一つ摘まみ、口に入れる。

 

(える、知っているか、死神は林檎しか食べない、か…)

 

「ワタリ、キラは死ぬ間際の行動もある程度は自由に操れるようです。一応、今回のイベント参加者および主催者が近日中に死なないか徹底的に監視をお願いします。特に大会で死にかけたハンター錠二はすでにキラに操られている可能性があります」

 

「分かりました」

 

「もしハンター錠二が近日中に死ねば、(ライト)君はキラとして緊急逮捕します」

 

「はい」

 

(それにしても、もしあの場に目に見えない死神が、しかもその死神が林檎が好きだと仮定するなら、(ライト)君が不自然に林檎の大食いイベントに参加した事や、意外な健啖家ぶり、不自然な食べ方、いきなり壊れたハンドミキサー、不自然なタイミングで倒れたハンター錠二、全てに説明がつきますね…)

 

「それとワタリ、親父ギャグ中曽根さんのハンドミキサーも回収してください。もしかしたら面白いモノが見つかるかも知れません」

 

「面白いモノですか?」

 

「ええ。例えば、死神のいる物的証拠、とか」

 

その後、ハンドミキサーからは怪しい点が見つかったものの、ハンター錠二はいつまでも健在で、(エル)の仮説の前提が崩れてしまい、(ライト)逮捕までは至らなかった。

そうして、これからも(ライト)(エル)のキラを巡る戦いは続くのだった。

 

 

おわり☆

 

 




【セリフパロディクイズ(?)解答】
( )のキャラクターは元ネタを言ったキャラクター名です。
いくつ分かりましたでしょうか? 全部分かった方はメチャメチャすごいですw


1.くそみそテクニック
「こいつを見てくれ、こいつをどう思う?」(阿部高和)
「すごく大きいな」(道下正樹)
「デカいのはいいからよ、このままじゃおさまりがきかなくてな」(阿部高和)


2.珍遊記
「うそくせー、なーんかうそくせー」(玄じょう)


3.ドラゴンボール
「頑張れライト、お前がナンバーワンだ」(ベジータ)


4.ハートキャッチプリキュア
「海より広いオレの心も、ここらが我慢の限界だ」(キュアマリン)
「もう堪忍袋の緒が切れたぜ!」(キュアブロッサム)
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