トリニティ総合学園庭園部へようこそ! 作:一生ホームアローンマン
トリニティ総合学園、庭園部部長、軽部ワカナっす。
得意なことは硬いものをスクラップにするとかゴミを燃やすとか……なんかヤバい奴みたいだな。あー、植木の世話とか専門っすよ?
ともかく、肉体労働ならお任せなんで。頭脳労働は期待しないで欲しいすけど……。
えっと、色々……ほんとにお世話になったので、労働で返す感じで。よろしくお願いしますね、先生さん。
絆ストーリー ワカナ
お仕事が一段落
甘いもの食べて一休み
しかし身体は闘争を求める……
「ど、どうしたの突然?」
>「火を点けろ、燃え残った全てに」
メインシステム、戦闘モード起動
というわけで遊びに行きますね!
こんちゃーすと元気な声をあげて小柄な少女がシャーレのオフィスにやってきていた。
新たにシャーレの部員となった軽部ワカナだ。
ガンラックにショットガンを置き、続けて巨大な……先端にペロロがついた奇妙な長柄武器がドスンと重々しい音を立てて置かれる。
一部の生徒が熱烈に愛好する白い鳥のヤバい顔が異様な存在感を放っていた。
そこから努めて目をそらし、シャーレの休憩室に案内する。
今日は以前の約束通り、一緒にアーマードコアの新作をやる予定なのだ。
「おお、これが最新プレステ5……っていうかあれ? なんかデカくないっすか。デカくなるみたいなのは聞いた覚えがありますけど想像の3倍くらいデカイっていうか……」
「アリスがみんなでテレビの前に集まってやりたいって言って……エンジニア部に改造されてね」
保証対象外になってしまった巨大ゲーム機をつんつんつついていたワカナだが、まぁいいかと一つ頷くとクッションを敷いてテレビの前に陣取る。
軽く手を擦り合わせ、少しの緊張と期待、興奮、そんなもので満たされた表情で彼女は電源スイッチを押した。
「あの? これ、チュートリアルっすよね??? クソ強すぎないっすか?????」
「ルビコンへようこそ、ビジター」
>「みんなそうなる、普通のことだよ……」
「そ、そうっすよね。俺が特別ヘタクソってわけじゃないっすよね……ちょっとはゲーム上手いと思ってたんすけど、最近自信が粉砕されたんでちょっとほんとにダメになったのかと……」
ゲーム開始から小一時間ほど、高解像度で重厚なロボットがぎゅんぎゅん思い通りに動くさまに大興奮のワカナだったが、チュートリアルボスの巨大ヘリ*1にボコボコにされていた。
最初の20分ほどはこやつなかなかやりおる流石フロムゲー歯ごたえあるな……みたいな顔をしていたワカナだが、30分過ぎる頃には無言。
40分過ぎたらミサイル痛すぎ!*2 戦闘領域外に出るなぁあ!!!*3 などと叫びまくり、直近10分ほどは惜しい所まで行ってギリギリでやられてあぁあぁぁあああああ!!! と絶叫したりしていた。
それで集中力が切れたのかミサイル連続ヒットであっという間にやられる雑魚死プレイを連発。
ちょっと涙目でこちらを見上げている。
「……アドバイスいる?」
「初見は自力で……いや、ううん。うぅぅうぅぅうぅぅぅぅ……。……お願いします」
「初期機体のジェネレーターが残念性能*4なのもあるんだけど、クイックブースト*5よりアサルトブースト*6の方が燃費すごく良いんだ」
「あれは長距離移動用とかそういうのじゃないんすか……?」
「ちょっと過去作既プレイへの罠みたいなとこあるかもね」
マジか、と呟きながらプレイを再開するワカナ。
アサルトブーストで一直線に高速で突っ込めば凶悪な誘導ミサイルも置いてけぼりになり、着剣! 着剣! と叫びながら張り付いてブレードを振るえばゴリゴリとゲージが削れていく。
「うはははははははは!!! ちねぇい!!! クソヘリが! 二度と逆らうんじゃねーぞ!!!」
直射ミサイルでちょっと死にそうになりつつも同じ用に突撃着剣を繰り返し、さきほどまでの苦戦はなんだったのかと言うくらいあっさり巨大ヘリを爆散させる。
お口わるわるになりつつ上機嫌だ。
その後はチュートリアルステージの後にある丁寧なチュートリアルに首を傾げつつもチャプター1をガンガン進める。
武装採掘艦*7の巨大ビーム砲を殴るのによくばりすぎてビームで蒸発させられたり壁越えの地雷で焼かれたり数度のリトライを挟むステージはありつつも、わーぎゃー悲鳴や勝鬨をあげつつ進んでいく。
ヘリと違ってハマることもなくサクサクだ。
そして数多の傭兵たちを苦しめアップデートでガッツリナーフされたチャプター1のボス、バルテウス*8までたどりつく。
シャーレにあるものはアプデ前なのでかなりの苦戦が見込まれると思われたが……。
「わーははは! ガチタン最強! ガチタン最強ぉー!!!」
そこそこの回数リトライしつつもタンク足に装甲厚めのパーツ、グレネードなどの高火力武器で固めたアセンブルでゴリ押しし、わりとあっさりクリアしてしまった。
超高火力の轢き逃げアタックで気持ちよく倒せたせいかワカナのテンションは爆上がりである*9。
その後はスマートクリーナーくん*10に一撃粉砕されたり、シースパイダー*11にボコボコにされたりしたためガチタン信仰が揺らいで普通に機動力重視の機体を組んだりしつつどうにかチャプター2までクリアしていた……。
「って、あっ……すんません、なんか一人でたっぷり遊んじゃって……退屈でしたよね」
「新人レイヴンの初見プレイからしか得られない栄養があるんだ」
>「見てるだけでも楽しかったよ」
「そうすか? 俺はゲーム配信とかしてると自分でやりたくてむずむずしてくるんすけど……まあいいや。えっと……門限まではまだありますし今度は一緒にやれるやつやりましょ」
ワカナとGCのスマブラをやって過ごした。白熱した勝負だった……。
前回ちょっと遊びすぎちゃったので今回はちゃんと仕事しますよ!
肉体労働なら任せてください
書類仕事は勘弁な!
実は今ものすごい書類の山が……
>それじゃあ倉庫の整理とか頼もうかな
かしこま!
それじゃあシャーレのオフィスに向かいますね
「おぉ……えらいことになってますね」
「中々きちんとやる時間とかなくてね……」
色々なものをとにかく放り込むだけ放り込んでほったらかしになって、ほとんど魔窟と化していたシャーレの倉庫に二人でやってきていた。
重要なものもそうでないものもごたまぜである。
「えーと、じゃあとりあえず先生さんは軽そうなものを片付けてもらって、俺が重いのガンガン運び出す感じで……」
「そうだね。じゃあゴミに出すものとか別の倉庫に仕舞う物とかを……ほんとに重いものとか多いけど大丈夫?」
「よゆーっす!」
そう言いながらワカナはその辺に謎に置かれていたレースゲーム機の筐体やカラフルな自動販売機を笑顔でひょいひょい上げたり下ろしたりしている。
少なくともアリスと同じくらいパワーがあるようだ。
「それじゃやってきましょー!」
「おー!」
「先生さん、大量の漫画の詰まったダンボールが……これも捨てちゃうんすか?」
「あ、それは……置き場所に困って処分したと思ってたんだけど、こんなとこにあったんだ。これなんか名作でね……」
「へぇ……あ、ほんとだ。一話から結構グイグイ来ますね。……敵も味方もやたら有能……女の子アレな感じに見せかけて普通に可愛いし……面白いな」
「でしょう!」
「先生さん! こっちのダンボールに大量の超合金ロボが! ちゃんとディスプレイしましょうよ!」
「そうしたいのは山々なんだけどユウカに怒られるから……」
「モモイに太ももの所有権を奪われてる人ですか?」
「え? ええと……まあたぶんそのユウカだと思うけど、ともかくダメなんだよね」
「でもこんなにカッコいいのに……」
ワカナはガションガションとライオン型ロボをブンドドさせている。
「なにかこう、隠し部屋じゃないですけど、ギミック付きで普段は隠しておけるショーケースみたいなの設置したらいいんじゃないっすか?」
スライドする本棚みたいな……と手に持ったガンダムに手振りでスライド感をアピールしている。
「なるほど……たしかにそういうのを作ってもらえばいいかもしれないね」
「絶対飾ったほうがいいっすよ。心が豊かになりますもん」
「それはそう」
「先生さん! 超大量のトレカが! なんすかこれ? ムシキング?」
「いや、それはキヴォトスで大人気のTCG、ムシクイーン……半分初期遊戯王みたいな感じで普通に面白いよ」
「へぇ……あ、ほんとだ。究極完全態グレートモスみたいなやつがいる……」
「興味あるならちょっとやってみる?」
「カード沼はもうこりごり、なんですけど……ええと、ちょっとだけなら」
「俺のターン! ドロー! 来たぜ……浅すぎた墓穴! そして前ターン伏せておいたリビデを両方発動! 墓地から優等生カマキリと黄金暴走虫を蘇生! そして手札から最強モンスター
「では伏せておいた速攻魔法、収縮とトラップカード、仁王立ちを発動するね。裏守備モンスターはテントウアルマジロ……下級モンスターだけど守備力は2300ある。そちらの攻撃力半減にこちらの守備力2倍で3100の反射ダメージだね」
「ぎゃーす! しんだ!!!」
「いやぁ楽しかった……ってあれ? もうこんな時間? んんん? もしかして遊ぶだけ遊んで全然仕事してない……?」
「大掃除あるあるだねぇ……」
午前中のそこそこ早い時間から始めたはずの倉庫整理だったが、大して進まないまま既に窓から夕日が差していた。
ニッコニコのご機嫌だったワカナの顔が曇る。
「こ、今回こそちゃんと労働しようと思ってたのに……! まともにやるにはもう門限が……ええとええと、そうだ! 先生さん、焼却処分する系の紙ゴミないっすか?」
「個人情報とか機密とかでシュレッダーにかけるやつはあるけど……焼却まではしないかな」
「そうそう、そういうやつ! シュレッダーかけたやつでもかけるやつでも、事務仕事だとそれの処分が一番得意!」
そう言うワカナを廃棄書類の山や業務用シュレッダーにかけた紙くずが袋詰で山になっている一角に案内する。
電子化の進んだキヴォトスだが、だからこそというべきか、情報漏洩対策に紙の書類はまだまだ多用される。
そして日々の業務が忙しすぎるため、やはりどうにもこういう細々した、後でやればいいやという仕事は溜まりがちだ。
「それではこいつを~ファイアー!」
ワカナは袋をいくつか開けると、業務用シュレッダーで細切れにされた紙の塊に手を突っ込む。
すると煌めく炎がゴミ袋の中で一瞬で燃え広がり、紙ゴミは灰になっている。
そして火をつければあっという間に燃えるはずのビニールのゴミ袋は無事だ。
袋の口を結べばそのまますぐに捨てられる。
「そんでこっちもー」
ダンボールに詰められた廃棄予定の書類を隙間が空いたゴミ袋にドサドサと詰め同じように燃やし尽くしていく。
ほんの数分で大量にあった書類がごみ袋いくつかに収まる量の灰に変わってしまった。
「おぉ~……これはすごい」
「でしょー! 一家に一台ワカナちゃんっすよ! 燃やしたり刻んだり砕いたり壊したりは大得意!」
胸を張る彼女にパチパチと拍手を送ると満面のドヤ顔でかなり物騒なことが主張される。
基本的には平和な雰囲気の子なのだが……やはりこの子もキヴォトスにすっかり染まっているなあ。
「あ、いや……なんかこれだけだとすげーヤバい奴みたいじゃん……。ええと、お菓子作ったりとかもまあ得意? 得意かな? 一応得意っす。あとは、植木の世話とか観葉植物の世話とかは本職すからね!」
「うん、大丈夫。ちゃんと分かってるから」
「ほんとすかぁ……? まあいいや、ともかく今日はこれで帰ります! さよなら!」
こちらの苦笑いにあわててパタパタと手を振り、平和な感じの特技を羅列した後ワカナは急いで帰っていった。
先生さん、今日は折り入ってご相談が……
>どうしたの?
シャーレには謎の不思議金属も簡単に加工できるすげえマシーンがあると聞きまして
できればちょっと使わせて欲しいなあ~なんて……
>うん、大丈夫だよ
アレは選ばれし者にしか使うことを許されない伝説の……
あざっす! じゃあ今日お邪魔しますね!
モモトークの返信が来てからしばらく、ワカナが大荷物を抱えてシャーレにやってきた。
「こんちゃーす」
「やあ、ワカナ。クラフトチェンバー*12が使いたいってことだけど」
「あっはい。ええとですね、話すと長くなるんすけど……」
とりあえずココアを淹れて渡すと、ワカナはソファに座り両手でマグカップを抱えてちびちび飲みながら話し始める。
「ミカ様がそのぉ、資産凍結食らったじゃないですか」
「そうだね。使えるお金が制限されて普通に暮らすのもちょっと大変かもって感じだったかな*13」
「ですです。それに私物もみんなあれしちゃったって話ですし……*14」
ミカを慕っている彼女はやはり思うところがあるのだろう、怒っているような悲しんでいるような、なんとも言えない表情をしている。
「そんで、ナギちゃん様がミカ様にやたらと物贈るんすよね。直接渡すのはマズいからーとか言って俺経由で」
「幼馴染の友情だね」
「はい。まあ、それはいいんすけど……俺が毎回しょうがないなーナギちゃんはとか嬉しそうにしてるミカ様を見せられる上にナギちゃん様にそのリアクション報告させられるしセイア様もなんか絡んでくるし!」
嫌ではないんだけど! と拳を震わせるワカナ。
なんというかまあ、ほんのりジェラシーを感じてしまっているらしい。思春期のドロドロとしたものではなく子供らしく可愛らしいものだが。
「つまり……」
「俺もプレゼント贈りたいなー! って……」
なるほど、と頷けば大荷物の中身をズラズラと机に並べ始める。
高純度のヴォルフスエック鋼鉄やエーテルのエッセンスが複数、完全な状態のアンティキティラ装置にニムルドレンズと古代の電池、中空十二面体、黄金シャトル、古代ロケットなどの貴重なオーパーツ類だ*15。
「お菓子とかは普段から一緒に食べてますし、アクセサリー系はセンスに自信がないんでなんか置物的なやつを……ということで、こいつらを材料に室内プラネタリウムを作ります!」
「ゆずってくれ たのむ!」
>「……これなら良いものができそうだね」
「ですよね! おとーちゃげふん、クソ親父がよこした物の中でなんかあんまいらないなーみたいな感じだったやつらなんすけど*16、これならそう簡単に壊れたり燃えたりしない丈夫なのができるかなーって」
簡単に壊れないもの。なんというか色々な意味で重たいプレゼントになりそうだが、ミカはきっと喜んでくれるだろう。
「それじゃあ、図面とか引いてやってみようか」
「はい!」
天文系の部活のサイトなどを参考にしつつ、紙で何度も試作して、いい感じになったところで本番。
材料を景気よくクラフトチェンバーにぶち込んでテイラーメイドでプラネタリウムを作り出した。
パッと見にはレトロな感じの金属製の間接照明といった感じだろうか。
希少素材をたっぷり使った甲斐もあり、いかにも丈夫そうでもある。
「おぉ……」
「すごい、いい感じの見た目っすね……それじゃ部屋を暗くして、付けますね」
真っ暗な部屋の中、カチリとスイッチの音がなる。
照らし出される、幾千万の星の海。
「わっ、すっげぇ……」
作りたての星々の光に照らされて、小さな影が空を見上げ、大きな翼を震わせる。
「あれがデネブ、アルタイルベガ……って春の星座だからアルタイルはないんすよね」
「真ん中のが北斗七星、左下に春の大三角、ずーっと右に冬の大三角……」
「あ、先生さん……あれ、わかります?」
ワカナが指差す先、春の大三角の一等星であるアークトゥルスのそばだろうか。
それよりは小さいが、程々に輝く星がある。……あんなところにあんなに明るい星はあっただろうか。
「実はあれ、存在しないオリジナルの星。春の大三角、トリニティの一番明るい星のそばの……へへ、良くないですか?」
「ここだけの秘密っすよ? 流石にちょっと、恥ずかしいんで……知ってるのは俺と先生だけ、ってことで」
苦笑いに人差し指を立てるワカナに頷いて、同じように人差し指を立てた。
落ち着いているようで、激情家。大人のように頭で考えて、子供のように心で振る舞う。
アンバランスな彼女の、友情とも愛情ともつかない名前のつけられない不思議な感情。
その現れの、秘密の約束だった。
「それじゃ早速帰ってミカ様にプレゼントしてきますね! ……っとそうだ、これ、先生さんにもプレゼント」
ワカナが差し出したものを受け取る。奇妙な感触の薄い金属の板……にぐんにゃりとした長い体の猫の絵が刻まれている。
「端材で作ったウェーブキャットさん栞っす。ちょうど胸ポケットに入るサイズにしてあるんで、コイツがなかったら即死だった……みたいなシチュで役立ててください」
「そういう用途なんだ……役に立つ日が来ないといいけど。でもありがとう、ワカナ」
「言われてみるとわりと縁起でもないな……ま、まあお守りってことで。先生さんにもすげえ感謝してるんです。本当に色々お世話になっちゃって……」
ペコリと頭を下げ、軽い足取りで部屋を出ていく。
「それじゃ、コンゴトモヨロシクってことで!」
ウェーブキャットの栞を胸ポケットに淹れ入れ、少しはみ出した猫の頭を見て笑顔になるワカナと手を振り別れた。
めっちゃ喜んでもらえましたがそのまま一晩一緒に向こうの寮で過ごすことになってバレて寮長さんにめっちゃ怒られました……
ワカナもやられたんだ……*17
えっ? も……?
ぴゅ~
>何もなかったからね!?
何かあったら大問題っすよ!!!
ま、まあ先生さんに限ってそんなことはないと思いますけど……
ともかく、今日も行きますんで
「こんちゃーす!」
ワカナはなんだかよくわからないが大きめのダンボールを一箱抱えてシャーレビルにやってきていた。
「こんにちは、ワカナ。えっと、それは?」
「うちのリンゴです。プラネタリウム作成のお礼というか、これまでの諸々の感謝を込めてというか。まあともかく食ってください。美味いっすよ」
大きめの冷蔵庫はあるってヒフミちゃんに聞いてるんで、とワカナは勝手知ったる顔でうろつき、冷蔵庫に大量のりんごを放り込んでいく。
「そこそこ日持ちはしますけど、リンゴは基本早いほど美味いんで。先生さんが食べる分以外は来た人にどんどん配っちゃってください。んで、じゃーん!」
「おお! ……なんだろう。わからないな」
「リンゴの皮むき器っす。なんと庭園部オリジナル」
ほらほらすごいでしょ、と正体不明のアイテムについたハンドルをグルグルしながらニカっと笑ったワカナは土台部分を見せてくる。
確かにトリニティの校章と、ワカナのエプロンについているのと同じ庭園部のマークがついていた。
「俺もよく知らなかったんですけど何年か前に企業と提携? だかなんだかして商品出してるそうで……」
まあロゴマークついてるだけなんですけどね~などと言いながらワカナはリンゴを一つ取り出し、皮むき機に付いた針にガスっと刺して固定するとハンドルをグルグル回す。
するとあっという間に綺麗に皮が向けていく。シンプルな仕組みだが、細長いリンゴの皮がスルスルと伸びていくさまはなんとなく楽しい。
「おぉ~」
「へへ、いいでしょこれ。そして切り分けるのも~こいつでドーン!」
こっちはアップルカッターですと、皮が剥けたリンゴに刃がついた円形の道具を上から押し付けると一瞬で切り分けられる。
さあどうぞ、と渡されたので一切れ食べてみると実に甘くて美味しい。ワカナも自分でもリンゴをつまんでニコニコしながら食べている。
「先生さんからしたら女の子が果物ナイフでするする~みたいなののほうがグッと来るかもですけど……」
「それはたしかに」
「正直! 俺もセリナちゃんにやってもらってグッと来たんでなんも言えないっすけど」
いくつか追加でリンゴを剥き、二人で満足するまでシャクシャク食べて、手を合わせる。
「セリナちゃんから先生さんいっつも不摂生してる~って聞いてるんでね。たまには果物でもどうぞってことで」
「耳が痛いね……確かに普段はコンビニ弁当とかカップ麺で済ませちゃうこと多いし、うん、果物も食べるようにするよ」
「まあ、果物いっぱい食べれば健康! ってわけでもないですけどね。美味い分糖分が結構エグいんで……ほどほどでどうぞ」
去年気にせずモリモリ食ってたらわりとダイレクトに体重増えました、なんてお腹をぽんぽんするワカナと、一休みしてから仕事をすることに。
今日は市中の見回りだ。
「D.U.*18って意外と治安悪いんすね……」
「色んなとこから生徒が来るからねえ……揉め事とかも多いんだよね」
半分ワカナの観光気分で街をうろつき始めて早くも3度めの銃撃戦に遭遇していた。
先生をかばうように広げられた大きな翼にカンカンと銃弾が弾かれる。アロナバリアもあるが充電のことがあるのでありがたい*19。
「まあともかく、燃やしますね」
ぎゅんぎゅん回して炎を溜めた回転ノコギリをヘルメット団と不良の集団に向けて振るうと、輝く炎の波が押し寄せる。
炎が通り過ぎれば、暴れていた不良達全員プスプスと煙を上げながら倒れ伏していた。
「へっへへ。どうっすか? なんか俺ぶちのめされて寝てるとこばっか先生に見られてる気がしますけど、実は結構強いんすよ?」
ペロロ棒を地面に突き立て、ワカナはドヤっとした顔で笑った。
そんな感じで暴徒鎮圧したり困っている生徒の相談を先生が聞いたりしつつ街をうろつくこと半日ばかり、日も暮れてきたので夕飯食べて解散ということになった。
メニューはこってり系のラーメンだ。
「美味い! 美味い!」
ワカナは実にご機嫌な様子でラーメンを食べている。
「ラーメン好きなの?」
「はい、でもあんま食う機会なくて……。スイーツ系の店はいっぱいあるんすけど、こういう塩分! 油分! 炭水化物! みたいなやつはあんまないんすよねトリニティ……あぁ~体が喜んでるぅ」
「カレーラーメンハンバーグ……子供舌って言われそうっすけどやっぱそういうのが美味くって……」
「私も好き。美味しいものはいつまで経っても美味しいよね。この年になると健康診断の数値とかでそうとばかりも言ってられないんだけどね……」
「あー……セリナちゃんが言ってたやつ。でも食事制限とかまでは行ってないんですよね?」
「うん。運動不足なんとかしましょうとかそのくらいかな」
「そんならまあ、たまーにジャンクなもん食いたくなったら一緒にどっか行きましょうよ」
「可愛い女の子に囲まれて色々世話焼かれてーって嬉しいですけど、色々気ぃ使ったりしますもんね。その点俺なら雑雑で大丈夫ですから。趣味も合うっぽいですし、護衛にもちょうどいいですし……気軽に遊びたくなったら呼んでください、って感じで!」
それじゃあ早速、ということでラーメンを食べ終わった後近くの玩具屋でプラモとかを見て回った。
ものすごい勢いで増えた評価にビビりつつ……絆ストーリーっぽいのでした。
イベストみたいなのはちょっと時間かかりそうなのでとりあえず単発でお出しできるものをということで。
バンプのプラネタリウム的なアレをメモロビに……という感じでした。
あとは性自認が微妙でやたら気安い俺っ娘と一緒にゲームしたりラーメン食ったりカードゲームしたりという色々の詰め合わせ。恋愛的なアレはないけどやたらと近いみたいな感じです。
本編中ではちょっと先生の扱い難しいなあとなって日和って出番減らしてしまった感があるんですが、なんだかんだ裏でもワカナちゃんのために色々働いてくれてる感じではあるので好感度高めです。
完結効果すごいなあと言う感じなんですが本当にものすごい勢いで評価増えて非常に嬉しいです。その分綺麗に終わったのになんか付け加えるのは蛇足にならないか?というのもあるんですが……ミカとのその後とか書きたいなあというのは作者的にもあるのでぼちぼちやっていきたいと思います。ので、コンゴトモヨロシクお願いします。
AC6まわりをちょこちょこ修正。だいぶうろ覚えでした。二連肩グレのソングバードをアイスワーム砲で誉れ捨てるまでずっと使ってたんですがバルテウスくんの時まだでしたっけ……。ソングバード名前の通り(?)ガンガァンと気持ちいい音出るとことか威力とか弾数とか使いやすくて好きでした。