【穏やかな日常の尊さ】
翌日、私は御飯さんと悟空の「パオズ山での一日」を、お手伝いをしながらじっくりと見守ることになった。
午前中は、近くの川できりっと冷たい水を使っての洗濯や、家の中の掃除といった家事をこなす。前世でおじいちゃんだった私は、こういう細々とした家事が得意だ。御飯さんも「おや、炒飯くんは手際が良いのう」と感心してくれた。
家事がひと段落すると、庭で御飯さんによる悟空の武術の稽古が始まった。
まだ型も未熟な四歳の悟空だが、その身のこなしは野生動物のようにしなやかで、一撃一撃の重さはすでに常人の大人を遥かに凌駕している。御飯さんはそれを、大いなる包容力と確かな技術で受け止め、優しく、時に厳しく指導していた。
のちに世界を救う英雄となる少年の、その基礎を築いているのがこの御飯さんなのだと、目の前の光景が尊くて仕方がなかった。
午後からは、心地よい木漏れ日の中で少し長めの昼寝を挟み、目が覚めると再び夕食のための食材調達の時間だ。
「じっちゃん、オラ今日もデッカイの獲ってくるぞ!」
元気よく山へと走っていく悟空の後ろ姿を見送ったあと、私と御飯さんは家の裏手にある小さな畑の手入れを始めた。
御飯さんは慣れた手つきで土を耕し、立派に育った大根やカブを収穫していく。
「悟空はよく食べるからのう、こうして野菜もたくさん作っておかんと、あの子の身体がもたんのじゃ」
そう言って笑う御飯さんは、昨日悟空が獲ってきた怪鳥の肉を薄く切り、慣れた手つきで干し肉にする作業も並行して進めていた。一つ一つの作業が丁寧で、孫への愛に満ちている。この穏やかで、温かい二人の日常を、大猿の理不尽な暴力で破壊させてなるものか。私は大根の泥を拭いながら、心の奥で静かに炎を燃やしていた。
【作戦開始、山奥のキャンプ】
そして夕方。食材を抱えて戻ってきた悟空に、御飯さんが神妙な、しかしどこか楽しげな口調で語りかけた。
「悟空、今夜は『山ごもり修行』をしようと思うんじゃ」
「やまごもりしゅぎょう!? なんだそれ、面白そうだぞ!」
案の定、悟空の目がきらきらと輝く。
もちろん、これは私と御飯さんが事前に打ち合わせておいた作戦だった。万が一、悟空が完全に大猿化して暴れ出してしまった場合、あの小さなお堂のような家が踏み潰され、破壊されてしまうのを防ぐため。そして、周囲への被害を最小限に食い止め、私たちが避難するための広いスペースを確保するため、家からさらに険しい山奥へと入った開けた場所で、野外キャンプをすることにしたのだ。
何も知らない悟空は、「外で寝るのか! チャーハンも一緒か! わーい!」と尻尾をちぎれんばかりに振って大はしゃぎしている。
私たちは最小限の荷物と、今夜の獲物を抱え、夕闇が迫るパオズ山の奥深くへと足を進めた。
背中に背負ったブリーフ博士のサブマシンガンの重みが、これから始まる運命の夜を私に強く意識させる。
目的の開けた高台に到着し、焚き火の準備を始める頃には、空の端が深い藍色へと染まり始めていた。
まもなく、あの月が昇ってくる。
【大猿の暴走を食い止めろ!】
パチパチと薪がはぜる音の中、悟空は楽しげに談笑しながら、自分で獲ってきた巨大な魚を丸焼きにしていた。
香ばしい匂いが辺りに漂い、まさに今夜の夕食が始まろうとした、その時だった。不意に悟空の動きがピタリと止まる。
手に持っていた串が滑り落ち、パサリと地面を叩いた。悟空は返事もしなくなり、ただ口を半開きにしたまま、夜空の一点を見上げてボーッとしている。
その視線の先にあるのは――冷たい光を放ち、完全に満ちた『満月』だった。
「御飯さん、いよいよです!」
私の鋭い叫び声に、御飯さんが弾かれたように動いた。
「うむ!」
御飯さんは懐から素早く大きなハサミを取り出すと、悟空のお尻から伸びる茶色い尻尾をガシッと掴み上げ、切断の構えに入る。
だが、その瞬間にはすでに、悟空の心臓が不気味にドクン、ドクンと激しい鼓動を刻み始めていた。直後、悟空の小さな身体がいきなり膨れ上がり、急速に巨大化し始める。
「あ、あ……」
御飯さんの口から、言葉にならない声が漏れた。
それはコンマ一秒にも満たない、本当に一瞬の
しかし、そのほんの一瞬の遅れが致命的だった。
衣服を引き裂き、黒い剛毛に覆われながら肥大化していく悟空の身体は、瞬く間に御飯さんのハサミで切断できる直径を大きく上回って太くなっていく。もはや、手元のハサミなど何の役にも立たないほどの巨木のような太さだ。
――そして。
地響きと共に、完全なる『大猿』がそこに誕生した。
元はたった四歳の幼児であるはずだ。それなのに、変貌を遂げた大猿の質量は、山奥の木々を見下ろし、パオズ山の頑丈な一軒家すら遥かに凌駕するほどの圧倒的な巨大さだった。
「ウオオオオオオオオンッ!!!」
大猿は天に向かって猛々しい雄叫びを上げた。
鼓膜が破れんばかりの爆音が夜の魔境に響き渡り、凄まじい衝撃波が周囲の炎を吹き消す。理性を完全に失った赤い瞳がギラリと光り、大猿は太い腕を振り回して地面を激しく踏み鳴らした。
ドカン、ドカンと大地が悲鳴を上げ、巨大な岩が消し飛ぶ。目に映るすべてのものを手当たり次第に破壊し尽くす、圧倒的な暴力の化身がそこにあった。
「御飯さん、逃げてください!」
私たちは巻き添えを食らうのを避けるため、一気に後方へと大きく跳躍し、決死の思いで距離を取った。
激しい土煙の向こうで荒れ狂う孫の姿を、私と御飯さんはただ息を呑み、戦慄しながら見守るしかなかった。
「すまん、炒飯くん……。頭では分かっていたはずなのに、身体が動かんかった」
荒れ狂う大猿の地響きを浴びながら、御飯さんが悔しそうに拳を握りしめた。その表情には、武道家としての不覚と、孫への申し訳なさが滲んでいる。
「いえ、仕方ないです。そもそも月を見て巨大な大猿になるだなんて話、普通に考えたら信じられる方が無理な話ですから」
私は咄嗟に言葉を返した。それは気休めではなく、本心だった。
いくら事前に警告されていたとはいえ、愛する孫の身に起きたあまりにも奇怪な異変だ。それを前にして、一瞬の躊躇いもなく肉体を傷つける行為に及べる人間など、いるはずがない。躊躇うのが人間として、親としての正常な反応なのだ。
むしろ、私がハサミを奪ってでも切断役をやるべきだっただろうか。しかし、仮に私だったとしても、あの圧倒的な変貌を前にして、躊躇わずにやれていたという自信はない。きっと私がやっても全く同じ展開を迎えていたはずだ。
「幸い、ここなら山奥ですから、悟空が一晩中暴れても大した被害は出ません。このまま近寄らず、夜が明けるのを待ちましょう」
家から離れたこの魔境なら、自然の岩山が崩れるだけで済む。日の出を待てば、悟空は勝手に元の姿に戻るはずだ。だが、私の現実的な提案に対し、御飯さんは毅然とした態度で首を横に振った。
「駄目じゃ。わしは悟空に、常日頃から無益な殺生は固く禁じておる。あんな姿になっても、悟空は悟空じゃ。理性を失っているとはいえ、このまま悟空の手で無益な殺生をさせる訳にはいかん」
御飯さんの眼差しは、大猿の巨体を真っ直ぐに見据えていた。暴れる大猿の足元で、逃げ惑う山の小さな動物たちの気配を、その鋭い五感で察知しているのだろう。あの子の綺麗な手を汚させない。それは、どこまでも孫を想う深い慈愛だった。
「しかし……!」
私の胸に焦りが走る。原作の知識が頭をよぎる。万が一にも、ここで御飯さんが死んでしまったら、回想シーンの絵を眺めるだけでもあれほど辛かった悲劇が、現実の凄惨な光景としてこの目に焼き付いてしまう。目の前で死なれでもしたら、一生もののトラウマだ。それに、何も知らずに目を覚ます幼い悟空に、私はどんな顔をして合わせればいいというのか。
「……これ以上近づくのはあまりに危険です!」
咆哮する大猿は、手近にあった一本の巨木をバリバリと根こそぎ引き抜くと、それを棍棒のようにブンブンと凄まじい風切り音を立てて振り回し始めた。かすっただけでも、人間の肉体など一瞬で消し飛ぶほどの質量兵器だ。
「大丈夫じゃ、わしに任せろ」
御飯さんは静かに、しかし絶対的な安心感を伴う声でそう告げた。
次の瞬間、御飯さんは腰を深く落とし、両手の付け根を合わせて右腰の後ろへと引いた。独特の、しかしドラゴンボールファンなら知らないはずのない、あまりにも有名なあのポーズ。
あれは、まさか……!?
私の視界が、信じられないものを見るように大きく見開かれる。
「か……め……は……め……」
御飯さんの放つ気合と共に、合わせられた両手の隙間に、パチパチと青白い火花が弾けた。直後、夜闇を文字通り真っ昼間のように照らし出す、圧倒的な光の質量がその手の中に宿る。凄まじいエネルギーの奔流が周囲の空気を震わせ、私の肌にピリピリとした圧力が突き刺さる。
「波ーーーーーーーッ!!」
気迫の雄叫びと共に、御飯さんの両手が前方へと力強く突き出された。
刹那、太い光の濁流が、轟音を置き去りにして夜空を一直線に駆け抜けた。光条は、暴れ狂う大猿の背後、激しく振り回される茶色い尻尾の付け根を、寸分の狂いもなく的確に捉えた。閃光が弾け、大猿の太い尻尾が綺麗に焼き切られる。
本物の……生の、かめはめ波……!
私はその圧倒的な迫力に、完全に魂を奪われていた。地響きのような余韻が耳の奥で鳴り響き、全身の鳥肌が止まらない。
尻尾を失った大猿は、一瞬だけビクリと動きを止めた。次の瞬間、風船から空気が抜けるように、その巨体がみるみるうちに縮んでいく。黒い剛毛が消え、巨大な顎が縮み、ものの数秒で、元の小さな四歳の男の子の姿へと戻っていった。
衣服を失った小さな悟空は、そのまま地面に丸くなり、何事もなかったかのように泥のように健やかな寝息を立てて爆睡している。
「ふう……。無事に当たって良かったわい。何せ、かめはめ波を本気で撃つのは、およそ二十年ぶりじゃからのう」
御飯さんは額の汗を手の甲で拭い、いつもの優しい好々爺の笑顔に戻ってハッハッハと笑った。
「ふええ……。も、もう駄目かと思いましたよ……」
その瞬間、緊張の糸がプツリと切れた私は、情けない声を上げながら、完全に腰を抜かしてその場にへたり込んでしまった。地面の冷たさが、生き延びたという実感をじわじわと伝えていた。
【運命に抗う覚悟】
私たちは泥のように眠る悟空のそばへと歩み寄った。
御飯さんは優しく悟空を抱き上げると、衣服の弾け飛んだ小さな裸の身体に、用意していた毛布をそっとかけてやった。
「ふう……もう大丈夫じゃ。傷つけてすまんかったな」
御飯さんは大きな手のひらで、悟空のツンツンとした頭を愛おしそうに何度も撫でる。その眼差しは、先ほどまで世界を滅ぼさんばかりに暴れ狂っていた怪物に向けられるものでは断じてなかった。どこまでも無邪気で、守るべき、たった一人の可愛い孫を見る目そのものだった。
静寂が戻った山奥で、パチパチと焚き火の残骸が爆ぜる。その音に混ざるようにして、御飯さんがぽつりと、信じがたい言葉をこぼした。
「ところで、炒飯くん。……確かわしは、いずれ大猿となった悟空に踏み潰されて殺される、という運命なんじゃったな?」
「ええ、はい。本来の歴史なら、そうなるはずです」
「ならば……わしは、その運命をそのまま受け入れようと思う」
穏やかに放たれたその言葉は、私にとってあまりにも衝撃的で、到底受け入れられるものではなかった。
「な、何ですって!? 一体何を言っているんですか!」
思わず大声を上げてしまった私を、御飯さんは宥めるように静かに見つめ返した。
「君は言ったな。わしが死んだ遙か先、悟空は立派に成長し、世界を救う偉大な存在になるのだと。……ならば、もしわしがここで生き長らえてしまった場合、その素晴らしい未来が変わってしまうかもしれん。わしという余計な存在が残ることで、もしかしたら悟空の身に、もっと過酷で、もっと不幸なことが起こる引き金になってしまうかもしれんじゃろ?」
御飯さんは再び、スースーと寝息を立てる悟空の顔を優しく見つめる。
「わしは武道家として、そして一人の人間として、もう十分に生きた。このパオズ山でこの子と出会い、共に暮らせただけで、十分に幸せな人生だった。だから、この子の輝かしい未来の邪魔になるくらいなら、わしは……」
「何を言っているんですか! 冗談じゃない!」
気がつけば、私は御飯さんの言葉を激しい口調で遮っていた。胸の奥から、言葉にならない熱い感情がせり上がってくる。
「そんなことで納得できるわけがないでしょう! 御飯さん、あなた、悟空の成長を……この子が大きくなっていく姿を、もっともっと見たいとは思わないんですか!? 悟空は、これからもっと、あなたの想像もつかないほどに強くなるんですよ!」
「……見たい。見たいに決まっているじゃろうっ!!」
御飯さんの声が、初めて激しく震えた。
振り返ったその目には、大粒の涙が溜まっていた。
「むしろこの世界で、わし以上に悟空の成長を楽しみにしている人間など、他にいるものか! あんな小さな赤ん坊だった子が、ご飯を食べて、走って、笑って……それがどんな風に成長していくのか、見たくないわけがないっ!」
御飯さんは、涙を堪えるようにボロボロと溢れる雫を拭った。
その姿に、私の前世の記憶が完全に重なる。九十歳まで生きた私の、人生最後の生き甲斐もまた、孫の成長だった。孫が歩いた、小学校に入った、そんな些細な一つ一つが、どれほど老人にとっての生きる糧になるか、痛いほどによく分かる。
「だったら……だったら、一緒に見届けましょうよ、御飯さん!」
私は一歩踏み出し、すがるように訴えかけた。
「しかし……もし未来が変わってしまったら……。幼い子の未来のために、老兵が犠牲になるのも、祖父としての役目というものじゃろう」
「いいえ、悟空はどんな未来が来ても負けません!」
私は御飯さんの肩を掴まんばかりの勢いで、力強く断言した。
「悟空は強い子です! たしかに、あなたが生き延びたことで、未来の形は変わってしまうかもしれない。だけど、悟空なら……あの孫悟空なら、どんな未来が来ようと、どれほど過酷な運命が襲ってこようと、絶対に、絶対に乗り越えられます!」
私は大きく息を吸い、さらに続ける。
「それに、悟空はいずれ父親になります。その時に、自分の子に『御飯』って名前を付けるんですよ。それだけあなたを慕ってるんです!」
私の魂の叫びのような言葉に、御飯さんはハッと息を呑んだ。静まり返った山の中で、御飯さんはじっと考え込むように視線を落とし、やがて、深く、深く息を吐き出した。
「……確かに、炒飯くんの言う通りかもしれん。わしは、あの悟空の力を信じ切れていなかったのかもしれん。悟空なら、どんな困難が来ても、きっと乗り越えてみせるじゃろうな」
「そうですとも! 何と言っても、世界一……いえ、この広い宇宙で一番強くて勇敢なんですから!」
私の言葉に、御飯さんは涙を拭い、いたずらっぽく、しかし武道家としての純粋な知的好奇心を燃え上がらせて目を輝かせた。
「なあ、炒飯くん。それは……あの武天老師様よりも、強くなるのかね?」
「ええ、もちろんです! 武天老師様なんて目じゃありませんよ!」
「ははは……! 見たい、そんな強い悟空を、わしは何としても見たいぞ! そんな悟空を見ずに、たかが運命ごときに負けて死ねるものか!」
御飯さんの顔に、いつもの、いや、それ以上の力強い覇気と笑みが戻った。その瞳には、自分の寿命を全うし、孫と共に生き抜くという確固たる意志が宿っている。
「その意気ですよ、御飯さん。私たちは、これから運命と戦わなくてはいけないんですから」
私はようやく安心感からホッと微笑むことができた。パオズ山の夜空を見上げると、満月は相変わらずそこにあった。
【最上の解決策】
「では、炒飯くん。今後はどうするつもりじゃ?」
焚き火の燃え殻を囲み、静けさを取り戻したパオズ山の夜気の中で、御飯さんが問いかけてきた。
毛布にくるまって無邪気に眠る悟空の背中を愛おしそうに見つめながらも、その横顔はすでに「次の悲劇」を予防するための現実的な思考へと切り替わっている。
「そうですね……。とりあえず、いくつか大猿化を防ぐための具体的な方法を考えてあります」
私は地面から立ち上がり、衣服についた土を払いながら指を折った。頭の中には、西の都で得た強力なコネクションがある。
「一つは、尻尾は切ってもいずれまた生え変わりますから、その度に切断してしまう。これが一番手っ取り早くて確実です。次に考えたのは、私の知り合いに、ある天才科学者がいます。その方に事情を相談すれば、大猿化を抑制する薬を作ってくれるかもしれない。あるいは、満月の特殊な波長だけをカットして、見ても大丈夫になるゴーグルを開発してもらうとか……」
世界最高の頭脳であるブリーフ博士なら、それくらいの発明は朝飯前のはずだ。科学の力で呪わしい血統のバグを封じ込める。我ながら現実的で、かつ安全な方法だと思った。
しかし、私の提案をじっと静かに聞いていた御飯さんは、少しの間を置いてから、静かに首を横に振った。
「いや……それではその場しのぎにしかならん。根本的な解決にはなっておらんよ」
「え? とは言え、根本的な解決となると……あとは、武天老師様に頼んで、あの夜空に浮かぶ『月そのものを破壊』してもらうくらいしか……」
のちの天下一武道会でジャッキー・チュンが本当にやる力技を半分冗談交じりに口にすると、御飯さんはふっと髭を揺らして笑った。
「いいや、この美しい月を壊してしまうなど、人類全体の損失じゃ。わしはこれからも月見を楽しみたいしの。……炒飯くん。わしは常日頃から悟空に、己の弱点である『尻尾』を掴まれても平気なように、しっかりと鍛えるよう言い聞かせておった。それと同じことじゃよ」
「……それと同じ、ですか?」
言葉の意味が掴めず、私が首を傾げると、御飯さんは最もシンプルで、最も美しい回答を口にした。
「修行じゃよ。例え大猿の姿になっても、己を見失わず、自我を保っていられるように、あの子の精神面を根底から鍛え上げるのじゃ」
「ッ……!」
その言葉は、私の胸の奥にガツンと強烈な衝撃を与えた。
御飯さんの提案は、私の出したような道具や小細工に頼る回避策ではない。孫の身体に眠る恐るべき獣の遺産から逃げることなく、真っ向から向き合って『克服する』という、あまりにも前向きで力強い武道家としての答えだった。
そうだ……そういえば、そうだった……!
私の脳裏に、前世で読んだ遥か未来の記憶が蘇る。
かつて地球を襲撃してきたサイヤ人のエリート・ベジータは、大猿化しても理性を完全に保ち、普通に言葉を操り、自らの意志で戦っていた。サイヤ人の上級戦士にとって、大猿化の制御は当然の技術なのだ。
ならば、大人になれば自然に、いや――この幼い頃から、御飯さんのような最高の指導者のもとで厳しい鍛錬を積めば、悟空なら必ずその領域に到達できる。
じわじわと、顔から火が出るような気恥ずかしさが私を襲った。
さっきの私は、御飯さんに向かって「悟空ならどんな運命も乗り越えられる」「あの子の可能性を信じよう」などと偉そうに大演説をぶち上げたばかりだ。
それなのに、どうだ。私自身が一番、悟空の可能性を信じ切れていなかったのではないか。
化け物になるからと尻尾を切り、科学の力で体質を変化させる。悟空を「大猿化という難病を抱えた子供」として扱い、いわば「去勢」しようとしていたのだ。
御飯さんは違う。あの凶暴極まりない破壊の化身を目の当たりにした直後だというのに、それでもなお「あれも悟空の一部だ」と受け入れ、それを制御してさらに強くなる未来を信じている。
本当に悟空の可能性を無限に信じ、その手を引こうとしていたのは、私ではなく、この世界一優しいおじいちゃんの方だったのだ。
「……参りましたね。本当に敵いませんよ、御飯さんには」
私は頭を掻きながら、自嘲気味に微笑んだ。その胸の中は、恥ずかしさよりも、この素晴らしい教育者のもとで生き永らえることになった孫悟空の未来への、途方もない期待と安心感で満たされていた。
【満月の呪いを乗り越えて】
満月の夜が訪れるたび、私は東の都から飛行機を飛ばしてパオズ山へ赴いた。二人の過酷で、そして地道な修行の立ち会い人となるためだ。
最初は尻尾が生えていない時期を狙い、満月をただ見上げながら座禅を組ませて精神を統一する訓練から始めた。次に、尻尾が生え変わってからは、あえて大猿に変身させ、巨体の中で暴れ狂うサイヤ人の本能を必死に抑え込ませる実践訓練へと移行した。
制御を失って暴れ出せば、私と御飯さんで即座にかめはめ波や刃物を用いて尻尾を切断する。そんな一進一退の、血の滲むような精神修行を繰り返すうちに、気がつけば『八年』という長い歳月が流れていた。
四歳だった悟空は十二歳になり、私は十五歳から二十三歳になっていた。
そして、その夜もパオズ山の頂に、不気味なほどに真円の満月が昇った。
ゴゴゴゴゴ……と大地を揺らす地鳴りと共に、悟空の身体が巨大化していく。だが、誕生した大猿は、これまでのように咆哮して周囲を破壊し尽くすことはなかった。激しく肩を上下させ、荒い息を吐きながら、その場にじっと立ち尽くしている。内なる獣の衝動と、悟空自身の魂が、肉体の中で激しくせめぎ合っているのが見て取れた。
その大猿の足元で、御飯さんが見上げるようにして声を限りに叫んだ。
「悟空! 目を閉じなさい! 本能に呑まれるな、己の心を見つめるんじゃ!」
御飯さんの力強い声が、大猿の脳裏へと届く。
次の瞬間、大猿となった悟空は、己の意志の力でぎゅっと大きな瞼を閉じた。すると、数十秒ほどの凄まじい静寂ののち、巨体がみるみるうちに縮み始めていく。黒い剛毛が消え、異形の顎が引っ込み、一人の見慣れた少年の姿へと戻っていった。
ドサリ、と地面に手をついた悟空は、肩を大きく揺らして強い疲労の表情を見せていたが、その顔には最高に晴れやかな笑みがあった。
「へっへっへ……見たか、じっちゃん。オラ、耐えられたもんね……」
「見事じゃ! よくやったぞ、悟空!」
御飯さんが一目散に駆け寄り、泥だらけになった悟空の身体をその腕で力強く抱き締めた。
原作の歴史では決して起こるはずのなかった、奇跡の光景。悟空はついに、自らの意志で大猿状態の衝動をねじ伏せ、変身を強制解除する術を身につけたのだ。
「だが、まだまだこれからじゃぞ。次はその大猿の姿のままで、己の意志を保ち、自由に動き回れるようにならなければいかんからな」
頼もしい孫の成長に目を細めつつも、武道家としてさらなる高みを見据えて微笑む御飯さん。そんな二人のやり取りの最中、私はガサガサと藪をかき分け、熊のような大型の猛獣をズリズリと引きずりながら姿を現した。
「そんなすぐ一足飛びにはできませんよ、御飯さん。それより、自分の意志で元に戻れるようになったお祝いとして、御飯にしましょう。美味しそうなヤツを仕留めてきましたよ」
この八年、私はただ二人の修行を眺めていたわけではない。ちょこちょことパオズ山に通う傍ら、御飯さんから直々に武道の手ほどきを受けていたのだ。前世のヨボヨボだった身体とは違う、若く動ける今世の肉体。そして世界最高峰の達人による指導。いつの間にやら、私はパオズ山の猛獣くらいなら一人で屠れるほどの、確かな強さを手に入れていた。
「おお! 旨そうだな、
私の姿を見るなり、悟空が尻尾をちぎれんばかりにパタパタと振って駆け寄ってきた。
八年という月日を共に過ごすうちに、私は悟空にとって、じっちゃん以外で初めて深く関わった人間となり、すっかり実の「兄」のように慕われるようになっていた。
「よし、それじゃあ特製のタレで豪快に丸焼きにするか」
私は仕留めた猛獣を火にかけ、じっくりと焼き始めた。香ばしい匂いが、パオズ山の清涼な夜空へと立ち昇っていく。
本来なら、御飯さんは死に、悟空は天涯孤独の身として寂しく暮らしていたはずの時期だ。しかし今、ここには優しく笑い合う御飯さんがいて、私のことを「兄ちゃん」と呼んでくれる元気な悟空がいる。
私たちは焼き上がった肉を囲み、今日の快挙をみんなで談笑しながら、豪快にその肉を喰らった。運命の夜を乗り越えたパオズ山に、三人の温かい笑い声がいつまでも響いていた。
【魔訶不思議アドベンチャー!】
その翌日、いつもなら鳥のさえずりと風の囁きしか聞こえない静寂のパオズ山に、場違いで騒々しいエンジンの駆動音が鳴り響いた。
何事かと思い、私と御飯さんが家の窓から外を覗き込む。
そこに停まっていたのは、この大自然にはおよそ不釣り合いな一台の洗練された自動車だった。そしてその前では、ピンク色の服を着た小柄な少女が、怪訝そうな顔で悟空ともめている真っ最中だった。
ついに、この時が来たんだな……。
眩いばかりの青髪をなびかせるその少女の姿を見た瞬間、私の胸に熱いものが込み上げてきた。ブルマだ。のちに悟空の世界を大きく広げることになる、運命の少女。ついに、すべての始まりである『ドラゴンボールの旅』が、このパオズ山にやってきたのだ。
私が意を決して家の外へ出ると、悟空に文句を言っていたブルマが不意にこちらを振り向き、その丸い目を見開いた。
「あら? あなた……チャーハンじゃない! なんでこんな山奥の秘境にあなたがいるのよ?」
「えっと、まあ、彼の友達なんでね」
私は苦笑いしながら答えた。あの日、西の都を飛び立って以来、私はパオズ山での修行の合間を縫って、ブリーフ博士の研究所にもちょこちょこ足を運ぶようになっていた。そのためにブルマともすっかり顔見知りになっていたのだ。
「ふーん、そうなの。だったら話が早いわ!」
ブルマは少し驚きつつも、すぐにいつもの快活な調子を取り戻すと、背負っていたリュックサックからオレンジ色に輝く星入りの玉を取り出した。
「ねえねえ二人とも、こんな不思議なボールを見たことない? 私はこれを探して旅をしてるのよ」
ブルマの手元で鈍く光る二つ星の玉(
「あれ? それ、前にじっちゃんが山で拾ってきた玉にそっくりだぞ」
「本当!? やっぱりここにあるのね! ねえねえ、それ私に譲ってくれない?」
ブルマは勝利を確信したように身を乗り出したが、悟空はきっぱりと首を横に振った。
「駄目だよ。あれは、じっちゃんの大切な宝物なんだ」
悟空が頑なに拒むその様子を、部屋の中から温かい目で見守っていた御飯さんが、手元に四つの星が刻まれた玉――
「構わんよお嬢さん。この玉、好きに持っていきなさい」
「本当!? 話せるわね、お爺さん! お礼に、パンティでも見せてあげようか。ちょっとくらいなら触ってもいいわよ」
ブルマは調子よくそう言うと、いたずらっぽくスカートの裾を軽くつまみ上げた。だが御飯さんは、ハッハッハと豪快に笑ってそれを綺麗に受け流した。
「ほっほっほ、そいつは結構じゃよ。その代わりと言っちゃなんじゃが、そこの悟空をお前さんの旅に連れていってはもらえんかね?」
その提案に、ブルマは怪訝そうな顔をし、悟空もまた「ええっ!?」と驚きの表情を浮かべた。
だが、これは以前から、私と御飯さんとの間で密かに決めていたことだった。『もし、ドラゴンボールという玉を探しに来る風変わりな女の子がパオズ山に現れたら、悟空をその旅に同行させよう』と。
「お爺さん、悪いんだけど、私の旅はとっても危険なのよ。そんな小さな子供のお守りなんてしてる余裕はないわ」
ブルマの現実的な拒絶に対し、御飯さんはどこまでも自信に満ちた笑みを崩さない。
「ほっほっほ、だからこそじゃよ。この悟空は強いぞ。きっと、お前さんの旅の大きな助けになってくれるはずじゃ」
「ええーっ、オラやだよ。じっちゃんとここにいる方が楽しいもん」
渋る悟空の肩に、御飯さんは優しく手を置いた。
「いいか悟空、これは修行じゃ。このパオズ山を出て広い世界を見ることは、お前を一回りも二回りも大きく成長させてくれる。それに……か弱い女の子を守ってやるのが、男の子の務めというものじゃぞ」
「おんな……? じっちゃん、女って何だ?」
悟空は不思議そうに首を傾げた。人間の関係性は教えたが、性別の違いまではまだ教えていなかったのだ。御飯さんは諭すように語りかける。
「いいか、人間にはな、男と女という二種類があるんじゃ。わしや悟空、炒飯くんは『男』、そこのお嬢さんが『女』というわけじゃな」
「ふーん……」
悟空はじろじろとブルマの身体を観察するように見つめた。
「お前、女なのか? 女っていうのは、なんだか細っこくて弱っちそうだな」
「そうじゃ。だからこそ、お前がその強い力で彼女を守ってやるんじゃよ」
二人のやり取りを聞いていたブルマが、不機嫌そうに眉を釣り上げた。
「ちょっと、さっきから勝手に話を進めないでよ! 自分の身くらい自分で守れるわ。私にはこれがあるんだからね!」
そう言うと、ブルマは車のシートからお馴染みのサブマシンガンを取り出し、銃口を空に向けて構えてみせた。現代科学の武器の威力を誇示するブルマに対し、御飯さんは軽く笑いながら、視線の遥か先にある大きな奇岩の一角を指し示した。
「それでは悟空、あそこにある岩に向かって、あれを見せてやりなさい」
「おう、わかった! あの岩だな!」
「?? な、何をする気なのよ?」
ブルマが呆然とする中、悟空は小さく息を吸い込み、腰を深く落として両手の付け根を右腰の後ろへと引いた。
「……え!?」
その構えを見た瞬間、今度は私が声を上げてしまった。
まさか、悟空はもう、自分の意志でこれをコントロールできるのか。原作の歴史では、武天老師様がフライパン山の火を消すために放ったかめはめ波を、悟空が見様見真似で初めて放ったはずだ。冒険が始まる前の、この段階で撃てるはずがない。
だが、理由はすぐに察しがついた。
御飯さんが死ななかったことで、悟空の『冒険の始まりの時点での強さ』は、本来の歴史よりも遥かに底上げされていた。
「か……め……は……め……」
悟空の小さな手のひらの間に、爆発的な輝きを持つ青白い光球線が収束していく。その凄まじい気の高まりに、ブルマのマシンガンがカタカタと震えた。
「波ーーーーーーーッ!!」
小さな身体から放たれたとは思えない極太の閃光が、パオズ山の空間を切り裂いて一直線に飛んだ。
ズガガガガガアアンッ!!!
遙か遠方にそびえ立っていた巨大な切り立つ奇岩が、一瞬にして光の中に消え去り、跡形もなく木っ端微塵に粉砕された。凄まじい爆風が私たちの髪を激しく揺らす。
ブルマは持っていたマシンガンを地面に落とし、文字通り目を丸くして、顎が外れんばかりに驚愕していた。
「スゴい……! スゴいスゴいスゴいーーーっ!! あんた、チビなのにとんでもなく強いのね!」
「チビは余計だぞ!」
悟空はむっとしながらも、ニカッと得意げに笑った。御飯さんは満足そうに髭を撫でる。
「どうじゃお嬢さん、悟空を旅のお供に連れていってもらえるかな?」
「ええ! こんな強いボディーガードがいてくれるなら、むしろこっちからお願いしたいくらいよ!」
ブルマの態度は一変し、興奮気味に快諾した。こうして、いよいよ運命の歯車が完全に噛み合った。ブルマは車をホイポイカプセルに戻すと、旅に適したバイクを新しく展開させ、悟空を後ろに乗せた。
「それじゃ、じっちゃん! ちょこっと行ってくる!」
「ああ悟空、気をつけていくんじゃぞ。帰ってきたら、楽しい土産話をたくさん聞かせておくれ」
「ああ! 帰ってきたら、いっぱい話してやるよ!」
バイクの後部座席から、悟空がちぎれんばかりに手を振る。
「さあさあ! 楽しい旅にレッツゴーよ!」
ブルマがアクセルを大きく吹かすと、小気味よい排気音を残して、バイクはパオズ山の険しい道を猛烈な勢いで駆け抜けていった。
「バイバーーイ! じっちゃーーん! 兄ちゃーーん!」
遠ざかっていく悟空の元気な声が山々にこだまする。
私と御飯さんは、その小さな背中が見えなくなるまで、いつまでも並んで手を振り続けていた。
隣を見る。そこには、本来なら大猿に踏み潰され命を落としていたはずの、世界で一番優しいおじいちゃんが、未来への希望に満ちた眩しい笑顔で孫の旅立ちを見つめている。
そしてその旅へと向かった少年は、もう、自分が大猿になって大切な人を傷つけるかもしれないという呪わしい恐怖を、その小さな身体で完全に克服しているのだ。
パオズ山のどこまでも澄み切った青空を見上げながら、私は胸いっぱいの達成感と共に、新しく紡がれるであろう、どこまでも明るい世界の未来に、静かに想いを馳せるのだった。
【エピローグ:待っている幸せ】
バイクのエンジン音が完全に遠ざかり、パオズ山にいつもの静寂が戻ってきた。
宙に舞っていた土煙がゆっくりと地面へ落ちていくのを見届けながら、御飯さんがふと、隣に立つ私を振り返った。
「時に、炒飯くん。……君は行かなくて良かったのかね? 今の君の強さがあれば、悟空の冒険に付いていく事もできただろう」
その優しい問いかけに、私は小さく首を振って微笑んだ。
「私はいいんです。こうして御飯さんのお茶飲み友達でいられるくらいのポジションが、私には一番性に合っているんですよ。それに……今は、自分の稼業の方も色々と忙しいですからね」
そう。八年という月日の間に、私の周囲の環境も大きく様変わりしていた。
現在、私は『カプセルコーポレーション』の提携会社の社長として、東の都におけるホイポイカプセルの製造や販売を統括する、重要な役割を担っているのだ。
あの日、私が西の都を訪れてからわずか半年後。ブリーフ博士の手によって、ついにホイポイカプセルは実用化の産声を上げた。
どんなに巨大な物でもポケットサイズのカプセルに収めてしまうという世紀の大発明は、市場に出回るや否や、文字通り飛ぶように売れた。元々天才として有名だったブリーフ博士の名は、いよいよ不動のものとして全世界へと響き渡ることになる。
それは同時に、社会の構造そのものを根底から変える大きな変革でもあった。
あまりに便利すぎるカプセルの登場によって、これまでの物流や倉庫業など、中には時代の波に押されて滅んでしまった業種もある。だが、失われた仕事以上に、この大発明は遥かに多くの新たな雇用を世界に生み出していった。
博士は、捨て猫や捨て犬、捨て恐竜たちを次々と拾って庭で育てるのと同じ感覚で、社会の変革によって職にあぶれてしまった人々を、カプセルコーポレーションの広大な工場や流通部門へ片っ端から雇い入れていったのだ。
その結果、かつては貧富の差が激しかった西の都からは、完全にホームレスの姿が消え失せてしまった。西の都のあの企業は、今や世界で最も人々に愛される巨大企業へと成長を遂げていた。
――そして今、あのバイクに乗った少女が、悟空を伴って新しい未来のトビラを開け放って飛び出していった。
本来の歴史とは、もう何もかもが変わっている。悟空がこれから一体どのような冒険を繰り広げ、どんな強敵と出会っていくのか、前世の記憶を持つ私にすら、もう正確な展開は分からない。
だが、何の心配もいらなかった。あの優しく、そして圧倒的に強い御飯さんに思う存分育てられた悟空なら、これからどんな困難や過酷な運命が待ち受けていようとも、きっとワイルドに、きっと逞しく、乗り越えていくだろう。
「さあ、御飯さん。悟空が帰ってきたときのために、干し肉でも仕込みましょうか」
「ほっほっほ、そうじゃな。あやつはすぐにでも強くなって、帰ってくるじゃろうからな」
いつの日か、あのツンツン頭の少年が、世界中を驚かせるような大冒険の思い出をその胸に抱えて、優しいおじいちゃんの待っているパオズ山へと帰ってくる。
その時、彼の口から語られるとびきりの土産話を、縁側で美味しいお茶をすすりながら一緒に聞くのが、今から楽しみで仕方がなかった。
おしまい☆
【あとがき】
初のリクエスト作品、まずは無事に完結にこぎつけられた事にホッとしております。MYさん、リクエストありがとうございました。
今回いただいたプロットの中に『天寿を全うして転生したオリ主による孫御飯の救済』とあったのですが、この設定が本当にハマったなあと思います。
『孫を見守るお爺ちゃん』という共通項が孫御飯と魂のレベルで共鳴し、本音を吐き出すシーンは、筆者一押しのエモシーンです。手前味噌で恐縮ですが、非常にエモーショナルな孫御飯を書き表す事ができたのではないかと思います。
ちなみに執筆中、数時間に渡ってひたすら『ロマンティックあげるよ』を流しながら、テンションアゲアゲで作業を進めておりました。
恐らく、YouTubeに上がっている『ロマンティックあげるよ』の『歌ってみた動画』は全部聴いちゃったかも知れません。どの歌い手さんもみんなクオリティ高いです。耳が幸せでした。
それにしても、やっぱドラゴンボールはマジで名作ですね。鳥山先生、こんな名作を残してくれてありがとうございました!
しかも、今回は結構な長文だったと思います。ここまで読んで下さった皆様にも感謝いたします。