漫画アニメ短編集&救済の物語   作:クリリ☆

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ドラゴンクエスト3【ニートの僕が他力本願で世界を救ってしまった件 ー中編ー】 導かれし者たち

王様との謁見が終わり、僕は城の外に出る。そこにはもう、母さんの姿はなかった。さすがに家に帰ったようだ。僕も行くあてもないので、とりあえず一度家に帰った。すると、母さんは庭で洗濯をしていた。僕は一応、母さんに声をかける。

 

「ただいま」

 

「あら、お帰りユウシャ、王様のお話しはどうだった?」

 

「まあ、ボチボチ」

 

「ボチボチって何よ、どうだったの?」

 

僕は王様から父オルテガの思い出話を聞いて、それから100ゴールドの支度金をもらった事を母さんに伝える。

 

「まあ、100ゴールドも。すごいわね、あなたが初めて稼いだお金ね、大切に使うのよ」

 

僕からすると少額に思えたが、母さんは純粋に喜んでくれたようだ。

 

「それじゃ、疲れたからもう寝るよ」

 

「何バカ言ってるのよ、まだ朝よ。今日はまだ始まったばかりじゃないの」

 

「でも、昨晩遅くまで起きてたからさ」

 

「駄目ったら駄目、せめてこれからルイーダの酒場には行っておきなさい」

 

「ルイーダの酒場? 何で?」

 

「あそこは酒場兼冒険者ギルドになってるのよ。あそこで冒険者登録すれば、旅の仲間を紹介してくれるのよ」

 

ルイーダの酒場は家のすぐ目の前にある。極まれに家族で外食をする時にルイーダの酒場に行く事あるので場所は知ってはいる。が、一人で行った事はなかった。

 

「さあ早く行きなさい。じゃないと冒険が始まらないわ」

 

「でもさ、いや、何でもない…」

 

もういっそ、王様が僕を始末して、母さんを手籠めにしようとしている事をぶちまけてやろうかと思った。しかし、現在のうちの家族構成は母さんに、ニートの僕に、認知症になりかけのじいちゃんがいる。家庭の収入も母さんのパートのわずかな稼ぎのみ。

それに比べたら、例え側室だろうが、王宮住まいとなれば美味しい食事が出るだろうし、キレイな服も着れる。もしかしたら専属のメイドまで付くかも知れない。少なくとも今より良い暮らしになるだろう。万が一にもそんな生活に母さんの心が揺れてしまったら、本当に僕の居場所はこの世界からなくなってしまう。この家は僕の唯一にして最後の砦だ。この場所だけは守らなければならない。そのためにも、今は母さんの機嫌を取る事は重要だった。

 

せめて今日だけでも母さんの言う事を聞いた方が良さそうだと判断し、僕はルイーダの酒場に行く事にした。

 

 

歩いて数分。僕が扉を開けてルイーダの酒場に入ると、店主のルイーダさんがカウンターの奥から手を振り、僕に声をかけてくれた。

 

「いらっしゃい、ユウシャくんじゃない」

 

「どうもこんにちは」

 

僕は滅多に外には出ないが、ご近所だし一応顔見知りではあった。ルイーダさんは胸の辺りまで届く青みのかかった黒髪を黒いリボンで束ねている。年齢は僕よりほんの少し上なだけなのに、ちょっと露出度の高い服装のせいか、何というか、色っぽい大人のお姉さんという感じがした。

 

「ユウシャくんだけなんて珍しいね。どうしたの、勇者ごっこ?」

 

「いえ、ごっこじゃなく、本当の勇者になったんですよ」

 

「そうねえ、少年ってみんな勇者に憧れるものだからねえ」

 

「いや、だから本当に王様公認で」

 

「うんうん、そうだよね、少年はみんな明日の勇者って言うもんねえ」

 

ルイーダさんは僕が勇者になった事を全く信じていない様子だった。

 

「でもユウシャくん、ここは未成年は冒険者の登録はできないのよ」

 

「それが、今日が16歳の誕生日で」

 

「ああそうなんだ、おめでとう。あ、じゃあちょっと待って、これ誕生日のお祝いに」

 

そう言うと、ルイーダさんは手際良く何かの材料を混ぜ合わせ、ビールの大ジョッキにミルクをベースにした白いドリンクを持ってきた。

 

「はい、プロテインとカルシウムたっぷりの特製勇者ドリンクよ。これで素敵な勇者になってね」

 

「ありがとうございます。でも、一応本当に勇者なんですけど」

 

まあ、それはそれとして、せっかくなので一口飲んでみる。すると、ほんのり甘くて美味しかった。

 

「まあ、ドリンクは嬉しいんですが、冒険者登録をお願いします!」

 

「はいはい、ちょっと待ってね」

 

そうしてようやく僕は冒険者登録の手続きをする事ができた。そしてドリンクを飲みながら、改めて僕が王様公認の勇者であり、魔王を討伐する冒険に行く事をルイーダさんに話した。すると、ルイーダさんは僕の父であるオルテガが勇者だった事を知っており、ようやく僕の言葉を信じてくれた。

 

「それにしても、まさかこんな日が来るなんてねえ。何だか感慨深いわ」

 

「そうですか」

 

「そう言えばあなたのお父さん、オルテガさんが魔王討伐の冒険に出る時、どんなパーティーだったか知ってる?」

 

「いえ、全然」

 

「それがねえ、後でどうなったかは知らないけど、少なくともアリアハンを出た時はたった一人だったみたいなの」

 

「えっ、一人!?」

 

一人で魔王討伐って、マジか。とても正気の沙汰とは思えなかった。

 

「それがねえ、お母さんの代の時にオルテガさんが来たらしいんだけどさ、オルテガさん入口の辺りでウロウロしてたんだって。でもお母さんも他の冒険者の対応で忙しくて声を掛けられなかったらしいんだけど、お母さんが次に気付いた時にはもうオルテガさんいなくなってたんだって」

 

「そうですか、父も僕に似てコミュ障だったのかな」

 

「それでお母さん、オルテガさんが一人で旅立ったのは自分のせいだってずっと責任感じててさ、だから、さっきユウシャくんの姿を見た時に私はすぐに声を掛けたのよ」

 

なるほど、確かにもしルイーダさんに声を掛けてもらわなかったら、僕も父さんと同じ運命を辿っていたかも知れない。そう思うと、あまり父さんの事を笑えないなあと感じた。

 

「ありがとうございます」

 

「それじゃ、そのお詫びも兼ねて特別にすごい冒険者を紹介してあげるわ」

 

「はい」

 

「実は、ちょうどいい冒険者がいるのよ。ちょうど1週間前に冒険者登録を済ませた武闘家の方なのだけど、世界各地を武者修行の旅をして回ってるんだって。それで、ここに来てからも最も難度の高いS級クエストを片っ端から片付けて、それでも物足りないらしくて『もっと強い相手はいないか』って言ってきてたのよ。だから、目的が魔王討伐なら、彼のニーズにもピッタリね」

 

「はい、それじゃその人をお願いします」

 

「了解。孫悟空さん、こちらにいらしてくださーい!」

 

ルイーダさんは中央のテーブルで食事をしている男の人に向かって声をかける。そのテーブルには所狭しと大量の料理が置かれていた。大雑把に数えても20人前はくだらない。しかし、それを筋骨隆々の男が一人で夢中で平らげていた。

 

「おっ、オラか!」

 

男は食事の手を止めると、僕達の方に向かって来た。

 

「孫悟空さん、彼はユウシャくん、これから魔王討伐の冒険に出るんだって。強い人と戦いたいんでしょ、彼に同行してもらっていいかな?」

 

「へえ、魔王か。オラワクワクしてきたぞ。それじゃユウシャ、オラ悟空だ。よろしくな」

 

「はい、よろしくお願いします」

 

悟空さんから差し出された手を、僕は条件反射のように握り返した。

 

「それじゃ、もうちょっとで朝メシを食い終わるからよ、ちょっと待っててくれよな」

 

そう言うと悟空さんは再びテーブルに戻り、食事を再開した。それを見ながら僕はルイーダさんに言った。

 

「あの量、一人で食べるんですか?」

 

「そうなのよ、毎食あんな感じなのよね。まあ、おかげでこちらは商売繁盛だけれど。それにしても、せっかく高難度クエストをこなしても、報酬のほとんどが食事代で消えてるわね」

 

僕の所持金は100ゴールドしかない。果たして食事代で破産しないだろうか、一抹の不安を感じた。

 

「それと、冒険と言ったらやっぱ魔法使いは外せないわよね」

 

「そうですね。では魔法使いも1名お願いします」

 

「実は昨日登録したばかりなんだけど、魔法使いにもとんでもない猛者がいるのよ。本人が言うには、過去に勇者と共に魔王を討伐した経験があるんだって。それで、久しぶりにまた魔王討伐の冒険がしたくなったとか言ってたわね」

 

「魔王を討伐!? まさか、勇者ロトのパーティーって事ですか?」

 

「それが、勇者ヒンメルと言ってたわね」

 

「勇者ヒンメル? 聞いた事ないですね。作り話ではないですか?」

 

「普通に考えたらそうなんだけど、何だか嘘のようにも見えないのよねえ」

 

「そうですか」

 

「仮に、彼女の言葉が真実だと仮定すると、2つの可能性が考えられるわね」

 

「2つの可能性?」

 

「ええ。一つは、ロト伝説よりもはるかに過去の話で、もはや伝承にも残っていない可能性。もう一つは、どこか一部の地方で猛威を振るっていたローカル魔王を、その地方のローカル勇者が討伐した可能性ね。特に後者はよくある話で、世界各地にその地方だけにしか伝わっていない様々な勇者伝説があるわ」

 

「なるほど、じゃあ、きっと後者かも知れないですね」

 

「そうね、とにかく彼女の言葉の真偽は置いておいて、私も職業柄様々な冒険者を見てきたけど、彼女は間違いなく超一流の魔法使いね」

 

「まあ、ルイーダさんがそこまで言うんじゃ、間違いないですね」

 

「それじゃ呼ぶわね。フリーレンさん、こちらにいらしてくださーい!」

 

ルイーダさんは、部屋の奥のクエストボードをぼんやりと眺めている少女に声を掛けた。すると、その少女はトランクケースをスッと持ち上げ、こちらにやってきた。

 

彼女は薄い紫のかかった白髪をツインテールでまとめている。それにしても見た目の年齢は僕とそう変わらない。過去に魔王を討伐した経験があると言うので、てっきり熟練の老魔術師のような容姿を想像していたので、ちょっと面食らった。

 

そして耳の先をよく見ると、何やら尖っているように見える。まさか、伝説の種族のエルフじゃないだろうか。仮に本物のエルフだとすると、先ほどの勇者ヒンメルの話、勇者ロトよりもずっと古い時代に活躍した勇者の可能性も微レ存(微粒子レベルで存在)するのではないかと感じた。

しかし、それよりも何よりも彼女が持つ神秘的なオーラに飲まれ、僕は思わず彼女に見とれてしまった。もし彼女の口から直接、勇者ヒンメルの話を聞いていたら、きっと僕は疑う事なく信じていただろう。

 

「フリーレンさん、彼はユウシャ、一応本物の勇者よ」

 

「フリーレンよ、よろしくユウシャ」

 

「はい、よろしくお願いします」

 

彼女は素っ気なく挨拶をしてきた。

すると、ちょうど食事を終えた悟空さんもこちらにやってきた。

 

「おう、ユウシャ、待たせたな」

 

いや、あれからまだ10分程度しか経っていない。その間にあの量を平らげたのか。

 

「んっ、おめえは誰だ?」

 

「フリーレンよ、よろしく」

 

「よっすオラ悟空、よろしくな」

 

そうして悟空さんとフリーレンさんも互いに自己紹介を終え、ようやく冒険が始まるのだった。

 

 

 

続く☆

 

 

 

 




おまけ☆

『もしもルイーダの酒場がファストフード店みたいだったら』



「いらっしゃいませ、新米冒険者さんですか?」

「はい」

「それでは戦士、僧侶、魔法使いの新米冒険者応援セットはいかがですか?」

「ではそれで」

「ロロノア・ゾロさん(ワンピース)、アクアさん(この素晴らしい世界に祝福を)、マーリンさん(七つの大罪)出番ですー!」



「ご一緒に武闘家はいかがですか? 装備品にお金がかからず、大変お得な職業ですよ」

「ではお願いします」

「はい、烈海王さん(刃牙シリーズ)お呼びでーす!」



「あわせて商人はいかがですか? 戦闘から金策、武器の手入れまでこなす、長期の冒険に欠かせないとても器用な職業ですよー」

「それじゃ、それも」

「ココ・ヘクマティアルさん(ヨルムンガンド)、お呼びですー!!」



「それでは、最後に遊び人はいかがですか?」

「遊び人? 冒険に要ります?」

「はい、パーティーもそれなりに大きくなってくると派閥とかできちゃったり、ギスギスしちゃう事があるんですよね。そういう時に遊び人がいると潤滑油になって、メンバー間の結束が強まるんですよ」

「それじゃ、それも」

「ポロンさん(ロトの紋章)、お呼びですーww」


そうして、その日の夜は勇者宅に泊まる事になった。



ゾロ「おいユウシャ、酒はねえのか?」

マーリン「ワインなら私も付き合おう」

ココ「それにしても寝る所がないんだが」

じじい「お嬢さん、わしのベッドで一緒に寝んか?」

烈「寝る場所がどこであろうと、わたしは一向に構わん」

アクア「ユウシャってニートだったの? カズマと同じね、プークスクスクス」

ポロン「他人の事言えないだろ、この駄女神!」

アクア「駄女神じゃないわよ!」


パーティーが多すぎて収集つかなくなる勇者なのであった。



ちゃんちゃんw

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