トリニティ総合学園庭園部へようこそ!   作:一生ホームアローンマン

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38話 宿題と約束と

「ふぅ……見苦しい所をお見せして申し訳ありません。ペロロ様は不滅なので、私は大丈夫です

 

 本当に大丈夫か? 

 若干影のある表情で、しかし一応ペロロ像崩壊のダメージから立ち直ったらしいヒフミちゃんは再び例のメモ用紙を取り出す。

 

「次は、ええと泳ぎを習得する……ですね。泳げない人に教えているところを写真に撮る感じでしょうか」

 

 ハスミ先輩からのミッションをこなしていく流れは継続らしい。まあ内容的に特に文句もないしな……。

 などとぼやっとしていた所、すっと一同の視線がこちらを向く。え、な、なんだよ。どうやって俺が泳げないって証拠だよ。

 こちらを見ながら、みんな次々に自分は泳げると宣言していく。

 

「俺も泳げますけど……?」

「最初は溺れているのかと思った。あれは泳げるとは言い難い」

 

 反論を試みるも、アズサちゃんに情け容赦なくバッサリぶった斬られる。そ、そんなことねえだろ! 去年のプールでもバッチリ泳げたわい。ねえヒフミちゃん?

 

「ええと、あはは……」

 

 助けを求めてそちらを見ると、ヒフミちゃんはいつもの苦笑いでお茶を濁す。ま、まあ大半浮き輪の上で流れるプールの水の流れに身を任せていたけどさ……。 

 

「体の一部や翼が大き過ぎて浮力のバランスが悪いのでしょうね。ハスミ先輩も水泳苦手でしたし*1

「……そうだな」

 

 マシロちゃんとツルギ先輩も同意し逃げ場がなくなる。

 いやまあたしかにさ、水を弾くクソデカ羽のせいで付け根の腰のあたりが浮きまくるし、おっぱいのせいで上半身も妙な感じになるし*2、つっかえるからクロールは物理的に不可能だし、水の抵抗受けまくりで激遅平泳ぎとか犬かきじみた泳法しかできないことは認めよう。

 

 それこそ高所から叩き落されるとかでもしない限り沈まないこの体が水泳に向いていないのは分かっている。でも泳げないってわけではないぜ。

 浮くし進むし泳げてるって言っていいだろう!? 

 

「では教わる役はワカナちゃんとして、教える役は……ええと、どうしましょうか」

「……私がやろう」

 

 あ、あれぇ。俺の意志をすべて無視して話が進んでいく。

 すっと前に出たツルギ先輩が俺の手を取る。

 

「いくぞ」

「え、あ、はい……」

 

 もしかしてぇ、スパルタですかぁーッ!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……そう、翼はボートのオールのように。常に角度を意識して」

 

 程よい深さの所に移動した後、まずは手本をと言って先程も見せてくれたようにぎゅんぎゅんすごい速さで泳ぐパイセン。

 抵抗が少ないタイプの翼だから参考にならないかもしれないなどと言いつつも、まあお見事であった。

 そして今は普通に両手を引かれながら有翼泳法基礎講習中。全然スパルタでなく理詰めかつ段階を踏んで真面目に進められていく。

 

 最近の正実訓練がキッツい実戦だから忘れてたけど、パイセン普通に教えるの丁寧なタイプでしたね……。

 まずは手足を動かさず、羽の動かし方に集中。地上でぶん回す分にはだいぶ慣れたんだけど、やっぱり細かい動きは難しい。だって羽だぜ?

 そんな繊細な動きが普段からできてたら、とっくに物引っ掛けて落っことすとかドアに挟まれる系の事故ゼロになってますよ。

 

「運動神経の問題もあるが、訓練でどうとでもなる範囲だ。ハスミはやりたがらないが、ワカナはこの一年程で随分良くなった」

 

 わぁ、褒められた!

 まあパイセンに鍛えられて強くなった部分は非常に大きい。……こんなとこでまで訓練することになるとは思わなかったけど。

 

「だが翼の扱いに関しては、まだ。……直接的な打撃や防御などは、言うなれば横道。本領は姿勢制御だ」

 

 四肢を十全に扱いつつ、翼をバランサーとして通常の人間では不可能な挙動を行う。場合によっては簡易的な空中制動や加減速まで。

 ツルギ先輩が訥々と語ることには、それらに熟達することで戦闘者として一段上に進めるとか……。言われてみれば確かにちょくちょく意味不明でバグみたいな挙動してたなこの人、あとミカ様も。

 

「マシロは動ける方だが狙撃手としてハスミの系譜。イチカや他は正実として集団戦の基本的な動きを突き詰める方向……。私の技を伝える相手は居なかった」

 

 赤い目がジッとこちらを射抜く。大体バケモンみたいな表情してるし、謎の奇声あげまくるし、変な人だ。

 変な人だが、乙女な顔してたり、こういう真面目な顔してるとマジで普通に美少女で困る。バシャバシャと俺の羽が波を切る音だけが、しばし。

 

「近接戦闘など、危険が増えるばかり。それが不要な戦術を磨き上げるほうが賢い。分かっている。……だが、残せるとなれば欲が出る」

 

 ニヤリと、いつもの恐ろしい顔で笑った。全然怖くはなかったけれど。

 

「私の引退までに、自力で一本取れるようになれ」

「……うす」

 

 水泳の訓練は翼の制御に慣れるのにいいから、帰ってからもやるぞ。でも、今日は遊びに来たのだから、これで終わり。

 そう言ってパイセンは俺を引っ張る手を離して、ぎゅんぎゅん勢いよく泳いで浜まで戻っていった。なんかとんでもない宿題を渡されてしまった気がするぞ……。

 

 いや無理やろという気持ちと、どうにか期待に応えたいなと言う気持ちの板挟みになりつつも、教わったとおりに翼でスイスイ……。まだぎこちなくておっそいけれど、犬かき平泳ぎもどきとくらべたら格段に速く、俺もみんなの所へ。

 浜にあがってみれば、なんか知らないけどまた来たらしいチンピラたちがボコられて埋められていた……。いや、字面の事件性がすごいな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、これで二つ目。悪くないペースだ。ヒフミ次のミッションは?」

「そうですね……ちょうどお昼ですし、海の家、にしましょうか。普通に行って、食事をしているところを撮れば良さそうです」

 

 確かにお腹が空いてきたタイミング。有名な店で、チーズ明太焼きそばが名物だとか。

 B級感溢れているが、それこそまさに海の家に求められるものだろう。楽しみ楽しみ。

 

「いらっしゃいませ~! あ、リンゴ園の人だ! こんなとこで会うなんてビックリ!」

 

 そしてその海の家についてみれば、なんかどっかで見たことある気がする女が店番をしていた。……こいつ、ハンバーガー女じゃねえか……!

 なんか知らんが海の家で働いているらしい。マシロちゃんとツルギ先輩もこいつゲヘナでは? 処す? 処す? みたいな感じに……いやツルギ先輩はスルーしてるわ。

 

「この間は伝説のリンゴありがとね*3。フウカがお菓子とかジャムとか色々作ってくれて、すっごい美味しかったよ~!」

「???」

 

 何言ってんだこいつ……? 首を傾げていると、先生さんとも楽しそうに話しだす。どうやら知り合いらしい。こんなところでなにやってんだと思ったが、どうも普通にバイトしてるだけの様子。

 ここであったが100年目と行きたい気持ちもなくもないが……まあいいか。次ウチのシマであったときは容赦しねえぞということで……。

 

「さあ、せっかく来てくれたんだし、私の新作を味わってよ!」

「ふむ、メニューの名前がすごく斬新ですね。牡蠣氷、チョコミント焼きそば、練乳冷やし中華、なまこジュースのチョコレートがけ……。ユニークですね。良いセンスです」

 

 微妙に不穏な空気もあったが、なんだかんだで普通にメシ食う感じの流れになり、バーガー女がニコニコしながらメニュー表を差し出す。しかしマシロちゃんが読み上げるその内容は不穏の一言。

 ユニークってか、どう考えてもゲテモノスイーツじゃんね。先生さんもなんか言いたそうな微妙な顔してるし……。

 明太チーズはどこ行ってしまったんだ? 完全にジャンクな味濃いもの食べるお口になってたんだがどうしてくれる。

 

「では、私はこの牡蠣氷というのを。先輩は何にしますか?」

「……チョコミント焼きそば」

「私はなまこジュースのチョコレートがけにしますね。アズサちゃんは……」

「うん、練乳冷やし中華。先生とワカナは決まった?」

 

 あ、マジ? 

 みんなサクサク注文していき、残るは手書きのでっかい文字で書かれたメニューを抱えて固まる俺と、静かに目をそらす先生だけだ。

 みんなこのメニューに特に疑問はないんだ? 

 

 いや、俺と先生だけが分からんということは、今時JKのセンスに合致しているということなのか? 

 メンダコ*4とかサカバンバスピス*5とか意味不明なもんがちょいちょい流行るしなJK界隈……。

 

 そう思うとなんとなくイケてるようにも思えてきた。

 バーガー女は給食部だか美食研究会だかの一員らしいし、そんなやつがマズイもんだしてくるはずもないしな。

 

「じゃあ俺もチョコミント焼きそばで」

 

 明らかにヤバそうな魚介系をチョイスしないのは若干日和った感もあるが、当初の予定通り焼きそばをということでツルギ先輩に被せる。

 歯磨き粉の味がすると言っておけばウケが取れそうだし安牌とみた。

 

「オーダー承りました~! あ、先生はどうする?」

「わ、私は……くっ!」

 

 すげえ葛藤するじゃん……。普通大人なら、嫌なら嫌でさらっと飲み物だけ頼むとかそういうかわし方を心得てるもんだが。

 ……ああ、バーガー女が満面の笑みでニッコニコしてるから。なるほどね、それで断れないのか。難儀だのう。

 

 お腹減ってないならチョコミント焼きそばシェアする? とか、おじさん(?)仲間として助け舟でもだしてやろうかと思っていた所、微妙な沈黙を破る銃声が。

 

「ナンオラー! スッゾコラーッ!」

「出てこいやこのバイオ・テロリストがっ!」

「お前のせいでアタシらのヘッド*6は今でもトイレに篭りっきりでぴーぴーしてんだぞ!!!」

 

 なんかさっきからちょいちょい見かける水着のチンピラたちが銃乱射しつつ店の表で大騒ぎしているようだ。

 

「あああっ!! 私の……じゃないけどお店が!!!」

「こんな店ぶっ潰しちまったほうがキヴォトスのためだ! いくぞォーッ!!!」

 

 銃声と物が壊れる音が続き、あわてて飛び出したバーガー女の情けない悲鳴が響く。

 なんかこう、チンピラの人々のセリフが不穏なんだけど、これはどっちに味方するべきなんだ……? 

 なんなら静観すべきか、と思っていると、席についていた面々は、っていうかヒフミちゃん以外が手早く装備を確認して立ち上がる。

 

「よくわからないけど、攻撃を受けたからには応戦すべき」

「食べ物を粗末にするなどというとんでもない悪の行い、見過ごすわけには行きません!」

「……行くぞ」

 

 ジャカジャカと装填音が響く。ツルギ先輩が飛び出し、マシロちゃんが後に続き、アズサちゃんはフォローに入る。

 

「さあ、正義の鉄槌を!」

 

 銃声と物の壊れる音が倍になり、バーガー女の断末魔の悲鳴が……。

 先生はこの状況でゲテモノ回避にちょっと安心した顔をしているし、あんたも随分キヴォトス(ここ)に慣れたのね……。

 

「……え、ちょっ、これ何度目ですか!?」

 

 どう考えても過剰戦力だが、多少なり器物損壊の被害を減らせるだろうか。度重なる襲撃で若干涙目のヒフミちゃんに先生を任せて俺も出陣。

 店を包囲するチンピラ軍団はツルギ先輩が近寄っただけでガン逃げして包囲にでっかい穴が開く士気の低さ。

 店の屋根に陣取ったスナコンビは的あてゲームよろしくガンガン敵を減らしているが、やはり範囲攻撃が不足気味だろうか。

 

 海仕様ペロロ棒……透明デカペロロバッグを被せた丸ノコくんからバッグを取り払い、ギュンギュン回すといつもよりグッと力強い手応え。回転速度が下がってトルクが上がってるような気がする。

 とりあえず新技クソデカ火炎斬りで近場の奴らをまとめて薙ぎ払う。

 

「ぎゃーッ!?な、なんでこいつらがここにまでッ!?」

「知らねえよッ!芋引くわけにはいかねえんだ!とにかく囲んで削れ!」

 

 ツルギ先輩が端からガシガシ削っているが、数が結構多い上に散開して岩やら瓦礫やら遮蔽を盾にちまちま攻撃してくるのでなかなか面倒な感じに。

 ではせっかくだしさらに新技開発だ。普段は放っといてもあふれるサラサラした炎をばらまくように使っているが、今日はややネットリ気味の炎を溜めて溜めて、綿あめ作るみたいな気持ちでぐーるぐーる……。

 丸ノコくんの側面に密度の高い火の玉を形成。キラキラファイアー大火球の術~、ということでそのまま遠心力を活かしたカタパルト投擲。

 

 巨大な火球は遠くの岩陰から地道に攻撃していた敵集団へ着弾、ド派手に爆発炎上。範囲と持続では普段着のほうが上だが、瞬間火力では水着って感じだろうか。

 さらに当たらずもビビって岩陰から飛び出したチンピラたちをツルギ先輩がぶちのめしたりスナ組が脳天ぶち抜いたり。やっぱ過剰戦力だったかもしれないが、ともかく景気づけにドンドン爆破していこう。どっせーい! 

 

 よらば火炎斬り、逃げれば大火球でチンピラ軍団をバシバシ炎上させていく。

 溜め具合とか射出角度とか色々条件を変えるたびに爆発具合も変わってなかなか楽しい。射出後も微妙に誘導かけれるし、魔球的なのも……! 

 

 などと適当にやっていたら、いつの間にかチンピラ軍団は全滅していた。

 勝っても特になにも得るものはなく、結構立派できれいだった海の家はすっかり散らかり、敗者はぶっ倒れた仲間たちを引きずりつつ捨てゼリフ。

 ……戦いは虚しい。いやまあちょっと楽しかったけどもさ。

 

「みんな本当にありがとう! おかげで助かったよ! お礼にっていうのもなんだけど……とりあえずこれ、みんなに!」

 

 荒れてしまった海の家をざっくり片付け、一息ついたところでバーガー女がトレイに飲み物をのせてやってくる。

 

「あ、これはタダだから! 感謝の気持ち! さあ、ぐいっと飲んじゃって!」

「見返りを求めていたわけではないのですが……ありがたく頂戴しますね」

 

 灰色のどろどろした……一見してなんかヤバそうと分かる謎のウェルカムドリンクである。しかしみんなは特に疑問が無いようで、マシロちゃんから順番にぱぱっと取っていく。

 これも今時JKには普通のやつなのだろうか……。先生もややためらった後、ドリンクを手に取る。

 

「では、お店の無事を祝して! カンパ~イ!

 

 バーガー女の音頭とともに、みんな一斉にぐいっと行っている。

 ここで怪しいからやめとくとかノリの悪いことを言うわけにもいかない。覚悟を決めて一気に飲む。

 

 口内に甘ったるさと苦味と生臭さと潮の香りがドロドロと広がり、意識が遠のいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はっ!?」

「ワカナ、起きた?」

 

 気づけば海の家の座敷スペースで座布団を枕に寝かされていた。

 横にはいつもの無表情のアズサちゃん。水着は華やかで明るいがちょっと元気が無さそうだ。体を起こすと、スッと水と薬が差し出される。

 

「胃薬だ。飲んでおくといい」

「あ、あざっす……」

 

 透明でのどごしの良いただの冷えた水が甘露のごとし。ドロドロで気持ち悪かった口の中が洗い流される。

 

「てか、あのバーガー女! 毒でも盛ったのか!?」

「バーガー? ……店員は、味覚が少々個性的なだけらしい。彼女も一緒に飲んでいたし、ピンピンしていた」

 

 先生に聞いた、というアズサちゃんは特に憤る様子もなく、淡々としている。ヒフミちゃんが毒盛られたらこの子もキレそうだし、言った通りなのだろうか。

 いやしかし、味覚がって……えぇ。そんなことある? 

 

「ま、まあいいや。他のみんなは?」

「腹痛でトイレに篭っている。ワカナは平気?」

 

 大惨事じゃねえか。俺は……お腹をさすって感覚を確かめるが、特に問題ないようだ。早くも薬が効いたのかな。

 

「ふぅん。丈夫だね。私は訓練を受けたから多少毒には耐性があるけど……」

 

 やっぱ毒カテゴリだったんじゃねえかさっきのドリンク! 

 つーか訓練ってそんな暗殺一家みたいな……。ああ、そういえば……アズサちゃんはなんか色々と事情がある子だと聞いていたな。

 

「うん。本来私は、こんな日の当たる所にいるべきではない存在だ」

「や、いや……それは、よくわかんないけど、なしってことになったんじゃないの」

 

 そんないきなりすげーシリアスな感じのことを、普段と同じ無表情でぶっ込んでこないでくれ。

 シスターフッドのサクラコ様がどうとかちらっと聞いた気がするし*7、良かった良かったでいいでしょ。

 

「うん。とても、とても幸運なことに、私はここにいることを許されている」

 

 目を伏せるアズサちゃん。それは、その言葉のとおりに幸運を噛みしめるようでもあり、何かを堪えるようでもあった。

 

「この幸運がずっと続けば、ヒフミたちと一緒に楽しく過ごせる日々が、ずっと続けばいいと思っている」

 

 一瞬ふっと微笑んだように見えたが、気のせいだったかもしれない。

 それくらい儚く消え、暗く冷たく、沈む。

 

「でも、きっとまだ終わりじゃない」

 

 な、なにが……? 

 

「予感がある。私は、また元の居場所に戻らなきゃいけなくなるかもしれない。もちろん、抗うことを諦める気はないけれど」

 

 過去を切り捨てて、無くしてしまうことなんてできやしない。そう言うアズサちゃんの無表情はさらに沈んでいく。

 な、なんなんだよマジで。これ聞くの俺でいいのか? 寝起きの頭で聞いていい話じゃない気がするんだが? 

 口を出せる空気ではないので黙って聞くしかないのだが。

 

「ワカナ、あなたほどヒフミを大切に思っている人を私は他に知らない」

「ふぇぁ!?」

 

 どうした急に。びっくりしてすげえ変な声が出てしまった。いやまあ好きだけどさあ、そんなドストレートに言われるとすげー恥ずかしいんだけど。

 それに、そんなアズサちゃんの前でヒフミちゃん好き好きやったことあったっけ? 

 

「“あの聖園ミカ”に単身挑むなど、生半可な気持ちでできることじゃない」

 

 あ、それかぁ。いや、でもその、それは……。なんつーか事故みたいなもんっていうか。

 流れと勢いでほとんど錯乱状態だったと言うか。シラフでミカ様に殴りかかれって言われたら無理だよ逃げるよ。

 

「だから、ワカナにお願いがある。……コハルは面白いし、心が強い。ハナコも面白いし、すごく賢い。先生もいるし、私がいなくても問題はないかもしれない。それに、こんなことは言うまでもないことかもしれない。……でも」

 

 私が一緒にいられなくなったら、ヒフミたちのことを頼みます。

 そう言って頭を下げるアズサちゃんは、見た目以上にとてもとても小さく感じて、見ていられなかった。

 

「や、えっと、えーっと……あのさ! 嫌な予感とかそういうのって、来るぞ来るぞって思っててもなんも来ないこともあるしさ!」

 

 つーかこんなとこでバイトなんかしてたしな、嫌な予感の元……。第六感なんてあてになるもんじゃないやね。

 アズサちゃんがなんでこんなことを言うのかよくわからない。そういう予感を得るに足るだけの過去があるのかもしれない。でも。

 

 アズサちゃんの体を無理やり起こし、膝の上に適当にモモフレぬいぐるみを適当にボンボンのせていく。

 なぜかいつの間にか座敷に散らばっていたものである。恐らくヒフミちゃんが形成した固有結界と思われる。

 

「あんま、悪い方に考えるもんじゃないぜ。なっちゃったらそん時考えようでいいじゃん。いなくなったら~とかじゃなくてさ、腕っぷしでなんとかなることなら俺がその場でなんとかするし!」

 

 ちょっとぽかんとした顔をして、デカめのペロロぬいぐるみをぎゅっと抱きしめるアズサちゃん。

 ぽろぽろ大小のぬいぐるみが膝から落ちるので積み直し。

 

「うん、それは……とても頼もしいな」

「おぅ! 任せときなー!」

 

 ぷにぷに力こぶで頼りがいをアピールすれば、アズサちゃんは今度こそしっかり笑ってくれた。

*1
体育祭イベント、晄輪大祭のスチルで走る姿はそれはもうバルンバルンであった。運動全般苦手と思われる

*2
ハスミのようにバルンバルンというわけではなく、普通にデカいというくらいのサイズだが水の抵抗は大きい。

*3
ジュンコが持ち帰った例のアレ

*4
深海に住むタコの仲間。できそこないのパンケーキにうさ耳が生えたような謎の生物。キモかわいいと一部で評判。

*5
古代に生きていた甲冑魚の仲間。(◉▼◉)←こんな顔をしている。マジでこんな顔だと一部で評判。

*6
恐らくラブちゃんこと河駒風ラブのことと思われる。最近の復刻イベントでもおうちを燃やされたり雇った用心棒に裏切られてボコボコにされたり、海に行くたびにわりと散々な目にあっているような……。

*7
補習授業部での成績改善、クーデター阻止の功績をもってシスターフッドの長サクラコはアズサの立場を保証した。




ツルギ・アズサとお話する回でした。
ブルアカで羽とか角について言及されることはほとんどなく、戦闘関連とかも大体適当ですがこんな感じだといいなあということで。
高レベルトリニティ生徒は連続クイックブーストとかしつつ空中殺法を繰り出してくる的な……(団長感)
エデン条約のツルギはこいついたら話が終わっちゃう枠で隔離されてた印象が強く、本作でもツルギは元々そんなに出番ない感じでした。とりあえず師匠キャラいたらいいかなというくらい。でも海イベやるかとなったら意外と深い仲な感じに。

アズサは実はミカ戦で好感度爆上がりしてました。友達の友達が素直に友達、なタイプなのでヒフミさんへの好感度の高さがそのままアズサからの好感度になる感じ。


ルビコニアンデスワーム撃破!ということで3章突破しました。ぼちぼちその辺の雑魚みたいなやつもクッソ強くなってきましたね……。具体的な話はそろそろやめときますが。
ブラボとセキロ大好きだったんですが、前評判通りAC6はその2つ合わせたような戦闘システムで大変素敵です。銃撃で体幹崩してブーストで突っ込んでブレードぶち込んでついでに蹴り入れて大ダメージ!みたいな。
装備がそろってくると1回の崩しでとんでもない大ダメージ出せたりするのとても楽しいですね。

そして右手ショットガン左手近接武器両肩にも羽、でいよいよ自分の中でワカナちゃんがACみたいになってきました。
どっかでそんな感じのカッコいい戦闘書きたいですね……。
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