トリニティ総合学園庭園部へようこそ!   作:一生ホームアローンマン

51 / 62
51話 日常への帰還

 とりあえず寝起きの初日はゴロゴロ過ごし、明けて翌日。

 大人しくするとは言ったものの、やっぱり顔が見たくなったのでミカ様に会いに行こう……と思ったらティーパーティー所有の建物の一つで軟禁隔離中だという。ミカ様の方は俺と違って投獄続行みたいな感じで、しばらくは自由に人と会うこともできないようだ。聴聞会、裁判みたいなやつが終わるのを待つしかないらしい。

 

 出鼻をくじかれ結局救護騎士団寮でゴロゴロ。ミネ団長と泊まっていったセリナちゃんも仕事に出かけ、やることもなく。

 せっかくなので関係各所に生存報告だけは出しておくことにしようか。頭下げに行く前にワンクッションというか……。

 

 ということでモモトークをぽちぽち。うむ、前にちらっと見たがすごい勢いで通知が溜まっている。個別返信は到底不可能なのでサラッと読むだけ読んでいく。

 普通に心配のメッセージが多数だが、洗脳食らってるときに救援要請だったりが来てるのは本当に申し訳ない。ニュースサイトとか眺めてみれば、俺が地下で遊んでいる間にどうも結構ガチでトリニティとゲヘナと戦争みたいなことになってたらしい。

 

 これだからゲヘッパリはよぉと思ったが、経過を追うとアリウスミサイルが古聖堂着弾からなし崩しの開戦で、どっちが先にということもないようだ。

 ネット上では両校についてそれはもう好き勝手に色々書かれているが、こういうの見ても建設的なのゼロでメンタルに悪影響なだけなのでやめておこう……。

 

 ともかく身内の様子を、ということでモモトークに戻り、一番心配だった庭園部の方をチェック。

 ……同期の陸上ちゃんとぽわぽわちゃんからはこっちは問題ない、やることがあるならそっち優先しろみたいな感じのが事件時に来ていた。

 

 すまぬ、すまぬ……。先輩や同期連中は何かと俺を甘やかそうとするんだからもう。事件後には簡潔に心配のメッセージ。他の同期の子や先輩たちからもバンバン来ていた。

 とりあえず元気になりました、近々復帰しますって感じのを部のグループトークに投下しておく。

 

 そんで後輩ちゃんたちからは……なんだこれ。ハイレグガスマスクのなんか見覚えあるねーちゃんたちが果樹園でピクニック? している写真やら動画やらが送られてきていた。

 どうも果樹園を守ってくれてたらしい。つまみ食いもそこそこされたようだが。

 

 ……??? どういうこと? 後輩ちゃんたちも全然分かってないようだが、果樹園方面からのゲヘナの襲撃やら、庭園部をゲヘナ攻めの戦力として接収しようとしたトリニティの人々やらを例の無限リスポンでボコボコにしてくれたとか。

 なんで??? 

 

 ともかくハイレグ幽霊さんたちの援護と庭園部のみんなの奮闘で果樹園はほとんど無傷なようだ。

 後輩ちゃんたちも、どさくさ紛れの略奪を企むいつものゲヘナ不良軍団を撃退するのに地雷原でめっちゃ頑張ったとか。

 

 何がどうしてそうなったのかさっぱりわからないが、悪いことではないのでよしとしよう。

 まあ、幽霊さんたちも果樹園になんか思い入れがあったのかもしれない。果樹園自体めっちゃ古くからあるし、彼女たちも生前はリンゴのつまみ食いとかを楽しんでいたんだろうか……*1

 

 部活の方は問題なさそうなので他も見ていく。対ゲヘナ戦からアリウス自治区突入まで、正面戦力としてめっちゃ大変だったらしい正実の人々にシスターフッドのマリーちゃんたち。

 大きな活躍はできなかったと言うけど自警団として混乱の中をひたすら駆け回っていたらしい宇沢ちゃん……。

 

 いやお前大活躍というか、MVPじゃなかったか対俺戦で。やられた立場で言うのもあれだが。

 徹底介護されてたとはいえ、ハチャメチャにパワーアップした(ケルビム)がついに崩せなかった宇沢ちゃんの防御を思い出す。

 

 先生さんの指揮や他メンバーのサポートの影響か、死線を潜るその中で1秒ごとに成長していくスーパーサイヤ人みたいなノリで動き良くなってって、戦闘の後半は本当に見違えるようだった。

 俺と訓練してる時は未熟なところも目立つと言うか、付け入る隙も結構あったもんだが……。今やったら早々崩せないかもしれないな。

 

 少なくとも守りに関しては上をいかれただろう。お前に教えることはもうなにもない……。

 せっかくだからと購入したドヤ顔牛くんスタンプ連打と免許皆伝じゃと送ったら大量のハテナマークが返ってきた。まあ言うても教えることないことはないだろうし、そのうちまた一緒に訓練でもしようね。

 

 あとは交流少なめだけどわりと構ってくれるクラスメイトの人々にメッセージ返して……ナギちゃん様からもメールが来ているな。部長会議関連だとか公的なやりとりにしか使わないやつだったが。

 内容を見てみれば、お茶会のお誘いだった。ミカ様の近況とか聞けるだろうし迷わずオッケー。

 

 復調したことと、お茶会了承の返事を返すと、爆速で返信が来る。こちらの体への気遣いや、お茶会の日取りについての丁寧なメッセージ。

 初対面からしばらく、ずーっと苦手意識があったが、こういうのを見るとすごいちゃんとしたお嬢様なんだよなあという感じ。あとやたらと愛が重いし……会う状況が違えば印象かなり変わったかもしれないな。

 

 数日後のお茶会を楽しみにしつつ次は救護騎士団関係、セリナちゃんとは直でお話したわけだしスタンプ投げとくか。

 ハチャメチャに伸びるウェーブキャットさんスタンプをドン。しばらくしたらウェーブキャットさんをマフラーにするピンキーパカさんスタンプが返ってきた。ヨシ。話を聞くにやっぱまだまだ忙しいみたいだしスカルマンの頑張ってねスタンプで追撃ヨシ。

 

 特に意味のないスタンプの応酬で満足したところで最後は補習授業部の人々へ。

 ヒフミちゃんからはマメに心配や近況報告のメッセージが来ていた。アズサちゃんからは事件中にも電話が何度かかかってきてるし、後には言葉少なに心配のメッセージも。

 

 コハたんは罵倒混じりの心配メッセをちょいちょい飛ばしてきてる。

 以前モモトーク交換するだけしてやりとりはそんなだったが、ハナコさんからも丁寧なメッセージ。ナギちゃん様と文体が似てるな……。お嬢様スキルなのだろうか。

 

 そんなのを一通り読んだ後、生存報告を返していく。セリナちゃんからヒフミちゃん経由で、俺のアリウス自治区突撃とその後の救助は知ってたようだが、元気になりました報告でみんな安心してくれたようである。

 特にヒフミちゃんからは喜びのペロロスタンプ爆撃が。やめろやめろトーク履歴をキモい鳥で埋め尽くそうとするんじゃねえ。毛を逆立てるウェーブキャットさん連打で反撃しつつ落ち着かせる。

 

 ひとまず今度一緒にファミレスにでも行こうねということで……。ご心配おかけした分なんかスイーツでも奢ろうじゃないか。

 日程はどうしようかと話してる最中、返信が途絶える。なんかあったのかな? 

 

 まあまた後でもいいか。大体知り合いと連絡を取り終えたのでゴロゴロを再開……と思ったところでインターホンが。

 ミネ団長にお客さんだろうか。特に何も考えずに出る。はいはーいと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして俺はあれよあれよと言う間にファミレスに拉致されていた。下手人はガスマスク外してフンス*2という顔をしているアズサちゃん筆頭に、補習授業部ご一行様である。

 あははと苦笑いのヒフミちゃんも襲撃時は謎の紙袋被ってわりとノリノリだったし、ハナコさんは終始ニッコニコだ。

 

「えぇ~、その、まあ、なんですか。大変ご迷惑、ご心配をおかけしまして……」

「これよりワカナちゃん元気になってよかったね会を開催します! かんぱい!」

「おぉぅ……」

 

 角のボックス席について、ひとまずご挨拶をばと思ったらヒフミちゃんの被せ気味乾杯コール。

 かんぱーいとみんなも続くので、俺も控えめにグラスを差し出しコンコン軽くぶつけていく。

 

 そしてコハたんとアズサちゃんがいつの間にか持ってきてくれてたドリンクバーのアイスティーをぐいっと……。

 

「ヘブァッ!? ……!!?!?」

 

 弾ける甘さと苦味! そして鼻に抜ける果実の香り! これは……メロンソーダ! 

 

「正解だ、ワカナ。アズサスペシャルカクテルMark36、紅茶メロンソーダだ。隠し味にコーヒーとミルクと塩とスープと……後色々ちょっとずつブレンドしてある」

 

 自信作だ、とまたムフー顔するアズサちゃん。てめードリンクバー遊びなんてもんは学生のうちに卒業すんだよ! 学生だったわ! 夏の海のアレ*3に変な悪影響でも受けたんだろうか……?

 残すわけにもいかないので覚悟をキメて謎ドリンクを一気に飲み干す。うーんマズい! 

 

「こういうのってお話でよくありますけど、やったことがなかったので……」

 

 一緒にやってみたらハマっちゃって、とハナコさん。よくみれば彼女も妙な色合いのドリンクをちびちびと飲んでいる。

 お前が黒幕か! なんか絶妙に非難しにくい感じやめろ! いかにも優等生っぽいしそういうおバカ遊びやる機会なんてなかったのかもだけどさあ! 

 

「はい、フツーのやつ。……なんか変に気にしてるみたいだけど、これでチャラよ」

 

 コハたんに渡されたもう一杯で口直し。今度は普通のレモンティーだった。うん、美味い。

 あんたがなんか悪いやつだったとかそういうわけじゃないんでしょ、と続けるコハたん。靴脱いでお行儀悪くソファの上に体育座りしてくつろぎモードだ。

 

 俺の横に座るアズサちゃんも、なんか妙な色のを飲んで配合や味の感想メモをとっているし、反対サイドを固めるヒフミちゃんはノーマル紅茶を飲んで苦笑い。

 

「こんなふうに、また……普通に遊べるようにみんな頑張りました。だから、それだけでいいと思います。ね?」

 

 まあ、うん。そう言ってもらえるなら……前みたいに、いつも通り。それ以上のことはきっとないのだろう。

 こっくり頷き、メニューを広げてみんなでワイワイ注文を決め始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 大皿の料理をシェアして食べたり、不意打ちでまた謎ドリンク飲まされたりしつつしばし。

 そういえば、と鞄から荷物を取り出す。拉致とは言ったがパジャマから着替える時間くらいはもらえたし、頭の寝癖とか羽とかはコハたんとヒフミちゃんが整えてくれたりした。そのときついでだからと持って出てきていたのだ。

 

「これ、たぶんコハたんとハナコさんのやつだよね。ええと、まあちょっとアレなので返却しますね……」

 

 例のカバー掛け替えたエロ本と電動マッサージ器(迫真)*4である。

 お見舞い品の中に紛れていたそれらを持ち続けるのは、ちょっと一応花の女子高生としてどうなんだ感があるのでさっさと手放したいのだ。

 

「別にプレゼントのつもりだったからいいのに。まっ、ワカナも勉強嫌いそうだし、気持ちはわかるけどね」

 

 補習授業部で勉強してるときに、一番よかった参考書シリーズの2年生編なのだとかなんとか語るコハたん。

 いやしかし、参考書なのはカバーだけで中身はガッツリ成人向けのエロマンガなんだが……。

 

 暇な時間をみつけてちょっとずつでも勉強するのがいいのよ、なんてドヤドヤしながら語るコハたんだが、ええと、エロは一日にしてならず的な……? 

 ……もしかして気づいてないのか? 自分でカバー掛け替えたカモフラエロ本を、存在忘れてカバー通りの参考書と思い込んで見舞い品に寄越したというのか??? いくらなんでもそんなおバカなことある? 

 

 ま、まあいい。コハたんの名誉のためにも何も言うまい。袋に入れてあるしそのまま渡す。

 ハナコさんにも電動ピンク埴輪を返却……。

 

「あら、私も差し上げたつもりだったんですけど……。気に入りませんでしたか? 私としてはかなり良かったんですが」

「いやまあ、使ってないんで……」

「そうなんですか? ……あ、もちろん新品未使用ですよ。使用感を知ってるのは自分用にも買ってたからで……」

 

 やめろやめろやめやめやめろ白昼堂々エログッズについて赤裸々トークしようとするんじゃねえよ。

 その手のことに興味無いではないが、生まれたてボディのせいかそういう衝動はあんまないし、いきなりこんなゴッツい道具使うなんて度胸もないし……! 

 

「ふぅむ……では今度はもっと初心者向けで、デザインなんかももーっと可愛らしい感じのを探してきますね!」

 

 ええっちゅーねん! アズサちゃんはさっぱりわからん顔で首を傾げてるし、ヒフミちゃんはちょっと察したのかほんのり顔を赤くしている。

 俺もなんだか頭に血が上ってきた気がして、顔が熱い……! そんな俺らを見てさらに笑みを深めるハナコさん。こいつ、どういう趣味だ!? 

 

「ワカナさんはなんといいますか、本当に、ちょうどいい感じで素敵ですね。知識がないわけでもなく、さりとてそういうことに全然慣れていないみたいで……」

「ちょ、ちょっと!? なんの話してんのよ! エッチなのは駄目! 禁止! 死刑ぇだから!」

 

 おお、コハたんジャッジでインターセプト。今日ばかりは頼もしいエロ死刑宣告……。

 

「あら? コハルちゃんがそういう本をお見舞いに送っていたから、私もそれに合わせただけなんですけれど……」

「え?」

 

 あ、駄目だこりゃ。うふふと見た目だけは清楚に笑うハナコさんの言葉に、コハたんはわざわざ袋から参考書(エロ本)を取り出して読み始めてしまう。

 せっかく気を使ってやったというのに……。

 

「~~~~~ッ!?!!???」

 

 一瞬で顔面を沸騰させ、高速で鞄にエロ本をしまい込む。

 そんなコハたんを見てハナコさんはニッコニコだ。いい性格してるぜおい。

 

「わ、ワカナ……見たの?」

 

 目をそらす。微妙に先生っぽいおじさんと微妙にコハたんっぽいロリの結構過激なエロ漫画なんて見ていない。

 いやマジでパラパラめくってすごくなんとも言えない気持ちになっただけだ。

 

「うわぁぁああぁぁぁああん!!! バカ! エッチ! 死刑ぇ! 死刑ぇ! 死刑ぇなんだからぁあああああ!!!!!」

 

 机に乗り出して大絶叫しながら殴りかかってくるコハたん。

 見た目通りに貧弱なので制圧するのは簡単なのだが、あまりにもアワレすぎるので甘んじて受けよう……と思ってたら当然ながら店内ではお静かに、とバイトの店員さんに怒られた。

 

「すんませんすんません……って、え?」

 

 対面で泣き出したコハたんを宥めるヒフミちゃんとハナコさんは気づいていないが、俺とアズサちゃんは思わず目を見開く。ファミレスの制服を着た姫ちゃん、秤アツコがシーッと人差し指を立てていた*5

 

「元気そうで安心した」

 

 アズサちゃんと俺の頭をぽんぽんして、そう言う姫ちゃん。そりゃこっちのセリフだぜ。

 姫ちゃんは思わず叫びだしそうになったアズサちゃんの口元にそのまま指を当て。

 

「私達も大丈夫。だから心配しないで、ね?」

 

 そう言って微笑む姫ちゃんに、アズサちゃんは飛び出そうとしている色々なものを飲み込んで、こっくりと頷いた。

 俺はその間に、急いで準備していた小瓶を取り出すと姫ちゃんの手に握らせる。花の種の詰め合わせ。眺めてよし、植えてよしのプレゼント。花壇担当の子たちと以前一緒に作ったやつだ。約束の代わりにはならないけれど……。姫ちゃんはそれを見て微笑んで、もう一度俺の頭をぽんぽんした後立ち去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺とアズサちゃんがなんとなく上の空になってしまったしコハたんがまだグズってたので、気分転換にファミレスを出てそこらをうろつくことに。

 するとちょうど近所の大きめの公園でクレープの移動販売が来てるのを発見。よーしおっちゃんがこうたるわ、と買いに走り出したが、襟首やら羽やら掴まれて駄目でーすされて各々買う感じに。なんでぇ? 

 

「今日はワカナちゃんの快気祝いですから」

 

 ベンチに座って解せぬしていた所、ほらほらとヒフミちゃんの季節限定モンブランのやつが口に突っ込まれる。おおう、美味い。お返しにカスタードチョコのを一口どうぞしているとアズサちゃんのいちごクリームの襲撃。うん、美味い。

 部活でのお菓子作りの足しにもなるだろうし、なんかこうもうちょっと気の利いた感想が出せればいいのだが……食レポ下手くそ民なので美味いかマズいかくらいしかコメントできねえ。

 

「……ワカナが大変なことになってびっくりしたし、塞ぎ込んで心配した」

 

 自分で言うのもアレだが世界を滅ぼしかねないモンスターでした、は大変なことくらいで済ましちゃっていいのかという感じはする。

 ただ、怖かったはずなのにマジで心配したと言ってくれるアズサちゃん。紙ナプキンで頬についたいちごを拭ってくれているヒフミちゃんも微笑んで。

 

「でも立ち直って、私の家族を助けに行ってくれた。本当に……とても嬉しいし感謝している。ありがとう、ワカナ」

 

 そう言ってアズサちゃんもいつもの無表情を崩してほんのりと笑う。

 アリウススクワッドの人々、姫ちゃんやリーダーちゃんたちはやっぱりアズサちゃんの家族みたいなもんだったらしい。

 

 ハナコさんとクレープ交換してようやく機嫌直したらしいコハたんも、あんたはいっつも馬鹿みたいだしヘコんでるのなんか似合わないわよ、なんてそっぽを向きながら。

 さっきの今のアレで若干腑に落ちないものはあるが、まあその気持ちは嬉しい。

 

 思えば初対面からエロ本繋がりだし、思い出の品として黙ってもらっといても良かったかも。

 ……いや、どうだ? 気まずいエロ漫画で絆を繋げていいものだろうか? ま、まあいいや。ともかく。

 

「えっと……こちらこそ、ありがとうね。みんなのお陰でこうやって帰ってこれた。また一緒に遊べると嬉しいな」

「はい、もちろんです!」

 

 ヒフミちゃんに抱きしめられて抱え上げられて、意外なパワーでぐるぐる振り回される。

 なんかまた目に汗かいてきた。手はヒフミちゃんの背中に回って塞がってるから、シパシパして無理やり散らす。そうしてしばらく、回転は二人で目を回してまとめて芝生にぶっ倒れるまで続き、フラフラ揺れる青空を眺めながらしばらくみんなでケラケラ笑いあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そういえば、これからは前より遊ぶ時間とれるんだよね、みんな。テスト受かって補習授業部は解散になったみたいな話をちらっと聞いたし……」

 

 なぜ一斉に目をそらす? 

 ハナコさんだけはニッコニコだが。

 

「あはは……えっと、テスト当日にまたペロロ様のコンサートがあって」

 

 前も似たようなこと言ってなかったか!? 学習しねえのかテメー! 

 

「私は次の試験範囲は習ってなかったから」

 

 うん、それは仕方ないね。アリウスはなんか特殊だったみたいだし……。

 

「私は3年の試験範囲を受けただけだから!」

 

 お前も似たようなこと言ってなかったか!? 学習しねえのかテメー!(2回目)

 

「一人だけ放置プレイは寂しいので♡」

 

 気持ちはとてもよく分かるが言い方! 

 いつでもどこでも空気をピンクにしようとするんじゃねえ! 

 

「いや部活つながりがなくなるの嫌ってのは分かるけどさあ。コハたんなんかさあ、正実の方はいいのかよ……」

「く、訓練とかはちゃんと出てるし……!」

 

 うーん……ハスミパイセンとか地味に寂しがってそうな気ぃするんだけどなあ。

 あの人過激派だけど人情派で身内思いだから。

 

「ワカナさん、自分は関係ないみたいな顔してますけどあなたも他人事ではないですよ?」

「へぇあ?」

 

 なんですか藪から棒に。俺は去年の勉強貯金でそこそこの成績をキープしてる……。

 

「そういえばワカナちゃん、寝てる間にテスト終わっちゃいましたね……」

「全教科0点だな」

「あ、それなら私勝ってる!」

「は???」

 

 え、嘘でしょ? スマホをつけてカレンダーアプリを確認する。全く気づいていなかったが、見事に獄中で試験日が完全終了していた。

 え、どうなんのこれ??? 

 

「補習授業部へようこそ、ワカナさん♡」

 

 歓迎しますよ、なんてニッコニコでのたまうハナコさんにパチパチ拍手を続ける他3人*6

 ふ、ふざけるな! ふざけるな! バカヤロー!!! 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 結局ナギちゃん様に泣きついた所普通に追試でなんとかしてもらえることになった。

 補習授業部のみなさんは実に残念そうだったが、こちとら庭園部部長じゃい。いくらなんでもここまで迷惑かけてさらにおバカなので一時離脱しまーす! なんてできません。

 つーかあの4人も今回は普通に追試でなんとかなったのに断って残留を決めてたらしい。さもありなん。

*1
訓練合宿用の無人島でレモン育てたりしてたようなので、こっちにもなにかしら関わりがあったということになった。

*2
ᓀ‸ᓂ

*3
イズミスペシャルドリンク。

*4
完全な電動水晶埴輪くん。女性に人気なピンクカラーの健康器具、あるいはジョークグッズである(強弁)。

*5
本当はゲーム内のスケジュールでアリウス生はトリニティとゲヘナに出ないとかあるのだが、ハンバーガーコラボとかしてたので。ちなみにミカは当然ゲヘナに出現しない。ワカナちゃんもたぶんゲヘナには出ない、というか引きこもり気味なのでトリニティ以外にあんまり出ない。

*6
いつものあはは……、(ᓀ‸ᓂ)フンスフンス、呆れ顔だけどちょっと嬉しそう。




お久しぶりです。ゴズとの激闘でちょっと遅くなりましたが年内完結できそうです。
今回更新は5話5万字くらい。エンディングまでいきます。
エンディングとは言ってももうちょっとだけ続くんじゃするんですけどひとまず一区切り本編完結ということで。

新メインストーリーとかデカグラマトン編でロリラッシュひゃっほうみたいな感じでしたが百花繚乱編はあのクロカゲくん、燃やしたいものだけを燃やす古くから伝わる神器の煌めく炎ってどう考えても効くじゃんねみたいな感じで……ギミック全無視してクロカゲくんボコってシュロちゃんイジメられるな?みたいな構想が……。
あと実は地味に書類上百鬼夜行出身とか超初期に摘果リンゴをお祭りのリンゴ飴用に百鬼夜行に輸出するとか書いてたりして伏線っぽくなってたり……。まあ色々台無しなのでやるかは謎ですが。

まあ来年の話をすると鬼が笑うのでともかく年内は〆の話。ということで今回は補習授業部編。補習部はエデンで大活躍した反動か終わってからは基本平穏無事ですが、その流れにワカナちゃんも入ってる感じで。
ついでに結局イベント来なかったのでアツコもねじ込んでおきました。アリスクその辺でわりと気軽にバイトしてる概念。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。